光線樹は皆が雲を抜けるやいなや、光を収束させてこちらにむけて放ってきました。
〈光線樹の攻撃対象〉
パワー:7
クライブ:9
ティエ:10
ノーティ:4
トリシア6
ジョルティ:5
その光線は、一直線にノーティの方に向かって飛んできました。
〈光線ダメージ:1d10〉
ダメージ量:2
しかし、ノーティは以前のこともあって準備をしていた高品質な耐火マントを着ていました。そのこともあって、光線による損害はほぼ全く受けずにすんだようでした。
それを見てティエも遅まきながら同じような耐火マントを取り出し着込んでいました。次撃に備えているようですね。
第三十八話 第二部「7つの旅-春/愛しき我が子へ」
トリシア「ねぇ例えばなんだけど、ここで皆で突然演習を初めて、ウォーメタフィールドを張りながら移動したら安全に進めませんか!?」
ノーティ「いや、私達が動いてもフィールドは動かないので無理ですよ」
トリシア「はい」
光線樹の麓までは、まだある程度の距離があります。現在は光線樹が次の光線のために光を充填している状態のようですが、到着するまでにはまだ何度か光を受ける必要がありそうに見えました。
クライブ「盾も出しておくか……」
ティエ「クライブさんにこの高品質耐火マントを貸してあげましょう。その代わり盾になってくれません?」
クライブ「しかたないな……」
クライブはティエから耐火マントを受け取ると、その要請のまま最前列に立ちました。こういう時は本当に頼りになるものです。
ともあれ、こうして皆は山頂まで到着しました。
山頂の景色はあの時に見たゼペリオンとは随分と違うものでした。全く街のようなものはなく、ただ平原が眼前には広がっています。
トリシア「例えばなんだけど、光線が飛んできたのを見てからウィンター・アーリー・モーニングで打ち消せない?」
ジョルティ「ノーティならできそうだが……」
ノーティ「できるとは思いますけど、魔力が不安ですね」
トリシア「そっかー。その間に走ればと思ったけど」
ティエ「置いていかれる未来が見えるんですよねぇ」
トリシア「でも走りたいなー」
とりあえず歩きながらそんな話をしていると、ちょうどその時光線樹の充填が終わったようでした。
二発目が再びこちら向けて発射されます。クライブが最前列に立ち、盾を構えてそれを受け止めようとしました。
〈光線ダメージ:1d10〉
ダメージ量:6(防護4)
先程よりも十分に収束されたらしい光は、盾とマントを貫くようにしてクライブへと命中しました。
クライブ「マント意味ないんだけど……」
ティエ「でも無かったらもっと痛かったですよ……ありがとうございます」
こうしてクライブが光線を受け、さらに歩き続けていくと、木の麓に人影が見えました。
遠目で詳しくは見えないものの、ぼんやりと紫色の人影があるように見えます。
ティエ「新しい方のヴィルフランシュかな?」
ノーティ「あれは目標の……。覚悟はしていましたが、ここでは遭遇したくないですね」
ノーティ「まあ、引き返すつもりもあまり起きませんが……」
クライブ「まあ、行くだけ行くしかないだろ」
ティエ「ですね…」
トリシア「別に私らオルクスちゃんに頼まれたって知られてるわけじゃないし」
ジョルティ「何にせよ確認してみるか。双眼鏡があったな……」
〈動物探し:高山:目標14〉
ジョルティ:11(失敗)
ジョルティ「うおっまぶしっ!!」
ティエ「双眼鏡でちょくせつ明るいものをみちゃだめですー」
ジョルティ「目があああああああああああああああ」
パワー「そんなもん要らないだろ」
〈動物探し:高山:目標14〉
パワー:14
パワー「ジジイがいるな」
ティエ「見えるんですか……」
パワー「余裕」
クライブ「双眼鏡ありで負けてるぞ」
ジョルティ「こんなのと比べられても困る」
パワー「あと、犬もいるな。黒い奴」
ティエ「さすが草食系、光線樹の視界をジャックするなんてそうそうできるものじゃない」
ノーティ「月下ノ雪割草をいただけますか。皆さんを回復したいと思います」
ティエ「私も魔法使うかもしれないしあればいただいておきましょう」
ジョルティ「お腹すいたので俺も頂いとこう」
ノーティ「ではいただきます。スゥ……」
ティエ「グビィ」
ジョルティ「ムッシャムッシャ」
ノーティ「風泣きチューリップも貰っていいですか?」
ティエ「チューリップは使用タイミングとかあるから、各々1個持っておく感じで」
ノーティ「分かりました。とりあえずヒール!」
〈ノーティ:キュアタッチ・プラスプラス→ジョルティ〉
発動判定:14
回復量:16
ジョルティ「効いたぁ~!愛の~!めぇ~ないよ!!
