2016/06/26

りゅうたまリプレイ 第六話「欝蒼の森の中で」 【キャンペーン】

段々と暑くなってきましたね、竜の君。
そろそろ、春の終わりの気配を感じる時期になってきました。
とはいえ、春の始まりと共に始まった彼らの旅は、まだまだ続きます。
それでは、前回の続きから始めましょう。長く続いたゴレンの滞在も、そろそろ終わりを迎えようとしています……。

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第六話「欝蒼の森の中で」




黒衣の女リンと、喋る匕首ヴェルガの2人との騒動から、すでに1週間ほどが経過していました。
性急な彼らがまだこのゴレンに滞在していたのは、トリシアがディストの技術を学ぶ間を待っていたためです。
その間は、各々が思い思いの時間を過ごしていました。リーズさん達が先に町を発ってしまったので、私は退屈ではありましたが、のんびりとしている彼らを見るのも新鮮で悪いものではありませんでしたよ。

そんなのんびりとした暮らしの中で、1人慌ただしそうにしていたのがティエでした。
ティエは皆の資金を預かって運用をするという役目を任されていたので、次の町で売ることを考えてゴレンの特産品である銀製品を見繕っていました。

〈春夏冬〉
ティエ:13(40%OFF)

複数ある銀製品のお店を見て回り相場を把握して、さらに粘り強く交渉を行うことで通常よりも40%ほど安く購入することができたようです。
ただ、大量に買い込んだ銀製品が持ち歩けないということで、新しく荷運び用の動物も買っていました。次男坊ながら、商人の資質が見え隠れしていますね。
ちなみに、最も多くの金額を出資していたのはトリシアでした。相変わらず抜け目ないですね。

他の人達も、ゴレンの銀の武器や銀の防具などを購入し、旅の準備を整えていました。段々と、それらしくなってきたのではないでしょうか?
私はというと、リーズさんが旅立つ際に銀のアクセサリーを1つ貰いました。彼女は化身が人間の姿なので、こういったことができるようですね。竜の翼の絵があしらわれた、可愛らしいものです。
私からはお返しができませんでしたが、今度また会う時までに何か考えておきたいものです。

と、少し私事に話がそれてしまいました。そんなこんなでトリシアがディストから基礎的な技術を教えられて、遂にゴレンからの旅立ちの日がやってきたようです。

〈コンディションチェック:1日目〉
クライブ:5
ティエ:5
ノーティ:11(絶好調)
トリシア:4
ジョルティ:4

長期滞在これ幸いと本を読み漁っていたノーティは、すこぶる体調が良いようでした。ちなみに、パワーは気付いたらいなくなっていましたが、まあ、野生の勘で後で合流するだろうということで特に気に留めているものはいませんでした。

ティエ「さて、出発する前に、とりあえずどちらに向かうかを決めなければなりませんね」
クライブ「……ディストに聞きに行くか」

まずは情報収集ということで、彼らはディストの工房へと向かいました。まだ朝ながら、ディストの工房からはすでに銀を打つ音が響いています。

ティエ「お忙しいところすみません。私達もそろそろ旅立とうと思います。……それで、この周辺の集落について教えて頂きたいのですが……」
ディスト「おお、そうか。この周辺は……そうだな、カナセを除けば西のアージェント、南東のレパーリアぐらいか」

ジョルティ「美味いもんあるとこどっちだよおっちゃん」
ディスト「美味いもんならアージェントの方だな。レパーリアは湿気がちで、新鮮なものはあまりない。保存食みたいなものが中心だな。酒は美味いんだが」
ジョルティ「アージェント一択って胃袋が言っている。叫んでいる!」

ティエ「ちなみに、アージェントまでの道程は?」
ディスト「アージェントは森の向こうだな。距離としてはそう離れていない。まあ、お前達の健脚なら3日もあれば着くだろう」
ティエ「レパーリアは?」
ディスト「レパーリアはかなり離れているからな、全て徒歩で向かおうと思うとかなり時間がかかる。ただ、ある程度の距離まではこの近くの川を下る船を使えば楽だ。歩かなきゃならん距離はこっちも変わらないな」

