2016/06/14

りゅうたまリプレイ 第五話前編「止まり木の上の旅人達」 【キャンペーン】

おはようございます、竜の君。
今回も、ゴレンでの物語を用意して参りました。
彼らの性分からして、そろそろ旅立つものかと思っていましたが、案外ここが気に入ったのかも知れませんね。
私としても、蒼の竜人のリーズさんがいて、多少退屈しなくて済んでいます。
それでは、お話致しましょう……。

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第五話前編「止まり木の上の旅人達」



一旦は元々泊まっていた宿に戻った彼らでしたが、後からディストがやってきて、「盗賊討伐のお礼だ」、ということで、ゴレンで一等良い宿へと移ることになりました。
個室の宿はないということでしたが、調度品なども綺麗で、ベッドも柔らかく、なるほど確かに良い宿です。……とは言え私は床で寝ることになるんだろうな、と思っていたのですが……。
新しい宿には、4人しか来ておりませんでした。

パワー「盗賊って何の話だ?」
トリシア「色々あって。役得でしょ」
ジョルティ「ティエとノーティはどうした?」
クライブ「……ティエはパーティ資産の勘定が合わないとかで、前の宿を探していたな」
トリシア「ノーティは『今日は名月の光証を読むのでこちらに残ります』ってさ」
ジョルティ「自由だなあ。まあ良いか、メシだメシだ!」
パワー「メシか!」

……と言うことでした。まあ、目的からして彼らが勝手にどこかに行くことも無さそうですし、私はこちらににいることにしましょう。……2人分ベッドが空いたということは、使っても良いんですよね?

その後、ディストからの美味しい食事(近くの山で採れた山菜と、鳥の肉を使った料理のようでした)を食べた彼らは、疲れもあり、早めに寝ることにしたようです。ちなみに、空いていたベッドは2つとも荷物置き場になったので、私は床で寝ました。

〈コンディションチェック:1日目〉
パワー:Fumble
クライブ:Fumble
トリシア:9
ジョルティ:7

さて、そんなこんなで翌日になったのですが……パワーとクライブが物凄い顔色で起き出してきました。良い食事に良いベッドと、なかなか良い就寝環境だったと思うのですが……疲れでしょうか。いえ、よく考えるとパワーは盗賊狩りには参加していなかったので、単純に星の巡りかも知れません。(私のベッドまで使った罰かも知れませんね?)

体調は悪そうでしたが、とりあえず朝食をとり、顔を洗っている頃、トントンとドアを叩く音が聞こえてきました。

トリシア「どーなた?」
ディスト「ディストだ、もう起きたか?」
トリシア「だいたい起きてる」
ジョルティ「胃は常に起きてる」
クライブ(死にそうな顔)
パワー(死にそうな髪)

ディスト「そうか、良かった。いやな、ちょっと相談したいことがあるんだが……前に、二人組の姉ちゃん達から町の防衛を強化する提案があった、って話は少ししたよな?」
トリシア「聞いたね」
ディスト「アンちゃん達が盗賊狩りに山に入ってる間に、いろいろと相談をしてある程度の設計は作ったんだが……まあ、やはり時間も金もかかる。どっちもすぐに用意できるもんじゃねえ」
パワー(俺も金がねえ)
ジョルティ(同じく)
ディスト「お陰様で急場は凌いだ。だが、いつ何が有るか分からないってのは変わらねえ。そこで、とりあえずその設備が形になるまでの間、どうやって防衛力を高めるか、ってことを考えたんだ」
トリシア「ふむふむ」
ディスト「……それには、俺以外の村の連中に多少なりとも戦える様になってもらうのが一番だ。だが、もちろん皆一斉に旅に出られちゃ、町が保たん」
トリシア「でしょうね」
ディスト「そこでだ、アンちゃん達に1つ頼みたいことがある。「講義試合」ってのの、相手になっちゃくれないか」
クライブ「……講義試合?」
ディスト「ああ、アイツらに直接稽古を付けてもらおうとも思ったんだが、まだそんなレベルでもなくてな、直接やってもらっても得られるものが少なそうなのが現状だ。だから、まずはアンちゃん達と、俺と二人組の姉ちゃん達で皆の前で試合をして、見て学んでもらおう、っていう話よ」

