お待たせしました、竜の君。どうにも寒さが引きませんね、少しおかしい気もするのですが。
……なるほど、冬の竜に何かあるかもしれないと。あるいはこれも、導きなのかもしれませんね。分かりました。……まあその件は今はとりあえず置いておいて、次の旅物語をお聞かせしましょう。
リリアスからの医師が到着し、引き継ぎを終えた後からです。
第二十八話「冬の森の老君」
リリアスからの医師に引き継ぎを終え、皆今度は次の旅先について相談を始めました。思えば1週間近くローリスに滞在していますから、そろそろ旅人の性が疼いてくることでしょう。
クライブ「でだ。俺達は出立するわけだが…どこへいくんだ?」
ノーティ「村長に辺りの街を聞くのが良いでしょうか? リリアスも興味深い場所ではありますが……」
ティエ「ですね」
ジョルティ「しかし、まだ店も開いてない。万全な旅支度は厳しそうだ」
ティエ「おいしい保存食ぐらいは頼めばあるかもねぇ」
ジョルティ「どれ位あると良いかな?」
クライブ「荷馬車のスペースを考えると……13個程だな」
ジョルティ「13個ね、了解」
クライブ「何を考えてる……?」
ジョルティ「ちょっとね。上手くやるから見とけって」
皆は村の中の状況を見回しながら、村長の邸宅へと向かいました。
諸々一段落したのか、村長もまた一息ついているようでした。
村長「おや、みなさんいらっしゃいませ。今朝方、リリアスからのお医者様が挨拶にいらっしゃいました。引き継ぎの間、診療所にいて頂いてありがとうございました」
クライブ(…村長に聞けとか言ってしまったが二度手間にさせたか。まぁいいか)
〈礼儀作法:対抗>
ジョルティ:18
村長:4
ジョルティ「村の復興に助力出来なくて申し訳ないが、我々は旅人故そろそろおいとまさせて頂きます」
村長「こ、これはこれはどうもご丁寧に。そうですか……いえ、本当にお世話になりました」
ジョルティ「それと、それとなんですが、お忙しいところ申し訳ないのですが、村の商店も機能してない現状で旅支度に手間取っていまして…」
村長「ああ、そうですよね……ご不便をお掛いたしまして申し訳ありません」
ジョルティ「村長さんの権限で”おいしい保存食”を13個ほど工面して頂けないでしょうか?」
村長「そうですよね、旅に出られるなら食料は必要になりますね」
村長「分かりました。冬の間の保存品ではありますが…20個ほどであれば工面できますので」
ジョルティ「かたじけない!!」
クライブ(おい、20個は余るぞ。入り切らん)
ジョルティ(ルーちゃんにあげよう。あっちも困ってるだろうし)
クライブ(……それもそうか。まあ貰えるものは貰っておくか……)
村長「本日はまだ宿におられますか? 後ほど、お持ちしたいと思いますが……」
ノーティ「このような状況で頂くのは心苦しいですが……ありがたいです」
ジョルティ「ええ、宿で構いません」
村長「分かりました。そのように致します」
ジョルティ「よし、じゃあノーティ君、バトンタッチ。後は任せた」
ノーティ「はい。と、いうわけですので、これから東に向かうのに良い街などございますでしょうか?」
ノーティ「リリアスも候補ではありますが、その他にもあれば……」
村長「東ですか? まっすぐ東ですとフリーグゼルまで集落はありませんが……」
村長「少し逸れても良いのであれば、リリアスと、もうひとつ北北東の方にツェイドという町があります」
クライブ「どんな場所なんだ?」
村長「ツェイドは鍛冶で有名な町ですね。高い鉱山の麓にあります」
村長「主に武具の鍛冶ですので、旅人の皆さんにも役に立つことがあるのではないかと……」
ジョルティ(隕鉄が加工できるかも。ヴェルガに嫁でも作ってやるか!)
クライブ「武具ねぇ…」
ノーティ「隕鉄でしたっけ、あの加工をお願いできるのではないでしょうか?