」
ティエ「自分は自分で回復しましょう」
〈ティエ:キュアタッチ・プラスプラス→自分〉
発動判定:14
ティエ:3
ティエ「足りない……もう一回かな」
〈ティエ:キュアタッチ・プラスプラス→自分〉
発動判定:15
回復量:10
〈ノーティ:キュアタッチ・プラスプラス→自分〉
発動判定:13
回復量:7
〈ノーティ:キュアタッチ・プラスプラス→パワー〉
発動判定:21
回復量:10
ノーティ「よし……これでとりあえず戦えますかね」
ティエ「ですね……今度はマント持ったまま走らないでくださいよ」
クライブ「……ああ」
ジョルティ「よし、行くか」
パワー「うおおおおおお!!」
そして、先陣を切るように、ジョルティとパワーが全力で駆け出しました。光線樹の麓までの残る距離を、一息に駆けていきます。
〈ダッシュ:目標12〉
パワー:12
ジョルティ:18
他の4人は全力疾走でこそないものの、急ぎ気味の足取りでそれを追います。途中、再び充填を終えた光線樹による光の収束が飛来し、それをクライブが受け止めました。距離が近くなっていることもあり、先程までよりも激しい光がクライブへと襲いかかります。
〈光線ダメージ:1d12+2〉
ダメージ:3(防護4)
しかし、盾と耐火マントの力もあり、それほど大きな損傷を受けることなく、そのまま進み切ることができました。私達竜人2人も、それに続いて向かいます。
こうして、パワーとジョルティを戦闘に、全員が光線樹の麓に待つ、ヴィルフランシュの元へとたどり着きました。
大きな光線樹の近くには、この時代の月光石と陽光石が台座に据え付けられているのが見えます。
ヴィルフランシュは、驚いたような、呆れているような、そんな表情をしていました。
ヴィルフランシュ「……私を追って時を越えたのか……? 何をしに来た」
トリシア「なにしてるのかなーって」
ノーティ「止めに来たというか……そちらこそ何を?」
トリシア「えっ止めに来たの?」
ノーティ「あれ、違うんですか?」
ジョルティ「え?
俺は伝えに来たけど?」
ヴィルフランシュ「私はただ、ドーレスの災厄を止めようとしているだけだ。邪魔をするな」
トリシア「ドーレスの災厄ってなんですか」
ヴィルフランシュ「これから数日後、ドーレスの街を大洪水が襲う
トリシア「ほうほう」
ヴィルフランシュ「あの大洪水は、人智の及ぶものではない。大河の竜が暴走して起こしたものであることは疑いようもない」
ティエ「洪水を止めたところで結局別の原因で滅ぶものは滅ぶそうですよ?」
ヴィルフランシュ「他の原因で滅ぶというなら、その原因も消し去るのみ」
トリシア「大河の竜ってのがいるんですかあ」
トリシア「それで大河の竜ってのをどうにかしようとしてるんです?」
ヴィルフランシュ「ああ、洪水が起きる前に大河の竜を討つ」
トリシア「そんなことができるのですか。ぱねーな。流石大魔法使い自称してただけある」
ヴィルフランシュ「そのために長い間研究を続けてきた……」
ヴィルフランシュ「フリーグゼルで吸魔晶の調整を行い、大きな魔力を扱う方法を学んだ。その結果フリーグゼルは大いに栄え、私の研究も完成に近づいた」
ジョルティ「竜虐めると天変地異起きるって話っぽいけど、別の結論に至った経緯があるんです?」
ヴィルフランシュ「海の竜も密林の竜も、中途半端に生かしていたのが問題だった」
ヴィルフランシュ「息の根を止める。ようやくそれが実現できる所まで来た。死してなお、こうして研究を続けてきた成果だ」
トリシア「死んでるの!?」
その言葉が出た時に、私の隣にいた、オルクスさんの表情が少し曇ったように見えました。
ヴィルフランシュ「ゼペリオンで光線樹の調整を行い、竜を討つに足る高出力を出す方法を編み出した。……その結果ゼペリオンは滅んだが、どうせ時を戻し歴史をやり直すのだ、問題はなかろう。そもそもあの街は私が光線樹を作らなければ魔物によって滅んでいた」
トリシア「魔物いたのかー」
ヴィルフランシュ「……この黒い魔獣もその時の魔獣だ」
トリシア「このお強いのそうだったのかー」
ティエ「テイマーでもあるのかぁ…」
トリシア「ちなみにじーちゃんはドーレス救う目的ってなんなのー?」
トリシア「そんだけできるなら別にドーレスに固執する目的ってなくない?」
ティエ「そうですよ、新しい場所で、その力を使えば……」
ヴィルフランシュ「この街は私が作った街だ。私の子供、私の命の代わり」
ヴィルフランシュ「その代わりとなるものはない。フリーグゼルも発展したが……ドーレスではなかった」
ノーティ「目的は結構なことかと思います……ただ、死の竜をはじめとする他の竜も黙っていないのでは、と思うのですが」
ヴィルフランシュ「……ならば、その竜をも倒すのみ。そもそもの問題を引き起こしているのは竜だ。竜を平げた先に平穏なるドーレスがあるのならば、何を厭うことがあるか」
ノーティ「それは流石に無理では……」
トリシア「ドーレスどころか世界が滅ばない?」
ヴィルフランシュ「ドーレスのない世界は滅んでいるのと同じだ……無理かどうかは試してみなければ分かるまい」
ヴィルフランシュ「成せなかったのならば、再びこの時に戻ってくるまで……」
ノーティ「太陽と月もずっと上にありますし……竜なくして平安が訪れるとは思いませんよ」
ティエ「最終的に季節竜が襲ってきそうだしそれ倒したら過去魔法も使えなくなるのでは……」
ノーティ「それに、あなた一人に任せられるとは誰も思いませんよ」
ジョルティ「おじいちゃん、もう滅んだでしょう? お家帰りましょう?」