ディスト「他に何か訊きたいことは?」
ティエ「アージェントに行こうかと思っているけれど、なにか情報はありますか?」
ディスト「情報か、最近はあまりやり取りがないからなあ。かなり規模が大きい街だな、あの場所だけで色々なものが揃う。周囲が森に囲まれていて、その上外周も城壁で囲まれてる。天然の要害だ、ありゃなかなか落ちんな」
ジョルティ「いや、争う前提で言われても。1人除いて蛮族じゃないからね!?」
ディスト「まあ、こことはかなり規模の違う街ってことだ。だが、それほど厳しい街ってわけでもない。旅人ならすんなり入れてくれるだろうさ。ただし、夜になると門を閉めちまうからな、到着する時間は考えた方がいいな」
ディスト「門の前で野宿するハメになる。なった」

ティエ「なるほど、ありがとうございます」
ノーティ「そこまで聞いたら気になってしまいますね」
ジョルティ「くだんの件もあるしね」
トリシア「とりあえず、アージェントに行きたくないって人は、いるのかな?」
クライブ「レパーリアも気にはなるが……あそこからアージェントに向かうのも骨だろう」
ジョルティ「最悪、事を構えるリスクは考えないといかんかもな」

ディスト「もう行っちまうんだな。いやはや、旅人だから分かっちゃいたことだが、寂しいもんだ」
ノーティ「こればかりは、我々にもそれぞれの目的がありますから」
ジョルティ「世話になったなおっちゃん」
トリシア「時間ができたらまた寄るさ」
ディスト「おう、俺にとっても大事な弟子とその仲間だ。近くに来たら寄ってくれ。……じゃあな、武運を祈る。……色々とな、無事でいることだ」

剛気なディストも、どこかしんみりとした雰囲気になっていました。私もこの町には長居をして思い入れが強くなっていたので、少し寂しい気分になってしまいました。
が、彼らは旅人、次の旅への準備はもう殆ど整いました。

ティエ「アージェント方面の天気予報聞いてきます」

天気予報「ゴレン、アージェント方面の天気予報をお知らせします。本日中は晴れやかなお天気が続きますが、明日からは少々崩れ、雨が降るところがあるでしょう。雨は2日ほど続く見込みです」

クライブ「雨か……できれば急ぎたいところだ」
ノーティ「道案内なら気合いを入れて行きますよ」

トリシア「滞在中に作ってた保存食を持って行かないと。手持ちに入れます」

〈物作り:保存食12:目標6
トリシア:15

ノーティ「近場でハーブを取ってきますね」

〈薬草取り:岩場:目標8
ノーティ:9(キョジンノテノヒラ入手)

と、それぞれ最後の準備を済ませ、ついに彼らはゴレンを出ました。アージェントへ向けて、西側への出発です。暫くはカナセからゴレンに来た時と同じような岩場が続いているようでしたが、こちらはある程度街道が整備されているようでした。

〈移動チェック:晴れの岩場(街道):目標8
クライブ:11
ティエ:10
ノーティ:Fumble
トリシア:11
ジョルティ:12

暫くの間引きこもって読書をしていたせいでしょうか、ノーティは久々の旅歩きで疲労困憊というような状態になっていました。朝方に採取したキョジンノテノヒラをすぐに消費して、体力を回復させていました。

〈方向チェック:晴れの岩場:目標8
ティエ:6(サポート成功)
ノーティ:18

疲れきっていたノーティでしたが、地図を見る目は冴え渡っていたようです。迷うこと無く、その日の旅を終える事ができました。夕方頃になると、目の前に森が見えてきていたことが、迷っていないことの証明でした。

〈狩猟チェック:岩場:目標8
クライブ:7(食料0
ジョルティ:9(食料1

岩場ということもあり、あまり生物もいなかったようです。ジョルティはなんとか食べられそうなトカゲを見つけていましたが、残りの人はトリシアの作った保存食を食べました。

〈野営チェック:晴れの岩場:目標8
ノーティ:7(サポート成功)
トリシア:13

トリシアはもはや慣れた手付きで野営の準備を済ませました。長く宿暮らしでしたが、この辺りは鈍っていないようです。
程なくして彼らは眠りに就きました。

そして翌日、朝になるとポツポツと雨が降り出していました。雨脚こそそれほど強くはありませんが、これから森に入る事を考えると……あまり歓迎できないものなのは間違い有りませんね。……と思ったのですが、彼らは皆、各々傘を持っていました。
結果的に、雨で被害を受けるのは傘を持っていない私だけですね……。誰かの傘に勝手に入って行きましょうか?