どなたのものになるかは存じ上げませんが……」
ティエ「我々にまたしゃべる無機物が増えるのか」
村長「特殊な武具制作なども受けてくれるとのことで、旅人の方からは評判が良い場所ですね」
クライブ「まぁ、行って損はないな」
ノーティ「少し遠回りにはなりますけどね」
ノーティは大都市が好き……というよりは小さい村や町があまり好みではないようで、まっすぐにでもフリーグゼルに行きたそうな様子でした。
クライブ「で、もう一つは?」
村長「リリアスの方ですか?」
クライブ「先ほどの医師はそこから来たそうだが」
村長「南東のリリアスは星見が有名でして……主に占い師の里として知られています。その関係で医術にも通じているとか」
村長「ただ……リリアスはちょっと行きにくい場所でして」
クライブ「ほう」
村長「高い山の上にあるので、断念される旅人の方も多いようです」
村長「なんでも、星を見るのにはその方が良いのだとか……詳しいことまでは存じ上げないのですが」
ノーティ「少しこの地図に書き加えてもらってもよろしいですか?」
村長「ええ、もちろん。正確に書けるわけではありませんが……」
ノーティが広げた地図に、村長がツェイドとリリアスについてその場所と大まかな地形を書き込みました。
ノーティ「これは……東から——フリーグゼルから向かっても山道を登ることになるわけですね?」
村長「ええ、そうですね、村自体が高山にありますから……」
ジョルティ「これ、我々でマッピングした地図複製して村々で売れば大儲けでは?」
村長「実際、地図師の方もいらっしゃいますね」
村長「ただ、真っ更に旅をしたいという方も多いようでして、実はそこまで売れないとか」
クライブ「地図を埋める楽しみね…まぁ分からんでもない」
思えば、私達の旅もいつも先行きが不透明で、分からないものでしたね。それが、良い旅物語に繋がっているのだと思うので、このことも良く分かります。
クライブ「村長、助かった…では俺らは目的地決めるのでこれで」
村長「ええ、良い旅になりますように」
こうして皆は村長宅を後にし、宿へと戻りました。
それから遠からずして、宿に20個の美味しい保存食が届けられました。クライブはまずそれを整理し始めます。
クライブ「やはり少々多いな」
ノーティ「我々が必要ない分はルーさんが持てば良いでしょう」
ルー「あ、ありがとうございます。実は保存食空っぽで、どうしようかと思ってたんです」
クライブ「…きちんと管理しておけ。一人になったときにつらいぞ」
ジョルティ「足りなくなったら自給自足すればええんや」
ルー「はい…まさかローリスで買えないとは思ってなかったので……次の場所ではもうちょっと多めに仕入れることにします」
ジョルティ「3日ぐらいは水でなんとかなるよって」
ルー「や、やっぱり気をつけることにします」
クライブ「ま、そうしておけ。いつでも買える・採れるわけじゃないからな」
ルー「はい!」
彼らの荷運び動物から溢れた7個の美味しい保存食は、ルーの荷運び動物に積み込まれました。
ノーティ「それで、ツェイドに向かいますか? どうします?」
ノーティ「私はいち早くフリーグゼルへ向かいたいところですが。別にツェイドに行くこと自体を否定はいたしません」
ジョルティ「ツェイドに一票!」
パワー「山はいいぞ!」
ティエ「じゃあとりあえず隕鉄の打ち直しをしにいく感じで?」
パワー「物語も山場ですが、文字通り山にいくようだな」
ルー「あれ? パワーさんはリリアスに行く気まんまんのようですけど…」
ノーティ「いくようだな、って……話聞いてないですね?」
パワー「山はいいぞ!」
クライブ「いつもどおり行き先は任せた」
ジョルティ「山行ってもその後どうすんのよ」
ジョルティ「ツェイド経由でフリーグゼル目指せばいいんじゃないか?」
パワー「そこに山があるから、のぼるのだ」
ティエ「高い山だと1日1箱程度の動物の餌が必要になるからなぁ」
ノーティ「私もそのルートでいいと思います、理由はどうあれ……リリアスには戻る道で行けば良いでしょう」
クライブ「補給を考えろよ」
パワー「いったいそこになにがあるというのか」
パワー「山がそこにあるというのに」
