2017/01/17

りゅうたまリプレイ 第三十二話「七つの旅の始まり」 【キャンペーン】

お久しぶり、でもないですね、今回は。
あの時の皆のことを、しっかり旅物語として参りましたよ。あの時は竜の君、突然のことで驚かせてしまい申し訳ありませんでした。
それでは、お聞き下さい、フリーグゼルでの旅物語を。


第三十二話「の始まり





~春の月 16日~

その日の昼頃、遂に皆は追い求めた東の果て、フリーグゼルへと到着しました。
フリーグゼルはこれまで訪れた都市の中でももっとも巨大な都市でした。門扉の大きさと外郭を囲う外壁からもその規模が窺い知れます。
もし門扉が閉まっていれば、レパーリアのように無理やり開けて入ることはできなかったでしょう。
門の前には少しばかり厚着をした門番が立っていました。

ルー「本当に大きな街ですねぇ……」
ノーティ「いやぁ、ここまで来たかいがあるというものです」
ジョルティ「こんな奥地で食糧事情は大丈夫なんですかねぇ!?」
ノーティ「門番にお話をした方が良いでしょうか?」
ティエ「大きい街ですから大丈夫じゃないんです?」
トリシア(喫煙中)
ノーティ「来るもの拒まず、と」

皆が門の方に近づくと、門番の方から声を掛けてきました。彼は少しだけ、驚いたような顔をしていました。

門番「旅人の方ですか。よくこの天気の中で密林を超えて来ましたね」
クライブ「ああ、ずっと天気が変なのか」
ティエ「なんやかんやで旅慣れてますからねえ我々」
門番「ええ、ここ最近はずっと雪ですね……。しかし、フリーグゼルの街内であれば問題はありません」

門番はそう言うと、門の向こうの街中の方を指差しました。
門番に促されるように門扉の中を見ると、フリーグゼルの街道には雪が積もっていませんでした。屋根などにも雪が積もっている様子はありません。

トリシア「海はどこ?」
門番「海は街の東端から見られます。どうぞ、お入り下さい旅人の皆さん」
ノーティ「どうも。では失礼して……」
門番「フリーグゼルは旅人の皆様を歓迎します。ただ…1つだけお守り頂きたいことがあります」
ノーティ「何でしょう?」
ティエ「?」
門番「フリーグゼルは街内の様々なシステムの維持のために、魔晶網と呼ばれる水晶魔法による伝達網を用いています」
門番「通常の魔法が使われると、この魔晶網に異常が生じてしまう可能性があります。街内では魔法の使用をお控え下さい」
ノーティ「初めて聞きますね、水晶魔法……」
ティエ「儀式通常季節問わずですか?」
門番「はい。水晶魔法以外の魔法はご遠慮ください」
ティエ「むう……」
門番「もし水晶魔法網に異常が発生した場合は、それによって発生した損害が請求されてしまう可能性があります」
ジョルティ「外で使ってから入るのはノーカンですか!?」
門番「ええ、発動を街中で行わなければ問題はありません」
ティエ「ちなみに使って大丈夫な場所とかあります?」
門番「ごく一部、魔晶網から断絶されている施設などがあります。そういった中では使用することができます。研究所などがそうですね」
ティエ「なるほど…」
ノーティ「少し肩身が狭い気もしますが……まあ、大して困らないでしょう」
門番「ええ、その分、便利な街であることは保証致します」
ティエ「夜の日課が…久しぶりに布団で寝ることになりそうだ」

ティエは宿で使うミノーン・ビバークのことを心配しているようでした。……普通に宿で寝る時は使わなくても良いような気がしないでもないのですが。

門番「ただ、暫く滞在されるのであれば、役所で滞在パスの取得をお勧めします。公共施設等は市民向けになっておりますので、市民証がなければ使用できません。滞在パスがあれば滞在中、それらの施設を利用できるようになります」
門番「こちら、市内の地図になります。人数分御座いますので、ご自由にお使い下さい」

門番はそう言うと、鞄の中から人数分の地図を取り出し、それぞれに渡しました。



ノーティ「了解しました」
ルー「ありがとうございます」
門番「それでは、良いご滞在を。市内であれば、どこからでも馬車が利用できますので、必要に応じてご利用下さい。徒歩で移動するには広い街ですから」

こうして皆は、フリーグゼルの街の中へと入りました。クローナ・ディア以来の大都市ですが、その規模はクローナ・ディアを圧倒しています。
大河の傍という、発展する理由があったクローナ・ディアに比べて、この場所は地勢上優位な点があるとは思えないのですが……。

ティエ「まずは役所ですかね?」
ノーティ「役所に行くまでは馬車を借りる形になりますね。どうやら、公営のものと私営のものがあるようですが……公営のものは滞在パスがなければ使用できないようです」
ティエ「では、まずは私営馬車で役所に向かって、滞在パスを取ってしまいましょうか」
トリシア「特別喫煙については言われなかった。ということは良い街だな!」

そもそも、これまでの旅でもあまり煙草を嗜んでいる方には会わなかった気がします。ラ・ヴィスの商人の方ぐらいだったでしょうか……? いえ、止めておきましょう、なんだか嫌な記憶を思い出しそうになりました。

その後皆は私営馬車を使って役所へと向かいました。役所は古くからあるような石造りの建物で、歴史的な雰囲気を感じさせます。
都市の規模の大きさもあり、役所の中はかなりの人がいるようでした。滞在パスの申込みにも、かなりの時間が掛かりそうです。

ノーティ「まさに街の中心」
ノーティ「どれだけの人が市民でどれだけが旅人なんでしょうか……」
ルー「そうですねぇ……旅人の方も多そうです」

この待ち時間を利用して、私は冬の竜にコンタクトを取りに行ってみることにしました。役所から出て、東へと向かいます。
ここからなら、冬の竜の住処まで行けると思ったのですが……。予想外に、道を繋げることができませんでした。
どうしたものでしょうか……直接会いに行く事もできないのでは……。とりあえずその場は諦めて、役所へと戻ることにしました。
ちょうどその時、皆が窓口に呼び出されていました。

窓口職員「いらっしゃいませ。皆さん、滞在パスの取得ということでよろしかったですか?」
ティエ「お願いしますー」
ノーティ「はい。何か必要なものはありますか?」
窓口職員「こちらの書類に氏名、年齢と滞在期間をご記入下さい」
窓口職員「滞在パスは1週間の滞在につき200Gとなっておりますが、宜しいでしょうか?」
ノーティ「とりあえず1週……」
ノーティ(いや、またここに並ぶのは嫌だなぁ……)
ティエ「どうします? 一月ぐらいいますのん?」
ノーティ「1ヶ月なら十分でしょう」
トリシア「足りなくなったら更新できんのかな」
窓口職員「ええ、更新は可能です。新規取得の必要はありません」
ティエ「では4週間分を……ちなみに長期滞在パスとかはありませんか?」
窓口職員「長期滞在パスも御座いますが、1年からとなります」
ティエ「長ーい」
窓口職員「ええ、そうですね……。そのため、旅人の方で取得される方はほとんどいらっしゃいません」
トリシア「まあパスが切れても公共施設使えないだけだというね」
ティエ「それもそうですね」
窓口職員「滞在期間はどういたしましょうか?」
トリシア「5年?」
窓口職員「移住のご希望なら窓口が違いますが……」
ノーティ「4週間分……少し中途半端ですが、30日分になるでしょうか?
窓口職員「承知しました。それでは、4週間分でパスを発行いたします。発行完了まで、暫くお待ち下さい」