トリシア「すぐに出発するわけでもないし、時間はあるけども」
クライブ「いいだろう、その依頼受けた。……お前らはどうする?」
パワー「さあこい!」
ジョルティ「貰えるモノ次第ですなあ?」
ディスト「報酬か、ウチの工房証はもう渡しちまったしな……何がほしい?」
パワー(布団かな)
ディスト(布団!?)
トリシア「ディストさんの技術っ、てのはどうかなー?」
ディスト「技術か。ふむ、確かにアンタもクラフトのようだな。……良いだろう、どの程度教えられるかは分からんが、銀加工の技術を教えることを約束しよう」
トリシア「故郷でいろんなモノ作ってるおっさんを見てきたけど、銀職人ってのも珍しいなーって思って」
ディスト「ウチは銀鉱山だからな、昔は別の鉱石も採れたらしいが今はこれ一本だ。それでいいか?他の連中はどうだ、他となると、出せるのは金とメシぐらいなもんだが」
クライブ「……クラフターであるトリシアの技術が向上するなら、パーティの資産として十分だろう」
ジョルティ「メシが出るなら文句はない!」
パワー「うまいもんだせよジジイ!」

ディスト「よし、こっちとしてはお安い御用だ。それじゃ、講義試合の件、宜しく頼んだぞ」
トリシア「あ、ちなみにいつから?」
ディスト「今日の昼だ」
ジョルティ「今日ぉ!?」
ディスト「ハハハ、断られることはないと思ってたんでな、皆に先に言っちまってんだよ!それじゃ、昼に広場に集合してくれよ!ガハハハハ」

〈コンディションチェック:相手チーム〉
ディスト:7
ニーナ:8
クレール:12

何やら面白いことになって来ました。彼らがニーナさん達と試合をすることになったようです。となると、色々と話しておきたいこともある、ということで、ニーナさん達の元にいるであろうリーズさんの所へと向かうことにしました。

どうも、おはようございます、リーズさん。
ええ、そちらも話は聞いていますよね。試合をするというのは、なかなか面白いと思うのですが……その、ちょっと気になる事もあって。
私達が手を出すと泥仕合になってしまいますから、今回はお互い、「ブレス」を使わないということにしませんか?試合が決まりそうになったところで、竜人の体力が尽きるまでカコのブレスの打ち合いをするのも疲れるだけですし。
それと、もう1つお願いしたいことがあるんですが……今回は、リーズさんの水晶の加護を皆に掛かるようにして貰えませんか?
いえ、実は今日、かなり体調の悪そうなのが2人ほどいまして、そのまま戦うとちょっと危ない気がするんですよね。
良いですか?ありがとうございます。

――さて、そんなことをしている内に昼になりました。(割愛していますが、この後も暫くリーズさんとお話していました)。ニーナさん達について町の広場に向かうと、そこには随分多くの人が集まっているようでした。ディストも、その中心にいます。

ディスト「おお、来てくれたか、急に頼んですまなかったな」
ニーナ「いえいえ、私達としても、彼らの実力をもっと知りたかったので良い機会です。ね、クレール」
クレール「ええ。ニーナからグリフォンぐらいなら軽く倒してしまう人達だと聞いています。十分気をつけて挑みましょう」
ディスト「おう。姉ちゃん達は2人共魔法使いだよな?じゃあ、俺が前に出て――」

と、ニーナさん達とディストが作戦会議をしていると、私の旅人達も広場に到着したようです。2人ほど相変わらず気だるげな雰囲気ではありますが、ちゃんと約束を守ってくれたようで胸を撫で下ろしました。

トリシア「お手柔らかに頼んます」
ジョルティ「意外に人いるんだなこの町」
クライブ「……宜しく頼む。こちらも学ばせてもらうつもりだ」
ディスト「おう、来てくれたか!こっちは準備万端だ!」
クライブ「こちらも問題ない」
ディスト「集まってくれた皆、知っていることだとは思うが……この4人は銀針の蠍を倒して捕まえてきた腕の立つ旅人達だ。こっちの姉ちゃん2人も、ここまで2人で辿り着いたってだけでも十分な腕があることが分かるだろう。こいつらの試合を見て、よく学んで欲しい!」