いつにもましてパワーに言葉が通じていないような感じがします。なにやら山に執着があるのかもしれません。
クライブは押し問答に早々に見切りをつけて、ティエの持ち物の中からカンテレなる楽器を取り出して勝手に弾き始めました。
ティエもそれに簡単な手ほどきをし始め、元々行き先を彼らに任せているルーもそれを見ていました。
ノーティ「補給もままならないまま高山に登るのは不安要素が残るので、ツェイドが良いと思われます」
トリシアは最初からずっと窓際で紫煙をくゆらせていました。これはいつもどおりですが。
ノーティ「そうですね、せめて高山には春に行きたいですね……」
ノーティ「ハイキングみたいで良いでしょう?」
ルー「どのくらい高いのか想像できませんけど……今の私だとちょっと厳しい気がしますね……」
ルー「山好きなんですねぇ…」
パワー「え、べつに?」
ルー「え、あれ?」
皆が一斉に、パワーが朝一番で採ってきたアカツキ紅花をその場で食べた時のような目になりました。……やっぱり彼のことは未だに良く分かりません。何か、山への執着には理由があるのでしょうか。
ティエ「じゃあ…北の方…と言うことで…」
パワー「きたへーいこうらんららん」
ノーティ「さっきまでのはなんだったんだ……」
こうして、次なる行き先はローリスの北北東、鍛冶の町のツェイドへと相成りました。
~冬の月 27日~
その日は寒いものの雪は降っておらず、比較的歩きやすそうな旅立ち日和になりました。
〈コンディションチェック〉
パワー:5
クライブ:17(絶好調)
ティエ:9
ノーティ:19(絶好調)
トリシア:6
ジョルティ:7
ルー:13(絶好調)
相変わらずパワーが鎧を着たまま寝ていたため、体調が悪そうでした。
クライブ「だから鎧脱げっつってんだろ」
パワー「鎧が一緒に寝たがってるんだよなぁ」
ルー「脱いで添い寝すればいいんじゃないですか?」
パワー「その発想はなかった。天才のそれである」
ジョルティ「無慈悲なまでの正論」
ノーティ「今度からそうしてください」
ルー「絶対体に悪いですもん…着たまま寝てるの…」
パワー「はーい。気分はいいぞ、まるで天に召されるような気分だぞ」
ルー「ホントに召されそう…」
パワーは元気よく返事をしていました。……本当に分かっているんでしょうか?
ルー「そ、それで、今日はもう出発するんですか? 行き先は北東、でしたよね」
ノーティ「ああ、何もなければ出発ですが。この村で出来ることも今はないでしょう」
ティエ「そうですねぇー」
ジョルティ「でっぱつしますかー」
トリシア「この寒い冬はいつまで続くんだ…くそう」
ノーティ「さて、それでは準備のしようもないので出発ですね」
ティエ「ですねー」
ルー「今日は良い天気ですし、良い日和ですね!」
ノーティ「もう少しでだいぶ過ごしやすい季節になるんですが、季節の変わり目を迎えるまではまだまだ寒いですね」
パワー「待て、その前に草を取る、草。草が食べたい」
ルー(もう最初から食べる気だ……)
ノーティ「私は山で採ってきます。パワーさんは草原でどうですか」
パワー「草原、うまそう」
〈薬草取り:草原:目標6〉
パワー:14(夕陽のヒメリンゴ獲得)
〈薬草取り:山:目標10〉
ノーティ:10(黄色い白夜ハルシャ菊獲得)
パワー「取れた。美味いな」
ルー「あー…ヒメリンゴはしょうがない」
トリシア「ソウナノカー」
ティエ(達観している…)
クライブ(しょうがないで済ませていいのだろうか…)
ジョルティ(ルーちゃんもヒメリンゴ拾い食いしちゃう派か…)
パワーがヒメリンゴをまるかじりしている所に、黄色いハルシャ菊を持ったノーティが戻ってきました。どうやら、普通の紫色のハルシャ菊はこの当たりでは見つからなかったようです。
パワー「はるしゃぎくくれよおおお! アアアアアア!」
ノーティ「駄目です!」
〈黄色い白夜ハルシャ菊〉
花びらをお茶にすると、爽やかな甘みがある味になる。
精神が高揚し、終日【ハイ8】に掛かるが、ダメージ判定に+1。不思議な力で枯れることがない。
ルー「私は準備OKです!」
ティエ「草取りも終わったみたいだし出ましょうか」
ノーティ「出ましょう」
〈移動チェック:寒い草原:目標7〉
パワー:3(失敗)
クライブ:17
ティエ:14
ノーティ:7