こうして皆は再び待合に戻されました。どうやら発行手続きにも、かなり時間が掛かりそうな様子です。
ジョルティがその間に、荷馬車の中で寝ているパワー(PL遅刻)と一緒にしまってあったエレオノーラを取り出し、装着していました。

エレオノーラ《あら、これは随分と……人の多い場所ですのね》
ジョルティ「凄いフィット感!」
エレオノーラ《私もわかりませんけれど、フリーサイズらしいですからね》

まだ暫く待ち時間がありそうだということで、今度は夏と秋の竜の元に向かうことにしました。こちらは問題なく道を繋げる事ができ、話をすることができました。
夏の竜も秋の竜も、現在の異常には気付いているようでしたので、一応、竜人を通して旅人達に協力を依頼してもらえるように、お願いをしておきました。
それから再びフリーグゼルへと戻ります。おおよそ1時間程経っていました。ちょうど、皆が再び窓口に呼び出されている時でした。

窓口職員「滞在パスができました。どうぞ、お受け取り下さい。ご紛失の際には再発行窓口にてご申請下さい」
ティエ「ありがとうございまーす」
窓口職員「それでは、良い滞在を」
ノーティ「どうも」
クライブ「ん」

こうして皆はフリーグゼルの滞在パスを入手しました。これを使用することで、公共施設が利用できるようです。

ノーティ「この研究所というのが気になりますが、さて皆さんはどうされますか?」
トリシア「海?」
ノーティ「海というと?」
トリシア「ルーちゃんが見たいって」
ノーティ「あ、そうでしたね、せっかくですから後で皆で向かいましょうか」
ルー「皆さんの用事が終わったら、一緒に臨海公園に来て欲しいです」
ジョルティ「おっけー」
ティエ「そうですねー」
クライブ「ま、とりあえず宿を取るか。部屋がなくなったら面倒だ」
ノーティ「公共宿が取れるといい……ですかね?」
ティエ「個室があればまぁどこでも?」
ノーティ「まあ、宿に関してお金を惜しむことはないですが」
トリシア「私は工房見学したい」
ジョルティ「食べ歩き代こさえに扇子売ってくる」
ルー「皆さんについていきます!」
ティエ「適当に見て回りながら、最後は海ですかね?」
ジョルティ「俺はとりあえず商店街行くぜ」
トリシア「とりあえずついていくー」
ノーティ「手分けします? 図書館はいつでも……良くはないですが、まあ、宿の予約が必要であれば私がとっておきます」
ジョルティ「商店街、郵便局、飲食店当たりに行きたい」
クライブ「ああ、そうか。そういえば俺も郵便には用があったな」
ノーティ「では、それに含めて浴場も軽く確認して、その後に海岸の公園へ。では私は宿の方に行ってきます」
ジョルティ「じゃあ商店街へー」

【商店街組】
商店街には、ノーティと荷馬車の中のパワー以外が向かいました。商店街だけで見ても規模が大きく、非常に賑わっています。クローナ・ディアの祭りの時ぐらい人がいました。

ジョルティ「しゅごい人」
クライブ「流石に人もモノも集まると違うな」
ルー「この商店街だけでリーテ全部入っちゃいそうですねぇ……」
トリシア「面白いものも売ってたりするのかな~」
ティエ「祭りの時にいたハーブ屋さんはいないかなー」

皆思い思いに商店街の店を見て回っていました。ジョルティは途中でレパーリアから届いた香木の扇子を売却していたようです。

ジョルティ「店は多いが、掘り出し物もない感じだな」
ティエ「変わったものといえば……なんか鉄の球が売ってますね」
ティエ「店のおじさんにきいてみよう。これなんにつかうんです?」
店主「さあ? なんか珍しいだろ?」
ティエ「まぁつるつるですごい球ですけど…」
店主「だろう? まあ、技術サンプルみたいなもんだな」
クライブ(投げるのに使えそうだな)
トリシア「この街からどんなルートで交易してるんだろうか……」
ティエ「とりあえず、ツェイドの鎧売っちゃいますか」
クライブ「管理が面倒だしな」
ティエ「あ、でも売買用の魔法がかかってませんね……先に研究所に行って、そこで魔法を貰ってから売りますかね」
トリシア「次は郵便局に行くんだっけ」
ジョルティ「うん」

次に皆は、郵便局へと向かいました。郵便局自体は他の街にあるものとそう変わらないようでした。建物自体は古くからあるような印象を受けました。

ここでトリシアはゴレンのディストに、ジョルティはアージェントのリンに、クライブはアージェントのラナとカレン、さらに花の採取の依頼主だったディクソン家の娘にも香木の扇子を郵送していました。
簡単な手紙を付記していたようだったので、その内容もちらっと話しておきましょう。

トリシアの手紙「旅先で作った私の作品の量産品です。レパーリアでなんやかんや協力してたら作る羽目になりました。まだまだ拙い物ですが、お納め下さい」
クライブの手紙「道中で作ったものだ。俺には不要なものだから送っておく。好きに使ってくれ」
ジョルティの手紙「拝啓、リンさん、お元気でしょうか? 我々は無事に旅を続けています。旅はいま最果ての街フリーグゼルまで辿り着きました。道中で我々が作った特産品が素敵な出来となりましたので、僭越ながらプレゼントとしてお送りします」

クライブはともかく、トリシアとジョルティはまるでノーブルのような手紙でした。……まあノーブルなんですけど。

ティエ「では次は研究所に行きましょう。ジョルティさんもついてきて下さい」
ジョルティ「了解ー」
トリシア「わたしも見学に行くー」
クライブ「1人で行く先もない、俺も行く」
ルー「私も行きますー」

郵便局を後にした皆は、そのまま研究所へと向かいました。研究所は街の北西に位置しています。建物自体は新しいようで、街中で使われている魔法水晶についての研究が行われているようでした。

ティエ「すいませーん 季節魔法ぶっ放すならここって言われたんですけどー」
研究所員「ああ、この施設内であれば魔法を使って頂いて構いませんよ」
ティエ「ちょっと場所を借りますねー」

ジョルティは施設内で、ティエやトリシア達にラック・ラック・ラックの魔法を掛け始めました。トリシアは魔法を掛けられながら、研究所の人に話を聞いています。

トリシア「ここではどんなことをしてるの?」
研究所員「基本的には魔法水晶の研究を行っています。街中の照明などは、すべて魔法水晶で行われているんですよ」
トリシア「ほへー」
研究所員「それ以外にも、例えばこの街の中に雪が積もっていないのも、地下に温熱の魔法の水晶網が走っているためです」
トリシア「そうなのかー」
研究所員「他にも、目に見えないところでこの街のシステムは概ねこの魔法水晶で維持されています」
ティエ「べんりなものだなぁ」
トリシア「べんりなものだなあ」
クライブ「ほーん、水晶ねぇ」