ディストの掛け声で、観衆から声が上がりました。思った以上に、彼らは注目されているのかもしれません。そうしている間に、リーズさんが水晶を掲げて、皆に加護を与えました。

《試合開始》

広場の周囲は多くの人が囲んでおり、あまり動ける範囲は広くありません。
比較的整備されているため使えそうなものもあまり多くはないという印象です。

〈イニシアチブチェック〉
後 弓 トリシア:14 /HP21
前 弓 ジョルティ:9/HP26
前 剣 クライブ:8 /HP18
前 斧 ディスト:7 /HP29
後 短 クレール:6 /HP16
前 斧 パワー:5 /HP23
後 短 ニーナ:3 /HP11

〈ラウンド1
皆が臨戦態勢となっている中、一番初めに動き始めたのはトリシアでした。トリシアの戦闘時の素早さには目を見張るものがあります。トリシアは瞬時に集中し、後列にいるニーナさんに向かって矢を放ちました。
トリシアの矢は真っ直ぐとニーナさんを捉え、早速大きなダメージを与えました。

次に動いたのは、同じく弓を持つジョルティです。

ジョルティ「悪いけど、前の戦闘でニーナさんの実力は知ってるからね、早々にご退場願おう!」

ジョルティの放った弓もまた、ニーナさんに命中します。ニーナさんはこれで倒れこんでしまいました。……まあ、見るからに体力がありませんからね。

次に、クライブがまずじっとディストの動きを見極め、それから剣を振るいました。クライブの剣はディストに命中したものの、鎧がダメージを軽減させ、それほどの痛手とはなりませんでした。

ディスト「よーし、俺も力を見せないといけないな!お返しをさせてもらう!」

ディストはそう気炎を上げると、今攻撃をしてきたクライブに対して斧を振り下ろしました。勢いがある中にも落ち着きの見えるその一撃は、クライブに非常に大きなダメージを与えることになりました。

ディスト「どぉらあああああ!」
クライブ「…づぅっ」
トリシア「しんだな」
ジョルティ「いや、持ちこたえた」
クライブ「お前ら戦闘後覚えてろよ……」

彼らがそんな話をしていると、クレールさんが倒れこんだニーナさんの元へと駆け寄りました。

クレール「しっかりして、ニーナ!このままじゃ見せ場ないよ!」

クレールさんはキュアタッチでニーナさんの傷を癒やしました。ニーナさんは意識を取り戻して立ち上がり、目を擦っています。

ニーナ「助かったわ、クレール」

次に、パワーは先程のディストの一撃を見たためか、珍しく身を固めているようでした。あるいは、仲間への攻撃を庇おうとしているのかもしれません。

そして、起き上がったニーナさんは、即座に落ち着きを取り戻して魔法の詠唱を始めました。唱えた魔法は「スノーボール・ストーム」。この魔法は前衛の者達全員に対して雪球を降らせるというものです。

ニーナさんの降らせた雪球は、前衛にいた全員……ジョルティ・クライブ・パワー、そしてディストに命中しました。

ニーナ「クレールが作ってくれた見せ場、活かさないとね!」
クレール「流石ニーナだわ!」
ディスト「おい!?俺にも当たるなら先に言っておいてくれねえかな!?」
ニーナ「あ、すみません、当たります」
パワー「ぽんこつやんけあの女」
ジョルティ「誰かシロップ持ってない?雪、美味そう」

〈戦況変化〉
後 弓 トリシア:14 /HP21
前 弓 ジョルティ:9/HP20(-6)
前 剣 クライブ:8 /HP1(-17)
前 斧 ディスト:7 /HP22(-7)
後 短 クレール:6 /HP16
前 斧 パワー:5 /HP18(-5)
後 短 ニーナ:3 /HP3-13)(+5)

〈ラウンド2
味方すら気にしない魔法の使用に、トリシアも少し危機感を覚えたようです。魔法を詠唱させまいと、再びニーナさんに向かって矢を放ちました。この矢はまたニーナさんに命中し、ニーナさんはその場に倒れこみます。

クレール「ニーナがまたやられてる!」
ジョルティ(クレールさんはちょっと可愛いな)
ジョルティ「よーし、おじさんクレールさんのハート撃ちぬいちゃうぞー」

続いてジョルティは、クレールさんに向かって矢を放ちました。しかし、矢は全く見当違いの方向へと飛んでいきました。……この時、隣にいたリーズさんが物凄い目でジョルティのことを見ていました。