トリシア:8
ジョルティ:14
ルー:8
〈方向チェック:寒い草原:目標7〉
ティエ:8(サポート成功)
ノーティ:13
その日は特に何事もなく1日歩き通しました。明日の行先はなだらかながら丘陵になっているようです。
〈狩猟チェック:草原:目標6〉
パワー:9(食料4獲得)
クライブ:4
ジョルティ:5
ジョルティ「今日はやる気がでない」
クライブ「奇遇だな」
パワー「雑魚め!」
ジョルティ「まあ、いいじゃん、村長からせしめたんだし。それ食おうぜ」
ノーティ「見渡す限り……って感じですね」
ルー「そうですね…なかなか大変そうです」
ルー「こっちはこっちで野営の準備しないといけませんね」
〈野営チェック:本陣:寒い草原:目標7〉
ティエ:16(サポート成功)
トリシア:13
〈野営チェック:ルー:寒い草原:目標7〉
ルー:12
特に何事もなく野営をして、その日の夜は更けていきました。またパワーが鎧のまま寝ようとしていましたが……。
ノーティ「鎧は脱ぎましょうね……」
ルー「そうですそうです、脱ぎましょう脱ぎましょう」
トリシア「ひわい」
ルー「そっち抑えて下さい脱がしましょう」
ジョルティ「パワーさん鎧脱がないと美味しい飯抜きな」
パワー「くそー! 何でそんなに脱がそうとするんだ!」
ルー「脱がないと危ないからですよ!」
~冬の月 28日~
ちらほらと雪が降り始めていました。行く先となる丘陵にも雪が積もっているのが見えます。
〈コンディションチェック〉
パワー:13(絶好調)
クライブ:8
ティエ:6
ノーティ:14(絶好調)
トリシア:Critical(14:絶好調)
ジョルティ:13(絶好調)
ルー:11(絶好調)
〈荷運びスキルによる振り直し〉
クライブ:10(絶好調)
ティエ「調子わるーい」
ルー「何だか体調が良い気がします」
パワー「何故か調子が良い! 草を取るぞ!」
ノーティ「草原をお願いします。私は丘陵の方を」
〈薬草取り:丘陵:目標8〉
ノーティ:12(釣鐘ツユクサ獲得)
〈薬草取り:草原:目標6〉
パワー:Critical(夕陽のヒメリンゴ3個獲得)
パワー「3つもあったぞ! ぜんぶたべーる!」
パワー「ああ~たまらない!」
ノーティ「いや、あの、分かるんですが…普通に朝食食べましたよね」
ジョルティ「リンゴは摩りおろし派」
クライブ「言ったところで仕方あるまい」
皆ジトーっとした目でパワーを見ていましたが、ルーだけは少し様子が違っていました。
ルー「ヒメリンゴは美味しいから仕方ない……」
ルー「美味しいですよね、甘酸っぱくて!」
ルー(1つくらい分けてくれれば良いのにー)
<移動チェック:雪の丘陵:目標11〉
パワー:16
クライブ:20
ティエ:14
ノーティ:14
トリシア:21
ジョルティ:12
ルー:12
雪こそ積もっているものの、それほど険しい地形ではなく、皆にとってはそれほど障害となるものではありませんでした。
〈方向チェック:雪の丘陵:目標11〉
ティエ:17(サポート成功)
ノーティ:28
皆は特に迷うこともなく丘陵地帯を進んでいきます。
昼過ぎ頃まで丘陵を登った頃、途中で雪の一部が大きく窪んでいる事に気が付きました。何か、大きな足跡が雪の下にあるようです。足跡の大きさは2メートルほどはあるでしょうか。
ジョルティ「!」
トリシア「でかい」
パワー「おっきーぃ」
ノーティ「恐らくは足跡ですね……」
ジョルティ「これは…!!」
ルー「わーホントに大きいですね」
ティエ「かりゅうどー これなにー」
パワー「これはおおきいあしあとだよー」
クライブ(それは見れば分かるんだよなあ…)
トリシア「パワーの身長くらいあるね、この足跡」
ルー「ちょっと寝てみて下さい! 足跡と背比べしましょうパワーさん」
パワー「え? やだよ冷たいし」
ルー「あれ!? 喜んでやってくれそうなのに!」
ジョルティ「とりあえず、足跡の主が近くにいないか確認しないと…」
ノーティ「全長が想像できますね……しかし生物についてはそれほど詳しくないので 何かしら知識をお持ちの方、調べていただけますか」
パワー「わかったウホ」
ジョルティ「ウホ?」
〈動物探し〉
パワー:12
クライブ:14
ジョルティ:8