魔法を使わないトリシアとクライブは、よく分かっていないようでしたが、街の便利さには感心しているようでした。

ジョルティ「既存の魔法との違いは何なのですか?あと何故干渉するのかとか聞いても…?」
研究所員「通常の魔法と違っているのは、このような水晶に魔法を込めて使用していることです。魔力が散逸しにくく、効率的な使用が可能な点に違いがあります」
研究所員「干渉するのは、この水晶が魔法に対してデリケートな性質があるためです。強い魔法が外部から伝わってしまうと、その内部の魔法組成が変わってしまい、おかしくなってしまうのです」
ティエ「魔法が使えない人でも使えるんですか?」
研究所員「はい、魔法の発動自体を水晶が代行してくれます」
ティエ「マジックユーザーがいない旅とかだと便利そうだなぁ」
ジョルティ「なるほどなぁ。っと、魔法はこんなもんでいいかな」
ティエ「じゃあ、ありがとうございましたー。また来るかもしれません」
研究所員「はい、どうぞお気軽に」

こうして皆は研究所を離れ、商店街の方へと戻っていきました。ティエはツェイドから運んできた大量の鎧を売り捌くことでしょう。
私は、宿を確保しに向かったノーティの方に向かうことにしました。


【公共宿組】

ノーティ「ごめんくださーい」
パワー「ごめんくさーい」

公共宿の前に向かってみると、パワーが起きてきているようでした。ノーティと一緒に、公共宿の受付に呼びかけていました。

公共宿管理人「はーい」
公共宿管理人「あら、旅人の方ですね? 滞在パスはお持ちですか?」
ノーティ「はい、取得済みです」
ノーティ「今日からしばらく7人泊まるのですが、部屋のグレードはどのようになっていますか?」
公共宿管理人「他の街でいうところの、スイートぐらいのお部屋ですよ。滞在パスがあれば無料でご利用になれます」
ノーティ「しばらくの間まとめて予約できます?」
公共宿管理人「ええ、構いません」
ノーティ「では、1ヶ月、7人分の部屋をお願いします」
公共宿管理人「承りました。ただ、夜の11時には閉めてしまいますので、その時間までに宿にお戻り下さい」
ノーティ「分かりました、残りのものにも伝えておきます」
公共宿管理人「はい、こちら、部屋の鍵になります。ご自由にお使い下さい」
ノーティ「ありがとうございます」
公共宿管理人「それでは、良いご滞在を」

こうしてノーティは人数分の宿の鍵を受け取りました。確かに、外から見る分にもかなり立派な建物をしています。ここでの滞在は、快適なものになりそうです。

ノーティ「いや、案外楽に宿が取れてびっくりです」
パワー「もう寝るのか?」
ノーティ「いえ、せっかくですので浴場を軽く見に行きましょう。どんな感じでしょうか……」
パワー「バスタオルもったか?」
ノーティ「今入るわけではありませんよ。見に行くだけです」

こうしてノーティとパワーの2人は、公共浴場の方へと移動しました。公共浴場も外観からして規模が大きいようです。通常の公共浴場入り口で男女が分かれていますが、ここはそうではないようでした。
入り口の説明文を読むに、どうやら水着を着て入浴する決まりになっているらしく、男女兼用のようでした。

ノーティ「なるほど、水着を買う必要があるかもしれませんね」
パワー「ま、着なくてもいいか」
ノーティ「いや駄目ですよ。捕まりますよ」
パワー「捕まえてみやがれ」
ノーティ「まあパワーさんを捕まえられる人はいそうにありませんけど……」
ノーティ「しかし、こうやってじろじろ見ていたら怪しまれますね、戻りましょう」
パワー「しょうがないな、葉っぱつけとくか」
ノーティ「私も止められないので止めて下さい」

公共浴場の入り口を一通り見て、ノーティとパワーは公共宿の方へと戻りました。すると暫くして、商店街の方に向かっていた皆も公共宿へとやってきました。

ノーティ「これが宿の鍵です。23時には戻ってくるようにとのことで」
トリシア「門限あるのかー。海、まだ後でいいかな?」
ルー「皆さんの用事が終わってからで、お願いします」
トリシア「じゃあ工房見に行こうかなー」
ノーティ「私も図書館に」
ジョルティ「俺は飯だ! この街の最高の飯を食いにいく!」

合流したと思ったのも束の間、またそれぞれ見に行きたい場所に行くことにしたようでした。また、それぞれの行動について見てみましょう。

【公立工房】
まずは、工房に向かったトリシア達の様子についてです。トリシアの他、ティエも一緒に着いて行っていました。
工房はそれほど大きいわけではありませんが、やはり少し古い建物のようでした。自由に中に入れるようになっており、トリシアも中に入ります。工房の中には、様々な杖などが並んでいました。
トリシアは心なしか楽しげに工房の中を見ています。
そこに、白いローブの男性が声をかけてきました。雰囲気は、ローリスにテオフラストの代わりの医者として訪れたリリアスの医者に似ています。

???「おや? いらっしゃいませ」
???「私はキルト・エヴァンスと申します。こちらの工房で加工を行っております」
トリシア「ひやかしです」
キルト「おや、そうでしたか。他の場所では見られないようなものもございますから、どうぞご自由に」
トリシア「魔法武器以外に面白いものはありますか?」
キルト「うーむ、そうですね。加工をなされる方ですか?」
トリシア「趣味で!」
キルト「それでは、この金槌あたりは特別なものですね。魔法の力がかかっているので、従来品に比べて力があまり必要ありません」
キルト「他にも、加工に使う道具は魔法がかかっている物が多く、便利になっていますね。金床などもありますよ。何をお作りになられるのかによって便利なものも変わると思いますが」
トリシア「ほーほー。売っているのですか!」
キルト「ええ、まあ、この街ならそこまで珍しいものではありませんが」
トリシア「ほーほー良さそうな物があれば買おうかなあ」
キルト「用途によって使うものも違うと思うので、それ向けのものを購入されるのが良いと思いますよ」

金床(作成分野を1つ選択して購入。その分野の作成で集中を行う場合のMP消費無効化)
値段は2d20*100G

トリシア「こちらおいくらまんえん?」

〈値段決定〉
トリシア:15

キルト「そうですね、1500G程ですね」
トリシア「考えときますー」
キルト「ええ、物作りは道具でかなり違いますからね。どうぞ、ご安全に」

こうしてトリシア達は工房を後にしました。その後、トリシアはそのまま図書館の方へと向かうようにしたようでした。

【公立図書館】

ノーティは比較的ゆっくりと図書館に向かっていたようで、途中でトリシアの馬車が追いつきました。
図書館は都市の北東にあり、絶壁のようになっている崖の近くにあります。巨大な塔のような見た目をしていました。
海は崖の下であり、直接降りることができないようです。

ノーティ「ああ、私高いところ少し苦手なんですよね」
トリシア「なんでこんなところに図書館建ててんだバカじゃないの」
トリシア「潮風とかって本に悪そうだよね」
ノーティ「確かに……」
トリシア「なんでこんなところに建ててるんだろう…」

