お待たせしました竜の君。今回は少々長い物語になりました。……少しばかり、憂鬱な物語でもあります。
……それと、例の鍵のことですが、やっぱり教えて頂けませんか?何となく、分かっては来たのですが……良くないものではないんですよね?
第二十七話前編「偽りの永遠」
ティエ「……お墓はおいておいて、とりあえず特産品売ろうか」
ノーティ「お願いします。そちらの方はさっぱりで」
村の南側に広がる墓地から意識をそらすように、皆は村中の商店へと向かいました。
村中は他の村と変わらず賑わっており、売買ができる商店だけではなく、飲食店なども見られます。
ティエ「あ、そうだ、せっかくですし全力で売りますか。ノーティさん、ラックラックラックをお願いします」
ノーティ「ええ、構いませんよ。ちょっと時間はかかりますが」
ティエ「お願いします」
〈ノーティ:春魔法「ラック・ラック・ラック」→ティエ・トリシア・ジョルティ〉
発動判定:14
ノーティ「では、私は先に宿を取ってきます」
ルー「私も行ってきます!」
ティエ「お願いします。すいませーん、コレ売りたいんですけどー」
商人「いらっしゃいませ。お見せ下さい。買取いたします」
ティエ「ニハ・コビ・ドウ・ブツおいでー」
ティエが商人と商談を始めた時、ジョルティが何かを思いついたようにティエに後ろから近寄り、耳打ちをしました。
ティエ「え、なんですジョルティさん。スプラウト? …ほう」
ジョルティ「魔法の応用でさらに良い結果が出るかもしれない」
ティエ「なにそれすごい」
ジョルティ「どうだ試してみないか?」
ティエ「じゃあお願いします」
〈ジョルティ:春魔法「スプラウト」→ティエの精神〉
発動判定:10
ティエ(精神の高まりを感じる…コレなら悟れそうだ…)
ティエ「ではコレを…」
〈ティエ:春夏冬:口八丁〉
効果判定:20(8割増し)
商人「良い品ですね。これほどの金額でいかがですか」
ティエ「ええ、その値段で。ありがとうございます」
〈???:知力+精神:目標13(クライブのみ11)〉
クライブ:3
ティエ:14
トリシア:8
ジョルティ:9
この時、商人の顔を見て、ティエが訝しげな表情を見せました。そして、気付かれないように観察をした上で、驚いたような顔を見せます。
そして、皆に耳打ちをしはじめました。
ティエ「あの人、生きてない…」
トリシア「どういうこと? 死んでるの?」
ティエ「ほら。あのアージェントのあの人みたいな…」
トリシア「おっぱい?」
ティエ「そうそうトリシアさんがセクハラした…」
ジョルティ「マジか」
クライブ(まためんどくさい予感がするな…しかし何の意図があってやってるんだか)
コッペリア、確かにアージェントのラナに使われていたのと同じ手法です。……しかし、何故でしょうか、今回は私もすぐには気付けませんでした。言われてみると、精巧さでいえばラナの方が上なのですが……何か、生者と同じような感覚がしました。
ジョルティ「あの、この店に他の方は?」
商人「店に出るのは私だけです。妻に手伝ってもらうこともありますが、普段はおりません」
ジョルティ「そうですか」
ジョルティ「あくまでも店主の装いだな…」
ティエ「そうですね……とりあえず、危害を加えてくる感じはありませんが…」
そこに、宿を取り終わったノーティとルーが戻ってきました。
ノーティ「宿取ってきました、そちらはどうですか」
ティエ「ありがとー。こっちは抜かりなく。しかし、1つ問題というか、不審点がありまして……」
ノーティ「ははあ、コッペリアというとあの時の……」
トリシア「おっぱい」
ジョルティ「だから、一応外出歩く時は念のため要警戒だな」
ノーティ「そんなに簡単にコッペリアって存在できるものですかね。うーん……」
ルー「え? さっきの人がですか?」
ジョルティ「そういうことで、単独行動は控えてね」
ルー「わ、分かりました。でも、普通の人にしか見えなかったんですけど…」
ノーティ「コッペリアって危険なものでしたっけ」
ジョルティ「んー、情報収集してみないとなんとも。意図がわからんからな」
ティエ「旅人でーすよろしくーみたいな感じでエライ人に会いに行く? 何か知ってるかも」
トリシア「村長に会いにいってみるのも手かと」
ティエ「じゃあ行ってみますか」
降ろしていた木箱を積み直し、今度は村長の家へと向かいます。村長の家はローリスの中では大きな邸宅ということもあり、すぐに見分けがつきました。
ティエ「こんばんはー」
ティエが中に呼びかけると、すぐに白い髭の男性が顔を出しました。
村長「おや、どうも、いらっしゃいませ。旅人の方々ですか?」
ティエ「そうなんですー」
ティエは声をかけながら、村長の顔を伺います。
ティエ(……人間だ)
村長「? どうかしましたか?」
ジョルティ「この街に来た時、墓場が目立ちましたが何かあったのですか?」
クライブ「外のアレ…疫病か?」
ジョルティとクライブがほぼ同時に村の南の墓地について問いかけます。すると村長は少しだけ悲壮な表情を見せてから答え始めました。
村長「ええ……はい。お察しの通りです」
村長「”10年ほど前に”、死病が流行しまして…その際に”大勢の者が亡くなりました”」
クライブ「そうか…」
ティエ「そうだったのですか」
村長「”5年”ほど前にも流行しましたが、その時はコルネリア先生のおかげで”ほとんど死者がでませんでした”」
ティエ(コルネリアせんせい?)
