2016/12/18

りゅうたまリプレイ 第二十九話「魂の鋼」 【キャンペーン】

お待たせしました竜の君。やはりおかしいと思い、今回は早めに戻りました。
どうにも、竜の君のおっしゃるとおり冬の竜に何かが起こっていることは間違いないようです。そうでなければ……説明が付きません。
この事は私の方でも少し調べてみたいと思います。……それはそれとして、今回の旅物語もしっかり用意してきました。


第二十九話「魂の鋼




冬の月30日夕方
ツェイドに到着した皆は、まず町の中を歩き始めました。町の中を見ながら、中央に向けて歩いていきます。町中では、常にカンカンという金属を叩く音が聞こえていました。

ノーティ(鍛冶の音が心地良いいい街ですね
ノーティ「いやあ、なにもないところですね!!
ルー「町の真ん中に大きな商館があるって看板がありましたよー」
ティエ「わー
ノーティ「商館。ほう
ルー「武具が中心みたいですけど、買取もしてくれるみたいでしたよ、ティエさん
ティエ「とりあえず行きましょう 特産品あるかなー
ノーティ「書籍なり杖なりがあればいいんですが……あまり期待出来なさそう
ティエ「余ったレパーリア扇子もドンドンお金にしちゃおうねぇ

町の中央にある商館では様々なものが取り扱われていましたが、中心となっているのは飾り武器や飾り防具の類のようでした。実用的な武具の扱いはあまりないようにみえます。

クライブ(あまり実用品は並んでないようだな…)
商館の主いらっしゃいませー
パワー「呪いの装備はあるかー!?
商館の主そんなものは扱っていませんよ!
パワー「えー!!
商館の主呪われている方が良いというのは珍しいお客様で…
ノーティ「有ってもせいぜい曰くつきとか、そういう濁し方があるでしょう……
商館の主こちらではそういうものもあまり扱っていませんねぇ。古い武具ではなくて、新しく作ったものばかりですから
商館の主買い取った古い武具なども打ち直しをお願いして新しくしてしまうので、なかなかそういうものは
商館の主こちらでは実用的なものはあまり扱っておりませんので、そういったものをお求めなら町鍛冶に直接オーダーして頂くのが良いかと思います
ノーティ「こういう飾りのような武器防具はどういった方が買われるんですか?
商館の主まあいわゆるお守りのようなものです。お土産品ですよ
ノーティ「なるほど。確かに見事な作りです
商館の主ただ、飾り武具もこの地方でしか取れないツェイド鉱を使っておりますので、頑丈で品質は確かですよ
ノーティ「そうなると鉱員の方々もこの街にはおられると
商館の主ええ、そうですね。ただ武具のオーダーに関しては特別な制度がありまして詳しくは町鍛冶の方に聞いて頂けると良いかと思います
ティエ「ちなみにココってミスリル製品やオリハルコン製品はありますか?
商館の主素材があれば加工はできると思いますが……そのままでの販売はありませんね。基本そういったものもオーダーです
ティエ「あとはコレ加工できます?

ティエが荷運び動物の箱の中から、割れた隕鉄を見せると、商館の主は少し驚いたような表情をしました。

商館の主おや、これは珍しいものを……ええ、町鍛冶の中には対応できる方がいます。ご紹介しますよ
ティエ「お願いしますー

商館の主はサラサラと工房への紹介状と、工房への簡単な地図を書き、ティエに手渡しました。
工房の紹介状には「ゴルディーニ工房」という名前が書かれています。

ノーティ「ありがとうございます。といっても、肝心の人物がどこかへ行ってしまいましたが……食事処でしょうか? ジョルティさんが一番隕鉄について気にしていたのに」
ルー「さっき美味しそうなお店があった! と走っていきましたPL遅刻)」
ノーティ「探すのも一仕事ですね。はあ……とりあえずどこかいえ、もう宿に泊まる時間でしょうか?
ルー「そうですね、結構遅くなってしまいましたし……明日にしましょうか?
ノーティ「明日にしますか
ティエ「ここら辺で動物11匹おいておける宿ありますかー?
商館の主「ええ、御座いますよ。そちらも地図をお書きしますね」
ティエ「じゃぁ宿はそこにしましょう

こうして皆は紹介された宿へと向かいました。ティエだけは他の皆を先に行かせて、ゴルディーニ工房の前を見に行くことにしたようでした。

ティエ「ここがゴルディーニ工房か。……小さい工房だけど大丈夫なのかな」

ティエが見る通り、ゴルディーニ工房は確かに町中の他の工房に比べても規模は小さいものでした。また、オーダー以外を受け付けていないようで、一般客のようなものは見当たりません。
ただ、中からはカンカンと鉄を叩く音が聞こえています。まだ仕事をしているようです。

ティエ「うわー 紹介状もっててよかった。ま、帰ろ。詳しくは明日で良いよね」
ティエ「にしても、年末にこんな遅くまで仕事してるなんてなー」

こうしてティエも宿へと向かい、その日は休むことになりました。

春の月 1
そして翌日……おかしなことに、全く暖かくなっていません。今日もまだ雪が降っています。
竜の君に問題がないなら、これはもう冬の竜に何かあったとしか考えられません。……竜の君、サボってるだけじゃないですよね?

ティエ「冬の月31日まであるんだっけ?
ノーティ「皆さん、今日はもう春ですよね?
ルー「あれ…?そのはずですよね
ルー「寒いですね……雪も降ってる」

〈コンディションチェック〉
パワー:14(絶好調)
クライブ:Fumble
ティエ:10(絶好調)
ノーティ:19(絶好調)
トリシア:17(絶好調)
ジョルティ:12(絶好調)
ルー:7

〈春の竜の加護〉
クライブ:16(絶好調)

そういえば、春になったことで竜の君の加護が効くようになったのでしたね。暦の上では春ですから、特に問題なく加護を与えることができていたようですよ。

ティエ「先立つものと荷物スペースの関係上、昨日売り忘れた扇子を売りに行こうかと思います」
ルー「トリシアさんデザインの扇子なら、高く売れそうですね!
クライブ「まぁ、場所をとるしな。仕方あるまい
トリシア「それを売るだなんてとんもない!
ティエ「トリシアさんの言うとおり、とりあえず人数で割ってるので必要な人だけ渡してください。収益も個別で分けましょう」
ノーティ「では預けておきます。私は特に贈りたい相手もおりませんので」
ルー「とりあえず、商館に行ってから鍛冶屋さんですかね?
ノーティ「商館なら確実に開いているでしょうそちらに先に向かいましょうか

皆は朝一番で商館へと向かいました。商館は見込み通り開いており、朝から賑わいを見せています。

トリシア「色んな物があるんだなー」
ノーティ「(大したものもないでしょうに)大した賑わいですね」
商館の主おや皆様、いらっしゃいませ。工房には行かれましたか?
ティエ「見てきましたー夕方までやってるんですねえむしろあれは夜まで続くのかな?
商館の主そうですね、ゴルディーニさんの所はだいたい夜9時ぐらいまでは開いてますね
ティエ(はえーすっごい)
ティエ「ミスリル製のなにかとかオリハルコン製のなんか売ってないかなぁ素材に