クレール「矢が明後日の方向に……!?狙いは何……!?」
ジョルティ「はいはい!こんなものこんなもの!」
トリシア「はずしてやんのー」

クライブは、いつ倒れてもおかしくないような足取りをしていましたが、表情にはどこか笑みが浮かんでいました。死を前にした集中力で、ディストに向かって渾身の剣を放ちます。その攻撃は、確かに鎧を超えてディストに傷を作りました。


ディスト「ううむ、良い腕だ!」
ディスト「しかし、他の連中の腕も見ておきたいな、そこの弓使い!何故前線にいる!?」
トリシア(あれ、デジャヴかな?)
ジョルティ「え?楽しいから?」
トリシア「前線弓、楽しいよね」

ディストは近くにあった街灯を軸に回転しながらジョルティに斧を振りかぶり、やはり大きなダメージを与えました。

ジョルティ「うおっ、やっぱりおっさん重いな……!」

クレールさんは、再び倒れこんでしまったニーナさんに癒しの力を行使します。ニーナさんはまた、即座に立ち上がりました。

クレール「ニーナ!起きて!朝よ!」
トリシア(昼ですよ)
ニーナ「おはよう、クレール」
ジョルティ(ゾンビか……?)
トリシア(怖い……)
パワー(丸太とか投げられないか?)

パワーはここで、身を守るのを止めたようです。ディストをなんとか気絶させようと斧を振るいましたが、ディストは紙一重でそれを回避しました。

ディスト「惜しいな!」
パワー「惜しくねえよ!避けんなジジイ!」

そして、ニーナさんが再び詠唱を始めました。唱えるのは「スノーボール・ストーム」、またもや前衛に雪球が降り注ぎます。これで、クライブは倒れこみ、動けなくなってしまいました。……水晶の力がなければ死んでいたところです。リーズさんのお陰で助かりました。

ニーナ「ニーナ・アメレールは何度でも蘇るわ!」
クライブ「づあっ……」
ジョルティ「寝るな!死ぬぞ!」
ディスト「後頭部が痛え!雪球が……!」

〈戦況変化〉
後 弓 トリシア:14 /HP21
前 弓 ジョルティ:9/HP10(-10)
前 剣 クライブ:8 /HP-4(-5) 気絶
前 斧 ディスト:7 /HP14(-8)
後 短 クレール:6 /HP16
前 斧 パワー:5 /HP13(-5)
後 短 ニーナ:3 /HP5(-3)(+5)

〈ラウンド3
トリシアはここで、ニーナさんを狙うのを止め、まずは前衛のディストを倒すことを考えたようです。照準をディストに変えて放った一撃は、鎧の隙間を抜けるように大きな痛手を与えました。

ディスト「ぐぉ……!その細腕でこんな……!?」
トリシア「今のはいいところ入ったなー」

次に、ジョルティは誰を狙うか少々考えているようでした。またクレールさんを狙おうとも思っていたようですが、クライブがやられたこともあり、真面目にやらなければと思ったのかも知れません。ディストに照準を変えて矢を放ちます。
……が、矢は急に吹いた突風でディストの横を抜けて行きました。

トリシア「その距離で当たらないの?」
ジョルティ「この弓、お前のところで買ったんだぞディスト!なんか仕込んだな!?」
ディスト「おいおい、滅多なこと言うもんじゃねえぜ!?」

ディストはその勢いのまま、ジョルティに対して攻撃を行います。攻撃は命中したものの、手が滑ったのか、大したダメージにはなりませんでした。

クレールさんは、再びニーナさんに魔法を唱えました。今度は回復をさせるのではないようです。

クレール「ニーナ!もう倒れちゃ駄目よ!セーフティ・ゼロ!」
ニーナ「体が軽い……」

セーフティ・ゼロは、一度だけ体力が失われるのを防ぐ魔法です。クレールさんは、ともかくニーナさんのサポートに徹しているようですね。

パワーはディストにトドメを刺そうと斧を振るいましたが、またも紙一重で避けられてしまいました。

パワー「動くなよ!」
ディスト「無茶言うんじゃねえよ!」

ニーナさんは、どう攻撃するのか悩んでいるようでした。ディストの傷が深刻になってきたため、スノーボール・ストームを射つべきかを考えているようです。一瞬の逡巡の後、ニーナは左手に持った魔道書のページを変えました。