そこに、食事を終えたらしいジョルティも合流しました。彼もまた、なにか調べたいことがあるようです。

図書館は入るとまず受付があり、市民証か滞在パスを見せることで利用が可能になるようでした。
図書館に入ると、トリシアの潮風に対する疑念はすぐに解けました。施設内に入ると、全く湿気のようものが感じられません。また、暖房もついているようで、適温が保たれています。

トリシア「海のにおいがしない!」
ノーティ「滞在パスが必要なので出して下さいね」
トリシア「なんか凄く無駄に高度な無駄な事してる感」
ジョルティ「無駄のない無駄な仕事って奴だな!」
受付「いらっしゃいませ。フリーグゼル市立図書館へようこそ。滞在パスのご提示をお願いします」

3人は滞在パスを取り出し、受付の担当者に見せました。

受付「はい、確認致しました。どうぞ、ごゆっくり」

受付を通ると、すぐにこの図書館の膨大な蔵書が目に入りました。
しかし、本はどうやらジャンル別などに並んでいるわけではなく、タイトルが文字順で並べられているようでした。
書名がわかっていない場合は、かなり探しにくそうです……。

ノーティ「では、書名の分かっている創始記から探してみますか……」
トリシア「わたしは書名がわからないから司書さんに聞いてみよう。海の向こうについて知りたいんですけど、そういう本ありませんか?」
司書「海の向こうに関する本ですか……。申し訳ありません、私共も完全に蔵書について把握しておりませんので……。探すのをお手伝いすることはできますが、すぐにアナウンスすることはできません」
トリシア「えええ…」
トリシア「この街の歴史とかの本は?」
司書「本探し、お手伝い致しますよ」

こうして、皆の本探しを司書が手伝ってくれることになりました。そのまま探すよりも、かなり探しやすくなったでしょう。

その頃、ノーティは書名が分かっていた『創始記』を探し出していました。クローナ・ディアの図書館で呼んだ本の中に書名のあった本です。
『創始記』は表紙に、水竜の祠の壁画と同じような雰囲気の「四季の竜」の装丁が為されていました。分厚く、かなり分量があるように見えます。
ノーティはその本を頭から、パラパラと読み始めました。細かい点まで読むのではなく、要点だけを読んでいるようでした。
私もここで、本の内容を要点だけ取り上げて紹介します。

『創始記』 著者不明

【創始】
我ら人は、偉大なる創始竜によってこの大地と共に創り上げられた。
雖も、我らは文字を持たず、文明を持たず、技術を持たず、然るに未だ人であると呼べるものではなかった。
而れども、我らには旅があった。原初より続く旅のみが、我らの持つ唯一の文化であった。
我らは旅に依り、言葉を交わし、文化を作り、技術を培うに至ったのである。

【旅と竜】
知識も技術も持たない我らにとって、旅は過酷なものであった。
この過酷さこそが我らの文明を醸成した一因ではあるが、旅に死しては意味もない。
その我らの旅を支えたのが竜である。竜は我らに加護を与え、我らの旅を支えてきた。
こうして、我らの文明が形作られたのである。

【人なる竜】
我らの旅を支える竜のことを、我らはその目で見る事はできない。
自然を通して竜の息吹を感じることができるのみである。
然し、時折我らの旅に遣いを賜わした。
彼らは我らと同じ人の姿を持つが、竜を見ることができ、竜の力を扱うことができた。
彼らは我らの旅を記し竜へ届けることと引き換えに、我らの旅を力強く後押しした。
こうして、我らの文明は進歩を続けてきたのである。

【叡智の書】
竜は遥か無限なる叡智を有している。
この叡智を記した魔法が”叡智の書”である。
叡智の書”は自らを読む者を選び、選ばれざる者にはその知恵を与えない。
叡智の書に授けられた知恵は、竜と人の世の礎となる。

ノーティ「なるほど、つまり竜は人の旅を支え、それが人を人たらしめたと。それにしても、竜の叡智ですか……」
ノーティ「人を育ててくれたのはどうしてでしょうね。人なくして竜なしみたいなことは記憶にありますが……」
ノーティ「ともかく、大きな進展です。これ以上の情報を得る手段を考えておかなければなりませんね」

ノーティが『創始記』を読みながら、要点をまとめている間に、トリシアとジョルティも自分の読みたい本を司書と共に探していました。
ノーティも次に読むための本探しを、司書に依頼していました。

〈図書探し:知力+精神:目標10-2(司書補正)〉
ノーティ:10春の竜の加護
トリシア:10春の竜の加護
ジョルティ:9

ノーティは水晶魔法についての本を、トリシアは海の向こうとこの街の歴史に関する本、そしてジョルティは竜肉料理に関する本を探していたようです。……なんだか不穏な本を探している人がいる気がしますが。

トリシアの探していた街の歴史に関する本は、古いものは見つかりませんでした。
最近の簡単な歴史を纏めたようなものだけは見つかったものの、目ぼしい情報になるようなものはありません。建物などは古い雰囲気がある街ではありますが、歴史について記したものがないのは少し不思議です。

次に、海の向こうに関する本については、『航海記』という本が見つかりました。それほど厚い本ではないということもあり、トリシアはその場でパラパラと捲り始めました。

『航海記』 クラウス・ティーチ著

【西の海】
俺が最初の航海の地として選んだのは西の海だ。穏やかな海として知られていたのもそうだが、何より俺の故郷の目の前だったからだ。
西の海では少し沖にでるとすぐにいくつもの島があった。小規模ながら人が住んでいる島もあった。
初めての航海だったが、それほど問題もなく終える事ができた! 島で新たな仲間も加えることができた。彼の名前はヴィトール、釣りと料理の名手だ!

【南の海】
新たな仲間を加え、次なる航海の地として選んだのは南の海だ。
南の海は浅い所が多く、しっかり見極めなければすぐ座礁してしまいそうになる。十分注意して航海をした。
実際に座礁している船も多く、船に必要な装備などを漁らせてもらった。このまま海の藻屑となるよりは、その方が良いだろう。
さらに、遭難していた小船から2人の仲間が加わった! 海図書きのケヴィンと測量士のレフリーだ!

【東の海】
船の装備も充実し、仲間たちも4人に増えた俺達が次に向かったのは東の海だ。
東の海は西と南の海とは違い、ともかく荒れた海だ。実際目にして驚いた、波が激しいだけでなく、海霧が立ち込め見通しも立たない。
俺の内なる少年の心が冒険を煽ってきたが、同時に本当に航海ができるのかと不安な気持ちもあった。だが、ここで行かねば海の男ではない!
東の海の航海は困難を極めた! 幾度となく荒波に飲まれそうになったが、なんとか乗り切り航海を続けることができた。
フリーグゼルからは海霧で見えなかったが……小さな島を一つ見つけることができた。しかし、上陸は諦めた。
この荒波の中、船を係留しておくことはできそうになかったからだ。いつかこの海が静まる日があれば、今度こそあの島に上陸したい。
それまで、このクィナティット号を整備しながら待つことにしよう。いずれ来るその日のために!

