2017/07/18

りゅうたまリプレイ 最終話「七つの旅-卵/私達の旅物語」【キャンペーン】

さて、先程の物語の続きを、そのまま語ってしまいましょう。
……これで終わりだと思うと、名残惜しいですが。私にとって、これが最後の仕事でもあります。
竜の君、どうぞお聞きください。彼らの、私達の旅物語の結末を。


最終話「七つの旅-/私達の旅物語」


私達は、こうして金の鍵によって作られた時の扉によって、元の時代へと、竜の君の前へと戻ってきました。
この時、竜の君は過去に旅立つ前とは違って活力を取り戻しているように見えて、私は本当に安心しました。……なにせ竜の君が傷付けば、私も傷付くのですからね?

ノーティ「というわけで……」
トリシア「戻ってこれたのかな?
ティエ「そのようで?

……みたいですね?

ノーティ「もう言わなくても分かると思いますが……この通り、帰って参りました
クライブ「同じように見えるだけだったりしてな」
ノーティ「今何年でしょう?

ノーティの問いかけに、竜の君は答えませんでしたね。……その代わりに私達の背後にいた彼女が、それに答えてくれました。

女性の声「14742年、夏の月7日だ

ノーティ「その声は……」
トリシア「だれだおまえは!
ティエ「!?

背後からの声に反応するように私と彼らが振り返ると、そこに立っていたのは白い髪をした一人の竜人でした。しかし、その顔に、その声に、私も覚えがありました。

白い髪の竜人「よく帰った……随分と苦労を掛けてしまって申し訳ない
ジョルティ「生きていたのか、オルクス!!
ティエ「白クスさんだ!
クライブ「なんともはや
ノーティ「はい……あれ?
トリシア「あれ!?

あれっ 白い!?

今になって思うとなんとも間抜けな反応でしたね、これは。

トリシア「アリアちゃん見えてる?」

「ええ、見えてます、はっきり見えてますよ

トリシア「霧も出ていない……」
ノーティ「鎌で自らの体ごと貫いて……?
オルクス……無事で良かった。改めて礼を言う。……って、やっぱり私、この口調慣れないんですけど……普段通り話しても良いですか?
パワー「だめです」
オルクス「いいえ戻します!」

彼女は言葉の途中で首を振るようにすると、私にも覚えがある……いえ、先程まで聞いていたそんな声色に変わりました。

トリシア「やっぱり作ってたの?
オルクス皆さん、お久しぶりです。と言っても皆さんにとってはついさっきぶりだと思いますけど……
オルクス「いやいや、多分皆さんの知ってる私は作っていたわけではないと思いますよ。私は元の私とは違う歴史を辿ってこの時代にいるので、皆さんのおかげで
トリシア「オルクスちゃんではあるけども微妙に違ってると?
オルクス「そういうことです
トリシア「ほー」
オルクス「実はあの後、ヴィルフランシュさんを死の竜のもとに連れて行って、魂の循環をしてもらったのですが……
オルクス「その時に、死生の竜からは怒られてしまいまして。『確かに彼を連れてきたことは失敗だったが、死んで償えるものではない、その分を取り戻すようにより一層仕事をしてもらう』、と
オルクス「ただ、あの時の私は力を使い果たしてしまっていて、自分では直接世界に干渉することができなくなってしまっていたので……昔のよしみで春の竜にお力添えを頂きまして、このように力を取り戻すことになりました。それで、アリアさんにもまた見える形であえたということですね
ジョルティ「え? じゃあ俺らの目の前に居るのは現代のシロクスちゃんじゃなく?」
ジョルティ「過去のミドリックスちゃんがすったもんだしてシロクスちゃんになっ…えっ?これもうわかんねぇな
トリシア「元々霊みたいなもんだったんでしょあれは
オルクス「そうですね。元の歴史だと私はそういう曖昧な存在だったと思います
クライブ「よく分からんな。ま、いるならいるでそれはそれでよかろ
ノーティ「甘いのか厳しいのか分かりませんが、こうして再会できたのは嬉しい限りです……」
オルクス「ええ、簡単に言うなら、全て皆さんのお陰です。死生の竜人として、まだまだ頑張る所存ですので、お亡くなりになる際にはどうぞまたよろしくお願いしますね
トリシア「まだよろしくしたくないなあ」
ティエ「ちょっとまだはやいかなーって」
オルクス「ふふ、そうですね、私もまだまだよろしくしたくない所です」
オルクス「あ、死の魔法なんて使わないで下さいよ? なーんてことは、皆さんに関しては心配しなくて良いと思いますけど

オルクスさんは、そう言うと穏やかに微笑んでいました。

オルクス「あ、そうそう、少しだけ歴史が変わった、というか、正常に戻った、という部分もあるんでした
オルクス「実はこちらでは、まだ世界樹が枯れていないんですよ
オルクス「元々、叡智の書で魔力を使いすぎてしまったことが枯死を招いたようだったので……
ティエ「ほう
オルクス「ただ、一応同じように歴史を辿るように、”世界樹の種”は投下させてもらいました。でも、多分まだ暫くは世界樹は大丈夫だと思います
トリシア「ああ、パワーさん」
オルクス「なので、このまま人として生きるか、あるいは種としての役割を遂げるかは、お任せしますよ、パワーさん
トリシア「あってた
パワー「ハルシャギクを食べたいんだ!
ジョルティ「広い意味では共食いになる感じなのか
オルクス「ふふ、ではまだ人として生きる方が良さそうですね
ノーティ「人選大丈夫ですか
トリシア「ハルシャギク食べるのは人として生きているのだろうか……草食動物か何かでは
オルクス「世の中には肉や魚を食べない人もいるようですし、そういう生き方も良いんじゃないんでしょうか?」
パワー「ハルシャギクさえあれば良いんだ!」
オルクス「……良いんじゃないでしょうか?」

ノーティ「念の為。ドーレスは如何様になりましたか
オルクス「……ドーレスについては、元の歴史通りです。あの後暫くして、大河の氾濫によって滅びました
トリシア「河の竜は関係ないんだよね? 結局の所
オルクス「はい、大河の竜にはそんな力はありません。魔力の均衡が崩れたことによる、文字通りの自然災害です」

オルクス「ただ、これは元の歴史からそうだったようですが、全員が亡くなったわけではなかったみたいです。生贄として祠に送られていた人が中で生き残っていたようで、その時のことを記録として残してくれていたようですね
ティエ「人間何が原因で生き残るかわからんもんだのう……」
オルクス「私から伝えることはこれぐらいですかね……?」
トリシア「オルクスちゃんがオルクスちゃんとしているってことは
トリシア「また別の旅人か何かについてっているのかな今
オルクス「いえ、まあ死生の竜人はほかの竜人とは少々立ち位置が違いますので
オルクス「今は死の魔法を使おうという人がいたら、そこに行って説得をするお仕事をしています。無理やり止めることまではできないので、使われてしまったら見届けることになりますけどね
オルクス「まあ、大抵切羽詰まっている人なので、あまり思い止まってくれることはないのですけれど……少しでも死の魔法で苦しむ人を減らさなければなりませんから。無い方が良いんですよ、こんなものは
トリシア「カレンちゃんも見届ける人なのかなあ
オルクス「そうですね、カレン・アージェントも止めることができなかった一人です。ただ、彼女は皆さんのお陰で鎖から解かれましたから
オルクス「後は、別の竜人におまかせしますよ。彼女にもいずれ旅に出る日が来るでしょうから
トリシア「ほへー
ノーティ「そうですか……私達に告げるようなことがこれだけということは、歴史は案外大きく変わらなかったということですね。もっと揺れ動くものかと思いましたが
オルクス「ええ、基本、それほど大きな違いはないと思います」