商館の主ミスリルやオリハルコンのものはないですねぇ
ティエ「そうかー」
ティエ「あ、そうでした。コレを売りにきたんですよ。買い取っていただけません?」

ティエは皆から預かったトリシアデザインの扇子を取り出し、商館の主に見せました。商館の主はそれを手にとって珍しそうに見ています。

商館の主おや、これは珍しい木の扇子ですね。どちらのものですか?
ティエ「レパーリア土産の新作ですよーまだそんなに出回ってないと思いますけど、これから人気が出ると思いますよ?」
商館の主ほほう、最近はあまり見かけませんでしたが、このようなものを作っていらっしゃるんですね
ノーティ「あの街は一時期の没落から復興しまして なかなかの景気回復を見せています
商館の主なるほど、それは良い話を聞きました。今度視察に参ることにしましょう
商館の主品質も良いですね、勿論買取致します

商談のさなか、ティエの背後からジョルティが近づき、またスプラウトの魔法を使っていました。

〈ジョルティ:春魔法「スプラウト」→ティエの精神〉
発動判定:8

ジョルティ「ほら、悟れよねぇ、悟った? ね今どんな悟り? ……反応ねぇな悟ってんな

魔法を使った後、ティエの耳元で何やら囁いていましたが、ティエは全く反応を示しませんでした。……これがピークに達した精神のなせる業……なのでしょうか?

〈ティ:春夏冬:口八丁〉
効果判定:228割増し)

商館の主ふむふむ…これはかなり良いものですね。確かに新しい流行になるかもしれません
トリシア「センスがいいからな」
商館の主え、ええそうですね。扇子だけに
トリシア「えっ?」
商館の主「えっ?」
商館の主「ま、まあ、それでは118000Gで如何ですか?
ティエ「よござんす
歩く喋るノート「今年の夏には巷で流行間違い無しだな!」
商館の主変わったノートをお持ちですね…やはりいつも旅人の方は面白いものです
商館の主ゴルディーニさんにも宜しくお伝え下さい
ノーティ「元は僕のものではないですし……売って入ったお金はパーティで運用してください
ティエ「あ、ありがとうございます じゃあみんなの宿代とか食事代にさせて貰いますね

……ノーティはおそらく、ちゃんと売り上げの値段を聞いていなかったのでしょうね。それほど高く売れるとは思っていなかった節があります。
ルーはルーで思っていたよりもかなり高額で売れたため、ティエの手腕に感心しているようでした。

ティエ「さて売り物も終わったし鍛冶屋にいきますかえーっとゴルディーニ工房
ノーティ「それでは向かいましょう

皆、朝の10時頃にゴルディーニ工房に到着しました。
まだ朝であるにも関わらず工房は開いておりカンカンと音が響いています。

ティエ「おはようございますー

ティエが工房の中に向かって声を掛けると、さらに2,3回鉄を叩く音が聞こえた後に止み、工房の入り口から1人の男性が顔を出しました。
男性はそれほど大柄ではないものの、右腕だけは筋肉質でした。頭に毛髪はなく、左目には古い傷があるように見えます。
そして、皆が工房前にいるのを確認して、無愛想な声で話しかけてきました。

男性「ん、何だ、客かね
ティエ「はい、商館でこういうものを」

ティエが懐から昨日受け取った紹介状を男性に渡しました。男性はその紹介状を一瞥し、内容を特に確認することもなく作業机の上に置きました。

男性「おや…紹介状か。俺はキューロ・ゴルディーニ、この工房の鍛冶屋だ。客ということは……オーダーメイドの武具をお望みかね
ティエ「ええ、彼らが
トリシア「わたしは社会見学希望です」
ゴルディーニ「社会見学……? ああ、クラフトか。見ている分には勝手にしてくれて良い」
トリシア「やったぜ」

トリシアは言質を得たりと、その場から工房の中を覗いてみていました。

ティエ「そしてコレをくっつけたいんですが、出来ますか?」
ジョルティ「可愛い女の子の声で話すようにしてくれよ!」

ティエが今度は荷運び動物の中に入れてあった割れた隕鉄をゴルディーニに見せます。ゴルディーニはそれを興味があるというような目で見ていました。

ゴルディーニ「隕鉄か。加工は可能だが……今は必要な素材が足りていなくてな」
ティエ「隕鉄ってそれだけじゃダメなんですか…」
ゴルディーニ「ああ、隕鉄は普通の鉱石よりも高温でなくては溶けん。普通の石炭では扱えなくてな」
ティエ「ふうむ、ではどのように?」
ゴルディーニ「それには焔炭という特別な石炭が必要でな……丁度良い、武器のオーダーメイドを注文するなら、どちらにせよ説明する必要があるな。そちらと併せて話そう」

ゴルディーニうちの工房では、加工に使うツェイド鉱石は自分で持ってきてもらうことにしている
ゴルディーニ良い武具は、良い使い手がいて初めて意味があるからだ
ゴルディーニ北にある高山に坑道がある、そこで採掘してきてもらっている
ゴルディーニ「隕鉄の加工に必要になる特別な燃料…焔炭も同じ場所で見つかる。こちらは貴重だが……」

ティエ「魔物その他の危険情報はどっかにあります? できれば地図も」
ゴルディーニ一応整備はされているはずだが……奥までは分からん
ゴルディーニ地図はないが、外までトロッコ用のレールが続いている。迷うことはないだろう
ジョルティ「カナリアの貸出は?
ゴルディーニ「なんだ、詳しいな。ガスの心配をする必要はない」

ゴルディーニ……という具合だ。入山料は1人当たり500G、貸出のピッケル付きだ
ティエ「良いピッケルがあればもっといっぱい取れるかな」
ゴルディーニピッケル自体はそれほど重要ではないな…ツェイド鉱の採掘は見極めも重要だ
ゴルディーニトロッコも1500Gで貸し出している。……それと、あまり勧めないが、採掘用の爆弾も購入できる。こっちは商館で聞いてくれ
クライブ「勧めないとは?
ゴルディーニ単純に危ない
ゴルディーニ一応威力は調整してあるはずだが……落盤しないとも限らんしな
クライブ「なるほどな
ノーティ「私なら爆弾でないと上手く行かないでしょうね……設置する場所には自信がありますが
ゴルディーニ「もし余剰のツェイド鉱石が出たら、買い取らせてもらう。それでオーダーメイドについてだが……俺の工房ではこういう加工ができる」