〈コンディションチェック:2日目〉
クライブ:7
ティエ:3
ノーティ:5
トリシア:Fumble
ジョルティ:5

久々の野宿が堪えたのでしょうか。皆それほど体調は優れなかったようです。特にトリシアはすこぶる体調が悪そうな様子でした。

ノーティ「岩場にいる内にハーブを取っておきます」

〈薬草取り:岩場:目標8
ノーティ:5(失敗)

これからの森の旅路に備えてノーティも薬草を取りに行きましたが、見つける事ができなかったようです。地形の狭間で、生態系に変化があったのでしょうか?

程なくしてキャンプを片付け、ついに森の中へと出発する運びとなりました。

〈移動チェック:雨の森:目標11
クライブ:12
ティエ:12
ノーティ:8(失敗)
トリシア:18
ジョルティ:8(失敗)

体調不良も何のその、トリシアは森の中を身軽に歩いていきます。対してノーティとジョルティは足場の悪さや視界の悪さから、普段よりも疲れてしまっているようでした。

〈方向チェック:雨の森:目標11
ティエ:5(サポート成功)
ノーティ:22

ノーティは疲れている様子でしたが、やはり地図の把握は抜群でした。アローコンパスの魔法も使い、入念なチェックをすることで全く迷うこと無く歩く事ができたようです。
そして夕方を迎え、そろそろ野営の時間かと思った頃、彼らは目の前に小さな湖があることに気が付きました。

小さな湖は不思議なことに、薄く光を発しているように見えます。見たところ、湖底が光っているのではなく水自体が光っているようでした。そして、その湖の傍には一頭の動物が佇んでいました。

〈知見判定:目標7
ノーティ:18

ノーティ「あれは……ユニコーンですね。モンスターではありますが、気性は優しくあまり人を襲いません。ただ、女性にしか懐かないとか……」

〈動物探し:目標7
ジョルティ:5(失敗)

ジョルティはユニコーンとその周囲の動物の気配について探りましたが、特に気配を感じる事はできませんでした。
さしずめ、ユニコーンを食べた時の味なんかを考えていたせいで集中が足りなかったのでしょう。

ジョルティ「よし、狩ろう」
クライブ「とりあえず待て」

〈職業知識:目標7
ティエ:7

ティエ「ユニコーンといえば……その角は非常に高額で取引されていることで有名ですね。それを狙ったハンターなども多いようですが……」

ティエがそう告げた時に、ユニコーンの周囲の森の中でガサガサという音が聞こえました。

〈スカウト判定:目標7
ジョルティ:9

ジョルティもすぐにそれに気付き、何者かの接近を皆に伝えます。

ジョルティ「先客がいるようだ。警戒態勢を」
クライブ(無言で剣の鯉口を切る)

森の中から飛び出してきたのは、4人の人間でした。
皆武装をしており、どうもティエの言うとおりユニコーンを狙うハンターのようです。……ユニコーンは角を折られると生きていけない動物です。それを知って狙うのも、やはり人間の性でしょうか。否定はしませんが……。

ハンター(剣)「てめえら!そいつは俺達の獲物だ!手を出さずに下がれ!」
ジョルティ「お肉は皆のものだ!いいね?」
ハンター(槍)「何言ってやがる!コイツおかしいぞ!」

全くの同意ですが、他人のことが言えたものでしょうか?

クライブ「こちらを狙うクソ野郎相手に穏便でいる理由もない」
ハンター(弓)「退かねえってんなら力づくだ!」

結局、お互い譲る気はないようです。……彼らがユニコーンをどうするつもりなのかは分かりませんが、ともかくハンターを撃退する構えに入りました。

《戦闘開始》
湖の周りはある程度開けており、戦闘に十分なスペースがあります。木や石など、使えそうなものも簡単に見つける事ができそうです。

〈イニシアチブチェック〉
前 弓 トリシア:12
前 短 ティエ:10
後 弓 ハンター:9
前 剣 ハンター:8
前 槍 ハンター:7
後 杖 ハンター:7
前 角 ユニコーン:7
後 弓 ジョルティ:6
前 剣 クライブ:5
後 短 ノーティ:5

〈ラウンド1
彼我が戦闘の準備を整えた頃、ユニコーンはトリシアの傍へと移動しました。女性に懐く性質からでしょうか。急に移動してきたユニコーンに、さしものトリシアも戸惑っているようでした。