3人はその大きな足跡が、丘陵の北側に広がる森の中へと続いていることが分かりました。
ジョルティ「足跡は……森の方に向かってるな」
ティエ「あれ、これからそっちいくんじゃなかったでしたっけ?」
トリシア「行き先の方向に続いてるなんてまさか」
パワー「おもしろそうだな」
クライブ「……足跡に何か草が生えてるぞ?」
クライブが足跡にある一本の草を指差し、ノーティがそれを摘みました。
ノーティ「む、月華ノ雪割草ですね。森のハーブのはずですが……何故丘陵に」
パワー「うまそう」
ノーティ「これはしまっておきますねー」
パワー「アアアアア」
ルー「ナイスガードですノーティさん!」
ノーティ「ハーブ取りなら任せてください」
ノーティがわざとらしくメガネを直して見せていました。
しかし足跡の続いている森はまだ遠く、今日中に入ることができそうにはありません。夜歩かないようにするためには、丘陵の下り半ばほどで休むことになりそうです。
ティエ「夜歩くとロクなことにならないし夜へんなところで寝るとゴハンがなくなるからなー」
ノーティ「そろそろ野営ですかね?」
パワー「おっそうだな」
ルー「地面が斜めでちょっとテント建てにくそうですね」
ジョルティ「ちょっと本気で狩りしてくるわ」
〈ジョルティ:春魔法「スプラウト」→ジョルティの敏捷〉
発動判定:4
〈狩猟チェック:丘陵:目標8〉
パワー:9(食料2個獲得)
ジョルティ:Critical(30:包丁捌き:23個のとても美味しい食料獲得)
クライブ「余分に取りすぎだ」
ジョルティ「巣があってさ…ついつい芋蔓式に」
ティエ「23人前…?」
ルー「と、取りすぎなのでは?」
2匹の動物を捕まえて帰ってきたパワーもその時ばかりはジョルティの姿に驚いているようでした。
ジョルティ「生態系に影響はないだろうけど…なんだろこれ…モグラ?」
ティエ「個体同士が特殊な器官でつながっているという動物、芋グラ!」
ジョルティ「知っているのかティエ!」
ティエ「いや適当に言いました」
ノーティ「ある程度リリースしないと明日以降が……もう調理済みですか」
ジョルティ「その場で血抜きしちゃわないと質が落ちるし……」
クライブ「冬魔法で冷凍保存できないのか?」
ノーティ「それが、できないんですよ、長続きしないんです冬魔法は」
ルー「あ、余りそうなら1つ貰っても宜しいですか…?」
ジョルティ「もちろんさ!」
ルー「ありがとうございます!美味しかったらお姉ちゃんメモに書いておかないと…」
ティエ「秋魔法でジャムにできるので、肉ジャムでもつくりますか…時間あるし」
ティエ「7人で食べるとして、残り16個を1回ではジャムにはできないなぁ」
ティエ「とりあえずスプラウトとか貰えます? ジャムにしてみますから」
ノーティ「了解」
ジョルティ「ついでにラック・ラック・ラックも掛けておくよ」
〈ジョルティ:春魔法「ラック・ラック・ラック」→ティエ・ルー・トリシア〉
発動判定:Fumble
ジョルティ「……あれ? 発動しない」
ティエ「あ、魔法陣のここ途切れてますよ」
ジョルティ「まじか」
ティエ「ここも反対に」
ジョルティ「ほんとだ……儀式魔法は面倒なのよね」
ティエ「狩猟疲れですかね?」
ルー「雪のせいで分かりにくかったのもありそうですね」
ノーティ「とりあえず、それならスプラウトだけでやってみましょう」
〈ノーティ:春魔法「スプラウト」→ティエの精神〉
発動判定:15
スプラウトがティエにかかると、途端に表情が消え、何か悟っていそうな顔になりました。ちょっと怖いんですけど。
〈ティエ:秋魔法「マジックジャムボトル」〉
発動判定:17
効果量:10個
ティエ「やっぱり1回じゃ駄目でしたね。もう一回お願いします」
ノーティ「はい」
〈ノーティ:春魔法「スプラウト」→ティエの精神〉
発動判定:11
<ティエ:秋魔法「マジックジャムボトル」〉
発動判定:10
効果量:4個
ティエ「おっと……これでも足りませんでしたね。まあ残りは仕方ないか、パワーさんとジョルティさんで食べたらどうです?」
パワー「わーい」
ジョルティ「foo」
〈野営チェック:寒い丘陵:目標11〉
ノーティ:8(サポート成功)
トリシア:16