そう言ってゴルディーニは、2枚のリストを取り出しました。

























ジョルティ「これはどういう?」
ゴルディーニ「俺の作る武器は、単純に強いって言うだけのものじゃない。細かい細工を加えることで、様々な効果を持たせられるようになっている。ただし、プラスの加工をするなら、同じだけマイナスの加工もしなければならん」
ジョルティ「竜殺しってのは? 実際に竜で試したのか!?」
ゴルディーニ「いいや、残念ながら。昔見た大昔の壁画にあった、竜と対峙する人間が持っていた剣に書かれていた刻印をするだけだ。実際にいるとも知れん竜への効果は保証はできん」
ジョルティ「なるほどねぇ」
ゴルディーニ「加工が難しいものになるほど、必要になるツェイド鉱も多くなる。どの程度の加工をするのか考えておくんだな」
パワー「両手に斧を持ちたいんだが!」
ゴルディーニ「それなら、軽い左手用の斧を作って、今持っている斧を軽くすれば良い」
パワー「なるほどわからん」
ゴルディーニ「……まあ、細かくはオーダーの時に聞く」
ルー(高くて私には手が出ないなぁ)

クライブ、ジョルティ、パワーの3人がそのリストを見ていました。ティエとノーティは武器に頼った戦い方をしていないということもあり、あまり興味が無いように見えます。トリシアはというと、工房の方に興味が行っているようで、自分の武器をオーダーすることについてはそれほど頓着していないようでした。

ゴルディーニ「採掘に行くなら、夜の6時には閉山になる、それまでに出てこないと捜索隊が出ることになるから注意してくれ
ゴルディーニどうする、入るならこれにサインをしてくれ

ゴルディーニが工房の中から、「自己責任入山契約書」と書かれた紙を持ってきて、ティエに渡しました。
受け取ったティエがまずサインをして、他の皆にも回して全員がサインを終えました。特に、入山自体を迷っている人はいないようですね。

ノーティ「明日にしますか? その場合何時から入山できますかね
ゴルディーニ朝の9時から入山できる
ティエ「じゃあ今日は、結界樹枝あつめと必要な石の数を数えますか
トリシア「計画のところから、クラフトの仕事みたいなもんですよね」
ゴルディーニ「まあそうだな」

ティエ「ここミスリルとれたりします? オリハルコンとかも」
ゴルディーニミスリルなら取れないこともないとは思うが…オリハルコンは無理だな
ゴルディーニただミスリルはツェイド鉱よりも貴重だからな、どれほどあるかは分からん。何に使うつもりだ?」
ティエ「この木箱をサイズ3容量15にしたくてですね。コレをミスリルでそろえられたら動物の積載が90から150になるんですよ!
ゴルディーニ木箱をミスリルでとは……随分と豪勢だな
ゴルディーニまあ、薄伸ばしにすれば木箱1つぐらいはミスリル鉱1つから作れるだろう
ゴルディーニ「しかし、そこまでのミスリルを集めるのは厳しいだろうな…。あまり見かけないぞ

ミスリルの木箱って、何言ってるのかよく分からない言葉ですよね竜の君。

ティエ「ああとこの竿の一部を加工して、常にオリハルコンを身につけていたいのですけど…なにか案はあります?

ティエがゴルディーニに見せているのは、いつも背負っているカナセ村の釣り大会の景品のオリハルコンの釣り竿でした。

ティエ「持ち手の所を細くして、削った分をアクセサリーに、細くなった持ち手は別の素材でカバー、みたいな」
トリシア「成金こわい
ゴルディーニオリハルコンの釣り竿か…いや、オリハルコンは変わった金属でな、一部を切り離して加工することはできない。纏めて加工ならできるが…
ティエ「小さい釣り竿とアクセサリーとかにならないですか…どうせ1匹しか釣れないしコレ…
ゴルディーニ残念だがな。しかし、オリハルコンを釣竿にするとは変わった使い方を…
ティエ「これもらい物なんですよーだから形は取っときたかったんですよね…
ゴルディーニなるほどな…まあ、それならそのまま取っておくのが良いだろう
ティエ「じゃぁ壊れたオリハルコンとか何かしらのオリハルコン素材取れたら又来ます
トリシア「オリハルコン壊れないよ」

ティエ「あとはミスリルだよなぁ…ミスリルの名産地とかご存じないです?
ゴルディーニミスリルの名産地…うーむ、希少鉱石といえばバレスの方が有名だが…
ティエ「別の都市いって、バレスからミスリル送って貰ったりできないかな
ティエ「っていうか鍛冶屋つながりとかで専用ルートとか持ってないんです?
ゴルディーニ大抵、自分の所の鉱石で作るものが中心だからな…
ゴルディーニゴレンは銀だし、ウチはツェイド鉱という具合だ。これで需要を食い合わないようにしている面もある

トリシア「私は社会見学にきました!
ゴルディーニお、おう、元気がいいな…
トリシア「社会見学します! するぞ!
ゴルディーニ適当に何か打つところでも見るか…?
トリシア「はい!
ゴルディーニ「分かった。なら別から受けている仕事をするから見ていると良い…」

なんだか、こんなに元気の良いトリシアは久しぶりに見た気がします。どこか気怠げに煙草を吸っていることが多い彼女ですが、やはりモノ作りには人とは違ったこだわりがあるのでしょう。

トリシア「鍛冶技術とかって情報交換とかあったりするんですかね他の鍛冶に有名な街とかと
ゴルディーニああ、まあ無くもないなゴレンからは時々人が来るぞ
トリシア「ゴレンもつながってたりするのかーほーへー」

トリシア「ちなみに私の弓はゴレンで打ち直してもらった銀製です!
トリシア「さらに防具は教えてもらった技術で加工して使ってます!

トリシアが弓と鎧を見せつけるようにして、誇らしげな顔をしていました。

ゴルディーニむ、そうか、ゴレンで。技術を教えたのか。珍しいな
ゴルディーニアルバか?いや……ディストかね?
トリシア「ディストさんです! 知り合いだったのかー」
ゴルディーニやはりアイツか
ゴルディーニ「ゴレンでは一番有名だろうな。時々遊びに来る」

トリシア「そしてこの扇子がレパーリアからの依頼で作った私のデザインです!