とは言え、すぐに落ち着きを取り戻し、これまでの経験から魔法を使うことが考えられる杖を持ったハンターに向けて矢を放ちました。矢は命中しましたが、掠った程度でほとんどダメージを与えることができていませんでした。

次に動いたのはティエです。ティエはまず槍を持ったハンターをよく見て、その能力を見抜きました。そして、同じく槍を持ったハンターに対して石を蹴って注意を引いてから短剣で攻撃をしましたが、これは回避されてしまいました。

次にハンター達が攻撃を始めました。まずは弓を持ったハンターがユニコーンに向かって矢を射掛けます。この矢は逸れて当たりませんでしたが……。

問題は剣を持ったハンターと槍を持ったハンターです。剣を持ったハンターの攻撃は急所を的確に狙ったもので、ユニコーンに極めて深い傷を与えました。Critical
また、槍も同じく深く傷を付け、ユニコーンは即座に倒れてしまいました。

見たところ、まだ息はあるようですが……随分と慣れたハンターのようですね。

そして、杖を持ったハンターが「グレイトフル・スケアクロウ」の魔法を使いました。これは秋魔法の一種で、注意を引くカカシを呼び出すというものです。不思議な魔力によって敵は半分ほどの確率でこのカカシを狙ってしまう、というものですね。……ここから始まる泥沼の戦いに、私はこの時まだ気付いていませんでした。

ノーティ「彼らはユニコーンを生け捕りにする気なのでしょうか」
ジョルティ「みたいね。トドメは刺さずに今度はこっちに来た」

ジョルティはそう言って、早速杖を持ったハンターに向かって矢を放ちました。……しかし、不思議な魔力によって狙いは逸れ、カカシの方へと矢が飛んでいきました。

続くクライブも前衛にいる槍を持ったハンターに攻撃を行おうとしますが、これも同じくカカシへと攻撃が向かいます。

ノーティは狙い澄まして杖を持ったハンターにシューティング・スターを放ちました。これは真っ直ぐと飛びハンターに命中しましたが、それほど大きな損傷を与える事はできませんでした。

〈戦況変化〉
前 弓 トリシア:12
前 短 ティエ:10
後 弓 ハンター:9
前 剣 ハンター:8
前 槍 ハンター:7
後 杖 ハンター:7
前 角 ユニコーン:7 気絶
後 弓 ジョルティ:6
前 剣 クライブ:5
後 短 ノーティ:5
前 無 グレイトフル・スケアクロウ

〈ラウンド2
ここから、確率の枠組みを超えた恐怖が訪れることになります。

……まず、トリシアの矢がカカシに刺さり、ティエの短剣がカカシを貫きました。

そして、相手も相手で皆トリシアを狙い、全ての攻撃が回避されました。唯一シューティング・スターの魔法を放った杖のハンターの攻撃だけが命中しましたが、他は全て身軽に躱しました。

……そして更に、ジョルティの矢がカカシに刺さり、クライブの剣がカカシを切り裂き、ノーティのシューティング・スターがカカシを炎上させました。メラメラと燃え盛りながらも、カカシは未だ健在です。

〈ラウンド3
あまりのカカシの吸引力に動揺したのか、今度のトリシアの攻撃は普通に外れてしまいました。ティエの攻撃も同じく命中しません。カカシの魔力はこんなところまで影響を及ぼしているようです。

とは言え、ハンター達の攻撃も何故かトリシアを狙うためロクに命中しません。剣を持ったハンターだけがクライブへと攻撃し命中させましたが、鎧を着ていることもあり大したダメージにはなりませんでした。

ジョルティ「無心で避けてんなウチのカカシ」

ここで、ジョルティがようやくカカシの魔力から解き放たれように、真っ直ぐと杖を持つハンターを射抜きました。かなり良いところに命中したらしく、ハンターはその場に倒れ、同時に魔力の供給が切れたカカシも消滅しました。

ジョルティ「いいとこ当たった。死んでないよね?」

見たところ、ギリギリ生きているようではあります。

カカシさえいなくなれば、もう怖いものはないとばかりに、士気が上がりました。クライブは鬱憤を晴らすように槍を持ったハンターに切りつけ、大きなダメージを与えました。堪らずハンターはその場に倒れました。

ノーティ(これ以上魔法を使うと、戦闘後にユニコーンを回復させられなくなりますね……)