ノーティ「知っているでしょう、ドーレスの人々の竜に対する信仰心を」
ヴィルフランシュ「……それでも私にはドーレスを永らえさせる義務と責任がある」
ノーティ「叡智の書、読みましたよね。死の竜人が言う通り、あなたにはそんな責任ありませんよ」
ヴィルフランシュ「……いいや、これはそもそも私と死の竜の責任」
ヴィルフランシュの目は、どこかこちらを見ているように見えました。私達の姿は普通の人間に見えているはずなのですが……。
ヴィルフランシュ「……諸君らにも感謝している。ゼペリオンで”あの魔法”を使ってくれたのだから」
トリシア「あの魔法?」
ヴィルフランシュ「おかげで私にもこちらの世界の”叡智の書”を遠隔で閲覧できる魔法結晶が手に入った。「複製」と「伝達」の魔法でな」
ティエ「魔力吸い尽くされたあれって……」
トリシア「もしかして結晶のことかー、じーちゃんすげーな」
ヴィルフランシュ「そうだ。てっきりあのまま戻ってこないと思っていたが……生きて戻ったのには驚いたな」
ヴィルフランシュ「……諸君らはどうする。私の邪魔をするのか。それともこのまま帰るのか」
トリシア「帰るにもどうやって帰るんだよう」
ヴィルフランシュ「ドーレスまでなら歩いて戻れるだろう。 時代のことなどは知らん、戻る方法もなく付いてきたのか?」
トリシア「戻る方法があるのですか!?」
ヴィルフランシュ「さあな、私の知り及ぶことではない。」
ヴィルフランシュ「……長い時を経て、ついに時を遡り、この場所に辿り着いた。7000年の旅もついに終わる。私は復興した街と共に永遠に生き続ける」
ノーティ「あなたの言うことでは、ドーレス以外はどうなってもいいという口ぶりですよね。実際、そうなんでしょうけれど……私たちはそういうわけにはいかないので」
トリシア「個人的には見学したいとこだけど、そうもいかないか」
ノーティ「私たちにも故郷があるので。」
ジョルティ「ついこないだまで忘れさせられてたけどな俺ら」
ノーティ「皆さんの意志があれば。ヴィルフランシュさん、あなたを止めてみせます」
ヴィルフランシュ「我が悲願の邪魔をするというならば、容赦はしない。この前は時渡りにかまけて遅れを取ったが……今度はそうは行かんぞ」
ジョルティ「え? 大義は知らないけどムカつくから一発殴りたい」
ティエ「最悪我々が生まれなくなるような歴史改変されると困るんで」
ヴィルフランシュ「良いだろう……我が名はヴィルフランシュ・ドーレス・リコンストラーダ、旧き魔法使いの力をここに見せてやろう」
ジョルティ「名前が長い!!!」
ヴィルフランシュはそう名乗るや否や、首に掛けた銀の鍵を目の前の空間に向けて捻りました。
その場に小さな竜の道が開き、ヴィルフランシュはそこに両腕を差し入れます。
そして、引き抜かれたその両の手には、赤い宝玉の嵌った剣と、紫の宝玉の嵌った鏡がありました。
ティエ「あ、ちょっと探してたやつ……持ってたのか」
ノーティ「水竜の祠の…厄介ですね」
【祓魔の宝剣】
単体遠隔攻撃 命中時、対象の現在MPの1/4を消失させ、対象にかかっているバフ効果を消す。この攻撃はウォーメタフィールドやウィンターアーリーモーニングのようなエリア魔法がある場合はその効果を対象にして打ち消す。
【蒐魔の宝鏡】
単体指定魔法(非接触)を使用する場合、優先的に対象となる単体指定魔法(接触も含む)の発動が失敗した場合(つまり15以下の場合)、その効果を反射する。(成功時はそのまま受ける)
また、以前戦った時と同じく、ヴィルフランシュの体表には白い膜のようなものが貼られているのが見えました。
〈戦闘開始〉
【トリシア】
最初に動いたのは、トリシアでした。いつものことながら、冷静で素早い動きには目を見張るものがあります。
〈知見→大光線樹〉
判定:10(失敗)
トリシア「うーん……前のより大きいけど、詳しくは分かんない」
〈攻撃→黒い魔獣〉
命中判定:5(失敗)
トリシアの放った矢を、黒い魔獣は素早く回避しました。
トリシア「だめです」
【ノーティ】
続いて動いたのはノーティです。彼も素早さこそはトリシアに及ばないものの、常に冷静沈着に、物事を見極める力を持っています。
〈知見→光線樹〉
判定:5(失敗)
ノーティ「私にも測りかねますね……」
トリシア「思ったんだけど、もっと見るべきものある気がする」
クライブ「そうだな、あの樹より、重要そうなものがありそうだ」
ノーティ「それもそうですね……」
〈春魔法「カグヤ・レイランス」→ヴィルフランシュ〉
発動判定:17
ダメージ:3(軽減10)
ノーティ「困りましたね、全然効果が見られませんよ」
ヴィルフランシュ「……やはり、通してくるか」
ノーティの魔法は、大幅に白い膜に軽減されこそしたものの、確かにヴィルフランシュを傷付けていました。
【黒い魔獣】
低い唸り声を挙げて、黒い魔獣もこちらへ爪牙を振るってきます。その眼光はパワーの方に向けられていました。
〈攻撃→パワー〉
命中判定:3(失敗)
〈2回攻撃→パワー〉
命中判定:28
ダメージ:4(防護3)
【クライブ】
クライブもまた、戦いの中ではかなりの集中力を見せます。平時こそぼんやりしていることが多いものの、命のやり取りの場では、いつも冴えた目を見せています。
〈知見→月光石〉
判定:11
クライブ「……あの石の力の流れが見えた。あっちの石は、アイツの膜と……昼夜の魔法に魔力を注いでいる」
クライブ「……大して硬くもなさそうだ」
ノーティ「だとすると、先にあの石から何とかするべきですね」
〈様子見〉
イニシアチブ:7(変更なし)
【ヴィルフランシュ】