今度は自分でデザインをした扇子を見せて、先程より一層誇らしげな顔をしていました。

ゴルディーニ扇子もか、随分幅広く学んでいるんだな」
トリシア「幅広く学びたかったので旅にでているのです
ゴルディーニ成程。良い旅の目的だな……
トリシア「実家が食堂なので料理が一番得意です
ゴルディーニははは、なるほど、それも物作りだな。一番の物作りかも知れん
トリシア「物づくりって楽しい」
ゴルディーニああ、それには同意だ。自分で物を作るのは何と楽しいことか
トリシア「作ってもらうのも嬉しいけども作るのがやっぱりたのしいのです」
ゴルディーニ気に入った。ツェイド鉱を持ってきたら、武器を打ちも簡単に教えてやろう
トリシア「わーい」
ゴルディーニ「基礎はあるようだ、簡単なものなら作れるようにしてやろう」

トリシアとゴルディーニがクラフト談義に耽っている間に、武器のオーダーをする3人も大まかに加工の方針を決めて、必要なツェイド鉱の数を割り出しているようでした。

ティエ「大体45個位欲しい所ですかねぇ」
ノーティ「少なくとも採掘に2日は掛かりそうですね」
ティエ「ついでに取れたらミスリルが1090個欲しい
ノーティ「ともかく、明日の朝一で鉱山に行くことにしますか」
ゴルディーニああ、気を付けてな
ティエ「そういえばココは高山ですから結界樹枝というすっごく便利なハーブがとれるらしいですよ
トリシア「ルーちゃん姉のスパイスに使われてたハーブかな?」
ルー「そうですね、普通は食用ではないんですが」
パワー「草なのに食えないのか?」
ノーティ「枝ですって」
パワー「似たようなもんだろ?」
ルー「すごい硬いですよ」
パワー「俺の歯よりもか?」
ルー「……多分」
パワー「負けてられんな!」

その後、ノーティがラックラックラックをかけ、ジョルティが薬草取りの2人について行きスプラウトを使い、全力サポートの中で高山でのハーブ取りが始まりました。

〈薬草取り:高山:目標14
パワー:17
ノーティ:23

その結果、結界樹枝が2つ手に入りました。パワーも流石に持った感じで噛んではいけないと思ったのか、口に運ばずにノーティに自分の分も預けていました。
……オリハルコンほどの硬さがあると言われる枝なので、賢明だと思います。

ティエ「おー
パワー「いらないっすね
ジョルティ「さすがのパワーさんも食えんか…
ルー(食べれば食べられそう)
ティエ「あとは明日もどうぞよろしくお願いいたします

春の月 2
日が明けても、雪は降っていないもののまだ寒く……。
……そろそろ暖かくなってきても良いはずなのですが、竜の君から冬の竜に話をしてもらうことはできませんか? ……まあ、竜の君がそこから動けないのは分かっているのですが。……私が会いに行くしかありませんかねぇ。

〈コンディションチェック〉
パワー:18(絶好調)
クライブ:18(絶好調)
ティエ:12(絶好調)
ノーティ:Critical16:絶好調)
トリシア:13(絶好調)
ジョルティ:11(絶好調)
ルー:10(絶好調)

……皆、寒い方が肌に合うのでしょうか? 何やら全員体調が良さそうでした。

ノーティ「計画としては爆弾は使用しないということでよろしいんでしょうか?
クライブ「必要なかろう。リスクに見合うのか疑問だ」
ティエ「タダでもないでしょうしね。手掘り班頑張ってください」
パワー「何掘ればいいの? 草?」
ティエ「それも後で採ってきてもらうので」

諸々の準備を済ませ、朝早くに商館へと向かうことになりました。早朝、朝6時頃にも関わらず、やはり多くの人が商館におり、賑やかにしていました。

ティエ「どうもー、鉱山の入山料払いに来ましたー」
商館の主ゴルディーニさんから話は聞いています

〈ティエ:春夏冬〉
効果判定:238割引き)

商館の主「何でも面白い旅人だとのことで。今回はこの価格でお入りくださっていいですよ
ティエ「ありがとうございまーす」
商館の主「はい。こちらが採掘用のピッケル人数分です。採掘用爆弾とトロッコもございますが、レンタルしますか?」
ティエ「爆弾は結構です。トロッコは……1つでどのくらい入ります?」
商館の主「1つで30個ほど積めますね」
ティエ「必要量が40個前後ですから……2台借ります」
商館の主「承知しました。トロッコは鉱山の入り口に繋いでありますので、この鍵で外して使って下さい」
ティエ「はーい」
ノーティ「では鉱山へ向かう……前に、昨日取った結界樹枝を使って準備をしておきましょうか」
ディエ「そうですねー。どこか、魔法陣を書くのに良いスペースありません?」
商館の主「商館の隅使って良いですよ」
ティエ「ではお借りします」
ジョルティ「結界樹枝ってどう使うんだ?」
ノーティ「魔術媒体みたいなものなので、触れている状態で魔法を使えば良いと思います」

ノーティは結界樹枝を口に咥えながら見慣れない魔法陣を書き、魔法を唱え始めました。

〈ノーティ:春魔法「スプラウト(結界樹枝による儀式化)」:全員〉
発動判定:19

パワー:体力20
クライブ:体力20
ティエ:精神20
ノーティ:知力20
トリシア:敏捷20
ジョルティ:敏捷20

〈ジョルティ・ノーティ:春魔法「ラック・ラック・ラック」:ルー以外の6人〉
ジョルティ:7
ノーテ:12

ノーティ「これで準備万端ですね」
ティエ「そうですね。では先にハーブを補充してから、鉱山に行きましょうか」
パワー「草だー!」

こうして、皆準備を整えて町の北の鉱山の方へと向かいました。

〈薬草取り:高山:目標14
パワー:21
ノーティ:19

ティエ「おおおおー」
パワー「力がみなぎっている……今なら食べられそうだ……!」
ノーティ「歯が折れますのでやめましょうね」
パワー「はーい」

結局パワーは結界樹枝に噛み付くことなくノーティに渡していました。……ちょっと、試してほしかったなあなんて思ったりなんかもして。
ともあれ全ての準備を終え、皆が坑道に入ったのは開山と同時刻の午前9時のことでした。入ってすぐにあったトロッコの鍵を外してレールに載せ、中へと進んでいきます。

【採掘ルール】












【午前9時】
ティエ「とりあえず、鉱脈を探してみましょうか」
ノーティ「そうですね。ある程度のことは予習してきました」

〈鉱脈探し:ティエ・ノーティ:合計目標35
ティエ:24
ノーティ:25
合計:49(成功)

ノーティ「恐らく、この辺りですかね」
ティエ「そうですね、反応があると思います」

【午前10時】
ティエ「採掘の時間だ!
ノーティ「役に立ちそうにないですし、休んでいて良いですか?」
歩く喋るノート「全員参加だオラァ!」

〈ピッケル採掘:全員:合計目標40>
パワー:23
クライブ:14
ティエ:7
ノーティ:8
トリシア:10
ジョルティ:14
ルー:5
合計:81(成功)
ツェイド鉱獲得数:(2+8)×2=20
ミスリル鉱獲得数:20÷2=10

ティエ「結構とれますね
クライブ「もうトロッコ1つ満杯だぞ」
ティエ「もう1つ借りてくれば良かったですかねぇ」
ノーティ「まあ、足りなければ明日も来れば良いでしょうし。休憩することにしましょう」