ノーティは何か思案をしたかと思うと、じっとハンター達の様子を見始めました。ようやく、落ち着きを取り戻したようです。

〈戦況変化〉
前 弓 トリシア:12
後 短 ノーティ:11
前 短 ティエ:10
後 弓 ハンター:9
前 剣 ハンター:8
前 槍 ハンター:7 気絶
後 杖 ハンター:7 気絶
前 角 ユニコーン:7 気絶
後 弓 ジョルティ:6
前 剣 クライブ:5

〈ラウンド4
一転して落ち着きを取り戻したトリシアは、剣を持ったハンターに矢を放ちました。これは軽鎧の隙間を抜けて命中し、そこそこのダメージを与えることに成功しました。

ハンター()「痛ってえなあ!弓はその距離で射つもんじゃねえよ!」
トリシア「当たりやすいしねー」
ジョルティ「コイツ弓使ったことないのかよ」

……もう、すっかり前衛で弓を使う彼らに見慣れていたので、危うく同意しそうになりました。竜人として、極力客観的な視点を持っていたいものです。

ノーティは魔力の節約を考え、近くで戦闘に使えそうなものがないかを探していました。大きめの石を見つけ出したようです。

ティエも剣を持ったハンターを狙い短剣を振るいます。命中はしたものの、それほど大きな傷を与える事はできませんでした。

弓を持ったハンターはトリシアに攻撃が当たらないことを学習したのか、今度はクライブを狙い矢を放ちます。目論見通り、矢はクライブにクリーンヒットしました。

クライブ「クソが……!」

カカシに邪魔されたのが気に障ったのか、クライブは少し機嫌が悪そうです。

剣も持ったハンターはまだトリシアに攻撃が当たらないことを学んでいないらしく、再びトリシアに向けて攻撃を行いますがやはり命中しません。

トリシア「その剣は適正距離なのでは?」
ハンター()「畜生チョコマカしやがって!的が小せえんだよ!」

ジョルティはそんなやりとりに気が抜けたのでしょうか。剣を持ったハンターを狙って放たれた矢は明後日の方向へと飛んでいきました。

クライブは先ほどの苛立ちをぶつけるかのように剣を持ったハンターに攻撃します。剣は命中し、大きな傷を与えたものの、まだ倒すには至りません。

クライブ「クソ……落としきれなかったか」

なんだかちょっと怖いです。マンハンターに転職しないことを願うばかりです。

〈ラウンド5
続いて、トリシアは再び剣を持ったハンターに矢を放ちますが、これは上手く鎧で弾かれてしまいました。

……弓を持ったハンターは学習したと思っていたのですが、再びトリシアを狙い、攻撃を外しました。剣を持ったハンターも何故かそれに追随し、やはり攻撃を外しました。知性も、戦闘には大事なんですね……。

トリシア「当てないのは優しさかい?」
ハンター()「クッソ、なんか腹立つツラしてせいで他の奴が狙えねえ……!」

トリシアもカカシ的な魔力があるのでしょうか……。

ジョルティはまだ落ち着きを取り戻せていないのか、また矢を外しました。どうも彼の矢の命中率は本来よりもかなり低いような気がします。当たった時は大きいのですが……。

クライブはトドメを刺そうと剣を持ったハンターに攻撃しましたが、こちらは外れました。

ハンター()「剣は適正距離、だったよなあ?」
クライブ「ちっ……外したか」
クライブ(俺が言ったわけじゃないんだよなあそれ……)

〈ラウンド6
トリシアは三度剣を持ったハンターへと攻撃を行いましたが、またこれも命中しませんでした。

トリシア「避けないでほしいなぁ」
ハンター()「やっぱり弓は後ろにいるもんだよなあ!?」

ノーティはやはり魔力を節約するために、また何か使えるものがないかを探しています。今度は枯れ枝を見つけたようです。

そんなノーティを横目に見ながら、ティエは剣を持ったハンターに短剣で攻撃します。短剣の攻撃は鎧を貫き、剣を持ったハンターを気絶させました。

……これによって、彼の後ろにいた弓を持ったハンターとの間に距離がなくなりました。

ハンター()「おい!こっち来んじゃねえ!」

自衛をするように、弓を持ったハンターは近付いてくるクライブに向かって矢を放ちました。至近距離ながら矢は命中し、クライブに傷を与えました。

トリシア「な、前衛弓、楽しいだろ?」
ハンター()「楽……しい!」
ジョルティ「せやろ?」

何でしょうか、新手の宗教でしょうか?前衛弓教団が出来つつあります。どうしましょうか、この宗教が流行したら竜信仰が薄れてしまいます!……いえ、冗談ですよそんな顔しないで下さい竜の君。