トリシアが『航海記』を読み終わった頃、司書がノーティに頼まれていた水晶魔法に関する本を見つけていました。一通り『創始記』に目を通し終わったノーティは、今度はそちらの本へと目を通し始めます。

『魔法水晶の研究抄録』 ヴィルウィット・イリアス著

【赤晶】
赤晶はエリュトロンを多く含有する魔法水晶である。エリュトロンには魔力を退ける力がある。
魔力を打ち消すのではなく、魔力を反発させる力であるため、この力を用いることによって魔力を決まった方向に強く射出することも可能である。
また、魔力を退ける性質から、お護りとして使用されていた記録もある。

【紫晶】
紫晶はポイニークーンを多く含有する魔法水晶である。ポイニークーンには魔力を引き寄せる力がある。
赤晶によって射出された魔力に指向性を持たせるなどの使用法を考えることができる。
ただし、大きな紫晶は意図せざる形で魔力を引き寄せてしまう可能性があるため、携帯は推奨できない。

【青晶】
青晶はキュアノエイデスを多く含有する魔法水晶である。キュアノエイデスには魔力を滞留させる力がある。
しかし、直接青晶に魔法を使用しても滞留を引き起こすことはできない。魔法を記録するためには特別な装置を使用する必要がある。
青晶に記録された魔法は、外部から魔力を供給することで発動させることができる。

【緑晶】
緑晶はクローロンを多く含有する魔法水晶である。クローロンには魔力を分割する力がある。
緑晶を通して魔法を使用すると、水晶の配列によって決められた方向に分割される。魔力の分散化を行うために使用することができる。

【複合魔晶】
魔法水晶の中には、上記の成分が複合して含まれているものもある。
例えばポイニークーンとキュアノエイデスを共に含む魔晶は、魔力を引き寄せ、それを滞留させる性質を持つ。
現在のところ、人工的に複合魔晶を作り出す方法は見つかっていない。研究の待たれる分野である。

ノーティ「ふむ……。それほど新しい情報はないですね。赤、紫、青のものはこの目で見てきたものですし……」

その頃、ジョルティも司書と共に竜を食べることについて記載されている本を探していました。しかし、実際に竜を食べたというようなことが記されている本を見つけることはできなかったようです。
ファンタジーの世界の中では、竜を食べている描写もありましたが……なんだか複雑な気分です。

ジョルティ「くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
司書「もうすこしお静かに……」
ノーティ「創始記にも載ってませんでしたねえ」
ノーティ「しかし、竜を食べるというのはなかなかの不敬では?」
ジョルティ「知らん、無宗教だ」
ノーティ(竜が美味しいなんて記述があるなら原始の時代のどこぞの生物のように乱獲されてしまっていたのでは……?)

トリシア「司書さんおすすめの本あったりしないの?」
司書「おすすめの本……ですか? 私はどちからというと小説の方が好みですからねぇ……」
司書「ああ、こちらの『いにしえの旅』シリーズはどれも面白かったですよ」
トリシア「小説かー。それはまた今度かなー」
ノーティ「とりあえず用事も済みましたね? 他にはないですか?」
ジョルティ「これじゃあ戦果なしだ、もう一冊だけ探させて!」

〈図書探し:知力+精神:目標10-2(司書補正)〉
ジョルティ:8

ジョルティは今度はハンターの技能に関する本を探すことにしたようです。程なくして、関係する本を見つけることができました。

『ハンターの教科書シリーズ3巻 どんな動物にも使える”罠術”』 リオナ・コークソン著

この本には、罠を使った狩猟の方法が記載されていました。小型動物向けの簡単なものから、大型動物向けの堅固なものまで、多岐に渡って図解付きで紹介されている分かりやすいものでした。

ジョルティ「罠か…そういや罠の授業はサボってたな…」

ジョルティは罠の使い方を覚えたようです。元々ハンターとしての知識があったこともあり、覚えるのはそう難しいことではなかったのでしょう。今後の狩猟ではより良い成果が期待できるかもしれません。

トリシア「じゃあ戻ってルーちゃんと一緒に海を見にいこうか」
ジョルティ「そろそろ行かないと遅くなっちゃうな」
ノーティ「では戻りましょう」

こうして皆は司書に礼をして図書館を後にし、公共宿へと戻りました。

ルー「おかえりなさい!」
ティエ「おかえりー」
ノーティ「帰ってまいりました」
ルー「では……一緒に臨海公園まで来て下さいますか?」
トリシア「れっつごー」
ルー「ありがとうございます。では……行きましょう、海へ」

こうして皆は合流し、ルーと共に都市南東にある臨海公園へと向かいました。
臨海公園には古い望遠鏡などが設置されていますが、各所が錆びてしまっていて動かなくなっています。
やはりここも断崖になっており、直接海に降りることはできそうにありませんでした。

パワー「よし、泳ぐか!」
エレオノーラ《あの人死にますわ》
ジョルティ「なんだかんだで戻ってきそうだけど危ないからやめろー」

皆が臨海公園に到着すると、クライブが首にかけていた金の鍵の白い宝石が淡く光りました。……そういえば結局、この鍵のことはよく分かっていませんが……。
白い宝石の光はすぐに消えることはなく、そのまま光り続けています。

クライブ「む、光ってるな」
ティエ「何なんでしょうね、これ」

見てもよく分からない金の鍵のことは一旦置いておき、皆は海の方に目を向けました。ここから見える海は常に荒れており、海霧によって遠くを見通すことができませんでした。

トリシア「なんかよく見えないね」
ルー「……」
ルー「これが……海……この波の音は……」
ノーティ「海は絵や魔法による念写で見たことがありますが、その限りでは、もっとおだやかな印象を受けましたね」
ノーティ「実際の海というのはこういうものですか。へえ……」
ティエ「昔連れてきて貰った海はこんな荒れてなかったような…」
ジョルティ「よし! ティエ海釣りだ! 勝負しようぜ!!」
ティエ「あー 飛んでったら困るからどうしよう…」

ルーは暫く遠い目で海を見つめています。それから、皆の方にゆっくりと向き直りました。

ルー「……ここまで、連れてきてくれてありがとうございました」
トリシア「お前まさか…!」
ルー「えっ!? な、なんですか!?」
トリシア「変なこと考えてるのかと。急に丁寧なお礼なんかされるとびびっちゃうよ!」
ルー「へんなこと……いえ、確かに変なことではあるのですが……」
トリシア「はやまるなっ」

トリシアは芝居がかった様子でルーに抱き付き始めました。

ジョルティ「あっ、あいつドサクサに紛れて」
ルー「だ、大丈夫ですよ、飛び降りたりしませんよ!? むしろ危ないですよ!?」
トリシア「ふっふっふ」
ルー(体温高いなぁ)