【正午】

トリシア「わたしが設営する?」
ジョルティ「たまには新しいことにチャレンジしようかな」
トリシア「じゃサポートにする」

〈休憩:野営チェック:目標8
トリシア:8(サポート成功)
ジョルティ:20

一仕事終えて、簡単な陣を作って休憩を始めました。休憩中、坑道の奥の方から地響きのような音が聞こえてきました。

ノーティ「むっ
クライブ「地響きだな……」
ジョルティ「作業続行して大丈夫なの? これ?」
クライブ「遠いし平気だろ」

【午後1時】

ノーティ「さてと、休憩もしましたし続けますか」
ティエ「ではまた鉱脈探しからですね」

〈鉱脈探し:ティエ・ノーティ:合計目標35
ティエ:19
ノーティ:13

<ラック・ラック・ラックによる振り直し>
ノーティ:8

合計:27(失敗)

ノーティ「それらしいものは見当たりませんね……」
ティエ「ふーむ……残念ながら」
クライブ「まあ、掘れば出るだろう、多少は」

【午後2時】
ティエ「ではピッケルタイムと参りますか」
パワー「ピーッケル!」

〈ピッケル採掘:全員:目標40
パワー:17
クライブ:25
ティエ:6
ノーティ:2
トリシア:11
ジョルティ:9
ルー:12
合計:82(成功)
ツェイド鉱獲得数:2+9=11
ミスリル鉱獲得数:11÷25

【午後4時】

ティエ「さて、鉱脈を探してから掘りたい所ですが……」
ノーティ「これからそうすると捜索隊のお世話になることになりますね」
ティエ「さすがに疲れたので私達が参加するとかえって良くない気がします」
ノーティ「そうですね。私達は休ませてもらいます」
クライブ「了解」

〈ピッケル採掘:ティエ・ノーティ以外:目標40
パワー:35
クライブ:19
トリシア:17
ジョルティ:17
ルー:4
合計:92(成功)
ツェイド鉱獲得数:2+11=13
ミスリル鉱獲得数:13÷2=6

ノーティ「これピッケルいらないんじゃないですか?」
ティエ「珍しく集中してますね」
パワー「うおおおおおおおお!!!まだまだ取れるぞぉ!!!」
ジョルティ「脳筋の本領発揮だなぁ…
クライブ「待て、もうトロッコが満杯だ」
ティエ「ミスリルが5つほど積み込めませんね」
クライブ「とりあえずこれぐらいなら持っていけるが……これ以上は持ち帰れないな」

【午後6時】
ティエ「とりあえずもう時間ですね捜索されるまえに出ましょう
ノーティ「そろそろ帰らなければしかしさっきの地響きは何だったのでしょうね?

ノーティがそう言った直後、再び地響きが聞こえてきました。先程よりも近く、大きな音になっています。

トリシア「どどど
ジョルティ「揺れてる!」
クライブ「何かが近いな…なんだこれは

それからすぐに、その地響きの理由は分かりました。坑道の奥に、赤い眼光が見えています。こちらに近付いてきているようです。

ノーティ「ひええどうします
ジョルティ「気をつけろ!!新手の…アレだ…アレ攻撃だーッ!!
ノーティ「ちょっと戦闘にはMPが足りないですね……でもやれます
クライブ「ま、やるしかあるまい
ノーティ「捜索願が出る前に終わらせましょう!」

近付いてくる赤い眼光の主は、ゴレンの近くで見た岩喰らいに良く似ていました。しかし体表は岩ではなく鉱物で作られているようで、尻尾には大きな黒い瘤のようなものが付いています。
……そういえば、ニーナさんと初めて出会った時でしたね。

ティエ「すでに見えているなら、情報も分かるはず……!」

〈ティエ:呪文魔法「オープン・ドラコニカ」〉
発動判定:25

【鉱石喰らい】
岩喰らいが豊富な鉱脈の近くで生活をした個体
その鉱脈で取れる鉱石によって体表の色や性質が変化する。
尻尾には消化できなかった鉱物が集まるようになっており、瘤のようになっている。
これを縄張り争いに利用する種も多い。
肉食ではないが縄張り意識が強く、縄張りの坑道に入り込んだ人間を攻撃する。

ティエ「どうやら見た目だけではなく性質も岩喰らいに近いようです!」
ルー「お、大きいですよ!
パワー「叩き割る!」

〈戦闘開始〉
鉱石喰らいの口元から、火が漏れ出ているのが見えました。

〈ラウンド1















【トリシア】

トリシアは、これまでにないほどに落ち着いて状況の把握をしていました。
誰よりも早く弓を取り出し、次の瞬間には攻撃の体勢に移っていました。

〈攻撃→鉱石喰らい〉
命中判定:23
ダメージ:9(防護3

【クライブ】

クライブもまた、素早い動きで剣を鞘から抜いて切りかかります。

〈攻撃→鉱石喰らい〉
命中判定:25
ダメージ:1(防護3

〈ラック・ラック・ラックによる振り直し〉
ダメージ:4(防護3

クライブ「ッチ、硬いな…」

【ティエ】

〈呪文魔法「シューティング・スター」→鉱石喰らい〉
発動判定:12
ダメージ:1

ティエ「あまり振るいませんねえ」

【ノーティ】

ノーティ「ティエさんに倣いますか」

〈呪文魔法「シューティング・スター」→鉱石喰らい〉
発動判定:19
ダメージ:10

【ジョルティ】

ジョルティ「よーし、大分削れてきたな」

ジョルティの言うとおり、鉱石喰らいにはかなりのダメージが蓄積しているようでした。
表面の鉱石にも所々欠落が見られます。

〈攻撃→鉱石喰らい〉
命中判定:Fumble

<ラック・ラック・ラックによる振り直し〉
命中判定:27
ダメージ:8(防護3

ジョルティ「矢落としかけたけど、誰にも見られてないからセーフセーフ!」
クライブ「言わなきゃ分からんのに」

【ルー】

ルー「少しだけでも……私も!」

〈攻撃→鉱石喰らい〉
命中判定:8
ダメージ:3(防護3

ルーの剣が、僅かではあるものの鉱石喰らいの表皮を貫き、本体にダメージを与えているようでした。

ルー「通った…?
ジョルティ「いいよールーちゃん
ノーティ「弱ってますねえ いいですねえ

【鉱石喰らい】
鉱石喰らいは口を大きく開き、そこから皆に向かって炎を吐き出しました。
坑道を満たすような炎は避けることができそうにありません。

〈焔の息→全員〉
ダメージ判定:7

ジョルティ「あっちぃ!!
ノーティ「くっ……」
クライブ「熱い……が、どうやら、アイツ自身も熱でやられているようだぞ」

クライブの言う通り、鉱石喰らい自身も自らの炎に焼かれて損傷しているように見えました。外部から取り込んだ能力を使うという性質が、そうさせているのでしょうか?