<野営チェック(ルー):寒い丘陵:目標11〉
ルー:18
クライブ「サポートなしでももうだいぶ安定しているな」
ルー「結構慣れてきました!」
~冬の月 29日~
冬もだんだんと終わりが近づいてきました。しかし、まだ全然暖かくはなってはきていませんね……。何ならかえって冷え込んでいるような気がします。
〈コンディションチェック〉
パワー:10(絶好調)
クライブ:16(絶好調)
ティエ:18(絶好調)
ノーティ:8
トリシア:15(絶好調)
ジョルティ:16(絶好調)
ルー:8
ティエ「食事すごく美味しかったなー」
ルー「美味しかったですねぇ」
ジョルティ「初めて食べる味だったな、肉なのに芋のようにホクホクしてて甘かった。案外本当に芋グラなんじゃないか」
ルー「芋グラとしてお姉ちゃんに教えておきます!」
ルー「そういえば、今日は森に入りそうですね。あの足跡、何だったのか気になりますけど……怖い動物じゃなきゃ良いんですが」
パワー「気が早いぞ、まずは草を取るのだ」
ノーティ「今日は丘陵と森が選べそうですね……私は森に行ってきますが」
パワー「俺はここで取る!」
ノーティ「そうですか、ではすぐ戻りますね」
〈薬草取り:丘陵:目標8〉
パワー:6(失敗)
〈薬草取り:森:目標10〉
ノーティ:Critical(月華ノ雪割草3個獲得)
ルー「何だかいっぱいとれますねえ」
パワー「食わせろ?」
ノーティ「駄目です」
ノーティ「それで……今日の行軍で戦闘が起こったりしますかね? 予想立ちます?」
クライブ「足跡の主は近いだろうな。流石に何かまでは分からんが」
ルー「どんな動物なんでしょうね…戦闘になるとして、戦えるんでしょうか、あんな大きいのと」
ティエ「じゃぁ雪割草食べておきます? 戦うか分からないけれど、ちょうどいっぱい取れたみたいですし」
ノーティ「では私とティエさんで雪割草を1つずつ飲んでおきましょう」
ティエ「じゃあお茶にしてきます」
パワー「飲ませろ?」
ティエ「駄目です」
ノーティとティエが新鮮な雪割草をお茶にして飲み、出発の準備が整いました。
〈移動チェック:寒い森:目標11〉
パワー:7(失敗)
クライブ:11
ティエ:12
ノーティ:11
トリシア:13
ジョルティ:16
ルー:11
とりあえず迷うことなく森にまで入ることができました。森には昨日見かけた足跡が続いています。
パワーは疲れているようでしたが、あの鎧なら致し方ない気もします。
ジョルティ「……足跡がある。探そう」
クライブ「うむ」
〈動物探し:目標10〉
クライブ:11
ジョルティ:14
2人はが足跡を辿ると、それがそう遠くない場所で途切れていることに気が付きました。
足跡が途切れている場所の近くは、小高い丘のようになっています。小高い丘の上には、小さい山や湖のようになっている部分があり、それだけで1つの自然のような様相を呈していました。
ティエ「ほーこれは絶景」
ノーティ「……これってもしかして……いえ、考え過ぎですかね。
よく見ると、小高い丘の上の地形には、それぞれの地形にあったハーブが生えているようです。高山と森のものはないようですが、他のハーブは一通り見つかります。
パワー「草だー!」
ノーティ「確かにハーブがあるみたいですね。登ってみますか」
〈薬草取り:達成値以下の地形のハーブが獲得可能〉
パワー:5(失敗)
ノーティ:7(草原と荒野)
パワー「アアアアアアアアアアアアアアアア」
ノーティ「他のものはちょっと取れそうにないですね……」
2人が丘の上に登り、ハーブを取っていると……、丘がゆっくりと動き始めました。
ノーティ「む……やはり!」
ジョルティ「動いた!?」
クライブ「…? 動き出しただと!?」
ティエ「あー これ動くんだぁー」
ズシンズシンと大きな音を立て、東に向かって動いているようです。丘の上はその度に大きく揺れていました。
ティエ「足跡はコレか…」
ジョルティ「まぁ、そんな気はしてたよねうん」
ティエ「乗ったらそのまま乗せてくれるのかな」
よく見ると東側には頭のようなものがありますが、視線はまっすぐに東を向いており、皆のことは視線に入っていないようでした。
ティエ「ダイジョウブー?」
ノーティ「……敵意はないみたいですね?