とは言え、ジョルティは新たな前衛弓教徒に厳しいようです。手を緩めること無く攻撃を行い、矢は見事に命中しました。

ジョルティ「今後は前衛弓精進しろよ?」
ハンター()「お前後ろにいるだろ偉そうにすんな!」
ジョルティ「あ?初心者の癖に!」

……頭が痛くなってきました。

そんな謎のやり取りをしている弓を持ったハンターに、クライブがついにトドメを刺しました。弓を持ったハンターはその場に倒れ、ついに制圧することに成功しました。

クライブ「死ねぇ!!」
ハンター()「どうせなら弓にやられたかった……」
トリシア「なんか目覚めさせてしまった」

……いや、こっちも怖いんですけども。どうしたんですか、皆おかしくなっていませんか?

《戦闘終了》

さて、戦闘が終了し、とりあえずトリシアは気を失っているハンター達を縛り上げました。

その間に、倒れているユニコーンにジョルティが近づき、体を検分し始めます。

ジョルティ「どうする?みんなユニコーン食べる?」
ノーティ「いや、私はちょっと……」
クライブ「……いらん」
ジョルティ「そうかー……じゃあ仕方ない、奴らの懐でも漁ろう」

〈材料加工(追い剥ぎ):ハンターLv5:目標10
トリシア:15
ジョルティ:9(失敗)

トリシアは彼らの懐を漁り、20ゴールドを追い剥ぎしました。

トリシア「こいつら20ゴールドしか持ってないぞ」
ジョルティ「しけてんなー!!」

一連の行動を、ノーティは呆れたような目で見ていました。

ノーティ(我々は一体何の集まりなのだろう)
ノーティ「角は取ると高く売れると言いましたね?」
ティエ「でも直接取るとユニコーンは死にますよ。生え変わりに拾うのが平和的な取り方らしいっす」

ジョルティ「食えないの?」
ノーティ「私としてはそうしたくありませんが……」
トリシア「まあ、悪いユニコーンじゃないし、回復させてあげよう」
ジョルティ(24)「何?トリシアおばちゃんそいつ気に入ったの?」
トリシア(22)「ジジイやんのか?」

……謎の罵り合いを尻目に、ノーティはユニコーンに触れて魔法の詠唱を始めました。

〈キュアタッチ〉
発動:5(成功)
回復量:6

程なく、傷の癒えたユニコーンは足を震わせながら立ち上がりました。

ノーティ「少しは楽になったでしょうか?」

ユニコーンは言葉を話せないため返事をすることはできませんが、私の目からみても彼らに感謝をしていることは明白でした。頭を垂れるようにして、近くの湖の方を見つめています。

湖の水は、先程よりも強く輝きを放っていました。ユニコーンが癒やしの魔法をこの湖に掛けているようです。私や彼らがその輝きに気を取られている間に、ユニコーンは木陰へと消えていました

ノーティ「一体、何を思っていたのでしょうね……」
ジョルティ「ここ掘れワンワンじゃなくて、ここ掬えユニユニってことじゃね?」

なんだか極めて語呂の悪いことをジョルティが言い出しましたが、誰も反応をしませんでした。
さて、森というのは木々が生い茂っており、他の場所よりも早く闇が訪れる場所です。ハンターとの戦いが終わった頃にはすっかり暗くなってしまっていました。野営の準備をするのにも、少々面倒そうに見えます。

ノーティはあの湖がどのようなものなのか目を凝らしていましたが、トリシアはその結果を聞く前にその水を手に掬って飲み始めました。すぐにノーティにもその水に魔法の加護がかかっている事が分かり、それを皆に伝えていました。

ジョルティ「喉乾いたし、俺も飲んどこ」
ティエ(ノーティに感心したように水を飲む)
クライブ(ふむ、といいながら水を飲む)
ノーティ「少し不気味ではありますが、飲んでみましょう」

結局、彼らは皆魔法のかかった水を飲みました。しかし、どうしましょうか。本来はこれはただ傷を癒やすための魔法であって、それほど傷を負っていない彼らにとってはあまり恩恵がないものです。