【パワー】

パワー「トドメじゃー!」

〈攻撃→鉱石喰らい〉
命中判定:14
ダメージ:12(防護3

パワーの放った一撃で、鉱石喰らいは口元から火を溢しながら、その場に倒れました。
もはや、皆に対抗する体力は残っていないようでした。

〈戦闘終了〉

鉱石喰らいが倒れると同時に、尻尾黒い瘤がその場にポロリと落ちました。

トリシア「アレ、焔炭じゃない? 隕鉄加工に必要だっていう」
ティエ「へぇー」
ジョルティ「マジか。期せずして目標達成だな」
パワー「後は本体をバラすぞー!」

〈材料加工:目標18
パワー:7(失敗)
トリシア:25
ジョルティ:21

トリシアとジョルティはそれぞれ鉱石喰らいの巨体を加工し、「頑丈な保存食4つ」と「ツェイド鉱4つ」を剥ぎ取っていました。

ティエ「もう要らないですねツェイド鉱」
クライブ「仕方ないな……ギリギリ持てる」
ティエ「さすがは荷運び人間……」

先程の余った鉱石と合わせると、クライブ1人で9つも鉱石を抱えていると考えると、確かに荷運び人間と言わざるを得ません。

ルー「食べられるんですか、これ…? 硬そうですけど…」

ルーは剥ぎ取られたツェイド鉱よりも、その頑丈な食べ物の方に興味があるようでした。

ジョルティ「一応、かったいけどな
ノーティ「炙るなり煮るなりするんですねえ
ルー「そうなんですね、面白い食材ですね! お姉ちゃんメモに書いておかないと…
ジョルティ「いいダシは取れそうゴリッゴリしてるからな
ノーティ「では帰りましょう戦闘もあっという間でしたし

確かに、戦闘は本当に一瞬で終わりました。構えてから鉱石喰らいが倒れるまで、10秒程だったのではないでしょうか?

ルー「皆さんが強すぎるんですよ…そろそろ時間が…。戻らないといけないですね
ティエ「おっと捜索されてしまう帰らねばー
ルー「帰りましょー

こうして皆は坑道を抜け、トロッコの鉱石を坑道前に留めておいた荷運び動物に載せ替えて、ゴルディーニ工房へ向かいました。

ノーティ「只今戻りました、無事帰ってきましたよ」
ゴルディーニ戻ったか。どうだ、成果は
ティエ「ごっそり。ツェイド鉱48,ミスリル鉱21です」
ゴルディーニこんなに取ってきたのか…いや、初めてで良くこんなに
ノーティ「一応の必要量のツェイド鉱と、焔炭とそれとミスリルですね
ゴルディーニ:ふむ…大戦果だな。旅人より鉱夫に向いているんじゃないか
ノーティ「これで隕鉄が加工できるんです

ノーティが荷運び動物から、鉱石喰らいの瘤を取り出してゴルディーニ見せました。ゴルディーニはそれを見てすぐに頷きます。

ゴルディーニああ、焔炭があれば加工ができる。焔炭自体が高価なものだからな、これを譲ってもらえるなら隕鉄の加工はカネは要らんがどうする
ティエ「まあとりあえず意思疎通できない隕鉄はつまんないですし
クライブ「ま、いいだろ。どうせ使い道ないだろう俺たちじゃ
ノーティ「ジョルティさんの判断でどうでしょう」
ジョルティ「可愛い子の声にしてくれよ? 頼むぞ?」
ゴルディーニ「隕鉄はそれ自体に人格があるからな…俺次第でなんともならんぞ」
ジョルティ「使えないなぁ!」
ゴルディーニ「そう言われてもな……形はどうする?
ノーティ「何かの武器にするのが普通でしょうか?
ゴルディーニまあ武器にすることが多いだろうな。ただ、身につけているだけでも加護がある、そういった加工をすることも有るぞ

実際、アージェントのリンが持っていた隕鉄は匕首でしたね。彼女が何処で隕鉄を手に入れたのか、どのような形をしていたのかまでは分かりませんが……。

ティエ「防具かアクセなら誰かしらに装備出来るかね?」
ティエ「使える武器なら剣あたりか
クライブ「剣なら俺以外無理だしガントレットでいいんじゃないか?」
トリシア「それなら誰でも付けられるね」
ノーティ「では、フリーサイズのガントレットとして隕鉄を加工していただけますか?」
ジョルティ「細かい動き出来るタイプにしてくれる? 弓が引けるような」
ゴルディーニ「細かく動かせるガントレットか、なるほどな。承った。だが、隕鉄も分けて加工はできんからな……左右どちらかになるが」
クライブ「盾代わりに使うなら左か……?」
ノーティ「片手で武器扱えるのクライブさんだけですし、右の方が取り回しが良くありませんか?」
クライブ「任せる。恐らく着けるのは俺じゃないだろうからな」
ジョルティ「じゃあ右でよろしく!」
ゴルディーニ「右手用だな、分かった。それと、他の注文はどうする、もう決まっているなら、注文の内容を纏めて書いてくれ」
クライブ「分かった」
ティエ「あ、ミスリルの木箱……の加工もお願いしたいんですけど。21箱程」
ゴルディーニ「ああ……そうだったな。焔炭があればミスリルも加工できる」
ティエ「ではお願いします」

それから暫くかけて、パワー・クライブ・ジョルティの3人が武器のオーダーを書き上げ、ゴルディーニに渡しました。

【パワー】
新規作成
〈軽い〉〈左手用〉〈幻獣に弱い〉〈幻樹に弱い〉〈魔石に弱い〉〈妖魔に弱い〉〈魔法生物に弱い〉〈質素〉〈扱いにくい〉斧
ミスリルの鱗斧打ち直し
〈軽い〉〈薄刃〉〈質素〉〈扱いにくい〉〈幻獣に弱い〉〈幻樹に弱い〉ミスリルの斧

【クライブ】
新規作成
〈薄刃〉〈鋭利〉〈軽い〉〈質素〉〈魔石に弱い×6〉剣
新規作成
〈鋸刃〉〈反し刃〉〈質素〉〈鈍ら〉〈諸刃〉剣

【ジョルティ】
新規作成
〈竜殺し〉〈軽い〉〈返し刃〉〈鋭利〉〈扱いやすい〉〈不死に弱い×15〉弓

ゴルディーニ「ふむ……結構なオーダー内容だな。全部完成するのには…そうだな、だいたい4日程掛かるだろう
トリシア「そんな短期間で出来るの?」
ゴルディーニ出来次第商館に連絡を入れる。嬢ちゃんは見学に来るなら明日の朝から来るんだな
トリシア「はい!」
ノーティ「ありがとうございます。それでは失礼致します
ジョルティ「肉体労働疲れたー!!