村長「今も少しだけ罹患している方がいますが、同じく問題がなく、普通の病気と変わらないほどです」
ノーティ「なんとも……現在は村の維持に大きな問題はないと」
村長「ええ、全く」
ノーティ(墓……コッペリア……医者……どうもそのコルネリア先生に裏があるかもしれませんね……)
村長「もし滞在中に体調を崩されましたら、早めに診療所へ行くようにして下さい。診療所は村の東の山の近くにあります」
ジョルティ「今現在、何か問題とか…困った事はありませんか?」
村長「いえ、これと言って全く」
ジョルティ「そうですか」
ジョルティ(問題がないのが問題だ…コッペリアについて認識していない?)
ノーティ「そうですか……困ったことがあれば解決するのが我々旅人の一つの使命でもありますから何なりと」
村長「ええ、もし何かありましたらご相談させて頂きます」
トリシア「そんちょーは大丈夫なの、病気?」
村長「はい、私は10年前の時にも、5年前の時にも病気にかかりませんでしたので」
村長「もしかしたら免疫があるのかもしれませんね」
トリシア「血清的なのは?」
村長「詳しい治療法までは、私は医者ではありませんから……」
トリシア「なるほどね」
ノーティ「さて、今日はもう宿に戻りましょうか?」
ジョルティ「俺はもうちょっと周ってみるよ」
ノーティ「では私は先に向かっておきます。村の中央近くの宿です」
クライブ「了解、終わり次第戻る」
ここで、ノーティ、トリシア、ルーは先程取った宿に向かいました。
ジョルティ「さてと、とりあえず飯だ。ティエ、付き合えよ、奢るから」
ティエ「わーい、ありがとうございまーす」
ジョルティ「クライブも行くか?」
クライブ「いや、遠慮しておく。少しばかり診療所に行ってくる」
ジョルティ「そうか。危険なことはするなよ」
クライブ「……ああ」
こうして、ジョルティとティエは近くの食事処へ、クライブは診療所の方へと向かいました。まずは食事処でのことをお話しましょう。
店主「いらっしゃいませ」
ジョルティ「この店で一番美味しいのはなにかな?」
店主「この時期のオススメはシシ肉の串焼きですね」
ジョルティ「じゃあそれください」
店主「はい、お待ち下さい」
ジョルティが注文している間に、ティエがじっとその店主の姿を見ていました。
〈コッペリア判別:目標11〉
ティエ:13
ジョルティ「どうだ?」
ティエ「……コッペリアですね」
店主「お待ちどう様です。シシ肉の串焼き2人前です」
ジョルティ「どうもー」
ティエー「わー、美味しそう」
テーブルに置かれたシシ肉の串焼きを食べながら、2人はまだ怪訝そうな目をしていました。
ジョルティ「外はどうだ? 窓から見える人にそれらしい人は?」
ティエ「どれどれ……」
ティエは窓から外に目を差し向けます。出歩いている人達を観察し、不思議そうに首を捻りました。
ティエ「……混ざってる」
ジョルティ「どういうこうと?」
ティエ「コッペリアと一緒に歩いている人間もいます」
ジョルティ「……難しくなってきたなこれは」
ジョルティ「とりあえず冷める前に食っちまうか!」
ティエ「そうですね!」
シカ肉の串焼きを食べ終わり、ジョルティとティエは宿へと戻りました。先だって戻っていたノーティ達に、村中でみたコッペリアについても説明していました。
その頃クライブは、村の東の診療所を訪ねていました。診療所は小さく、窓にはカーテンが引かれていて中の様子を伺うことは出来ません。
入り口には”CLOSED”の札が掛かっています。
クライブ「…いるのかいないのか。まぁいい。いるだろう」
クライブがコンコンと扉をノックして声をかけました。すると、中から少し遅れて掠れたような男の声で返事がありました。
掠れた男の声「……本日の診療時間は終わりました。急病でなければ、明日改めて来て頂けますか」
クライブ「いや、治療じゃない。少し話を聞きたくてな」
掠れた男の声「…どのようなご用件でしょうか?」
クライブ「何そこまで大したことじゃあない……村中の一部の人について、な」
掠れた男の声「……成程。どうぞ、お入り下さい」
クライブ「邪魔をする」
すぐに、内側からドアが開きました。真っ黒いローブに身を包み、目元しか見えない嘴の付いたマスクを付けた男がドアの向こうに立っています。
掠れた声の男「どうぞ、こちらに」
クライブ「随分と大仰だな」
掠れた声の男「ええ、医者が倒れるわけにはいきませんから」
クライブ「まぁ、それもそうか…で、あんたがあの、村の医者か」
掠れた声の男「はい、村の医者のコルネリアと申します」
クライブ「そうか。で、あの処置もあんたが?」