ニーナ「ジョルティさん、ちょっと目線が怖いです!」
ジョルティ「うるせー!お前じゃねえよ!」

ニーナさんはジョルティに向かってシューティング・スターの魔法を放ちました。放たれた火の玉は命中し、鎧越しにその体を焼きます。

ジョルティ「くっそぉ……魔法は苦手だなあ」

〈戦況変化〉
後 弓 トリシア:14 /HP21
前 弓 ジョルティ:9/HP5(-5)
前 剣 クライブ:8 /HP-4 気絶
前 斧 ディスト:7 /HP4(-10)
後 短 クレール:6 /HP16 
前 斧 パワー:5 /HP13
後 短 ニーナ:3 /HP5 セーフティ・ゼロ

〈ラウンド4
トリシア「おっちゃん覚悟」

トリシアは今度こそディストを倒そうと矢を放ちました。しかし、またもや突如吹いた突風によって矢は遠くに飛んでいってしまいます。

トリシア「だめでした」
ディスト「なんだか矢の当たらん日だな。風向きかね?」
ジョルティ「なら当たるまで射つ!」

ジョルティもトリシアに倣い、ディストに向けて矢を放ちます。風も鎧も突き抜けて、その矢はディストへと命中しました。ディストは堪らず膝を付き、そのまま倒れます。
前衛が崩れたことで、後方にいたクレールさんが前に飛び出しました。

クレール「うーん、本当はニーナ以外には触りたくないんですけど……。仕方ないですね……」

前に飛び出したクレールさんは、今しがた倒れたディストに触れて回復の魔法を使いました。ディストは目を覚まし、ゆっくりと立ち上がります。

ディスト「おや、なんで前にいるんだ姉ちゃん」

クレールさんがこの時、苦虫を噛み潰したような顔をしていたのを私は見逃しませんでした。

クレールさんが前衛に飛び出したのを見て、パワーは矛先(斧ですけど)をそちらに向けました。魔法を使った直後だったこともあり、クレールさんは身を翻すことができません。

パワー「クレールをなグレール」
ジョルティ「パワーさん、後でちょっと話し合いな?」

ニーナさんは、再び使う魔法に迷っているようです。ディストは一先ず回復したものの、今度は前にクレールさんがいることで、スノーボール・ストームの使用を躊躇ったのでしょう。

ニーナ「仕方ありません、ジョルティさんお覚悟!」

そして、ニーナさんは結局ジョルティに向かってシューティング・スターを放ちました。これがジョルティに命中し、ジョルティは膝を着きました。

ジョルティ(お前も後で覚えてろよゾンビ!)
クレール「目標沈黙!」

〈戦況変化〉
後 弓 トリシア:14 /HP21
前 弓 ジョルティ:9/HP-1 気絶
前 剣 クライブ:8 /HP-4 気絶
前 斧 ディスト:7 /HP6(-6)(+8)
短 クレール:6 /HP10(-6) 
前 斧 パワー:5 /HP13
後 短 ニーナ:3 /HP5 セーフティ・ゼロ

〈ラウンド5
トリシアはここで、パワーの攻撃でダメージを受けた回復役であるクレールさんをまず動けなくすることを考えたようです。これまでの失敗を糧にしたような矢が、クレールさんに向かって一直線に飛んでいきました。

トリシア「クレールさん怖いです!」
クレール「あなたも十分怖いですよ……」

トリシアの矢が命中したクレールさんは、その場に倒れました。ニーナさんが一際慌てているような様子に見えます。……隣にいるリーズさんもとても慌てているような様子に見えます。

ディスト「ガタイ比べと行こうぜ、デカイの!」

ディストもかなり傷を負っているはずですが、勢いには衰えを感じません。ディストと同じく体の大きいパワーに向かって斧を振り下ろしました。その一撃はかなり良いところに入り、パワーもまたその場に倒れました。