ジョルティ「じゃあ死の魔法使っちゃおっかなー? って呟けば合法的にシロクスちゃん召喚できるの?
オルクス「ふふ、最低限体裁のできている死の魔法じゃないと呼び出せませんよ?
オルクス「死の竜のもとまで届く魔力でないと、感知できませんからね!
ジョルティ(面白そうだからアージェント戻ったら塔調べよ…)

ジョルティがいつもの、ロクでもないことを考えている時の顔をしていましたが、オルクスさんは気付いていないようでした。

オルクス「そんなところですかね? 皆さん、改めてお疲れ様でした。
オルクス「あ、そうだ、忘れる所でした
オルクス「金の鍵は、返して頂けますか?
トリシア「ばれたか
ノーティ「やはりまずいですか
ジョルティ「記念に人数分くれないの?
ティエ「最強の交易アイテムが……」
オルクス「そうですねぇ、皆さんのことは信用していますけど、誰かの手に渡ってまずいことになったら困りますし」
オルクス「前例がありますからねぇ、そういうわけなので、申し訳ありませんがお返し下さい
トリシア「ハイ

トリシアが素直に金の鍵を取り出し、それをオルクスさんに手渡しました。オルクスさんはそれを受け取って、懐へと仕舞い込みます。

オルクス「ありがとうございます
ティエ「魔法で再現出来ないのかな……?」
トリシア「ノーティ頑張って作ろう?」
オルクス「彼も自分で作り上げていましたから、魔法研究の粋を極めれば不可能ではないと思いますよ
オルクス「普通の人間の寿命で、たどり着けるかどうかは分かりませんけれど……
トリシア「作る事までは止められなかった

オルクス「では、これにて私は失礼します。できれば、次に会うまでは長い方が良いですね。皆さんの前途に死生の竜の加護のあらんことを
トリシア「良い加護なのだろうか、前も言った気がするけど」
クライブ「ま、気をつけていても人生なぞ終わるときは終わるしな。気休め程度だろ」
ノーティ「彼女のことも、そうそう忘れられない記憶として残るでしょう……
ジョルティ「シロクスちゃんまたのー」

「良い加護でしょう。生も死も、表裏一体のものなのでしょうね」

私がそういう時には、既にオルクスさんの姿は消えていました。

ノーティ「冗談はさておいて、春の竜の君に改めてご報告という形を

……それでは、そうですね、ノーティの言うとおり、竜の君にもご報告致しませんと

ノーティ「ええ。というわけで、全部聞いていたと思われますので省略しますが

……あ、待って下さい
……「旅物語の楽しみが減るから報告しなくていい」と
「……ということなので、この件についてはまた後で私から伝えておきます

ノーティ「なるほど。ゆっくり味わっていただくとしましょう
ジョルティ(規則正しいおじいちゃんやな)

……私からも、改めまして、皆さん、お疲れ様でした。この世界を救ってくれて、ありがとうございました


トリシア「秋の竜には報告しとかなくていいのだろうか
トリシア「いやきっとアリアちゃんがしてくれるだろう

ええ、そっちも大丈夫です。あとで伝えておきますから
……皆さんの旅も、ここがゴールですね。時間の旅を経験した旅人も、竜人も、私達が初めてなんじゃないでしょうか? まさに伝説の旅と言って良いかもしれませんね
皆さんには長い間、随分とお世話になりました。無口ではありますが、竜の君も皆さんの物語のことは、随分気に入ってくれていたんですよ

とはいえ、皆さんは同じ場所から来た旅人ではなく、私達が無理やり集めてしまった旅人達です。なので、皆さんの望む所に、責任を持って送り届けます

ノーティ「無理矢理という感じはしませんでしたが、そういうものなんでしょうね

「まあ、忘却魔法で気にされないようにしていましたからねぇ

ジョルティ「え? 俺故郷帰りたくないんだけど? え?

竜の道で行くのも良いですが、折角ですからこれまでに辿ってきた道を巡りながら飛んで行きましょう。 別に故郷でなくても構いませんよ、行きたい場所を教えて下さい」

〈アウェイクン:竜の先導(特殊)〉

再び竜の姿となりました。竜の君に比べれば小さいものの、それでも、彼らを乗せていくのには十分でしょう。

さあ、背に乗って背に乗って

ティエ「わーい
トリシア「のりこめー

では……行きましょう、最後の旅へ。長くて短い旅の終わりの旅へ

こうして私達は竜の棲家から飛び立ちました。ここから、今まで私達が辿ってきた旅路を上空から辿っていくことにしたのです。

【始まりの平原】

初めに向かったのは、皆が初めて出逢った、そして皆と初めて出逢ったあの平原です。

クライブ「結局またここに戻ってくるわけか

3度目ですね、ここを通るのも
上空から見ると、ローリスの方もあまり距離は変わらないみたいですねー。ここでカナセの方に進んだのが、思えば大きな転機だったのかもしれませんね

ノーティ「どちらに行っても同じように収束していたかもしれませんし、何ともですね」
ティエ「いきなり山登りはしたくなかったからなぁ」

渓流の村 カナセ】
平原から西に進み、次に見えてきたのはカナセの村です。北の山から流れる清流の音は上空まで聞こえないものの、その美しさは十分見て取れました。

ここは最近にも来ましたね。上空からみると、やっぱり綺麗な川が目を引きますねぇ
あ、今だから言いますけど、実はあの平原で雨降ったの、私がカナセの魚で雨の竜を唆したせいだったんですよーふふふ

トリシア「さらっとひどいこと言っているようにきこえる
ノーティ「どうしてそんなことを

多少は張り合いがあった方がいいかなっーて?

ジョルティ「アリアは悪い子?

いやいや、良い子良い子

銀鉱の町 ゴレン】
カナセから向かうのは、岩場の向こうのゴレンの町です。鍛冶場から上がる煙が、その存在を上空にも示していました。

カナセとの間の岩場で、ニーナさんと会ったんでしたねー
そしてゴレンでクレールさんとも。ふふ、この場所は色々と思い出深い場所ですね?

ノーティ「その話します?

特にトリシアとジョルティにとっては色々とあった町だったなーと

ジョルティ「これが若さか…
トリシア「またあとで来るきっと
ノーティ「まあ、旅が終われば好きな時に会えますよ

そうですね、一度行った場所に、もう一度行くのも楽しみですね
ここからでは人がいる様子までは見えませんけど……工房からは煙が上がっていますから、銀細工の仕事は繁盛していることでしょう

慰霊の街 アージェント】
次に見えてきたのは、アージェントの街並みです。中央に建つ慰霊の塔は、上空からでもよく見えました。

おっと、塔が見えてきましたね……アージェント、上空からみるとやはり大きな街ですね

トリシア「でかいなー
トリシア「ディラ元気にしてるかなー

ディラもそうですし、皆さんも元気なら良いですねぇ。カレンさんは目を覚ましたとのことでしたから、少しずつ元の街に戻りつつあるのかもしれません

ノーティ「ここには長いこと居ましたね
ティエ「結局ディラは本当にだったのだろうか」

ええ、色々とありましたね……。思えば、ここがオルクスさんとの最初の接点だったのかもしれませんねぇ

温泉の村 サンドラ】
今度は南に転進し、森を抜けてサンドラへと向かいます。この場所は、私にとってはとても思い入れのある場所でもありました。

あ、この森と山は私が人間として皆さんと一緒に歩いた場所ですね!
きぐるみが竜だった時はどうしようかと思いましたよ

ティエ「きぐるみ唯一の見せ場でしたねぇ」

今更なんですけど、クライブはなぜラッコだったんですか?

