2016/05/29

りゅうたまリプレイ プロローグ「旅はいつだって故郷から始まる」 【キャンペーン】

この世界は、さながら竜の卵。
四季を司る4柱の竜から、天候を司る7柱の竜が生まれ、天候を司る竜から地形を司る13柱の竜が生まれました。
彼の竜達の息吹は、新たなる世界を作り出す力を持っています。
そうして生み出された世界は、いずれも「地形」も「天候」も「四季」も違っていますが、2つだけ共通していることがあります。

1つは、「この世界の人々は皆、人生に1度は必ず旅に出る」ことです。
旅に出る理由に決まりはありません。
旅をすることによって人々は様々なものを得、人生を豊かなものにします。
詩を吟じる者も、農業を営む者も、高貴なる血に連なる者も、全ての人が「旅」をするために準備をしています。

もう1つは、「その旅の紀行を、竜人が旅物語として書き上げる」ことです。
竜人は旅人達にひっそりと着いて行き、その旅を物語として記していきます。
竜人はこの旅物語を季節の竜の元へと持ち帰り、聞かせます。
旅人達の物語は、季節の竜の糧となり、ひいては世界の糧となるのです。

今、また1つ新しい「旅物語」が始まろうとしています。




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お目覚めになりましたか、我が竜の君。
私は緑の竜人、名前は……そうですね、アリアと申します。
我が竜がお目覚めになられたということは、私もそろそろ旅物語を記しに行く時が来たということでしょう。
もう暫くお待ち下さい、きっと良い物語を作って参ります。

とは申したものの、私も旅物語を作るのは初めてのこと、どうするのが良いのでしょうか。
旅人達にあまり干渉し過ぎるのも、あまり好みではありません。
ここは1つ、個性豊かな旅人達を集め、風の向くままに物語を紡いで貰うことに致しましょう。
都合の良いことに、6人ほど旅に出ようとしている者達がいるようですから。
まずは、彼ら自身の物語について、私の旅物語に綴っていくことに致しましょう。
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プロローグ「旅はいつだって故郷から始まる」

《クライブ・トローヴェの序章》
彼の故郷は、農業を中心に成り立っている長閑な村でした。
この世界では、「何処にでもあるような村」の1つと言っても良いでしょう。
彼もまたそんな村の中で、他の村の者達と同じく、両親と共に農業を営んでいました。
彼は卸し先の娘と仲がよく、いわゆる幼馴染というような関係です。
お互いに約束をしているわけではありませんでしたが……本来であれば、彼はきっとこの娘と共に旅に出ていたのでしょうね。

しかれども、運命はその通りに進むことはありませんでした。
彼の村は「流行病」に襲われ、村の4割もの人の生命が喪われました。
これは、ただ運が悪かったとしか言いようのないことです。
彼は両親も、幼馴染の娘もこの病で喪い、孤独の身と成り果てました。
……失意の彼を見ていられなくなったのは、娘の両親です。
彼らは自らも娘を喪いながら、きっと、自分の義理の息子になっていたであろう彼のことを心配していました。
このままでは、この小さな村で腐ってしまう、そう思った彼らが背中を押し、彼は村を出ました。ただ、娘の遺した木彫りの指輪をその手に持って。
こうして彼は、私の見守る旅人の一人となったのです。

【クライブ・トローヴェの情報】
32歳 男
ファーマー/テクニック
6/8/6/4
アッシュブロンドの髪とターコイズブルーの瞳を持ち、やや筋肉質
心の傷から他者とコミュニケーションを取ることが苦手

《ティエ・カメロの序章》
彼の故郷は、いわゆる「商人の町」というような所です。
それほど規模が大きいわけではないものの、いくつもの店が立ち並び、多くの商人が生活していました。
この町では、多くの商家が「世襲」の形を取っています。つまり、家督、言うなればその店は長子が引き継ぐのが一般的です。次子以降は、将来的には家を出て、自分の店を構えなければなりません。