ヴィルフランシュ「あの時は後塵を拝したが……同じようにはいかんぞ」
ヴィルフランシュは品定めをするように6人を見渡します。何がそうさせたのか、彼はジョルティの方に視線を向け、右手に握った剣を向けました。
ヴィルフランシュ「祓魔の力を見るが良い」
ヴィルフランシュがその剣を振るうと、赤い波動のようなものがジョルティに向かって飛来しました。
〈祓魔の宝剣→ジョルティ〉
命中判定:19
ダメージ:2
MPダメージ:6
ジョルティ「魔力が吸われた……!?」
ヴィルフランシュ「私の力を甘く見るなよ」
〈カグヤ・レイランス→ジョルティ〉
発動判定:25
ダメージ:5
ジョルティ「じじいぶっとばす」
【ティエ】
戦闘ではそれほど大きな活躍を見せることは多くないティエですが、彼も判断力の高さには目を見張るものがあります。旅人達の良きサポート役として、その力を振るってきました。
〈知見→陽光石〉
判定:13
ティエ「……あちらは、光線樹と魔獣に対して魔力を注いでいるようですね。その力で、強化されているのかも」
ティエ「さてと、万全を期しますか」
〈秋魔法「ガーリッシュ・ティアーズ」→ヴィルフランシュ〉
発動判定:18
ヴィルフランシュの命中判定-2
ヴィルフランシュ「小賢しい……!」
ティエ「涙ぐんでるんじゃカッコ付きませんねー」
【ジョルティ】
ジョルティは、私達の中でも特に戦闘に長けた旅人です。卓越した弓の技術に、新しく覚えたとは思えない魔法の力を加えることで、多くの相手に膝を着かせてきました。
〈春魔法「スプラウト」→自身〉
発動判定:12
ジョルティ「絶対しばく」
ヴィルフランシュ「……小癪な」
【パワー】
その名前の示す通り、パワーの力は目を見張るものがありました。本人にその自覚があるかは分かりませんが……間違いなく旅人達の切り込み隊長であったことは間違いありません。
〈左手攻撃→ヴィルフランシュ〉
命中判定:10(失敗)
〈右手攻撃→ヴィルフランシュ〉
命中判定:21
ダメージ:3(軽減10)
パワーの斧は一発は外れましたが、もう一発は確かにヴィルフランシュに命中しました。白い膜に阻まれながら、多少なりとも本体に傷を負わせることに成功しました。
ヴィルフランシュ「野蛮な……!」
パワー「何言ってるかわっかんねえなぁ!」
【大光線樹】
再び、光線樹への光が収束されました。何かの力に引き寄せられるように、その光線はトリシアの元へと降り注ぎます。
〈光線→トリシア〉
発動判定:11
ダメージ:12
トリシア「魔法は痛いなぁ」
彼我の攻防を、さしたる力を持たない私は見ていることしかできません。
オルクスさんもまた同じように、行方を見守るような目を向けていました。
〈ラウンド2〉
【トリシア】
〈知見→大光線樹〉
判定:7(失敗)
トリシア「先に壊すべきなのは陽光石の方かなー」
〈攻撃→陽光石〉
命中判定:16
ダメージ:11(防護3)
ヴィルフランシュ「チッ……陽光石を……面倒な」
トリシア「私別にじーちゃん嫌いじゃないよ」
ヴィルフランシュ「……邪魔をするなら同じこと」
【ノーティ】
〈知見→大光線樹〉
判定:21
ノーティ「……やはりあの光線樹は、以前に見たものよりもかなり強い魔力が使われているようですね」
ノーティ「分かっていたことではありましたけど……」
〈呪文魔法「キュア・タッチ」・春魔法「キュア・プラス・プラス」→クライブ〉
発動判定:13
回復量:10
ノーティ「いけますね?」
クライブ「ああ」
【黒い魔獣】
〈攻撃→パワー〉
命中判定:16
ダメージ:0(防護3)
〈2回攻撃→パワー〉
命中判定:30
ダメージ:3(防護3)
パワー「効かねえなぁ!」
エレオノーラ《頑丈ですわね……》
【クライブ】
クライブ「俺たちからすりゃ、お前のほうが面倒なことをしているわけなんだがな」
クライブは懐からナイフを取り出し、そのまま流れるようにして陽光石へと投擲します。
〈攻撃→陽光石〉
命中判定:6
ダメージ:4(防護3)
【ヴィルフランシュ】
ヴィルフランシュ「……厄介な魔法は消させてもらう」
〈祓魔の宝剣→ジョルティ〉
命中判定:26
ダメージ:3
魔法効果消失+MP3ダメージ
ジョルティ「やめてめんどくさい……」
ヴィルフランシュ「そして、征け」
ヴィルフランシュは首に下げた銀の鍵で、目の前の空間へと道を開きました。すると直後にその穴に向けて黒い夜獣が飛び込み……ノーティ達のいる直ぐ側へその姿を顕しました。
ティエ「は!?」
ジョルティ「おーかわいい」
ノーティ「こっちこないで」
【ティエ】
ティエ「悠長にしていられなくなりましたね……」
〈ハヤブサ→トリシア〉
発動判定:14
トリシア「消されそうな気はするけど……」
【ジョルティ】
〈知見→オルクス〉
判定:18
ジョルティは一瞬だけ振り返り、こちらの様子を見てきました。まだ怪訝そうな、どこか迷いの見える表情をしているオルクスさんを見るや、すぐさま振り返ります。
ジョルティ「さっさと終わらせるかー」
〈攻撃→陽光石〉
命中判定:Critical
ダメージ:13(防護3)
ジョルティが最大まで引き絞った矢が陽光石に命中すると、陽光石は台座から転げ落ち、他のものとの魔力の連絡が途絶えたようでした。
ヴィルフランシュ「……くそ、災厄までもう時間がないというのに……」
ヴィルフランシュ「お前たちを退けて、陽光石を直さねばならんのか……」
パワー「それは最悪ですね」
パワー「災厄なのに最悪ですね?」
パワー「災厄なのに」
ジョルティ「へっへーん!」
ヴィルフランシュ「調子に乗りよって……!