ルー「はっ……そうじゃない! ここに来たら、話したいことがあったんです」
トリシア「あっはい、なんざんしょ」
ノーティ「是非聞かせてください」

トリシアはようやくルーを離し、姿勢を正しました。

ルー「私が、海に来たかった理由です。……それこそ、変な話ではあるんですが」
ルー「……数年前から、よく不思議な夢を見たんです」
トリシア「このパーティーが悪夢みたいなものですが?」
ルー「そんなことありません、本当に楽しい旅でした……」
トリシア(茶化さないほうが良さそう)
ルー「楽しげに旅をしている3人を、近くで見つめているような……そんな夢でした」
ルー「その夢は、本当に色々な場所の景色を見せてくれました。山の村、川辺の村、温泉の村……自分では見たことがないような場所を沢山」
ルー「……その夢を、去年の春頃からすっかり見なくなりました」
ルー「それだけなら、不思議な夢の話というだけで終わりなのですが……」
ルー「その、最後に見た夢が少し変だったんです」
ルー「最後の夢は……真っ暗い闇の中で、女の人が泣いている声と、波の音だけが聞こえていました」
ルー「……それ以来、全くその夢を見なくなったんです。ただの夢だとは思っていたんですが……どうしても気になってしまって」
ルー「リーテから行ける海なら、東の方かと思っていました。……その秋に、皆さんがリーテに来たんです。これは、きっと行くべきなんだと思いました」
ルー「……そう思って、ここまで連れてきてもらったのですが……。結局、夢のことは分かりませんでした」
ルー「……波の音は、確かにこんな音だったんと思うんですけど……」

ジョルティ「不思議な話もあるもんだなー」
トリシア「だなー」
ノーティ「ええと、そういった女の人に心当たりはありませんね……」
ティエ「ほえー」

ルーの話を聞いて、合点がいきました。彼女が私達と共に来たのも、あるいは冬の竜の導きだったのでしょうか?
このことを、皆に伝えるべきだろうと思い、リーズさんから貰ったマスコットを握りめました。しかし、私が人間になって姿を現す前に、状況を大きく変化させる出来事が起こりました。

クライブが触っていた金の鍵が、急に強く光を発したのです。

クライブ「ぬお」
トリシア「おっちゃん何してんのって光ってる」
ティエ「おー ひかりおる」

この時、覚えのある感覚がその鍵から発されていました。私がいつも、竜の君の元に向かう時に使っている力に良く似た感覚です。
私はもしかしてと思い、クライブの胸の鍵を手にとって、目の前の空間に向けて回してみました。
すると、鍵が触れていた空間に、音もなく人丈程の穴が開きました。……私にとっては、見慣れた景色がその穴の先にありました。高い山の上。そして、竜の君がいるこの場所です。

なるほど、金の鍵にはこういった意味があったのですね。死の竜の遣いが皆にこれを渡した理由は分かりませんが、このことは好都合でした。

しかし、穴の向こうから覗き込む巨大な竜の君の瞳を、皆は恐れているようでした。……まあ、瞳だけでも皆より大きいぐらいですから、仕方ないですね。

クライブ「…そりゃ錠前に挿しても意味が無いわけだ」
ノーティ「え……」
トリシア「じー」
クライブ「はて…」
トリシア「あれは竜…でいいのかな。なにこれ?」
ルー「えっ……!?」
ティエ「こんにち……は?」
ノーティ「どうしてここと山……の竜の場所が繋がっているのでしょうか」
パワー「戦う?」
ティエ「戦わない」
ジョルティ「ニク?」
ティエ「ニクじゃない」

これでは話が進みそうにありませんので、皆に話しかけることにしましょう。改めて、リーズさんに貰ったマスコットの力を使い、人間の姿になりました。そして、そっと背後から声を掛けます。

「どうも、皆さん。お久しぶりです」

トリシア「誰だ!?」
ノーティ「はい!?」
ティエ「うっわあ!?」

「あれ? お忘れになられましたか?」
「ほら、サンドラまで護衛をお願いした。アリアですアリア」

……忘れられて、いませんよね? トリシアに至っては一緒にお風呂に入りましたもんね?

トリシア「アリアちゃん!?」
ジョルティ「温泉のお姉さん!!」
クライブ「ふむ…あぁ、そういえば」
ノーティ「あ、いや、一緒に旅をしましたよね」
トリシア「何故ここに!」
ジョルティ「どうやってここに!?」

「ふふふ、お久しぶりですね!」

トリシア「ここまでつけてきたというの!?」

「何故ここに、というのはちょっと話すと長くなりますので……。まあ、色々と話したいことがあります」

ジョルティ「あれ以来、俺らの熱狂的ファンに…?」
トリシア「まさかそんなはずは…」

「どうぞ、その穴から入って下さい。大丈夫、あの竜も大きいですが、危害を加えたりはしませんよ」

トリシア「この穴に!?」

「ええ、その穴に」

トリシア「そもそもこの穴自体がとても怖いのですが」
ジョルティ「穴ってこれ、入れるの?踏み出した瞬間に海へドボンとかない?」
ティエ「まぁ…そういうのであれば…」
ノーティ「あの……他の竜をご存知で?」


「ええ、まあ色々とありまして。竜には知り合いも多いのです。その辺についても、お話します」

トリシア「入った瞬間閉じ込められたりとか…」

「確かに怖い見た目の穴ではありますが……安全ですよ、大丈夫です。ほら、この通り」

私は皆に先立って、すっとその穴に入ります。すると、マスコットの効果が切れて、本来の竜人の姿になってしまいました。そういえば、ここは竜の君の住処ですから、そうなるのでしたね。
今になって、隠し立てする気もなかったので良いのですが。皆も死の竜の遣いに遭っていますから、そこまで恐れられることもないでしょう。

「ね?安全でしょう?」

ノーティ「……!」
トリシア「アリアちゃんに何か生えた!」
ノーティ「あ、あの時の【タイプ・ワイルド】……いや……」
ティエ「儀式魔法一瞬では使えないですよ」
ノーティ「どう考えても……彼女は」

私の真の姿を見て、皆も何かを悟ってくれたのでしょうか。1人、また1人と穴に入り、この場所へとやってきました。

鍵を持っているクライブが最後に入った後、念のため一度穴を塞いでおきます。

「……ようこそ、皆さん。”改めて、初めまして”」

トリシア「はじめましてなのかそうじゃないのかすらももうわかんないです」
トリシア「なんですかこれ!」

「私はアリア、春の竜の竜人にして、皆さんの旅物語を記録する者」
「そしてこちらは我が竜の君。皆の守護竜である春の竜です」

トリシア「はえー」
ジョルティ「なん…だと!?」
ティエ「ほへー」
トリシア「おっきい」
ノーティ「本当に……いたんだ……竜人と……」
ジョルティ「え?これ邂逅しちゃって良い奴?」

「ええ、ちょうど今日、そんな本を読んでいましたね」

トリシア「知られてる!」

「まあ……普通は季節の竜にまで出会う旅人はあまりおりませんが、皆さんならば大丈夫でしょう」

トリシア「何が大丈夫なのかすらさっぱりわかんない!」

「一応、これでも皆さんのことは長く見てきましたから。1年以上前から。奇天烈な皆さんですけど、信用はしていますよ」

〈ジョルティ:礼儀作法:対抗〉
ジョルティ:9
アリア:20

ジョルティ「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、のあの私ジョルティともももももうしもうしままままままままおにくくだふぁい!!」

「私は、普段のジョルティをよく知っておりますから、無理をすることはありませんよ」
「普段通りで良いのです。私達はそんなに高尚な存在ではないですから」

トリシア「むしろずっと見てきたのなら余計に信用できるのかな……」

「まあ、不思議な人達ではありますけど……道中、色々な問題を解決して来たのも見てきました。結局密林の竜を食べるのは思い留まってくれましたし、根本的には信頼してますよ」
「ねぇ、ジョルティ?」

ここで私は、羽根に着いた小さな傷を前に出して見せました。ちょっと、嫌味のようでもありましたが、それぐらいは良いでしょう?