彼もまた、そんな町で生まれた「商人の次男坊」です。
店は兄が継ぐことが決まっているものの、商人として将来いつか自分の店を持つために、商いの勉強を続けてきました。
その結果、彼は商人としてはなかなか優秀な能力を手に入れています。

ただ、彼はまだ齢16、商いの知識も机上のものが多く、実践を伴うものではありません。彼はまだ、一人前の商人というには純粋過ぎるきらいがありました。
その彼を見て、彼の両親は彼に旅に出ることを薦めます。
……言い方を変えれば、一人前になるまで帰ってこなくて良いと、彼を追い出したのです。

彼はそれでも、途方に暮れていたわけではありません。
彼もまた、自分の商人としての腕を伸ばすために、この旅は良い機会だと思っているようです。
彼は初めて商売に成功した時に受け取った古びた銅貨を手に旅立ちました。
こうして彼は、私の見守る旅人の一人となったのです。

【ティエ・カメロの情報】
16歳 男
マーチャント/テクニック
4/4/8/8
幼さの残る顔立ち
商い以外に関しては純粋な性格

《ノーティ・ユーデクスの序章》
彼の故郷は、規模からすると小さな村です。
ただ、そこには他の村とは色の異なる「伝承」がありました。
有史以来、そして未来に到るまで、全ての記録を有するという〈竜の無限の図書館〉--アカシック・レコードの存在を信じる伝承です。

彼はそんな村で、日々勉学に励み、賢い青年として成長しました。
そして遂に彼は村の者に言われ、「アカシック・レコード」の探求のために旅に出ることになりました。
しかし、彼は伝承を鵜呑みにするには賢すぎます。
アカシック・レコードなるものが本当に存在しているのか?それ自体は彼の旅にとって、それほど重要なことではありません。
彼の目的は、ただ「知的欲求を満たすこと」です。アカシック・レコードの存在自体も、またその一部に過ぎません。

彼が旅の道連れとする「父から初めて貰った本」、それは彼にとって初めての知識と言っても良いのかもしれません。
ただより多くの知識を得るために--
こうして彼は、私の見守る旅人の一人となったのです。

【ノーティ・ユーデクスの情報】
22歳 男
ヒーラー/マジック
6/4/8/6
褐色の肌に眼鏡を掛けており、博士のような風貌
春の魔法を操る

《トリシア・ノットの序章》
私の見守る旅人の中で、唯一の女性が彼女です。
彼女は外れにある工場街で生まれ育ってきました。
その街には様々な工場が立ち並び、周辺の村や街に製品を提供しています。
規模こそ大きくはないものの、彼女にとっては親しみ深い工場であったことは想像に難くありません。

そんな街の中で、彼女が育ったのは工場ではなく、「食堂」でした。
工場で働く者達は仕事の中で体力を使い、そして彼女の生家である食堂で腹を満たしていきます。
彼女もそんな中で、食事を作る技術に長けていきました。

彼女は料理は作れるものの、工場で働く街の人のように色々なものを作ることは出来ません。
自分が将来、何を作りたいのか、彼女にはまだ分かっていません。
彼女はそんな自分の知見を広げるために、いつも吸っているタバコを片手に家を出ました。
こうして彼女は、私の見守る旅人の一人となったのです。

【トリシア・ノットの情報】
22歳 女
クラフト/テクニック
6/8/6/4
金色の短髪で小柄な体型
口はあまり良くない

《ジョルティ・ジョットの序章》
彼の故郷は、森の中にある小さな村です。
周囲から隔絶された環境の中で、村人たちは皆自然と親しんだ生活を営んでいます。
ハンターである彼もまた、その一人です。
森で取れる動植物を食べてきた彼にとって、食というのは大きな一つの「嗜好」となっていました。

しかし、すでに24年の時をこの場所で過ごしている彼にとって、この森で取れる食材というのはかなり食べ尽くしてしまった所があったのです。
次第に、まだ見ぬ食材に夢を見るようになりました。