コルネリア「勘の良いお方もいらっしゃるものなのですね…。これまで、村の人に気付かれることはなかったのですが……」
クライブ「まぁ、頼れる仲間に…以前ちょっとな」
コルネリア「そうでしたか。…それで、何を?」
クライブ「いや、理由を聞きたくてな…何故あんなことをしている」
コルネリア「……どこから話せば良いでしょうか」
コルネリア「そうですね、事の発端は10年前のことです」
コルネリア「10年前、この村を初めて疫病が襲いました」
クライブ「疫病ね……」
コルネリア「村民の半分が病に倒れ、そのほとんどが亡くなりました」
クライブ「ま、どこでもある話だ。どこでも、な」
コルネリア「私の妻もその時に……。私は当時、何の役にも立ちませんでした」
コルネリア「……その後、病は一度落ち着きました。それが、南の墓地の広さの理由です」
コルネリア「……そして、それから5年後、つまり今から5年前に再び同じ疫病が襲いました」
コルネリア「前の疫病が収束してからの5年間、私は病気の研究を行い、薬を作っていましたが……これも十分な効果を発揮することができたとはいえません」
コルネリア「その時、私の娘の夫が病に倒れました。……妻を亡くした時のことを思い出し、娘にそんな思いをさせたくないと思ったのが、……彼らを作り始めた理由です。義理の息子が、最初の人形でした」
クライブ「…理由はまあ分かった。が、あまりほめられたことではないな」
仮面のせいで、コルネリアの表情は窺い知れません。声だけは、淡々と、滔々と語っていました。
コルネリア「……これが間違いであることに気付くのにそう時間はかかりませんでしたが。その間にはすでに多くの人が現在のように。今では薬の研究が進み、ある程度効果が出るようにはなりましたが……」
コルネリア「……薬の完成を急がねばなりません。今、再び病が流行の兆しを見せています」
クライブ「なるほどな……」
クライブ「間違いを悔いているならまぁ俺が今更言うこともなかろう。……それに、俺も大して人のことを言えた義理でもない」
コルネリア「……こんなところです。昼は診療所を開いているので、夜に研究をしなければなりません。……納得頂けたなら、お引き取り頂けますか」
クライブ「で、どこまで出来たんだ、薬は」
コルネリア「……8割方。後もう少しという実感があります」
クライブ「何が足りない?」
コルネリア「……敢えて言うなら閃きが。色々なことを試していますが、どうしても少し足りない」
コルネリア「……皆さんも、早めに村を出た方が良いですよ。罹らない内に」
クライブ「…なるほど、な。さて、ここにかつて疫病のはやった村にいた人間がいるんだが…何かに使えるか?」
コルネリア「……ふむ。確かに、話を聞ければ役立つかと思いますが……何か、覚えがありますか?」
クライブ「そうさな…」
〈思い出し:知力・精神〉
クライブ:5
〈荷運びスキルによる振り直し〉
クライブ:15
クライブは当時の疫病のことを思い出し、どのような治療が行われていたのかに思い当たる節があったようです。色々と、当時行われていた治療の内容について話をしていました。
クライブ「…とまぁこんな感じの治療が俺のとこではあった」
コルネリア「……成程、こちらの治療とはまた毛色が違うようですね」
コルネリア「……ありがとうございます。研究が一歩、進むかもしれません」
クライブ「一度病気にかかった人間はかかりにくいと聞く。調べ物があれば呼ぶといい。少しの間は村にいる。ではな」
コルネリア「……ええ。お気をつけて」
クライブも話を終え、宿へと戻りました。宿に戻り、一通りのことを皆に話しました。
ノーティ「なるほど、やはりその医師が……ですか」
クライブ「そうだな。まぁ聞いていて愉快というわけでもないし…こんなもんだろ」
ジョルティ「ふーん」
ルー「そんなことが……」
ジョルティ(ま、用心に越した事はないか)
クライブ「ま、本人も後悔しているようだし…あえてつつきまわす必要はこれ以上はないだろう」
ノーティ「そうですね……今日はもう寝ましょう。すぐに何かあるわけでもないでしょうし」
ジョルティ「そうだな」
その後、ジョルティは密かに宿にアラート・ベルアラームの魔法を掛けていました。何か起きることがないか、用心をしているようでした。
そしてその夜……
〈???:敏捷+知力:目標10〉
クライブ:6(失敗)
ティエ:14
ノーティ:3(失敗)
ジョルティ:4(失敗)
ルー:10
ティエとルーの2人は寝る間際、窓の外に人影がいることに気が付きました。その人影は黒いローブを着ており、村の南側に歩いて向かっています。
【女子部屋】
ルー(なんでしょう、あの黒い人影……。あっちはお墓ですよね…?)