こうして皆はゴルディーニ工房での注文を終え、宿へと戻って休むことになりました。

~春の月 6日~
それから4日の間は、特にこれといってすることもなく、ゆっくりとツェイドで過ごしていました。
変わったことと言えば、やはりまだ寒い事と、前日にそろそろ腐りそうになっていた芋グラ(仮)ジャムを食べ切ったことぐらいでしょうか。

〈コンディションチェック〉
パワー:16(絶好調)
クライブ:12(絶好調)
ノーティ:15(絶好調)
トリシア:9
ジョルティ:12(絶好調)
ルー:13(絶好調)

トリシアは朝、皆が朝食を食べるために食堂に集まった時には、すでに外出しているようで、姿が見えませんでした。
ここ4日の間、毎日朝からゴルディーニ工房に向かい、そこで鍛冶を学んでいたようです。
それとは全く関係なく、ティエは寝過ごしているようでした。(PL遅刻)

ジョルティ「あいつ、いつも体調崩してんな」
クライブ「あいつは季節の変わり目に毎度毎度体調崩すな…商人の癖に移動駄目とか大丈夫か…」
ルー「でも、季節の変わり目という割にはまだ冬みたいな寒さですよ」
ルー「今日も雪ですし」
ノーティ「おかしいですね……」

本当に。全くもっておかしいのです。皆がツェイドに滞在している間、私の方でも少し冬の竜を訪ねてみようと思ったのですが、見つけることができませんでした。竜の君も含め、季節の竜君はそれほど動くことがないと思っていたのですが……。

ジョルティ「せっかくだし代理リーダー、ルーちゃんやってみない?」
ルー「いや……それはちょっと荷が重いというか……」
歩く喋るノート「俺がサポートするぜ!」
ルー「と、とりあえず工房に行きませんか? ティエさん、起きてくるかもしれませんし」
ノーティそうですね受け取りに行きましょうか
パワー草たべさせろ
ノーティええ……
パワー「行くぞノーティ」
ノーティ「ええー……」

〈薬草取り::目標10
パワー:14(月華の雪割草獲得)
ノーティ:11(月華の雪割草獲得)

パワーおいしー
ノーティ「もう確認もなく食べてますね」
パワー私はヒーラーだぞ! 当然だ!」
ジョルティ(また道草食ってきたなこいつ…)
ワーよし、武器を取りに行くぞ
ノーティおっ、やる気ですね
パワー寝坊助には一人ずつパンチを入れるように

パワーが力任せに殴ったらティエは一発でダウンしてしまいそうですが……。そんな話をしながら、皆ゴルディーニ工房へ向かいました。
工房ではゴルディーニと、先に来ていたトリシアが待っていました。

パワーおいごるぁ!ものできてんのかぁ!
ゴルディーニ威勢が良いな
トリシアできてるぞ! わたしは見てただけだけどな!
クライブまあ、見学もいい勉強になるだろうしいいんじゃないかそれで、注文の品はこれか
パワーようやった、それでこそ男や
ゴルディーニ「妙に偉そうだな」
パワー「リーダーだからな」
ルー「あれっ? そういう話になってましたっけ?」
ノーティ「なってません」

ゴルディーニは工房の中から幾つかの木箱を持ってきました。それぞれの箱に、頼んでいた武具が入っています。……ミスリル製の木箱も21個並べられていて、なんとも壮観でした。

ゴルディーニ「間違いがないか確認してくれ」

ゴルディーニが促すと、武器を頼んでいた3人がそれぞれ自分の箱を開けて武具を手にとって確認し始めます。

ジョルティ軽いし手に馴染む…おっちゃんすげぇな!!
トリシア「ジョルティの弓貰ってあげてもいいのよ
ジョルティ「10倍の値段なら考えてやる」
トリシア「買うとは言ってない!」

クライブ「注文通りの出来だな。問題はない」
パワー「これで両手で斧が持てるぞ! もっとぶっ壊せるぞ!」

ゴルディーニ「概ね満足して貰えているようで何よりだ。それと……これだったな」

ルディーニは続いて、大きな箱に入ったガントレットを目の前に置きました。

ノーティおお、これは隕鉄を使った
ゴルディーニ「ああ。持っているだけでも加護がある。それと……隕鉄だからな、身につけたら話しかけてくるぞ。身につけていない時はどうも静かなようだ
ノーティほほう誰か着けてみますか?」
ゴルディーニ「慣れるまでうるさいから気をつけろよ」
ライブうるさいねえどの程度なんだ? 一旦着けてみるか」
ーティお願いします
パワー「俺もつけたーい
クライブ「確認したら後で渡す」
ゴルディーニ丁寧に扱うことだ、文句を言われるからな
ノーティ「それと、名前も付けなければなりませんね」
歩く喋るノート「気が合うといいんだが」
パワー「ゲロかけられないといいな」

クライブが隕鉄のガントレットを装着しました。サイズには余裕があるものの、しっかりとした装着感がある出来でした。
すると、リンの匕首、ヴェルガのと同じように皆の頭の中に声が聞こえてきます。声はヴェルガとは違い、(私の次ぐらいに)淑やかな雰囲気の女性のものでした。

ガントレット……おや、皆さんが私を直してくださった方々ですね?
クライブまあ一応な
トリシアおやおや
ノーティまあ、拾ったというか、そういうことになりますか。一種のめぐり合わせですね」
ガントレット《ええ、良いめぐり合わせでした。あのままでは一生あんな辺鄙な山にいることになる所でした、助かりました
ガントレット《それと、名前を付けて頂く必要はありません、私にはエレオノーラという名前があります。隕鉄には皆元々名前があるんですよ。エルでもノーラでも、お好きにお呼びくださいな
ジョルティ「エルちゃん!! おっちゃん、ちゃんと可愛い声で話しかけてくるぞ!」
ゴルディーニ「良かったな」
クライブほーんじゃあエル。あそこのデカいのが着けたいそうだ。早速で悪いがはずすぞ
エレオノーラ《あら、そうですか。ええ、どうぞ

クライブがエレオノーラを外し、パワーに手渡しました。パワーは早速それを右手に装着しました。

パワーたまに吐くけどよろしくな
エレオノーラ《左手に吐いて下さりません?
パワーおっそうだな。考えておくぜ」
ノーティ「上品ながら過激なこと云いますね
エレオノーラ《まあ私には大した力はありませんが、少しは役に立つと思います。できれば丁寧に扱ってくだされば嬉しいです》
トリシア「ノーラ、隕鉄同士で会話とかすんのかな?」
エレオノーラ《ええ、まあ、滅多に出会うことはないんですけどね、隕鉄同士
ジョルティ俺さー、隕鉄短剣とその持ち主両方と仲良いんだけど、どう?」
エレオノーラ《おや、他の隕鉄ともお知り合いで? 面白い方ですね》
ノーティ(仲がいい?)
トリシアそんな記憶はないが
ジョルティ「仲良いんだよぉ! ホントだよぉ!」
エレオノーラ《……情報が錯綜してますけれども
ノーティ「いや確かに知り合いではあるんですが
エレオノーラ《ま、そんなわけでよろしくお願いしますね。そうそう、寝る時には外してくださいね、その時に私も眠りますから
トリシアつけたまま寝たらどうなるの?
エレオノーラ《いえ、別にどうというわけではないんですけれど、私が寝不足になって機嫌が悪くなります》
トリシア「普通の人と変わんないな!」
エレオノーラ《そんなものです》
歩く喋るノート「俺は開いたままでも眠れるぞ! 凄いだろ!」
歩く喋るノート「俺にも何か不思議な力でもないのかよ!」
エレオノーラ《でも、賑やかで楽しそうで安心しました
エレオノーラ(歩いているのは不思議な力ではないのかしら?)