ヴィルフランシュは、どこか冷静さを欠きつつあるように見えました。
【パワー】
パワー「石ころ投げよ」
〈投擲攻撃→月光石〉
命中判定:16
ダメージ:1(防護3)
パワー「やっぱり駄目だな斧投げっか」
クライブ「止せ」
【大光線樹】
〈光線→クライブ〉
命中判定:14(失敗)
大光線樹は自らの魔力のみを収束させクライブに放ちましたが、その光線はクライブを掠め、地面を焼くに留まりました。
クライブ「もう大したことないな」
〈ラウンド3〉
オルクス「ヴィルフランシュさんが本当に……そんな……じゃあやっぱり私が……」
オルクスさんが、視線を前に向けたまま、小さな声でそんなように呟き続けていました。
【トリシア】
トリシア「次は月光石だなー」
〈攻撃→月光石〉
命中判定:6
ダメージ:10(防護3)
〈2回攻撃→月光石〉
命中判定:14
ダメージ:10(防護3)
トリシア「今日調子いいかも」
ヴィルフランシュ「忌々しい……」
クライブ「見習わないとな」
【ノーティ】
ノーティ「早めに終わらせたい所ですね……」
〈呪文魔法「ハヤブサ」→クライブ〉
発動判定9
クライブ「よし、任せろ」
【クライブ】
〈投擲攻撃→月光石〉
命中判定:13
ダメージ:2(防護3)
〈2回攻撃→月光石〉
命中判定:7
ダメージ:1(防護3)
クライブ「……チッ、足りないか」
【ヴィルフランシュ】
ヴィルフランシュ「小賢しい……!」
〈祓魔の宝剣→トリシア〉
命中判定:22
ダメージ:8
魔法効果消失+MP2ダメージ
〈祓魔の宝剣→クライブ〉
命中判定:18
ダメージ:7
魔法効果消失+MP4ダメージ
クライブ「こっちもか……!」
【黒い魔獣】
〈攻撃→トリシア〉
命中判定:17(失敗)
〈2回攻撃→トリシア〉
命中判定:4(失敗)
こちらの陣形の後ろ側に現れた黒い魔獣の攻撃でしたが、トリシアはそれを冷静に見極めて躱します。黒い魔獣はグルグルと唸り声を挙げて威嚇しています。
【ティエ】
ティエ(……魔法効果を掛け続けていれば、とりあえず攻撃対象を絞れそうですね)
〈呪文魔法「ハヤブサ」→トリシア〉
発動判定:15
ティエ「調子が良さそうなので、任せますよ」
トリシア(囮にされてる気がする)
【ジョルティ】
〈攻撃→月光石〉
命中判定:6
ダメージ:11(防護3)
ジョルティの放った矢が、月光石をに命中すると、こちらも台座から転げ落ち、魔力の供給が停止しました。
すぐさま月が沈み、昼夜が元のものへと戻っていきます。ヴィルフランシュを覆っていた白い膜の魔法も失われたようでした。
ヴィルフランシュ「……く、月光石まで……」
ジョルティ「よし、後は本体だ」
パワー「おまえの幕も間もなく消えるぞ」
【パワー】
パワー「覚悟しろよジジィ!」
パワー「俺はお前のこと嫌いだからな!」
〈左手攻撃→ヴィルフランシュ〉
命中判定:17
ダメージ:3
〈右手攻撃→ヴィルフランシュ〉
命中判定:9(失敗)
ヴィルフランシュ「フン、魔法膜など無くとも変わらんな」
パワー「うるさい」
【大光線樹】
〈光線→クライブ〉
命中判定:15(失敗)
光線樹による光は、今度はクライブに向けて正確に撃ち出されたものの、命中する寸前に剣で弾かれ体に届くことはありませんでした。
クライブ「見切ったな」
〈ラウンド4〉
私の隣のオルクスさんの目が、先程までと違っているように見えました。迷いが少しずつ失われ、まっすぐとヴィルフランシュの方をみつめていました。
【トリシア】
トリシア「嫌いじゃないけど、ごめんね?」
ヴィルフランシュ「……何故……邪魔を……!」
トリシア「こっちにはこっちの都合があるからね」
〈攻撃→ヴィルフランシュ〉
命中判定:13
ダメージ:5
ヴィルフランシュ「くっ……防護魔法が失われたのは思った以上に……」
トリシア「諦められない?」
ヴィルフランシュ「それはできんな……!」
【ノーティ】
ノーティ「魔獣の動きを止めて、彼に集中しましょう」
〈冬魔法「グレイヴ・グレーシャー」→黒い魔獣〉
発動判定:15
ノーティ「凍えろ!」
ノーティの魔法により、こちらに食い込んでいた黒い魔獣は氷漬けとなり、動きが完全に封じられました。
【クライブ】
クライブ「そろそろ俺も前に出るか……」
〈移動〉
後列→前列
【ヴィルフランシュ】
ヴィルフランシュ「失せろ……!」
〈祓魔の宝剣→トリシア〉
命中判定:Critical
ダメージ:10
魔法効果消失+MP1ダメージ
トリシア「結構痛いなぁ……」
ヴィルフランシュ「見ていろ……私の本当の力を……」
〈魔力充填〉
次回の魔法攻撃力に+1d6
【ティエ】
〈呪文魔法「キュアタッチ」→トリシア〉
発動判定:12
回復量:12
ティエが触れると、トリシアの先程受けた傷が完全に癒えました。
トリシア「さんきゅー」
ティエ「……なんだか悪いことをした気がするので」
トリシア「あ、やっぱりそういうことだった?」
【ジョルティ】
ジョルティ「いい加減諦めろ!」
ヴィルフランシュ「こればかりは諦められぬ……!」
〈攻撃→ヴィルフランシュ〉
命中判定:14
ダメージ:6
出血付与
【パワー】
パワー「おらー!」
〈左手攻撃→ヴィルフランシュ〉
命中判定:5(失敗)