そんな時、彼の耳に「竜」の存在の情報が飛び込んできます。
この世界に取って、竜というのは世界の成り立ちに関わる重要な存在です。……我が竜の君もまた、いずれはそうなるように。
しかし、彼にとってそんなことは重要ではありませんでした。
もはや彼には竜に対して食べてみたいという欲求が最優先のものへと置き換わってしまっていたのです。

そのことを正直に村の者達に話した所、自然を愛する、いうなれば竜を愛する者達からは爪弾きにされてしまうこととなりました。
彼はもう、このまま森の中に住み続ける事は出来ません。
村を追い出されたからというよりは、自ら「竜の味」を知るために、いずれ来る時のために解体ナイフを懐に忍ばせて、どこか清々しい表情で故郷の森を立ち去ったのでした。
こうして彼は、私の見守る旅人の一人となったのです。

【ジョルティ・ジョットの情報】
24歳 男
ハンター/アタック
8/8/4/4
ただ美味しいものを追い求める美食ハンター
食べることに目がなく、なんでも食べようとする

《パ・パーパ・パワーの序章》
個性的な髪型の彼は……私にとってもイレギュラーの存在でした。
私はもともと、これまでに紹介した5人の旅人の物語を記すつもりでいたのです。
彼は彼らが集まった草原に通りかかった馬車から、たまたま転げ落ちてきたという、数奇な存在に他なりません。
竜人の力を使い、事の経緯を見てみることに致しましょう。

彼の故郷は、世界樹と呼ばれる巨大な木の麓にある小さな村です。
彼はこの長閑な村で過ごす、昼寝をこよなく愛する男だったようです。
日々、寝心地の良い昼寝場所を求め、此方に彼方にフラフラと歩き回っていました。

そんな彼があの日見つけたのが「藁の布団」です。
……少し考えれば、いや、少し見れば分かることですが、この藁の布団は馬車に敷かれたもので、昼寝に使って良いものではありません。
しかしそんなことは気にも留めず彼は眠り、そして--不用心なことに、馬車の主もまた彼の存在に気付かずに走り出しました。
しばらくして、馬車の主は荷台から聞こえるいびきの存在に気が付きます。

彼はその場で叩き起こされ、放り出されました。
……そこが、彼らの集まる草原だった、というわけです。
世界樹の実を一つ持ち、彼もまた彼らに同行することとなりました。
こうして彼は、私の見守る旅人の一人となったのです。

【パ・パーパ・パワーの情報】
36歳 男
ヒーラー/アタック
8/8/4/4
アフロヘアーが特徴的な、色黒で大柄の男 目は青い
人の話はあまり聞かない 通称パーさん/アフロ

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如何ですか?我が竜の君、これが彼らの旅の始まりです。
まだ何も始まっていないじゃないか、って?そう焦ってはなりませんよ、旅の始まりというのは、必ず旅の終わりと繋がるものです。
彼らの始まりが分からなければ、きっとこの先の彼らのことも分からないことでしょう。

私も、彼らについてまだまだ知らない事が多くあります。
方向性の全く違う6人が、その旅を通して「目的」を達することが出来れば……きっと我が竜の君も満足出来る旅物語となることでしょう。
これはまだその第一歩、それでも、千里の道に足を掛けたことには、間違いないのですから。

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こちらは、2016/5/27に行った「りゅうたま」のオンラインセッションの導入部分のリプレイです。
私とPL6名で行いましたが、全員がテストプレイを除けば初めてのTPRGという初心者だけの卓でした。(りゅうたまは無料配布のルールブックということで、初めての人が参加しやすいように選択しました)
マスタリングもロールプレイも不慣れな部分が多く、ぎこちない進行になっている所もありましたが、初めてのプレイとしてはそこそこ上手く行ったのではないかと思います。
今後もセッションを行ったらリプレイという形で執筆していきたいと思いますので、宜しければお付き合い下さい。


【参考サイト】

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