トリシア「あの時の声ってもしかして!」
ジョルティ「あああああ! すいませんすいません!!!」

「ええ、私ですよ私」
「良いんです良いんです、思い留まってくれたのでそれで」

クライブ「それで、鍵を通してまで何故ここに?」

「……いきなり色々とあって混乱していることでしょう。簡単に、皆さんをここに呼んだ理由を説明します……」
「……単刀直入に申し上げます。皆さんも、今、季節がおかしくなっていることは感じていると思います」

ノーティ「え、ええ……春なのに雪が降っていたりしますね……」
トリシア「春のはずだよね…」
ティエ「雪避けて春に出たのに大変でしたもんねぇ」
ノーティ「そうですね、冬を引き摺っているような」

「……そうなんです。季節が明らかに乱れているんです。……でも、春の竜には特に問題が起こっているわけではありません」
「むしろ、元気なぐらいです。皆さんの旅物語がお気に入りのようですからね」
「……となると、おかしいのは冬の竜です」
「それで、私の方でも冬の竜にコンタクトを取ろうと思ったのですが……どうにも、会いに行くことができませんでした」

トリシア「やっぱり何かまずいんです?」

「……具体的に何が起きているのかはまだ分かりません。しかし、ここまでの異常が起こっている以上、冬の竜に何か大きな問題が発生していると思います」
「それで、困っていたところだったのですが……先程のルーの話を聞いて、1つの仮説が立てられました」

トリシア「ルーちゃんの話に関係が!?」
ノーティ「確かに、これほど長く一貫した夢を見るというのは尋常ではないですが」

「……ルーの夢は、冬の竜人の記憶なのではないか、というものです」
「過去にも、竜人の視点がなければ知り得ないようなことを知っている人間がいました」
「……おそらく、竜の力が何故か混ざりあってしまったのでしょう。あくまでも可能性の話ですが」

エレオノーラ《あら…もう既に異常事態のように思えるのですけれど》
ジョルティ「エルちゃん何か知らんの? 異常気象の申し子よ」
エレオノーラ《ちょっと格好いい二つ名ですけど、私が起こしてるわけじゃありませんからね?》

「ええ、全くもって異常事態です。このままでは世界は雪に包まれてしまうことでしょう。
ルーの夢から察するに、おそらくこの街で、何か『冬の竜人』に悪いことが起こったのだと思います」

トリシア「そんな異常事態に気づいてるの春の竜様達だけなのです?」

「いえ、夏と秋の竜ともすでに連絡を取っています。それぞれの旅人に頼み、色々と調べて貰っているところです」

トリシア「ほへー」

「夏の旅人はちょうど西に、秋の旅人は南にいるところなので、手分けをして、というところですね……」

ノーティ「つまり暗闇で泣いていたのは……」
トリシア「冬の竜人…?」

「……はい、恐らくは。」
「冬の竜人は、確か女性だったはずです。私も直接は会ったことがありませんが……」
「……漠然とした情報しかありませんが、皆さんにお願いがあります。この街のことを、探ってみてくれませんか?」
「おそらく……冬の竜人に繋がる何らかの痕跡が、見つかると思うのです」

ティエ「1ヶ月パスもありますし」
ティエ「あ、その前に……春の竜に触っちゃダメかな」

「別にいいですよ。 良いですよね?」

トリシア(春の竜は何も言わないのかな……)

ティエがおずおずと竜の君の体を触っていましたね。トリシアもそれに便乗して触っているようでした。ここも最近は気温が低かったので、きっと竜の君の鱗も冷たかったことでしょう。
ジョルティは私よりも竜の君のことを食べたそうな目で見ていましたが……まあ、そこはなんとか抑えますので。

トリシア「アリアちゃんもさわっていいですか!」

「え、ええ、勿論構いませんけど……ラナにしたようにしないでくださいね?」

トリシア「なんかバレてる!」
トリシア「あの時一緒に温泉入ったアリアちゃんなのだろうか…」

「ええ、いいお湯でしたねえ、サンドラの温泉は」

トリシア「ラナにしたような事ってどういうことですか! 具体的にどういうことをしたんですかわたしは!」

「揉むなってことですよ! 見てるんですよぉ!」

トリシア「どこを! この胸ですか!?」

「もう!!! やると思いましたけど!!!」

まあ、ラナと違ってあまり起伏がない体系なのですが。トリシアはなんだかんだで満足しているようだったので良いでしょう……。

ノーティ「話を戻すと、それは竜の……皆様方の願いととって宜しいのですか? ええと、その……」

「え、ああ、ちょっとすみません。話が逸れまして」

クライブ「…それで。調べるにしても取っ掛かりが必要だろう。どうすればいいんだ」
ノーティ「竜にお願いされたと考えて宜しいのかと」

ノーティは、なぜだか嬉しそうな瞳をしていました。クローナ・ディア以来、ずっと竜について調べてきた彼のことですから、無理からぬことですね。

「そうですね、私達竜からの願いです」

トリシア「そもそも竜人とか竜となんやかんや会話してる気がするけどもいいのだろうかと考えてしまう」

「昔は普通に話をする竜や竜人もおりましたから。大丈夫ですよ」

ジョルティ「その大儀ー!!一旅人としてー!!請けるのはやぶさかではないですがー!!」
ジョルティ「報酬は?」

「報酬は……ううん、そうですねぇ……。困りましたねぇ……。私達は特に特別なものを持っているわけではないんですよ……」
「あー……では、これでどうですか?」

私は、竜の君の元に置いて行っていた、カンテラを取り出しました。

「このカンテラは、旅人を導く火を灯すと言われています」

ジョルティ「良くわからないんですけど、カンテラを売ったらいくらぐらいですか?」
ジョルティ「ご飯何食分ですか?」

「え、売るならあげませんよ……?」

ジョルティ「じゃあ別ので!」

「ええ……困りましたねぇ、手元にこれと言って出せるものはありませんよ」

エレオノーラ《この集団、非常に即物的ですからそれにそったものを挙げたらよろしいのではなくて?》

トリシア「えっ!?アリアちゃんの体を好きにしていいって!?」

「えっ、それはちょっとー……」

トリシア「ちぇー」

「うーん、私達竜は物は特別物を持っているわけではありませんからねぇ……。あ、それなら……」
「ここは高山ですから、春の竜の領域ですけど、ハーブぐらいなら取っていても構いませんよ」

ティエ「結界樹枝が取れるならありがたいですね!」

〈薬草取り:高山:目標14
パワー:9(失敗)
ノーティ:8(失敗)