トリシア「zzz」
ルー(でも、トリシアさん寝てますし……気にしないでおきましょう)
【男子部屋】
ティエ「皆さん、何か黒いローブの人影が……」
クライブ「黒いローブね…墓場に何のようなんだか」
ジョルティ「尾行してみるかね」
ノーティ「ちょっとその前に確認を。この村の問題に介入するということでいいんですね?」
ノーティの問いかけに答える間もなく、ジョルティは黒いマントを身にまとってその人影を尾行するために外に出てしまいました。
ノーティ「あっ」
ティエ「行っちゃいましたね」
クライブ「ま、今更だろ。今までもさんざあちこちに首を突っ込んできたんだ」
クライブ「俺も少しだけ出てくる。……見られて困ることもない、コソコソすることはないが」
先行して外に出ていたジョルティは黒いローブを探します。しかし、外に出た時にはもう黒いローブの男の姿は見えません。向こうも闇に紛れており、暗い夜の中では遠くからは見えないようです。
ジョルティはティエの言っていた方角から、墓地に向かったと推察して姿こそ見えないもののそのまま墓地へと向かいました。
墓地は灯りがありません。月明かりだけが照らしていました。そして、どこかから土を掘るような音が聞こえていました。
〈ジョルティ:捜索〉
発動判定:12
ジョルティ(音は……こっちか)
ジョルティにはその音が聞こえている方向が分かりました。音のする方向へと、ゆっくりと近付いていきます。
そこには、先程の黒いローブの人物が、墓の1つを掘り返している姿がありました。
ジョルティ「こんな真っ暗闇で…墓荒らしか?」
墓はそう時間を掛けずに掘り返され、男は棺から何かを取り出しました。
それから、再び土を戻し、墓を元通りの状態に戻していきます。慣れた手付きをしており、ほとんど時間をかけていません。
そして、もとに戻った墓に一輪の黄色い花を手向けると、振り向き、墓から出て元の道を戻り始めます。
ジョルティ(……何かを持っていった。何だ? それにしても随分と手慣れていたな……)
ジョルティ(置いていった花で何かが分かるかもな……お供え物を取って悪いが、持って帰ることにしよう。……代わりに水袋を置いていけば許してもらえるだろ)
ジョルティは黒いローブの人物が置いていった黄色い花を手にとって、代わりに持っていた水袋を備えていきました。それから、宿への道を戻ります。その道の途中で、鼻歌交じりに南へと歩いていたクライブと出会いました。
ジョルティはそこで初めて黒いマントを脱ぎました。
クライブ「~♪ …ん、ジョルティか。どうした?」
ジョルティ「なにしてんだあんた」
クライブ「何してるんだもなにも、黒いローブという心当たりが夜の散歩をしているから俺も散歩に出ただけだ」
ジョルティ「ティエが不審者見かけたっていうんで、尾行」
クライブ「まぁいの一番に飛び出していったからそれは分かる…で、その花はなんだ?」
クライブはジョルティが持っていた黄色い花を見て問いかけます。
ジョルティ「これ?ちょっとな…」
クライブ「…この付近に採取できるような環境はないだろう、それ」
ジョルティ「まぁ宿に戻ろうぜ。皆にも報告しないといかんしな」
クライブ「…ごまかしたな。まぁいい。で、その黒ローブはどうしたんだ」
ジョルティ「まぁ、それも帰ってからな」
クライブ「そうか…まぁいい。んじゃ戻るか」
こうして2人は連れ立って宿へと戻りました。宿に戻ると、ティエとノーティが2人の帰りを待っていました。
ノーティ「ああ、お帰りなさい」
ジョルティ「黒いローブは墓地で何かを掘り返していた。かなり手慣れた様子だったな……。事が終わると墓を元に戻して、東に歩いていった」
ジョルティ「東って確か医者の居る方だよな?」
ノーティ「そうですね」
クライブ「ふむ…医者がね…話だけ聞くと医者が随分と不謹慎だが…研究の一環かね?」