クライブ「さぁ? 何かの縁があるのかもな
ノーティ「竜に魔法を使った時には何か特別なことが起きたりするんですか?

「魔法は分かりませんねぇ……あまり使われたことがないですから。たまたまだったのかもしれませんね、あれも」

トリシア「そういやゆにこーんとか元気にしてるかなー

ああ、ユニコーンも元気にしているといいですね……ハンターさんは懲らしめたので、大丈夫だとは思いますけども

ジョルティ「この頃からよく食料多く減ってたような気もするけど、もしかして?
トリシア「たしかによくへってた気がする

い、いや、そんなにつまんでないですよ!? 余ってた時ぐらいですよ!?

ティエ「自白だ
ジョルティ「旅に良く聞くお伽話の正体見たりだな…」

「ハッ 時を戻してごまかさなきゃ」

トリシア「とろんべの故郷もここだっけ

そうですね、トロンベもここからでしたね

クライブ「そういやそうだったな

まあ、道中もそうですが、サンドラも印象深いですね。温泉、気持ちよかったですねぇ
男湯の方は何人か茹でられていたようでしたけど

ティエ「妖怪温泉ジジイ……」
ジョルティ「あの爺さん何者なんだろうな…」
トリシア「アリアちゃんとお酒のんだなー

のみましたねー
そういえば火の竜にあったのもこの近くでしたね。上空ですけど、歌ってみたらどうですか? ティエとノーティで

この時、クライブが荷物からお酒を取り出し、飲み始めていました。ある意味、酒の肴になるかもしれませんね。
それから、ノーティとティエが火竜の歌を歌ったりしていました。

トリシア「のーてぃーの歌はあんまりうまくならなかったね……」

そもそもあまり歌ってなかったですねぇ

トリシア「練習しないとやっぱりうまくなんないよね

ティエも結局そんなに歌ってませんでしたね

クライブ「歌うことに開眼した割には大してうまくならなかったな、二人とも
ノーティ「そ、そうですね、皆さんも歌ってみては?
ノーティ「お腹の辺りに力が入らないので……

まあ、場所も悪いですね、ここは
「そろそろ、次に行きましょうか」

砂漠と大河の大都市 クローナ・ディア】
南の砂漠を抜けると、今度は巨大な都市が見えてきました。都市の中心にある闘技場からは、剣戟の音が聞こえてくるような気がしました。

「おおーーー、ここは大きいですね! 改めて!」

パワー「降ります!」
トリシア「本読んでたなー
ティエ「あー 本命がハズレたクローナディアだー
パワー「おります! おります!

まあまあ、とりあえず一回り付き合って下さいよ!
後でここが良いならここで下ろしますからー!

ノーティ「酒場も賑やかでしたねえ
クライブ「酒がうまかったな」

それからパワーが降ろせー!と言いながら私の背中を殴り始めたりしていました。地味に痛かったです。

「やめてください! 鱗殴ったら怪我しますよ!」

ノーティ「何をしているんですか!?

ここも色々ありましたねぇ。ノーティが図書館で転んだり、カカシが猛威を奮ったり、悪酔いしたり

ティエ「ここでカカシが働いたらお告げ食らったんだよなぁ…」
ジョルティ「ああいう街は食堂も盛んで良かったな!!
ノーティ「転んだのもアリアさんが何かしたんですか?  したんですよね?

ふふふ、それはしてませんよー

ジョルティ「あ、パワーさん飛び降りる前にエレオノーラ置いてってね壊れるから
エレオノーラ《そうそう壊れませんけど、雑に扱うのは止めてほしいですわ》

流通都市 ラ・ヴィス】
クローナ・ディアから大河沿いに東に下ると、今度はラ・ヴィスの街が見えてきました。対岸には水竜の祠も小さいながらもなんとか見えています。

……川下りのことはあんまり思い出したくないんですけども

トリシア「思い出しただけで吐きそう
トリシア「アリアちゃんごめんね

背中に吐くのはやめてくださいね!?
斬馬に襲われて船が沈みかけたりもしましたねぇ

クライブ(そのうちまた漁にいくか)

……ラ・ヴィスも実はちょっと思い出深い場所なんですけど、これは私だけの思い出なので言わないでおきましょう。ショックな話ですし

あのときは本当に肝を冷やしたものです。

ここの対岸が元々ドーレスだった場所ですね
水竜の祠の階段でパワーが転げ落ちしたりしましたねぇ

ノーティ「? まあ、色々ありましたよね。呪いのアーマーとか……
トリシア「上空からみるとドーレスっぽい?

どうなんでしょう? 名残が残っているんでしょうかね?

トリシア「町中うろついてないからなー

よく見るとそれほど大きくはないですけど、町はあるみたいですね
あ、もしかするとあそこがリーディスかもしれませんね。クレインに行ったのであっちの方には行きませんでしたけど

料理の町 リーテ】
さらに東に進むと、上空にまで美味しそうな匂いが漂ってきました。忘れもしない、スパイスの香りです。

あ、ここでも少し良い匂いがしてきましたね

トリシア「そういえばスパイスつかってないね
クライブ「まるまる残っているな

そうでしたね、そういえば結局
「水車も見えてきました」

パワー「あそこ登りたい!

パワー「スイシャ!

ルーは元気にしているでしょうかねぇ
あとでパラサイトナスでも食べに行きますか? ねぇ、ジョルティ?

ジョルティ「勘弁して」

竜肉の付け合せにはナスがいいという伝説が……ないですけども

ティエ「アレにはカカシが良くききますからね
ノーティ「ルーさんも変わらず楽しい旅ができていることでしょう

ええ、これも皆さんのお陰ですね!

果樹の村 アロンズ】
リーテからさらに東に向かうと、今度は果樹の並木が見えてきました。

……ここはすぐ立ち去ったので、あまり思い出はありませんねぇ
ただ、確かこのあたりから冬になったんでしたね
陸でも河でも魔物に襲われてびっくりした記憶があります。パワーが鉱脈岩魚の上で暴れていましたねぇ

クライブ「……林檎はまた食いに来るか」

湿地の城下町 レパーリア】
川を超えて北に向かうと、広い湿原が見えてきました。その中に、大きなお城が一つ見えます。

あ、湿地になってきましたね。お城も見えてきました
ここも皆さんが救った街の1つですね

トリシア「センスのある扇子作ったところだな!

そうですね!

パワー「役割取られた……」

トリシア「そしてちゃんとオルクスちゃんと話した

ああ、そうでしたね、勝手に日記が書かれてたんでした、私の方は

トリシア「あと強そうな魔物がでてきたね強そうではあったけど

ああー……強そうな
強そうではありましたけど……皆さんの敵ではありませんでしたねぇ

ティエ「なんだったんですかねぇ……」
ジョルティ「あれは手ごわかった…ほぼノーダメなぐらい…

水晶の星の湖】
次に向かったのは、レパーリアの東の山の上の湖です。澄み切った湖は、ここからみても美しいものでした。

ここはシンフォニック・クリスタルのあった湖ですね!
いやあ、綺麗でしたね。思い返せば一番綺麗な景色はここだったかもしれません
あれ以来どこかいつも体調が良くて、不思議な力があったのかもしれませんね

ジョルティ「あの湖の水で料理作ったら旨いかな?

あー、澄んでいましたから、それも良さそうですね?