ただ……今回彼らはユニコーンを護り、自然に返すために尽力してくれました。(1人食べたそうにしていましたが)。そのことを考えると……私としてもただの傍観者でいるべきではないでしょう。
少し主義に反しますが、今回ばかりは彼らに報いようと思いました。

ジョルティ「ま、とりあえず狩りに行くか」
クライブ「……そうだな」

まずは、ここで手助けをすることにしましょう。

《ブレス発動:フォーチュン》

〈狩猟判定::目標10
クライブ:Critical
ジョルティ:Critical

幸運の祝福により、彼らは必要十分な量の美味しい食材を手に入れることに成功しました。

トリシア「キャンプの設営するかー」

こちらにも、手助けをしましょう。

《ブレス発動:フォーチュン》

〈野営判定:雨の森:目標11
トリシア:Critical

トリシアが完璧なキャンプを設営し終わった頃、ハントした動物を持った2人が戻ってきました。

ジョルティ「あの水なんだろうね。すんごい速く動けたし」
ノーティ「なんだか身体が軽いですね」

そうして彼らは、これまでにないほど快適なキャンプで眠ることができました。私としても、満足がいく仕事ができたと思います。

慣れない森歩きで疲れていたのか、彼らはすぐに熟睡しました。夜中に一度雷の音がしましたが、誰も起きて外を確認することはありませんでした。
光と音の時間差からして、それほど近くではないことはすぐに分かりました。

〈コンディションチェック:3日目〉
クライブ:12(絶好調)
ティエ:12(絶好調)
ノーティ:10(絶好調)
トリシア:8
ジョルティ:9

ノーティ「では、少々ハーブを探してきます」

ノーティはユニコーンを回復させる手動をしてくれましたから、私としても格別の思いがあります。これを最後の手助けとしましょう。

《ブレス発動:フォーチュン》

〈薬草取り::目標10
ノーティ:Critical(月華ノ雪割草×3入手)

〈移動チェック:雨の森:目標11
クライブ:7(失敗)
ティエ:7(失敗)
ノーティ:7(失敗)
トリシア:7(失敗)
ジョルティ:10(失敗)

流石の彼らも、雨の降る森という環境ではなかなか歩きにくいようで、皆がかなり疲れてしまっていました。手助けしてあげたいところではありましたが、私もこれ以上祝福の力を使うと生命力が危ういため、やめておきました。

〈方向チェック:雨の森:目標11
ティエ:7(サポート成功)
ノーティ:10→11(ティエのリーダースキルにより+1

ノーティは疲れからか地図を見間違いそうになりましたが、ティエがサポートすることで道に迷わずに済みました。私としても、これ以上森を歩きたくなかったので、助かりました。

昼を回った頃には、アージェントまでの道筋が分かるような場所まで来ていました。……ですが、その道は昨夜の落雷のために倒れたらしい巨木が塞いでいました。
アージェントは小高い場所にあるため、他に道を探そうとするとかなりの距離になってしまいます。

ティエ「乗り越えましょう」
ジョルティ「疲れたから遠回りはちょっとね」

彼らは迷うこと無く、この巨木を乗り越えることにしたようです。カナセからゴレンに向かう時に超えた大岩よりも、こちらの方が登りにくそうに見えます。

クライブ「……まあ待て。木なら、剣を使えば足場が作れるかもしれない」

クライブは咄嗟の機転で、剣で木肌に傷をつけ始めました。

〈段差造り:敏捷+知力:目標7
クライブ:15

クライブは素早い手付きで木肌に段差を刻み、十分足を引っ掛ける事ができるようになりました。これで、そのまま登るよりもかなり登りやすくなりました。

クライブ「……先に登る。登ったらロープを垂らす、それを使ってくれ」

〈乗り越え:体力+敏捷:目標10(段差により-2)
クライブ:15


クライブは疲れを感じさせない身軽さで、簡単に巨木に登ることに成功しました。先に言ったとおりにロープを身体に括りつけて下に垂らし、続く者の手助けを始めます。

〈手助け:体力+体力:目標10
クライブ:13

クライブがロープを垂らして手助けを始めたことで、さらに巨木は乗り越えやすいものとなりました。

〈乗り越え:体力+敏捷:目標8(段差により-2、ロープにより-2)〉
ジョルティ:10
トリシア:6(失敗)
ティエ:7(失敗)
ノーティ:Fumble

クライブの懸命な手助けも甲斐なく、ジョルティ以外は皆登る途中で足を滑らせてしまいました。勢い余って、皆懐から何かを落としてしまったようです。

トリシアはお酒を、ティエは傘を、ノーティは今朝方拾ったハーブを全て、それぞれ落としてしまいました。
手の届かないところに落ちてしまい、彼らは拾うのを諦めたようです。これはせっかくなので私が頂いておきます。
……傘が手に入ったので、これからはズブ濡れで歩く必要はなくなりました。夜はハーブを肴に一杯やるとしましょう。