パワー「さよならなのだ」
ディスト「渾身の一撃だ!」

トリシア「おう、スノーボール打ってみろよ!」
ニーナ「クレールがいなければそうしますけどね!」
トリシア「びびってんのかー?」
ニーナ「最後の一撃です!」

トリシアはニーナさんに対してスノーボールを使うように挑発をしましたが、倒れているクレールさんに当たるということでニーナさんは結局そうしませんでした。……びびってんのか、と言いますが、自分に当たらない魔法を打たせようとしているトリシアも……いえ、止めておきましょう。

ニーナさんはトリシアに向けてシューティング・スターを放ち命中させますが、魔力が足りないのか、十分なダメージとはなりませんでした。

〈戦況変化〉
弓 トリシア:14 /HP19(-2)
前 弓 ジョルティ:9/HP-1 気絶
前 剣 クライブ:8 /HP-4 気絶
前 斧 ディスト:7 /HP6
前 短 クレール:6 /HP-1 気絶
前 斧 パワー:5 /HP0(-13) 気絶
後 短 ニーナ:3 /HP5 セーフティ・ゼロ

〈ラウンド6
ジョルティ、クライブ、パワーの前衛3人が倒れたことで、トリシアもついに前へと引きずり出されました。21の状況でも、トリシアの目は光を失っていないように見えます。
トリシアはまずニーナさんの動きを止めようと、矢を放ちました。矢は命中しましたが、それほど大きなダメージとはなりません。

ディスト「残るは1人だな!悪いが食らってもらうぞ!」

トリシアを射程に捉えたディストは、重い斧を軽々と振り回して攻撃します。ディストの軽快な攻撃をトリシアは避けることができません。

流石のトリシアもここに来てニーナさんの魔法で倒れることも覚悟したようでしたが……その時、ニーナさんがディストの隣へと飛び出してきました。

ニーナ「……もう、魔力がありません!!傍に来たよ、クレール!」
トリシア「ええ……」
ジョルティ(なんだあのゾンビ)

〈戦況変化〉
前 弓 トリシア:14 /HP12-7
前 弓 ジョルティ:9/HP-1 気絶
前 剣 クライブ:8 /HP-4 気絶
前 斧 ディスト:7 /HP6
前 短 クレール:6 /HP-1 気絶
前 斧 パワー:5 /HP0 気絶
短 ニーナ:3 /HP2(-3) セーフティ・ゼロ

〈ラウンド7
ニーナさんの魔力が切れているということで、トリシアは矢をディストに向け直しました。

トリシア「魔力のないマジッカーなんてどうでもいい!おっちゃん覚悟!」
ディスト「来るか……!」

トリシアの矢は、ディストの鎧を貫き、今度こそディストを沈黙させることに成功しました。

ニーナ「残ったのは私達2人だけ……ここは最後まで戦いましょう!」
トリシア「あぁ?」

ニーナさんも残ったトリシアに向けて短剣を振るいますが、慣れない近接戦闘ということもあり、全く命中させることができませんでした。

ニーナ「当たらないよ!助けてクレール!」
トリシア「がんばれー」

〈戦況変化〉
前 弓 トリシア:14 /HP12
前 弓 ジョルティ:9/HP-1 気絶
前 剣 クライブ:8 /HP-4 気絶
前 斧 ディスト:7 /HP0 気絶
前 短 クレール:6 /HP-1 気絶
前 斧 パワー:5 /HP0 気絶
短 ニーナ:3 /HP2 セーフティ・ゼロ

この後の展開については、もはや言うまでもないものでしょう。トリシアが放った矢がニーナさんに命中し、ニーナさんを包んでいた魔法の守護が解けました。

そして、ニーナさんの攻撃はやはりトリシアに命中することはなく……再び放たれたトリシアの矢によってニーナさんは倒れました。……ともあれ、私の旅人達は辛くも試合に勝利することができたわけです。……終わった頃にはニーナさんが矢まみれになっていました。いかに水晶の加護があるとはいえ、大丈夫なのでしょうか……?