〈右手攻撃→ヴィルフランシュ〉
命中判定:14
ダメージ:8
ヴィルフランシュ「このままでは……!」
パワー「いい加減諦めろぉ!」
ジョルティ「セリフパクるのやめてくれない?」
【大光線樹】
〈光線→クライブ〉
命中判定:6(失敗)
〈ラウンド5〉
【トリシア】
〈攻撃→ヴィルフランシュ〉
命中判定:7(失敗)
トリシア「……やっぱりあんまり撃ちたくないんだよなぁ。諦めてくれないかなぁ」
【ノーティ】
ノーティ「いざという時のことを考えると、これ以上魔力を使うのは……。何か、使えそうなものがあれば……」
〈オブジェクト発見〉
【クライブ】
クライブ「多勢に無勢で悪いが、手を緩める気はないぞ」
〈攻撃→ヴィルフランシュ〉
命中判定:10(失敗)
クライブ「……だから降伏しろ」
【ヴィルフランシュ】
ヴィルフランシュ「全員まとめて……吹き飛ばしてやるわ……!」
〈冬魔法「魔法充填スノウボール・ストーム」→前列全員〉
発動判定:27
ダメージ:12
ヴィルフランシュの魔法により、猛然とした勢いの雪玉が降り注ぎます。ヴィルフランシュは自分自身もその雪玉を身に受けながらも、まだその目の光を宿していました。
ジョルティ「やけくそなのに冷たい!!」
〈魔力充填〉
次回の魔法攻撃力に+1d6
〈出血ダメージ〉
HP-1
【ティエ】
ティエ「えーい、じゃあこっちもヤケクソだー」
〈呪文魔法「アタック・オブ・キラーオブジェ」→ヴィルフランシュ〉
発動判定:11
ダメージ:5
先程ノーティが見つけていた鋭利な木の枝が飛び、ヴィルフランシュへと突き立ちました。もはや、立っているのも辛そうな様子に見えます。
ヴィルフランシュ「もはや……いや……まだだ……」
【ジョルティ】
ジョルティ「これで終わりだ、諦めろ」
〈攻撃→ヴィルフランシュ〉
命中判定:12
ダメージ:8
ジョルティの矢を受けて、ヴィルフランシュはその場に膝を着きました。しかし、未だに気絶はしていません。常人ならばすでに気を失っているであろうその状況で、彼は胸の銀の鍵へと手を伸ばします。
パワー「逃げる気だな!」
ヴィルフランシュの不審な動きを見てパワーが駆け寄ろうとしましたが、それよりも早く、彼はその鍵を虚空に向けて捻りました。
ヴィルフランシュ「こればかりはしたくなかったが……仕方がない……」
銀の鍵によって開かれた竜の道の向こうには、ドーレスの街が見えました。そして、その街の中心におかれていた、白い大きな宝玉が、銀の鍵を通してこの場に喚び出され、現れました。
白い宝玉からは強い光が北の空に向けて伸びています。恐らくは、世界樹のある場所へとと。
ヴィルフランシュ「……まだだ、まだ、私の悲願は目の前なのだ……まだ……倒れる訳にはいかない……」
ヴィルフランシュ「7000年もの時を経て……漸く辿り着いた……そう簡単に手放すわけにはいかん……」
紫の法衣を赤く染め、山頂に朱の泉を作りながらも、ヴィルフランシュはそう呟いていました。
その姿を見て、決心を決めたとばかりに、まっすぐな目でオルクスさんが口を開きます。
オルクス「……皆さん、あの白い宝玉を破壊して下さい」
オルクス「あの白い宝玉が……彼の死の魔法を繋ぎ止める核です」
オルクス「あれを破壊するまでは……彼もまた倒れないでしょう。あれを壊してくれれば……後は私が責任を取ります」
オルクスさんは一歩前に進み出て、ただそう静かに告げました。
【パワー】
パワー「よく分かんないがあれを殴れば良いんだよなぁ!」
〈攻撃→白い大宝玉〉
命中判定:9
ダメージ:0
〈左手攻撃→白い大宝玉〉
命中判定:21
ダメージ:0
パワーが思い切り宝玉に向けて斧を振り下ろしましたが、ヴィルフランシュにかかっていたのと同じような魔法の膜がそれを阻みました。
【大光線樹】
〈光線→ティエ〉
命中判定:13
ダメージ:2
ティエ「こっちに来た……?」
ノーティ「……生命力などを感知しているのでしょうか?」
〈ラウンド6〉
【トリシア】
トリシア「あの冬魔法で魔法効果を失わせたら、宝玉の効果も消えないかな?」
オルクス「いえ……白い宝玉とヴィルフランシュさんとは魂の鎖のようなもので繋がっているので……それはできません」
トリシア「そっかー。なら、仕方ないかぁ」
〈攻撃→白い大宝玉〉
命中判定:4
ダメージ:1
【ノーティ】
ノーティ「引き続き使えそうなものを……」
〈オブジェクト発見〉
【クライブ】
クライブ「早いところ、なんとかしてやるか……」
〈攻撃→白い大宝玉〉
命中判定:15
ダメージ:4
【ヴィルフランシュ】
ヴィルフランシュ「触れるな……!」
ヴィルフランシュ「見せてやる……私の魔法の研究成果を」
ヴィルフランシュはそう言うと、懐から青い魔晶を取り出しました。白い大宝玉から魔力網が形成されていることで、魔晶に魔力が巡っているようです。
〈魔法水晶「トライ・ブレイブ」〉
発動判定:7
魔晶によって現れた恐怖の象徴が、皆の目の前に現れました。しかし、一度見たことがあるものであったこともあり、トリシアを除いてはショックを受けていないようでした。
トリシア「慣れないなぁ」
ヴィルフランシュ「……この結果は……私の邪魔をしたからだ……」
ヴィルフランシュ「邪魔さえしなければ……!」