それとも見えていないだけ?」
トリシア「スパー」
トリシアは動く丘の様子を見ながらいつものように一服していました。
ジョルティ「ドラコニカしてみて」
ティエ「そうですね。念のため」
〈ティエ:呪文魔法「オープン・ドラコニカ」〉
発動判定:11
ティエの呼び出したドラコニカがページを捲っていきます。【ガーデン・トータス】と書かれたページがドラコニカによって示されました。
【ガーデン・トータス】
林や森などに生息する世界最大のリクガメ。体長は20メートルを超える。
低山の竜の一種ではないかと考えられることもあるが、目撃例自体が少ないために不明。
クライブ「まあ、素直に降りれば移動のずれ自体は間に合うだろう…どうするんだ?」
ノーティ「私はこっそり降ります……」
ルー「おおー…動いてるー…」
パワー「草を食べるやつに迷惑をかけてはいけない」
ノーティ「はあ」
ジョルティ「お、おう。敵意はないみたいだな。とりあえず乗りたい」
ノーティ「乗るんですか? 目的地から離れてしまいますよ?」
〈登攀(運動):体力・敏捷〉
ジョルティ:9
ノーティの言葉も聞かず、ジョルティが丘……ガーデン・トータスの甲羅の上に乗りました。
ジョルティ「すっごい直下型で揺れる! 楽しい!」
ジョルティはテンション高めに丘の上を楽しんでいました。
ジョルティ「…降りよ」
……すぐ飽きたようでしたが。
結局、パワーはまだ登ったままですが、ガーデン・トータスはゆっくり東に進み続けていました。
ノーティ「パワーさんも降りてきてください」
パワー「えー」
ノーティ「ゴネないでください」
パワー「カメー!」
ジョルティ「いい経験だった」
ノーティ「明日も草食べていいですから」
ルー(餌付けしてる…)
クライブ「ほら、降りてこい」
クライブが甲羅に登り、パワーを引きずり降ろしました。そのまま、ガーデン・トータスはゆっくりと東に向かっていきます。
ルー「大きいだけで、特に襲っては来ないみたいで良かったですね」
ノーティ「鈍いのか敵意がないのか……何にせよまったくです」
ルー「貴重な動物みたいなので、もう会えないかもしれませんねぇ」
ノーティ「軽くスケッチでもしておきましょう」
ティエ「日報にでも書いておこう」
ルー「続き、歩きましょっか」
ティエ「ですねえ」
ひとしきりガーデン・トータスの記録をして、皆は再びツェイドに向けて出発しました。
<方向チェック:寒い森:目標11〉
ティエ:16(サポート成功)
ノーティ:25
道に迷うこともなく森を歩くことさらに半日程、まだまだ森の中です。冬の森という環境もあり、かなり早めから暗くなっているようでした。
〈狩猟チェック:森:目標10〉
ジョルティ:12(包丁捌き:美味しい食料3個獲得)
ジョルティ「美味そうな鳥が3つ取れたぞ」
ティエ「あれ、芋グラジャムあるのにとってきちゃったんですか」
ジョルティ「なんか居たのでつい」
ティエ「そのままだと腐るからジャムにしますか…レバーペーストな見た目のおいしい鶏肉味になりますかね」
〈ティエ:秋魔法「マジックジャムボトル」〉
発動判定:7
効果量:11
クライブ「いや、それをそのまま食べてジャムは別口で食べればいいだろう…って魔法使ってしまったか…」
ルー「わー鳥ジャムー」
ジョルティ「ルーちゃん持っときなと」
ルー「どう料理すると美味しくなりますかねぇ鳥ジャム」
ティエ「パンにのっける?」
トリシア「バケット乗せー」
ルー「いいんですか? 余るようなら頂きますが…」
ルー「あ、じゃあお料理手伝いますね!」
〈野営チェック:寒い森:目標11〉
ティエ:13(サポート成功)
トリシア:23
<野営チェック(ルー):寒い森:目標11〉
クライブ:14(サポート成功)
ルー:6