ジョルティ「俺のフルコースに入れとくか……」

再興の村 ローリス】
次に見えてきたのは、黄色い花の咲き誇る小高い山でした。この場所を思い返すのは……少し心苦しいものがありますが。

黄色い花畑が……

トリシア「ぐるっとほぼ一周した?」

ええ、ほぼ一周しましたね、ここで
ローリスも、平穏を取り戻していると良いのですが……元通りになるのには恐らくまだ時間がかかるでしょうね

鍛冶の町 ツェイド】
さらに北に向かうと、再び工房から立ち上る煙が見えてきました。山の傍にある所も、ゴレンによく似ています。

あ、また工房の煙が見えてきましたね。採掘をしたり、武器を作ったりと、ここも結構長居した気がします
そういえば途中で大きな亀に会ったりもしましたね。もはや自然の一部、と言った感じでしたが

ティエ「ミスリル木箱とミスリルタルはもっと商品化していただきたいですねえ

あんなに荷物を持つ旅人はそうそういないですからねぇ
動物多すぎません?

クライブ「少ないほうじゃないか? キャラバンに比べれば」
ティエ「いやいや 春夏冬の事考えたら持てるだけ持たないと

まあ途中から半ばキャラバンみたいになっていたとは思いますけどね

ノーティ「鉱山を見ると体が痛くなるようにできてしまいましたね、ここから……
ティエ「やろうと思えばかなりの人数を箱に詰めて運べますからねぇ

「それは旅と言えるのかは怪しいですねぇ」

海際の大都市 フリーグゼル】
そして、次に向かうのは密林の向こう側です。この大密林の向こうには、ひときわ存在感を放つ都市がありました。

そして、大密林を超えると……フリーグゼルですね。上空から見るとさらに壮観ですね、ここは

トリシア「ドーレスの生贄の地……」

密林の竜も海の竜も、平和に暮らしていると良いのですが……

ノーティ「この中間あたりでこのペガサスと出会ったんでしたね

そうでしたね……冬が長引いて、悲しいこともありましたけど……の子もすっかり懐きましたね

トリシア「夏のほうの元旅人もここが故郷だっけかー

ああ、そうでしたねー 皆さんも元気にしているでしょうか?

トリシア「そういえば陽光石……」

……明かりが付いているみたいですから、陽光石は戻っているのかもしれませんよ
そういえば春の竜の棲家にもありませんでしたね、陽光石

トリシア「夏の竜人が春の棲家まで取りにきたのだろうか

ですかね? ラグナさんもあれでいて結構旅人に優しいみたいですから

ノーティ「どこを見てもそれなりに安定しているようで何よりです
トリシア「中で大魔法使って逃げよう
ティエ「お捜し者は嫌ですよぉ」

……と、これで歩いて回った所は全部ですね

ノーティ「到着した時点では問題を抱えている街も多かったですね

そうですね……思えば多くの問題を皆さんが解決していきました
今回の世界の危機のことは、多くの人には分からないままかと思いますけど、それぞれの町では、皆さんの働きも語られていくことでしょう
……一周してしまいましたね。名残惜しいですが、そろそろ旅もおしまいです
皆さん、どこに降りますか? できることなら、その後のお話も、少しだけ書かせてもらえると嬉しいです

ジョルティ「とりあえずメニューが決まったぞ」

ジョルティ「オードブル黄色ハルシャ菊の酢の物。スープは王乳エリクサーと大鬼漆スパイスのごった煮スープ魚料理カナセ産川魚の塩焼き肉料理バジリスクの香草焼き主菜アリアの竜テールステーキ(クーの特製スパイス)デザートイモグラのほくほく焼きドリンク星の湖水
ジョルティ「サラダだけが決まらないな……」
トリシア「パラサイトナスのサラダでいいじゃん
ジョルティ「やめて!!
トリシア「色々な色の花サラダ
トリシア「水辺でエミナノンノしてパワーにエミナノンノして集めよう
ジョルティ「そういやそれがあったな。サラダは山菜と紫の花サラダ、で完成だな!」
ジョルティ「アリアちゃんの背中で旅を思い返して、この旅のフルコースが完成したぜ!!

「それでは、そろそろ皆さんを送り届けましょう」

さあ、始めましょう。私達の最後の旅物語。その結末を。

「まずは……そうですね、ジョルティ、どこに降りたいですか?」

ジョルティ「俺はアージェントに頼むぜ!リンちゃんとの約束があるからな!
トリシア「おっそうだな

分かりました、では向かいましょう、アージェントへ

私はまず、ジョルティの望むアージェントへと向かうことにしました。昼を回り、爽やかな風が鱗を撫でていました。

ジョルティ「俺さ、師匠に憧れて竜の肉なんてとんでもないもの探す為に旅に出たのは話したけど……」
ジョルティ「皆には言ってなかったけど、師匠にもう一つ言われた言葉があるんだ
ティエ「ほう?
トリシア「トレ言ってから寝ろ?
ジョルティ「美味い飯を食べたいなら、何を食べるかも大事だが、『大切な誰かと食べること』これも必要な事だ

トリシア「アリアちゃんおいしいの?

……私が美味しいかどうかはともかくとして、それは、たしかにそうですね」

ジョルティ「旅の当初にだいぶやらかしたし、ちょいちょい冷やかされたけど、まぁ、そういうことだったんだよ…」
ジョルティ「皆と旅の途中で食べた飯も美味かったぜ!!

……はい。私も楽しかったですし、美味しかったですよ。ジョルティは良い狩りをしてきてくれましたから

クライブ「ま、ウマイメシにありつける確率も高かったしな。そこは感謝してる

ノーティ(結構な頻度で一人で勝手に食べにいってませんでした?)

……私の尻尾ですけど、まだもう暫く皆さんを載せて飛ぶ必要があるので、調理する時に呼んで頂く形でお願いしますね

ジョルティ「おう! さんきゅー!
トリシア「アリアちゃん死んだりしない? 大丈夫?」

「尻尾ぐらいなら大丈夫ですよ」
あ……というかジョルティ、水を差すようで申し訳ないんですが
リンさんなら、今この街にいないみたいですよ。気配がありません

ジョルティ「!?
ジョルティ「WHY!ナンデ!?」
ティエ「おや?」

別の場所に行っていると前に来た時にも言っていたような

クライブ「前にゴレンでどうこうと言ってだだろうに
トリシア「ごれん?
ジョルティ「あー…

ですかね? そちらの方に向かいますか?

ジョルティ「じゃあそっちで

分かりました。ひとっ飛びです

直ぐさま進路を東に転じ、ゴレンへと向かいます。近づくと、確かにそこからはリンさんの気配がしました。

あ、こちらの方から気配がありますね。降ろしましょうか

ジョルティ「待ってまだエレオノーラが……」
ジョルティ「抜けない……パワーさん! 離して!」
パワー「ぐおおおお(いびき)」
ジョルティ「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおお
エレオノーラ《痛い痛い! 丁寧に扱って下さいな!》

なんとかジョルティが力を込めていつの間にか寝こけていたパワーからエレオノーラを剥ぎ取りました。

では、ご武運を
ご武運、……で良いんですかね?

ノーティ「戦いのようなものでしょう。お元気で
ジョルティ「じゃあみんなありがとな!! なんかあったらサインくれ!!

そういってジョルティが私から飛び降り、久々のゴレンに降り立ちました。私はそのまま空からその行末を見守ります。

ゴレンの街中は、相変わらずカンカンと銀を叩く心地よい金属音が聞こえています。

ジョルティ「とりあえず道具屋で石鹸買ってエレオノーラを洗おう」
エレオノーラ《それはありがたいですわね》

道具屋に行くと、あああの時の方!というような反応を受けていました。
そういえば、皆さんはゴレンの守り手でもありましたからね。
それから、ジョルティは町の井戸の近くで水を汲み、エレオノーラを洗っていました。

すると、傍で声が聞こえます。

???「綺麗になった?」
ジョルティ「!?