「……取れなかったようですね」

ノーティ「いえ、竜に使命を授かったとなれば、私は死力を尽くす所存ですが……」

「……改めて……カンテラ、いります?」

ジョルティ「名誉とともに喜んで受け取らせて頂きます!」

「ええ、ではそういうことで」

ノーティ「あの、その、竜の叡智の片鱗だけでも見たいのですが……」

「竜の叡智……いえ、それがですね、確かにノーティが読んでいた本には書いてあったのですが」
「私には思い当たるものがなくてですね……。どうやら、そのような魔法が古代にこの世界で作られていたようなのですが……残念ながら分かりません」

ノーティ「そうですか……残念です」

「それと、調べるきっかけについてですが……私の方でもまだ具体的なことが分かっていません。波の音ぐらいしか……」
「手がかりが全くない状況ですが……この街はどこかおかしな感じがします」
「……おそらく、この街で使われている、水晶魔法に何かあるのではないかと」

トリシア「水晶魔法といえば研究所だっけ?」
ティエ「あとそういえば青い水晶みたいのもクライブさんもってませんでした?」
クライブ「そういえば持ってたな」

「ええ……その青い宝玉も何か関わりがあるのではないかと。鍵の方は……また違いますが」

トリシア「その鍵光ってたりしたけど結局その鍵ってなんなの」

「その鍵は、簡単に言えばこの『穴』を開くためのものです」

トリシア「誰からもらったんだっけ…うーん…」

「死の竜人、オルクスですね。まったく、勝手に私の旅人たちに……。あ、いえ、これは良いんですけど」

トリシア「オルクス…? 聞いたことがあるようなないような」
クライブ「なんだ。その辺にぶっさして開けばここに通じるのか」

「いえ、どこでも良いわけではありません。『竜脈』という、竜の力を繋ぐ道がある場所でなければなりません」
「ちょうど、この街の上を通っていましたから、勝手に開かせてもらいました」

ノーティ「私も質問を。他の竜人方がついている旅人の方々は今、その南や西で何を?」
ノーティ「何か手がかりになるかと思って」

「いえ、おそらくまだ具体的には動いていないかと。季節の竜との間で話をして、それぞれ対応策を考える、というような段階でして」
「私の方はルーの夢がきっかけになったので、このようにご提案をさせて頂きましたが……」

ノーティ「つまりまだ、竜人と旅人はこのように対面していないと」

「ええ、恐らくは」
「ちなみに……夏の竜の旅人はクローナ・ディアの闘技場で出会ったシュバリエ・ルージュの彼らですし、秋の竜の旅人はニーナさんとクレールさんですよ。世間は狭いものですねぇ」

ジョルティ「ウッ…成長した俺じゃなかったら意識ごと持ってかれてた単語が」

……ジョルティはまだクレールさんの名前に怯えているようでした。リーテで克服したと思ったんですけどねぇ。

クライブ「ほーん…ま、そこらは別にどうでもいいか。で、手がかりは結局、水晶魔法云々のみか…」
ノーティ「我々のできる範囲で、持てる全ての力でことに当たらせていただきます。確約はできませんが」

「それでは、皆さんよろしくお願いいたします」
「あ、穴ですけど、街中なら別の場所にも繋げられますが……宿の方に出した方が良いですか?」

トリシア「なんて便利」

「はい……よろしくお願いします。この世界のためにも」

ノーティ「勿論、他の一般の人には見えないんですよね?」

「ああいえ、見えます。ルーにも見えてますしね」

ノーティ「ああ、そうですね。宿の部屋に開き続けると……もしものときにまずいかもしれませんが」
ノーティ「必要な時に開ければそれで……」

「その鍵を使えば皆さんでも開閉できます。見られない場所で使う必要はありますが……。臨海公園は人気がなかったのでちょうど良かったですね」

ノーティ「はい……では、承りましょう」
エレオノーラ《私がついているのです、ふがいない結果などありえないですわ》
歩く喋るノート「まあ……俺もついてるが、まあ……」

「それでは……よろしくお願いします。竜の加護のあらんことを」

竜脈の穴を再び開き、皆の取った宿の一室へと繋ぎました。置かれている荷物を見るに、どうやらルーの部屋に繋がったようです。

トリシア「何か色々あって疲れた」
トリシア「まさかずっとアリアちゃんが見てるとは…」
ノーティ「本当に……色々なことが起こりすぎていますね……」
ティエ「おはようからおやすみまで」
ルー「私の夢にそんな意味が……」
ノーティ「夢についても後で詳しく聞かせて頂きましょう。今は部屋に戻って休むのが良いかと……私も情報をまとめなければ」
ルー「そうですね……疲れました……」
トリシア「とりあえず寝るか!」

もちろんこの時も見ていました。この街は竜脈で移動がしやすくて助かりますね。

ティエ「ミノーン……は、使っちゃダメなんだっけ……」
ルー「あ、その前に夕食は食べないと……」
ジョルティ「食べないと!!」

こうして皆は食事を取り、フリーグゼルで最初の夜を迎えることになりました。……果たしてこのフリーグゼルでどのような事が起こったのでしょうか。それはまた、次のお話で――

第三十二話「七つの旅の始まり」 完


と、今回はこのような物語となりました。ここでの話はすでに竜の君も知っていることでしたが、一応、こうして改めてお話してみました。
にしても、あの金の鍵にはあんな力があったのですね。人の身には余る力のような気はしますが……しばらくは預けておくことにしましょう。
私も、久しぶりに皆と面と向かって話ができて良かったです。皆なら、きっと冬の竜の真相にも辿り着いてくれることでしょう……。

MVP:ノーティ】


【ルー・フィオーネの日記】

〈春の月 16日の続き〉
フリーグゼルは、思っていた以上に大きな街でした。
リーテいくつ分の大きさなんでしょうか……? 区画一つ一つだけでも、リーテと同じぐらいの大きさがありました。
まずは皆さんと一緒に、街の中を回りました。こんなに大きな都市を回ったことはないので、それだけでも楽しい一日でした。
……そしてその日の夕方に、皆さんと一緒に海を見に行きました。あの日から、ずっと気になっていた海は、思っていたよりもずっと荒れていました。
そこで聞いた波の音は、確かにあの夢の波の音でした。

……皆さんに夢の話をすると、急に春の竜の元へと連れて行かれました。……何が起こっているのか、全く分かりませんでしたが……なんでもあの夢が、この長い冬に関係しているかもしれないということでした。
……私が皆さんと一緒にこの街まで連れられてきたのには、意味があるのかもしれません。
明日から、もっと頑張ろうと決意を新たにした日になりました。


こちらは、2017/1/13に行ったオンラインセッションのリプレイです。昨年12月の2周目から、実に3週間もの間が空いた久しぶりのセッションになりました。
実は途中でクトゥルフTRPGなどもプレイしたりしていました。(私、人生初のPL体験でした。GM(クトゥルフではKPというらしいですが)も良いですが、PLも楽しいですね!)
待ち時間が長かったこともあり、すっかり設定が積み重なってしまいました。思えばアージェント編も2週間ほど空き時間があってのセッションだったので、私に時間を与えてはいけませんね!
というわけで、次回からは「伝説の旅」が始まります。ルルブの記載がなんとなくホワッとしていたので、もう完全に独自解釈でやっていきます!



【参考サイト】

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