ルー「あれっ…久しぶりに失敗しちゃいましたね」
クライブ「…平気になったかと思いきや失敗したな」
ルー「ま、まあちょっと通気性が良さそうですけど、寝られないことはなさそうですし」
ノーティ「前向きで結構なことで」
ルー「とりあえずご飯にしましょう!」
トリシア「風邪引かぬようにね」
ルー「体調には気をつけないといけませんね」
その後、トリシアとルーで昨日の芋グラ(仮)ジャムを使った料理を作って食べ、夜が更けていきました。
~冬の月 30日~
冬も最後の日…のはずですがやはりまだ寒いままです。そろそろ暖かくなってきても良いと思うのですが。雪が降っていて、溶ける気配もまだありません。
どうもおかしいですね、後で、竜の君にも話を聞いてみることにしましょう……。
ノーティ「明日になれば一気に雪解けでしょうか……?」
ジョルティ「でもまだ寒いな」
皆も、この気候に少しばかり疑問を持っているようでした。
〈コンディションチェック〉
パワー:8
クライブ:10(絶好調)
ティエ:15(絶好調)
ノーティ:17(絶好調)
トリシア:10(絶好調)
ジョルティ:14(絶好調)
ルー:7
<薬草取り:森:目標10〉
パワー:6
ノーティ:5
パワー「クサ ドコ」
ノーティ「無いですねぇ……」
北東の方向に、高い山が見えました。行き先ではないようですが、これまで見たどの山よりも高いように見えます。
村長の話によれば、ツェイドはその麓にあるようです。方向はわかり易く、迷う心配はなさそうでした。
ティエ「たかーい。ああいう所で結界樹枝がとれるんですねえ」
ルー「ライル義兄さんの故郷もああいう場所だったんだろうなあ」
〈移動チェック:雪の森:目標13〉
パワー:2(失敗)
クライブ:10(失敗)
ティエ:12(失敗)
ノーティ:12(失敗)
トリシア:17
ジョルティ:9(失敗)
ルー:15
大半が雪道に疲れているようではありましたが、夕方頃にはツェイドへと到着しました。
北側には高山があり、周囲は森に囲まれています。
町に入るとすぐに、カン、カンと金属を叩いているような音が聞こえてきました。
至る所に鍛冶屋がある町のようです。また、町の中心には大きな武具商館があるようでした。
ノーティは周囲を見回して少々つまらなそうな顔をしていましたが……ともあれ、新しい町へと到着しました。
クライブ「疲れたしとりあえず宿を取るぞ」
ルー「そうですね、宿を探しましょう。」
この町で、どんな物語が紡ぎ出されることになるでしょうか?
今回の旅物語はここまでと致します。
--第二十八話「冬の森の老君」 完
こうして、彼らはツェイドへと到着したのでした。特に大きな障害もなく、久々に和やかな旅路になったと思います。
しかし困ったのはこの寒さですね。春の竜である竜の君に何事もないなら、確かに冬の竜に何かあったと考える方が妥当そうです。
……冬の竜は、確か東にいるのでしたね。何か、分かれば良いのですが。
ともあれ、次回の旅物語までお待ち下さい。このツェイドでのお話を持ってまいります。
【MVP:ジョルティ】
こちらは、2016/12/2に行ったオンラインセッションのリプレイです。
今回は比較的短く、シンプルな旅歩きシナリオになりました。ジョルティをちょっと好戦的に誘導するために「低山の竜」っぽいという設定のガーデン・トータスを出したのですが、全く反応しなかったため、結果的に不戦シナリオになりました。
全体的にずっと草を取ったり、食べたり(若干一名)しているシナリオでしたが、時にはこういうのも良いですね。
それでは、次回をお待ち下さい。
【参考サイト】
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