ジョルティの後ろから声を掛けていたのは、トリシアでした。ジョルティが降りた後、彼女も一緒に降りていたのです。

ジョルティ「なんで来た!?」」
トリシア「おもしろいかなって
クライブ「そうだな

ついでにクライブも一緒に降りていました。

ジョルティ「なんだまた茶化しに来たのか…
ジョルティ「いっとくが今回は冗談抜きで本気だぞ…
トリシア「応援してるってー
クライブ「いや? 俺は別な人物に用があるのでな
トリシア「そうそう、ディストさんに会いたいじゃん?
ジョルティ「確かにお前の師匠だもんな
クライブ「流石にこの期に及んでどうこう言いに行くつもりはないさ。じゃあな
トリシア「あたしもー。じゃーね」

2人はそう声だけ掛けて、その場を離れてきました。トリシアはそれから、ディストの工房へと向かっていました。

トリシア「こんこんこんこん
トリシア「ここんこん

工房の中には、変わらない姿で銀を打っているディストの姿があります。

ディスト「おう、いらっしゃい……お、誰かと思えば
トリシア「おひさしぶりです
ディストおう、久し振りだな。元気……なようで何よりだ
トリシア「扇子届きました?
トリシア「いいでしょ? センスあるでしょ?
ディストああ、届いた。俺には似合いそうにないが、こんなに繊細なものが作れるようになってたんだな
トリシア「元々作る才能はある
ディストははは、そりゃ確かなようだ
ディストセンスがあったな。あの時から
トリシア「というわけであれはお土産ですまた学びにきます!
ディストああ、大事にさせてもらうよ
トリシア「多分数年後! 生きててね!
ディストおう、いつでも来な
トリシア「元気で! また急にきます
ディストそう簡単にはくたばらねえさ。そっちも元気でな!
トリシア「はーい
ディスト連絡がないと飯の1つも用意できないが、それでいいならな!
トリシア「私のごはんはおいしいぞ!
ディストじゃあ、今度は食べさせてもらおうかね

そんな話をして、トリシアはディストの工房を後にしたのでした。
一方その頃クライブはというと、誰かを探すように町の中をぶらぶらとあるいていました。すると、探している人物は鉱山の近くで見つかったようでした。

赤い髪に傷のある顔、フードこそかぶっていませんでしたが……足元には一匹の犬。それもまた、懐かしい姿でした。
ゴレンの近くの山で剣を交え、アージェントでは共に闘った、レイジャ・ギルネシアの姿がそこにはありました。
当時に比べると日焼けをしているようでしたが、それほど変わりがあるようには見えません。

クライブ「よう久しいな
レイジャ……む、お前は
レイジャ……久し振りだな。戻ってきたのか
ディラワン!
クライブ「ま、色々あって全部終わったからな。戻ってきた
クライブ「ワンコロも久しいな
レイジャそうか……良い旅になったか?
クライブ「さてな…それは今後次第だ
クライブ「ま、どうせまだ俺には続きがあるからな
レイジャ……そうだな。旅の終わりが人生の終わりではない。そこからが大事だな。……本当に
クライブ「…ま、俺は暫くまだふらふらするつもりだからな。その間に色々あるだろうさ
レイジャ……ああ。そちらにも色々あるだろうが、旅の経験がきっと助けてくれるだろう
クライブ「ま、そうだな。お前のとの戦いもいい経験だったさ。ここで一戦と思ったが、まだ仕事がありそうだな
レイジャそうだな、残念だが。まだまだ償いの途中だ」
レイジャそれに、最近は鈍っているからな、あの時のような楽しい戦いにはならんだろうさ
クライブ「ま、いいさ。時間も人生もまだまだある…そのうちまたここに戻ることもあろうさ。それまでに戻しておけよ?
レイジャああ、負けんぞ
レイジャ次は負けん
クライブ「そうだな。俺もそれまでにまた強くなってるだろうさ…それじゃ、またな
レイジャ……達者でな
クライブ「お前もな

背を向けて後ろ手で手を振りながら、クライブもまたレイジャの元を後にしました。
その頃、ジョルティは洗い終えたエレオノーラを装着し直していました。

ジョルティ「よし、エレオノーラ聴こえるか
エレオノーラはい、聞こえていますよ。何でしょうか?
ジョルティ「この町にお前のお仲間が居る筈なんだが、場所とか分かりそうか?
エレオノーラふむ、つまり隕鉄……ということですね?
エレオノーラちょっと探ってみますね、お待ち下さい
ジョルティ「ああ、良い奴だぜ。きっとお前とも上手くやれるはずだ
エレオノーラ《……私はエレオノーラ。この声が聞こえる同胞はいらっしゃいますか?》

エレオノーラの呼び掛けに、返答はすぐにありました。

ヴェルガ《……我が名はヴェルガ。他の隕鉄と会うのは初めてだな……。町の南の外れにいる》
ジョルティ「場所が分かったら案内頼むぜ
エレオノーラ……本当にいらっしゃるようですね。町の南の外れだと仰っています
ジョルティ「よし、大体わかった! 行くぞー!

ジョルティは小走りで町の南へと向かいます。そこには、小規模ながらも花壇があり……その前にリン・レイシアの姿がありました。
レイジャと同じく、少しだけ日に焼けているようでしたが、それ以外は変わりがないようでした。

ジョルティ「リーン!!
リン……? 声が聞こえたような

ジョルティの声に彼女は振り返ります。そして、彼の姿を認めて、少しだけ驚いたような表情をしていました。

リン……良くここが分かったわね
ジョルティ「なんとなくな!
リン……なんとなく、ね。まあ、良いけれど……
ジョルティ「約束通り旅を終えて帰ってきたぜ!
リンじゃあ、旅の目的は果たせたの?」
ジョルティ「正確にはまだだけど、確約を得た的な?
リン……よく分からないけど、そうなのね
リン……正直、驚いているわ。本当に戻ってくるとは思っていなかったから
ジョルティ「これでも割りと約束はと守る方なんだ
リン……そうみたいね。相変わらず不思議な人
ジョルティ「あ、こっちが旅の途中で出会ったヴェルガのお仲間のエレオノーラ

ジョルティはそう言って、右手に嵌めた小手を前に突き出しました。

エレオノーラ《どうも、お初にお目にかかります。隕鉄のエレオノーラと申します》
ジョルティ「ヴェルガにも話し相手が多い事に越した事はないと思って連れてきたんだ
リン……じゃあ、ヴェルガも挨拶して
ヴェルガ《私はヴェルガ。リンの保護者のようなものだ。そちらは久し振りだな》
リン……そう、ヴェルガのことまで考えてくれたのね
ジョルティ「おう、ヴェルガも久しぶり!
ヴェルガ《うむ。壮健なようで何より》
リン……それで、そこまでしてきたということは、何か用があるのでしょう?

何かを促すように、彼女はそう言います。

ジョルティ「ああ、それでさ……、約束の事なんだけど…俺とエレとヴェルガとリンちゃん四人で、一緒に暮らさないか?
ジョルティ「『好きだ、俺と結婚しよう』

リン……じゃあ、今度は私が、待たせることになるわね
リンゴレンでの罪滅ぼしもまだ暫くしなければならないし
リン……カレンも旅に連れていきたい。あの子にも私にも、まだまだ世界を見る機会が必要だから
リン……それまで、今度は待っていてくれる?
ジョルティ「いやだね!