ヴィルフランシュはさらにもう一つ、青い魔晶を取り出しました。それと同時に、見覚えのある黒い果実を口に含んでいるようでした。
〈魔法水晶「魔力充填ブレイド・ブラッド・ウォッシュ」〉
発動判定:13
ダメージ:15
迸る魔力が空気を伝い、肌に突き刺さります。私には直感がありました。このままでは、ここで旅を終わらせることになってしまうと。
「こんな場所で旅を終わりにさせる訳にはいきません!」
〈アウェイクン・竜の守護〉
ジョルティ「ポンコツ…お前っ!!」
気がつけば私は竜の姿となり、翼を広げていました。飛び交う刃が私の身を裂きます。しかし、私が受ける分には良いのです。
「……ですが、これはできてもう一度までです……お願いします」
トリシア「一生消えない傷が……ごめんね」
【ティエ】
ティエ「むう……しかし自分でできることが……」
〈オブジェクト発見〉
【ジョルティ】
〈攻撃→白い宝玉〉
命中判定:14
ダメージ:2
ジョルティ「まだ浅い……!」
【パワー】
パワー「おりゃー!!」
〈左手攻撃→白い宝玉〉
命中判定:5
ダメージ:1
〈右手攻撃→白い宝玉〉
命中判定:18
ダメージ:0
パワー「硬え! 腕が痛いんだけど!」
【大光線樹】
〈光線→トリシア〉
命中判定:15
ダメージ:2
トリシア「オルクスちゃん! 結構厳しいかも!」
オルクス「……わかりました。私も、覚悟を決めました」
トリシア「!?」
〈アウェイクン・竜の攻撃〉
ダメージ:4
その時、オルクスさんもまた竜の姿へと変わりました。白く……悔しいですが美しい姿の竜の爪が、白い宝玉に突き立ちました。
白い宝玉はまだ健在であるものの、かなり損傷が発生しているように見て取れました。
〈ラウンド7〉
6人の旅人と、2体の竜が、共に姿を見せているなんてことは、これまでの長い旅の歴史の中でも無かったことなのではないでしょうか?
【トリシア】
〈攻撃→白い大宝玉〉
命中判定:12
ダメージ:0
トリシア「うーん……硬いなぁ」
【ノーティ】
ノーティ「皆さん、お願いしますよ……!」
ノーティ「私にはできることがありません!」
【クライブ】
クライブ「了解」
〈攻撃→白い大宝玉〉
命中判定:18
ダメージ:2
クライブ「手応えはあった、もう少し!」
【ヴィルフランシュ】
ヴィルフランシュ「竜……! 竜までもが……! やはり竜こそが……!」
〈魔力充填〉
次回の魔法攻撃力+1d6
〈魔法水晶「魔力充填ブレイド・ブラッド・ウォッシュ」〉
発動判定:15
ダメージ:22
〈アウェイクン・竜の守護〉
「これ以上は……!皆さん……お願いします……!」
全身に痛みを感じます。飛び交う刃が我が身を刻んでいるのを感じます。
それでも……あの時、ラ・ヴィスで味わった気持ちをもう一度味わうことに比べれば。
フリーグゼルでネーヴェさんが味わっていた気持ち気持ちに比べれば。
……今この場の、オルクスさんの気持ちに比べれば。
【ティエ】
ティエ「ノーティさん、前に! 私よりはできることが有るはず!」
ノーティ「おわととと」
〈戦列移動→ノーティ〉
後列→前列
ティエ「後は頼みました!」
【ジョルティ】
ジョルティ「俺が決めたかったけど、ここはもっといい方法があるな……!」
〈呪文魔法「ハヤブサ」→パワー〉
発動判定:7
ジョルティ「後は任せたぞ! パワーさん!!」
【パワー】
パワー「よく分からんがぶっ壊す!」
〈左手攻撃→白い大宝玉〉
命中判定:13
ダメージ:1
〈左手2回攻撃→白い大宝玉〉
命中判定:17
ダメージ:0
パワー「もう一回!」
〈右手攻撃→白い大宝玉〉
命中判定:14
ダメージ:5
〈右手2回攻撃→白い大宝玉〉
命中判定:10
ダメージ:0
目にも留まらぬ速さで繰り出されたパワーの4連撃が、白い大宝玉をひたすらに打ち付けました。
……すべての攻撃が終わった時、白い大宝玉の表面を、細かいヒビが走ります。そのヒビから、強い光が漏れ出しました。
世界樹から受け取っていた魔力が、そこから溢れていくようにヒビは広がり、白い大宝玉は内側から自壊していきます。
ノーティ「これで終わる……?」
ジョルティ「やったか!?」
ヴィルフランシュは膝をついたまま、力なくその光を見つめていました。
ヴィルフランシュ「ああ……ドーレスが……我が子の命が……」
崩折れるヴィルフランシュの元へ、竜人の姿へと戻ったオルクスさんがゆっくりと近づいて行きました。決意に満ちた、そして後悔に満ちた目で、彼女もまた、彼の目の前で膝を付きました。
オルクス「……久しぶりですね、ヴィルフランシュさん。私の事、覚えていたんですね」
ヴィルフランシュ「……死の竜人……」
オルクス「……自らの過ちの落とし前は、自分の手でつけなければなりませんね」
そういうと、オルクスさんはヴィルフランシュの肩を抱き寄せました。我が子を抱くように、恋人を抱くように、老いた父を抱くように。
その右手には、いつの間にか大きな白い鎌が握られていました。
トリシア「はっ!」
ヴィルフランシュ「何をするつもりだ、死の竜人」
ヴィルフランシュ「ここに私を連れてきたお前が、この期に及んで私の邪魔をするのか?」
ヴィルフランシュ「私の生を弄ぶに飽き足らず、私の死までも弄ぼうというのか」