《試合終了》

終わってみれば、7人中6人が倒れているというなかなか見られない接戦でした。その後、周囲で見ていた観衆の方々が倒れている皆にハーブを使って治療を行い、程なくして皆目を覚ましました。

クライブ「つぅ……」
ジョルティ「イテテ、やっぱ模擬戦とはいえ、何が起こるか分からんもんだね」
トリシア「そこのサイコレズ怖いわ」
ディスト「っ……どうやら気絶していたらしいな。結局どうなったんだ?」

目を覚ましたディストに、治療を行った町の人が試合の結果を伝えました。ディストは得心したように頷きます。

ディスト「いやはや、思ってたより良い勝負になったな」
トリシア「おっちゃん強いねー」
ディスト「アンタもな。鎧を貫通する矢ってのはなかなかない」
クライブ「……今回の殊勲賞はトリシアだな」
ニーナ「近接戦闘も学ばないといけませんね」
クレール(ニーナの矢を抜いて治療中)

ディスト「と、いうことで、今日の講義試合はここまでだ!旅人の皆、協力してくれて助かった!」
ディスト「それと、トリシア……だったか?そこの弓の姉ちゃんは後で俺の工房に来てくれ。礼の約束を果たそう」
トリシア「ちゃんと教えてもらわないと割に合わんね」
ディスト「他の皆は宿に戻って待っていてくれ。後で美味いもんを届けさせる!」
ジョルティ「イヤッホオオオオオオ!ウマイメシダアアアア!ウオオオオ!!!」
ディスト「裏の山で採れたイノシシを使った鍋だ。レパーリアから仕入れた香辛料を使ってる、ウチでもなかなか食えない逸品だ」
ジョルティ(うんうん、こういうのでいいんだ)

そして、トリシアはディストと連れ立って工房へ、他は皆各々宿へと戻ってきました。私は……とりあえず沈んでいるように見えるリーズさんに会釈をして、トリシアに着いて行くことにしました。

トリシア「おっちゃん、お願いします」
ディスト「おう。それで、金属加工の経験はあるのか?」
トリシア「見て遊びで作ったことぐらいはあるけども、ちゃんとしたものを作ったことはないかな」
ディスト「なるほど、まあ、その手だ。それはそうだろうな。それで、どの程度のものが作りたいんだ?売れるレベルのものなのか、自分たちで使えれば良いものなのか」
トリシア「ご飯もそうだけど、使う人にとって満足できたら幸せよね」
ディスト「そうか、そういうことなら分かった。加工の基礎から教えよう。後どれくらい滞在するんだ?」
トリシア「特別すぐ出るってことはないよ」
ディスト「そうか。とはいえお前達も旅人だ、数年いるわけではないだろう。形にできるのは1つぐらいだな」
トリシア「個人的には学べるなら数年でもいたいけど。あいつらほっとくわけにもいかないよね」
ディスト「そうか。案外仲間思いだな」
トリシア「じゃあ……持ってる防具とかに銀で補強をしたりとか、そういうのはどう?」
ディスト「なるほど、俺は1から作るのが専門だが、そういう方面も面白いな。分かった、俺の方でも考えておこう」

ディスト「それと……実はもう1つ頼みたいことがあるんだが……」

トリシアへ教える技術が決まったところで、ディストはそう切り出しました。
……丁度キリが良いですから、今回はここまでにしておきましょう。ディストの頼みは、この後の物語に大きく関わることになりますから。

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こちらは、2016/6/11に行ったオンラインセッションのリプレイです。
ノーティのPLが参加出来ないということが先に分かっていたので、今回は外伝的な内容になる予定でした。……というより、この時点までは外伝だったのですが、この後の展開がかなり予定していたものと変わりました。
その辺りは、後編をお読み頂ければと思います。
ちなみに、今回は後編の前に「番外編」が挟まります。ロールプレイオンリーの短いものですが、ちょっと毛色が違ったので分割することにしました。

【参考サイト】
りゅうたま公式(りゅうたまのルールブックはこちらから無料でダウンロードできます)

りゅうたまポータル(各種情報や初心者向けの解説などが豊富です)

2 件のコメント:

  1.  成る程。
     セッション時にはニーナさんが雪玉ぶっ放した辺りしか見てなかったので、
    「ディストと蒼竜組が謀って盗賊の首領ごとPCを罠に嵌めたのか?」
     と思っていました。こんな話だったんですね。

     かなり予定と変わった展開とやらに期待して、ゆっくりお待ちしています。

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    1. コメントありがとうございます!確かに、戦闘部分だけを見ていると敵対したように見えますね。もうちょっとのんびりとした話になっていました。
      かなり予定の変わった後編の前に、番外編が挟まりますが、お待ち頂ければ幸いです。

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