ジョルティの言葉に、彼女は珍しく、目に見えて分かるような、沈んだ顔をしました。

リン……そう……
ジョルティ「これでもついさっき世界を救ってきた男だ。これ以上に頼れる騎士なんてそうそう居ないと思うが?
ジョルティ「護衛のご入用は?
リン……そういうこと
ジョルティ「先輩として忠告しとくが、旅はそんなに甘くないぜ。カレンちゃんだってまだ万全じゃないだろ?」
リン「……ええ、そういうことなら是非。お願いするわ……そういえば、なんて呼べばよいのかしら――」

……これ以上、聞き続けているのも野暮ですね。トリシアとクライブを引き上げて、戻りましょう。
こうして私は、町に降りていた2人を町外れで回収し、次なる場所に向かうのでした。
眼下では、大きく手を振っているジョルティとリンの姿が見えました。

【ジョルティ END:黄金の方程式

「さて……次は何処に向かいましょうか」

ノーティ「他に希望者がいないようなら……故郷……フェルミというところですが。小さな村へ」

……それでは、次はそちらに向かいましょう

今度はゴレンから北東へ、ノーティの故郷、フェルミの村へと向かいます。フェルミの村は、他の集落から距離があることもあり、規模は大きくありません。

ノーティ「ちょっと恥ずかしいですね……では、降りましょう

「お気を付けて、ノーティ」

ノーティフェルミ。今まで旅してきた町などのように何か特色がある土地でもなく、はっきり言って、見るべきところが何もない寂れた村だ)
ノーティ舗装されていない土地に灰色がかった空気。それほど豊かでない田畑と牧場にまぎれて、テントが数十、点々とあるばかりだ
ノーティ(何も変わっていない……)

ノーティは少し消沈したような様子で、フェルミの中でも大きなテントの元へと足を運びました。

ノーティ「ただ今、戻りました……」

テントの中には、1人の老人が座っていました。ゆったりとした口調で、ノーティの声に返事をします。

老人おお……ノーティか
ノーティ「あ……

ノーティはその声を聞いて、どことなく感慨に浸っているような、複雑な表情をしていました。

ノーティ「村長さん。村の様子はどうですか。といっても、見たとおりでしょうけれど……
老人そうだな、お前が出ていった時と、何も変わっておらん
老人そちらはどうだった。実りはあったか
ノーティ「実り、ですか……。そうですね、町々の諸問題を解決して周り……?
ノーティ「あれ?
ノーティ(私はどうして旅に出ていたのだろう)

老人……どうした?

ノーティ(何を持って帰って来られたのだろうか。私が真に解決しなければならない問題は?)
ノーティ(私は何を見てきたのだ? ヴィルフランシュ卿が全てを投げうってまで故郷を守ろうとしていたではないか)
ノーティ(土産話? そんな話をしている暇はない)
ノーティ「私はこれで……!  失礼します!
老人む、おい、話の続きは……まあ良いが……あんなに忙しない男だったか?

老人との話しの途中で、ノーティは何かに思い至ったように、途端に駆け出しました。大きなテントをでて、向かったのは村の北にある中くらいのテント群の一つです。
ノーティは声もかけることなくそのテントの中に入り、すぐに自分の荷物からノートを取り出して読み直しはじめました。

ノーティええと、これがあの時の計画、こっちは……

そこに、1人の男性が近づき、声を掛けてきました。

帰ってきたなら声くらい掛けろ

どことなくノーティに似た雰囲気がある、ぶっきらぼうな声の男性でした。

ノーティ「父上!  この村が現時点で使える全ての資源と季節毎の収入、この村と友好関係にある土地……とにかくあらゆる情報を持ってきていただけますか!
……分かった。少し時間がかかるぞ

男性は急なノーティの声にも特に動じることなく踵を返し、ノーティの求めた資料がある場所へと向かっていきました。
程なくして男性はノーティに言われた通り、資源や収入、交易の関係などのリストアップを行っていきます。その表情は、どこか楽しげなように見えました。

男「……夢中になれるものが見つかったのだな

男はそう、誰にも聞こえないような独り言を呟いていました。

ノーティ「さて、忙しくなりますね……私は失敗しませんよ
ノーティ(私はヴィルフランシュ卿とは違います。全ての調和のために)
ノーティ(旅の始め以来ですが……再びリーダーとして、この村の為、やがては世界の為に、力を正しく使ってみせましょう)

そう言いながらノートに向かう彼の目は、いつも以上に真剣なものでした。

【ノーティ END:新しき智の都フェルミ

「……さて、次はどこに向かいましょうか」

トリシア「リーテにつれてってー

リーテですか?

トリシア「はい

ルーの故郷の……分かりました。それでは行きましょう

トリシアが向かうのがリーテというのは、少々意外でした。故郷には帰らないのでしょうか? ともかく、私はトリシアの言う通り、進路を南に変え、リーテへと向かいます。
近付くとすぐに漂ってくる美味しそうな匂いが鼻孔をくすぐります。

トリシア「ここで良いよー、じゃあね!」

「はい、気を付けて」

トリシアはリーテの町に降り立つと、まっすぐルーの実家、そしてクーの店であるあの家へと向かっていました。

トリシア「こんこんここんこんこん

小気味良いリズムでドアをノックすると、中からけだるげな女性の声が帰ってきます。

クー……? 今日は休業日だぞ。誰かね?
トリシア「たーのーもー
クー……なんだか聞き覚えがある声だな
トリシア「やあやあ久しぶり
クー入っていいぞ、鍵は開いている
トリシア「はろー」

トリシアは促されるまま家の中へと入ります。あの時と同じように、クーは机に頬杖を付いてトリシアを迎え入れました。

クー……やはり君か。久し振りだね
トリシア「突然ですが
トリシア「クーさんから学びたいのでここにおいてください
クー……何故そうなった?
トリシア「旅の延長? 意味的にも事実的にも?
クー……そういうものなのか……?
クーまあ、私の旅は短かったからな、そこは分からん所だな
トリシア「くーさん 料理 うまい
トリシア「わたしも 料理 うまい
トリシア「お互いに別の 料理 うまい
トリシア「組み合わせるともっとうまい?
トリシア「いいこと

なぜか突然片言になりながら、適当なジェスチャーを交えつつトリシアがそう言います。

む、そうか、君は料理ができたんだったな
トリシア「単純に労働力として見てくれてもいいよ
クー「よーし良いだろう採用だ」
トリシア「ありがとう
クーちょうど良かった、ルーがいなくて困っていたんだ
トリシア「断ってたら店を潰してしまうかもしれなかった
トリシア「よかったよかった
トリシア「ルーちゃんほど可愛げはないけどよろしくね!
クー「ふふ、私から見れば似たようなものさ」
クールーがいないと食材の調達も、嫌いな食材の味見もしてもらえないからな
トリシア「旦那だけだともたなさそう
クーそうだな、流石に最近は疲れ気味でな、それで休業気味だったのだ
トリシア「まあ可愛げはないけど可愛いからな私
クーじゃあ看板娘兼コック兼ウェイター兼調達係兼味見係だな
トリシア「そうだねできることはなんでもやるよー
トリシア「あと多分道具も作れる
クー久し振りに賑やかになる……
トリシア「わたしはすごいからな!
クーライルには後で伝えれば良いだろう
トリシア「あといいまな板を手にいれたので試し切りさせてあげよう
クーほう、それは楽しみだな
トリシア「Win-Winの関係だね!
クーそうだな……。では、ルーの分まで頼むぞ……名は何だったかな?
トリシア「トリシアノットだ! よろしくな!
クーああ、宜しくな、トリシア
トリシア「かわいがってね☆
クー「程々にな」