ノーティ「私もそう思ったところです」
ティエ「墓掘り起こして何持ってったんですかねえ?」
ノーティ「研究のためになるなら、人道的問題がどうこうというのは難しくなりますが……」
クライブ「で、その花は?」
ジョルティ「パワーさんの餌」
クライブ「どこで採取したのか聞いたんだが…というかお前ハーブの種類分かったっけ?」
ティエ「まあ雑食系男子だからパワーさん食べられるだろうけど…」
ジョルティ「え?これハーブなの?」
ジョルティ「ほんとだハーブだ」
ノーティ「あ、そうですよ。山で採れます。白夜ハルシャ菊ですね」
ジョルティ「冗談はアレとして、これは明日ちょっと使い道があるんでな」
ノーティ「そうですか。まあ任せましょう」
ティエ「あれ。そういえばこれ色珍しいですなー。白夜ハルシャ菊、普通は紫色ですよ」
ノーティ「そういえばそうですね…、この色は見たことがありません」
〈ティエ:伝承知識:目標8〉
判定:12
ティエ「黄色いハルシャ菊……確か花言葉は……”永遠の命”ですね」
ノーティ「偶然でしょうか?
それとも……」
ジョルティ「永遠の命ねぇ…よし、明日もっかいその医者を訪ねようぜ」
クライブ「? 何故だ?拾った花なんじゃ…?」
ジョルティ「あげないぞ?」
クライブ「いや、別にいらんが…医者に何か関係あるのか?」
ジョルティ「それはなんとも…」
……ジョルティは墓から持ってきたことに後ろめたさがあったのか、そこを濁していたようですね。クライブ以外は特に気にはしていないようでしたが……。
ノーティ「言いたいことはなんとなくわかります。今度は同行させていただけますか?」
ジョルティ「クライブさん案内よろしく」
クライブ「? そうか、まぁいいんじゃないか。もう夜も遅い、寝るか」
ジョルティ「よし寝るぞー!」
こうして、彼らは再び床に就きました。
~冬の月 22日~
目を覚ますと、小雨が降っていました。肌寒さを感じる天気です。
〈コンディションチェック〉
パワー:1(病気耐性)
クライブ:13(絶好調)
ティエ:8【病】
ノーティ:10(絶好調)
トリシア:7【病】
ジョルティ:13(絶好調)
ルー:8【病】
目を覚ますと、ティエとトリシア、ルーは体調がおかしい事に気が付きます。少し咳が出ていました。
【黒死病】
全ステータス1段階ダウン。
罹っている間、睡眠によってHPが回復しない。
病気が治るまで、コンディションは回復しない。
自然治癒しない。
クライブ「…少々よくない咳だな」
ノーティ「アカツキ紅花で治るでしょうか?
それにしても、これはやはり……」
ジョルティ「参ったな、じゃあ皆で医者の所行くか」
トリシア「ぐえーだるーい…」
ルー「何だか体調が悪いような…私も一緒に行きます…」
ティエ「咳が出たらすぐ医者って言われてましたし、行きますか」
ノーティ「そうですね、他に訊きたいこともあるのでしょう?」
ジョルティ「お、そうだな。ついでに診てもらおうぜ」
パワー「病気じゃないけど死にそうなんだけど」
ルー「……それは鎧を脱がないからでは……」
パワー「忘れてた」
ジョルティ「よし、行こう。ティエ、花持っておいてくれる?」
ティエ「いきますか」
こうして、皆は村の東の診療所へと向かうことになりました。
こちらは、2016/11/20に行ったオンラインセッションのリプレイです。
……奇しくもGMの誕生日だったわけですが、誕生日にわざわざペストシナリオを用意するというのが私です。
付き合いの長いトリシアのPLに「昔からペスト好きだもんね」と言われて何も反論できませんでした。よく考えるとペスト好きって何ですか?
……ともかく、ローリスと黒死病を巡る物語は、次回から本格的に始まることになります。
【参考サイト】
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