オルクス「……ごめんなさい、ヴィルフランシュさん」
オルクス「私が余計なことをしたばかりにこのようなことになったのは……謝っても謝りきれることではありません」
オルクス「貴方から死を奪い、子を作らせ、その上でその子を奪った」
オルクス「……だから、私が一緒に行きます」
ヴィルフランシュ「……お前は--」
オルクス「ああそうだ、皆さんに最後のお願いです。”叡智の書”は、破壊しておいて下さい。あれは、こちらの世界にあるべきではないものでした」
ノーティ「そうなのですか……」
オルクス「……今往きます、死の竜。さようなら、ありがとうございました、皆さん」
その光景を、誰も制止することはできませんでした。
直後、白い大きな鎌が、ヴィルフランシュの体を貫きました。……彼を抱き寄せていた、オルクスさんの体と共に。
2人の姿は白い光の粒子のようなものへと代わり、それはやがて世界樹の方に向かって消えて行きました。
しばらく、私も含めたその場の全員が、北の空を仰いでいました。
クライブ「…つまらん事をするもんだ、まったく」
トリシア「どうりで……元のオルスクちゃんと会えないわけだ」
「……そうですね、向こうのオルクスさんとも、会ってみたかったものですが……残念です」
トリシア「アリアちゃんも傷だらけになっちゃって。守ってくれてありがとう」
「……いえ、これまで、皆さんには本当に世話になりましたから。これぐらいは勲章ですよ」
パワー「苦しゅうないぞ。大儀である」
「ふふ、相変わらずどういう人なのか分かりませんねえ、パワーは」
ノーティ「我々がドーレスのことを忘れないことが、せめてもの……」
「そうですね……いずれにせよ、これから数日の後にドーレスは滅びます」
「……後は、叡智の書を破壊して、戻りましょう。私達の時代に」
ノーティ「では……世界樹へ向かいましょうか」
トリシア「下山しないと」
ティエ「下山かぁ……」
「竜脈の届くところまで、乗せていきますよ」
ティエ「わーい」
トリシア「そんなことが」
「皆さんのおかげで、なんとか体力は持ちましたから」
ノーティ「大変でしょうが、お願いします」
「あれ? リーズさんと一緒の時にも荷運び動物を運んでいきましたよね私」
〈アウェイクン・竜の先導(特殊)〉
皆を乗せて、高山を降りていきます。その眼下には、これから数日後に滅ぶとは思えない、巨大な都市の姿が見えていました。
そして、竜脈が繋がる場所まで出ると即座にトリシアが鍵で竜の道を繋ぎ、世界樹の叡智の書の元へと辿り着きました。
ノーティ「さて」
パワー「オラァ!」
先程までの話を、ちゃんと聞いていたことに驚きましたが、パワーが叡智の書の魔法結晶を取り外すと、すぐさま頭突きをしました。
〈頭突き→叡智の書〉
ダメージ:11
パワーの石頭にひとたまりもなく、叡智の書の魔法結晶は砕け散り、周囲に虹色の輝きを散らします。
ノーティ「これで全てが終わり……ですか」
「……そうですね。この時代でやるべきことは、終わったと思います」
「その鍵を使えば、元の時代に戻れる、のですよね」
ティエ「そうきいてますね」
ノーティ「後先考えずに来ましたね……まあ、とにかくお願いします」
トリシア「元の世界にもーどれ」
トリシアがそこで鍵を捻ると、クロックフォールの魔法の時に見たのと同じような穴がその場所に作り上げられました。
その時、鍵に嵌められた白い宝玉が粒子のように輝いているのが見えました。
こうして、皆は元の時代の、この場所へと戻ってきたのです。
……これが、過去の世界での顛末です、竜の君。
それにしたって、驚きましたよ。この後のことにも……。
次こそが……長かった旅の終わりです。
いえ、振り返ってみると1年そこそこ、案外……長いものではありませんでしたね。
それでは、このままお話しましょう。私と彼ら、そして貴方の旅物語。
「竜の卵」の物語を。
【MVP:パワー】
こちらは、2017/3/24.31+4/1に行ったセッションのリプレイです。
非常に遅くなってしまって申し訳ありませんでした! 少々私生活が忙しく……いえ具体的にいうと毎日夜に別のシステムのTRPGをしていたせいなのですが。
戦闘処理が長く執筆が大変だったということで、何卒、何卒ご容赦くださいませ……。
次の最終話は、もう少し短いスパンで投稿できるかとか思います!
【参考サイト】
久し振りの執筆、お疲れ様です。初登場時は片田舎の偏屈爺さんという感じのヴィルフランシュでしたが、こうして立ちはだかる存在になるとは。返す返すも、壮大な物語になったものですねえ。
返信削除戦闘時の、アリアの各旅人達に対する独白を見ると、本当にこの旅人達は、これまでに幾多の戦闘を潜り抜けて旅をして来たんだなあ、と、感慨深く感じます。
このキャンペーンが終わってしまうのは残念な気持ちもありますが、最後まで楽しみにさせて頂きます。
コメントありがとうございます!チマチマ書いてはいたのですが、戦闘処理が長く時間がかかってしまいました。
削除ヴィルフランシュは実は登場時からこのキャラにする予定だった……というよりはフリーグゼル到着時からこうなる予定でした。
残す所は最終話のみ、今度はもう少し早めに書ければと思います。