こうして、トリシアはリーテに残り、クーのお店の手伝いをすることになったのでした。
いずれ、一度食べに行きたいですね。きっと、とてつもなく美味しい料理を食べさせてくれることでしょう。
彼女には彼女の、料理に対する思いがあったのかもしれませんね。

【トリシア END: 竜をも誘う芳しき香り

「……こういう旅の終わりもあるんですね」
「もう、本当に旅の終わりが近づいてきました……次は、誰にしますか?」

ティエ「じゃあ……実家におねがいしますー

フリソスですね。分かりました
それでは向かいましょう、ティエの故郷へ

次に向かうのは、遥か北東に位置する、ティエの故郷、フリソスです。
ちょうどアージェントとクローナディアの中間のような規模の街でした。
大きな建物が立ち並び、特に中心部の近くの賑わいは目を見張るものがあります

ィエ「あいかわらず中央の商人ギルドはでかいっすなー とはいえウチはそこまで中央ではないので……少し外れたあのへんに」

分かりました、あの辺りですね

ティエ「そうです その青い屋根の……」

ティエを乗せ、フリソスの街の中央から少し外れた所にある家の前まで向かいました。
郊外に近いとはいえ、それでも大きな家です。

それでは、ここで良いですか?

ティエ「ありがとうございます、では」

「ええ、お気を付けて」

ティエも久しぶりの故郷へと降り立ちました。ティエだけでなく、彼の連れていた荷運び動物4頭も、共に降りていきます。

ティエ「兄者ー!」

ティエは荷運び動物を繋ぎ止めるとすぐに、家に入ってそう声を掛けました。

むっ! その声は!
おお、帰ったのか弟よ!
ティエ「相変わらず熱い接客ですね兄者!
どことなく逞しくなったか?背が伸びたか?……いやそうでもないな気のせいだった
ティエ「……まあその辺はあまり」
しかし、目は変わったな!
ティエ「まぁ……体力は付きませんでしたが
ティエ「ええ商人としてだいぶ稼がせていただきました
ほう、そうかそうか
まあ立ち話もなんだ、俺の部屋で話そうじゃないか
親父もおふくろもまだ帰らんだろうからな!
ティエ「ああ父は今仕入れで出てるんでした

そんな話をして、勢いのままにティエは共に、ちょっと豪華な兄の私室に連れて行かれました。

ティエ「勝手知ったる我が家とはいえ、随分久しぶりですねぇ」
まあ座れ座れ。それで、稼いできたと言ったが、どんな商売をしてきたのだ?
ティエ「ええそれは……」

ティエはそれから、行商のようにそれぞれの場所で交易品を購入し、大量の荷運び動物でキャラバンのように荒稼ぎをしてきた武勇伝を語りました。
帳簿をつけている時のような熱心さを秘めた目で、楽しげに語る姿を、兄は頷きながら聞いていました

ティエ「そこでですね レパーリアという所の土地を頂きまして……」
ほう、土地をとな!
ティエ「一人じゃ移動も若干怪しい身ですが、折角なので人を雇って独立しようかなと
ほう……良いじゃないか! 応援するぞ!
いずれ大きくなったなら、共に交易の世界を動かそうじゃないか!
ふふふ、楽しみになってきたぞ、レパーリアはカナセの南辺りだったな……おおそうだ、ラ・ヴィスも比較的近い、色々とできることがありそうだ
……おっと、これは俺が考えることではなかったな。まあ、何にせよ、暫くはゆっくりしていくことだ! 親父もおふくろも、きっと喜んでくれるだろう!
ティエ「ええ上手く行ったらウチももっと中央側になりますし、二カ所で商すればリスクも分散できますからね!
うむ!良いことづくめ!

そんな様子で、久し振りに会った兄弟は、商売の夢を語り続けるのでした。

【ティエ END:商機と隆盛の光

それでは、次は……」

クライブ「残りは俺とパワーか…どうせこいつまだ起きないだろうし俺が先でいいか。アージェントで頼む

アージェントですね。分かりました

クライブの要望どおり、再びアージェントへと向かいます。

クライブ「街中に下りたら不自然だしな…東正門で頼む

分かりました。それでは、門の前に降ろしますね。……お元気で」

クライブ「色々世話になったな、達者でな…さて。さっさと挨拶だけ済ませるか…いくぞトロンベ

クライブと、その乗騎であったトロンベ、さらに残った荷運び動物たちも共に降りていきます。
彼は門をくぐると、まっすぐ領主の館へと向かいました。
アージェントの街中は、あの時に比べると随分賑わいを取り戻しているようでした。

クライブ「一年少々…というか、この前来たときからだからぜんぜんだな。あんま変わりはしてないな

クライブはそのまま真っすぐと領主の館へと入り、受付に会釈をするだけして、全く自分の家であるかのようにそのまま二階に上がり執務室のドアを開けました。

クライブ「よう

執務室で待っていたのは、ロイの姿でした。当時に比べると暗い雰囲気は感じません。

ロイむ? おや、人と会う約束があったかな……?
ロイああ、誰かと思えば君は
クライブ「久しいといえば久しいな
ロイそうだね、もう1年ぶりぐらいかな?
クライブ「それくらいになるか。俺らも随分長く放浪したものだ。随分忙しいみたいだな
ロイまあそうだね、ギルネシアもレイシアもゴレンに出張中だし
ロイラナはカレン様を見ているからね。ま、これぐらいは仕方ないさ
ロイあの時夜型が染み付いてたせいで、暫くは苦労したけどね
クライブ「朝は健康的に起きるに限るぞ
ロイまあそうだね、最近は実感するよ。陽の光ってのは人間に必要なんだろうねぇ
ロイそれで、どうしたんだい、急に?
クライブ「日光浴びて動いてりゃ無駄なこと考えることもないからな…他の二人…とあのクソ野郎は?
ロイラナとカレン様は今は多分庭かな?
ロイルーカスはまだ繋がれているけど……まあ執務を多少やってもらってるよ
ロイ何かやっていた方が、彼のためにもなると思うし、僕一人じゃ処理しきれないからね
クライブ「ほう、そうか。ま、いいや。庭に行く。出るときにまた来る
ロイああ、また

クライブは不躾にそう言うと、そのまま執務室を出て、中庭に向かいました。
噴水の側に、車椅子に乗ったカレンと、それを押しながら話しているラナの姿がありました。

クライブ「よう、久しいな
ラナおや? お久しぶりですね
カレン……どなた? ラナのお知り合いの方?
クライブ「そういや大した面識はなかったな。ま、気にするなそんなもんだ
ラナああいえ、あの時のことはあまり覚えていないみたいなんですよ
クライブ「ん、そうか…あまり突っ込まないでおこう
ラナそれにしてもお久しぶりですね。お元気そうで何よりです
クライブ「そうそうくたばりはしないさ…色々終わったんでな。ちょっとあいさつ回りだ
ラナあら、そうだったんですね
ラナカレン様も皆さんのおかげでこの通り、少しずつ元気になってきました。改めて、あの時のことをお礼申し上げます
クライブ「ま、その礼は全員に後で改めて言ってくれ…どうせまた一度は集まることになるだろうからな

クライブは何処か不敵な笑みを見せます。……はて?もう一度集まる機会があるのでしょうか……?