ゴルディーニよし、これで受け渡しは終わりだな。嬢ちゃんも4日間お疲れ」
トリシア「お世話になりましたー」
ゴルディーニ「筋が良くて楽だった。気が向いたらまた来るんだな」
トリシア「ぜひ」

こうして、ツェイドと鍛冶を巡る旅が終わりました。次回は、また東に向けて旅をすることになるでしょう。
今回の旅物語は、ここまでと致します。

第二十九話「魂の鋼」 完


と、このような話になりました。隕鉄というのは、どこから来る存在なのでしょうか? どうやらあの加護は竜の加護とはまた違っているようですし……。
竜の君にも分からないのですか? ふーむ、この世界にもまだまだ、謎があるのかもしれませんね。
それでは、次なる旅物語をお待ち下さい。……早めに、この長い冬のことも考えなければ。いずれ竜の君にも影響が出てしまいそうですから……。

MVP:パワー・ノーティ】


【ルー・フィオーネの日記】

(続き)
町に入ると、早速町の中央にある商館に向かうことになりました。
ティエさんが色々と売るものを売って、道中で拾った「隕鉄」の加工について話を聞いていました。
なんでも町の中でもゴルディーニ工房という場所で加工ができるらしいです。明日話を聞きに行くということになりました。
その日は疲れていたので、すぐに宿を取って寝ることにしました。
明日はゆっくりした良い日になりますように。

〈春の月1日〉
雪❆
春です。春のはずです!
いや、もしかするとハロウィンマーチのことや、途中で記憶がすっぽり抜けている旅路のことがあったので、日数を数え間違えているかもしれません。
でも、どっちにしろそろそろ暖かくなっているはずなんですが……雪が降っていました。
とはいえ、町中なのでそれほど困ることがあるわけではないのですが……。
とりあえず、商館を経由してゴルディーニ工房に行くことになりました。ゴルディーニ工房では、隕鉄の加工以外にも特別な武器作りができるとのことでした。
ただ、必要になる素材は自分で取ってこなければいけないとか。皆さん自分の武器や隕鉄の加工のために素材を取りに鉱山に向かうことにしたようです。
私はお金もないので加工はできそうにありませんが、一緒に鉱山に行くことにしました。何事も経験!面白いこともあるかもしれません。
明日も良い日になりますように!

〈春の月2日〉
雪❆
今日もやはり雪が降っていました。こうも寒い日が続くとちょっと憂鬱です。春が旬の食べ物もいっぱいあるので、そろそろ暖かくなって欲しいのですけど……。
今日は朝一番で皆さんと一緒に鉱山に採掘にいくことになりました。私も借りたピッケルを使ってほってみましたが、そんなに役には立てなかったです。体力不足を実感しました。
その点、パワーさんはものすごい勢いで鉱石を取っていました。この鉱石はツェイド鉱という、この地域独特な鉱石らしいです。
閉山されてしまう前に急いで鉱山を後にしようとすると、大きなトカゲのような魔物に襲われました。口から吹く火があたってかなり熱かったですが、皆さんがすぐに倒してくれたので、なんとか安全に帰ることができました。
その後、それぞれ武器の発注と加工の依頼をして、宿に戻りました。4日ほどあれば完成するそうです。トリシアさんは作っているところを見たいということで、しばらくゴルディーニ工房に出入りすることにしたようでした。
少なくとも4日は、この町でゆっくりできそうです。……次に出かけるまでに暖かくなってくれていれば良いのですが。
明日は良い天気になりますように。

〈春の月6日〉
雪❆
なんてことでしょう! 4日間、あまりにもやることがなくてすっかり日記をすっぽかしていました!
結局ずっと寒いままで、今日も外は真っ白です。なんだか心なしか雪が好きになってきた気さえします。
今日は皆さんが頼んでいた武器と隕鉄のガントレットが出来上がる日ということで、朝一番でゴルディーニ工房に向かいました。
トリシアさんは先に向かっていたらしく、仕上げを一緒に見ていたようです。
工房では完成した武器が待って待っていました。武器については詳しいことは分からないんですが……びっくりしたのは隕鉄のガントレットです!
よく分からないんですが、頭の中に直接話しかけてくるんです! しかもエレオノーラさんと名乗っていました。名前まであるなんて!
皆さんが隕鉄のことを特別に扱っていた意味がようやく分かりました。なんだか高貴な感じがする、不思議な声でした。
魔法にもびっくりしましたけど……これもかなり驚いたことの1つになりました。
(続く)


こちらは、2016/12/3に行ったオンラインセッションのリプレイです。今回は貯まりに貯まって使い道がなくなった個人資産を吐き出させるためのシナリオとして作りました。
動きが少ないシナリオではありましたが、隕鉄の加工も完了し、1人キャラが増えたような気分です。……多分、エレオノーラはそんなに喋らないとは思いますが。
ジョルティのPLからは某H澤さんや某A澄さんのような声のキャラにしてくれ、と言われたので、意向を汲んで女性キャラにしました。……脳内再生はお好みの女性でどうぞ。

それでは、次回までお待ち下さい。

【参考サイト】
りゅうたま公式(再販おめでとうございます)

2 件のコメント:

  1.  新しい仲間としてガントレットが加入ですね。喋り手が増えるとセッションやリプレイ執筆の難度も増してくると思いますが、今後も楽しみにしております。
    ミスリル製の木箱……。実に謎物質ですね。サイズが-2されるのは鉄より軽いからじゃないんかいと思う所はありますが、ルールブックに書いてあることを、現実に優先して厳密にぶっ込む方が『りゅうたま』らしいっちゃらしいですかねえ。

     ルール上は春になったのになお残る冬の謎に思いを馳せつつ、旅路を見守らせて頂きます。

     そして『りゅうたま』のルールブックの再販。実に嬉しい報せですね。
     加筆や修正もあるとの事で、一部のルールが公式ブログ頼みになっていた現状が改善される事に期待したい所です。続報が待ち遠しい。

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    1. コメントありがとうございます!
      ルーについては私が担当していますが、ノートは概ねノーティのPLが代わりにロールプレイしてくれているので、今後もそれほど問題はないかなーと思います。
      木箱については突然のことだったので、多少採掘ルールを変えてミスリルも取れるように対応しました。どこまで資産が増えるのやら恐ろしいところですが。
      ストーリーについては年末休みにしっかり考えておきたいと思います。

      ルールブックの再販は喜ばしいですね!
      キャンペーン中は参考先の統一のためにpdfのものを継続使用しますが、一冊、手元においておきたいものです。
      サプリメントも何らかの形で見られるようになれば……!

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