ラナあら? そうなのですか? それは楽しみですねぇ
カレン……よく分からないけれど、私が倒れている間にお世話になったのね。私からも、お礼致しますわ
クライブ「覚えてないのなら気にしなくていい。達者なら何よりだ
クライブ「恐らく、だがな。荷物は届いたか?
ラナはい、美しい扇子を頂きまして
クライブ「トリシアの作品だ。俺は…少ししか手伝ってないな
カレンああ、あの扇子を下さった方なのですね。大事にさせて頂いております。これからの時期は、特に重宝しそうです
ラナああ、あの突然胸を揉んでくる……器用なのですね。そちらも、皆様おかわりないようで
クライブ「それは何よりだ…送った甲斐がある。あと他の連中は全員、目的を果たす場所にそれぞれ行ったよ。さ、て…あんまり長々と引き止めても仕方ない。邪魔したな。出るときにまた一声かけにくる
ラナはい。それは良かったです。それでは、また

そう言って再びクライブはその場を後にし、今度は地下への階段へと向かいます。階段を降るとそこには薄暗い牢がありました。
……少々不用心だと思うのですが、牢番もクライブが「ロイの許可がある」と一言いうと引き止めませんでした。……それで良いのでしょうか?

クライブ「よう、生きてるか

クライブが牢の一つに声をかけると、中から静かな声が帰ってきます。

ルーカス……む。わざわざ私に会いに地下牢までお越しになったのですか?

ルーカスはロイの言うとおり、薄明かりの中でなにか書類仕事をしているようでした。

クライブ「そうだよ。ほれ差し入れ

クライブはどこでくすねたのか、一本の酒を差し出します。

ルーカス「……いや、酒はさすがに……。……まあ良いですか、どうせ、ロイ以外は来ませんし、少しならバレないでしょう
クライブ「で、どうだ。頭は冷えたのか?
ルーカス……そうですね。可能性を投げ出して、主君を殺そうとしたのですから、償わなければなりません
クライブ「堅いなあ…ま、どうせそのうち吹っ切れるだろうさ。俺もそうだったし
ルーカス視野狭窄でしたね。そのせいで気絶して倒れている貴方にさえ矢を当てられなかったのでしょうね?
クライブ「ヘタクソめ。しっかり当てろ
ルーカス「ふふ、次はもうちょっと上手くやりますよ」

クライブもルーカスも薄っすらと笑っていました。

ルーカス何だか久し振りにロイ以外と話しましたね。これでまた暫く、書類仕事に精を出せそうです
ルーカスロイも私に負い目があるようで、どうも辛気臭いんですよ、いつも
ルーカス……おっと、これはご内密に
クライブ「そいつはなによりだ…しかしあいつもそうなのか…まぁいい。あいつらとの旅は終わったが俺はまだ暫くふらふらするからそのうちまたくる…それまでには、区切りもつくだろうさ
ルーカス……そうですか
ルーカス楽しみにしておきましょう
クライブ「じゃあな。達者でやれよ…牢屋で言うことでもないだろうが
ルーカス……存外居心地は悪くないものです。そちらもお元気で

それからクライブは、もう一度皆の元に顔を見せ、ついでに勲章をくれたディクソン家にも顔をだすと、街を出ました

クライブ「さて、トロンベと動物どもよ。また旅に出るか。次は…そうだな。日の沈む向こうへ向かうか
クライブ「行くぞトロンベ……と、動物達

こうして、クライブはアージェントから西に向かって旅を続けるのでした。

【クライブ END: 八つ目の旅の始まり

さて……最後に残りましたね、パワー
貴方はどうしますか? オルクスさんが言っていた通り、人として生きるか、世界樹の種として役割をはたすか、今では自由です

パワー「草とっていいっすか?

……ふふ、いつも通りですね。ハルシャ菊がお望みですか?

パワー「ハルシャギク、だな!」

それならどこが良いですかねぇ……
ああ、それなら、あの場所はどうですか、シンフォニック・クリスタルのあった湖の近く
あそこなら山の上ですし、山も近いですし、パワーにとっては良い場所なのでは?

パワー「しばらく食べてないから待ちきれないよ

相変わらずですねぇ
……思えば、旅の始めから、パワーはずっとイレギュラーでした。でも確かに私の旅人ではありましたし……不思議な人でしたねぇ
行きましょうか、なんだかパワーは、どこでも元気に暮らせそうです

パワー「そうだよ
パワー「世界をハルシャギクで埋めてやるからなぁ?

では、行きましょうか。良い山を探しながら、そのあたりを見て回ってみましょう

パワー「待ちきれねぇなぁ!」

まさか最後があなたと2人とは、思いませんでしたねぇ

パワー「なんでこうなったんですかねぇ。全然思い出せねえ」

「パワーには忘却の魔法、掛けていないはずなんですけどねぇ」

パワー「わっかんねえなぁ」

こうして私はパワーを乗せて、暫く各地のハルシャ菊の美しい山を探して回ることになったのでした

【パワー END:旅の終わりは故郷とは限らない


最終話「私達の旅物語」 了

……こうして、私達の旅は終わりを告げました。長いようで短く、短いようで長い、そんな旅でしたね。
思うように行かないことも多い、拙い旅物語でしたが……楽しんで頂けましたか、竜の君。
……私は楽しかったですよ。旅は、良いものですね。こんなに良いものを……私だけが楽しんでいるのは勿体無いというものです。

竜の君、改めてお願いがあります。オルクスさんのことです。
彼女を再び春の竜人にすることはできませんか? 死生の竜に使いが必要なら、私が代わりましょう。……ちょっとした野暮用を終えた後にはなりますけれど。

――竜の君なら、そう言ってくれると思いました。ふふ、オルクスさんほど経験豊富な竜人もいないでしょう。竜の君にとっても、きっと満足のいく旅物語を聞かせてくれると思いますよ。

……それでは、お疲れ様でした、竜の君。どうぞ、次の旅の始まりまで、ごゆっくり。

MVP:パワートリシアティエノーティクライブジョルティ

こちらは、2017/4/14に行ったオンラインセッションのリプレイです。
ついに、ついに、長かった旅が終わりを迎えました。
現実世界にして1年弱、この世界では1年と少しの旅は、本当に長いようで短かったかと思います。
私にとっては初めてのTRPGであり、初めてのGMであり、初めてのリプレイであり………何もかもが初めてでしたが、なんとかここまで辿り着くことができました。
今では別のメンバーとも色々なシステムでTRPGを楽しむようになりましたが、この経験が大きな礎となっていたことは、間違いありません。
キャンペーンが終わってからその禁断症状で、今やすっかりTRPG漬けの毎日を送っています。具体的には4月終盤頃から、文字通り毎日何かしらのセッションをしているような有様です。
りゅうたまも全く別のメンバーでまた竜人としてキャンペーンを始めました。
……このリプレイはもう一話だけ続きます。この旅の蛇足、そしてあとがきのようなものです。
それでは、ここまでお読み頂き、本当にありがとうございました。


【参考サイト】





2 件のコメント:

  1.  まずはキャンペーン完走、お疲れ様でした。
     こういう「今までの旅を振り返りながら1人ずつ抜けて行って解散する」形式のエンディングは、今までの流れを思い出すのに適していますが、何とも寂しげな感傷も覚えますねえ。これからそれぞれの道を歩んで行く旅人達のこれからに思いを馳せたいと思います。
     それにしても、クライブから何やら気になる言葉が……。一体何があるのでしょうか? 続きを楽しみにしております。

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  2. コメントありがとうございます、そして最後までお読み頂きありがとうございました!
    実際にプレイしている時もかなり感傷に浸りつつそれぞれの場所の振り返りをしていたように思います。長かっただけあって、旅の終わりも印象的なものになりました。
    そしてエピローグについても、鋭意執筆致しますので、本当の完結までもう暫くお待ちくださると幸いです。

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