その後、彼らに着いてきていた荷運び動物たちもこの巨木を超えました。その際、3頭のうち1頭が足を滑らせ、ゴレンの近くで戦った岩喰らいから剥ぎとった頑丈な保存食を1つ落としてしまいました。
こちらも、私の今晩の夕食とします。……歯が欠けないかしら……。

さて、ユニコーンを巡る戦いや、落雷による倒木など、ちょっとしたトラブルはあったものの、彼らは遂にアージェントの門の前へと到着しました。
ちょうどその時、アージェントの街の中からゴーンと1つ鐘の音が響き渡ります。どうやら、夜を知らせる鐘の音のようです。
その音に従うように、衛兵が門を閉めようとし始めました。

ジョルティ「待って!!!ここで野宿はあんまりだ!!」
衛兵「おお、人がいたか!早く入りなさい、もう閉める時間なんだ」

衛兵は門を閉めるのを一時止め、彼らは滑り込みでアージェントの街の中へと入りました。

ノーティ「……なんとか間に合いましたね」
衛兵「アージェントへようこそ。旅の方かな?旅の方が来るのは久しぶりだ。ゆっくりしていってくれ」

一息吐いて、私と彼らはアージェントの街をぐるりと見渡します。
アージェントの街は私達が旅をしてきたどの集落よりも規模が大きく、見渡す限りに様々な家や店などが並んでいました。
ガス灯に火を灯して回っている人、買い物を終えて帰る人、明日の約束をして別れる子供、様々な人たちがすぐに目に飛び込んできました。

何かが不吉なことが起こっている街だとは、到底思えないほど、和やかな雰囲気が漂っていました。

ジョルティ「ヴェルガさん曰く、何とか影響は抑えてるって言ってたもんな」

街に入るとすぐ近くに、この街のマップが張られていました。彼らはそれを見て、とりあえず今後の予定を決めることにしました。



ジョルティ「俺はレストラン街に行ってくるわ!」
ノーティ「あ、待ち合わせ場所決めないと!」
トリシア「お腹すいた!」
クライブ「……とりあえず、宿を取るか」

……街に着いても、騒がしいのはいつも通りです。この先、このアージェントでどのようなことが待ち受けているのでしょうか。願わくば、彼らが平穏無事にこの街から出られることを。
その為なら、私も少しは力を貸してあげましょう。それも、悪くはないと今回の旅で感じました。

第六話「欝蒼の森の中で」 了

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こうして、彼らはアージェントの街へと辿り着いたのでした。
彼らにとっては、恐らくそれほど普段と変わらない旅路だったのではないかと思います。ただ、この旅は私にとっては1つ大きな転機となりました。
……彼らは皆、どこか普通ではないですが、悪い人達ではないのでしょう。恐らくは、そう思います。
過度に関わることは勿論今後もしませんが……何が起こっても傍観をするのは、やめようと思いました。よろしいでしょうか、竜の君。
――竜の君なら、そう言ってくれると思いました。それでは、次のお話までもう暫くお待ち下さい。きっと……これまでにない物語になるでしょうから。

【MVP:トリシア】
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こちらは、2016/6/24に行ったオンラインセッションのリプレイです。
今回は久しぶりの街移動ということで、軽めのシナリオにしました。
……したのですが、カカシがあまりにも効果的に働き過ぎて、戦闘がやたら長引きました。(毎回ダイスで命中を判定していましたが、何連続で失敗したんでしょうか……)
かつ、ダイスでランダムで対象を選んでいたこちらの攻撃もほとんどが高イニシアチブのトリシアに吸われ、お互いダメージを与えられないという緊張感のない泥沼の様相となりました。
その後のフォーチュンは事前に予定していたため、竜人の生命力の関係でここでブレスを使ってサポートをすることもできず、何ともだらしない有様となってしまいました。
とはいえ、やはり普段に比べると短めで終わったので、結果オーライというところでしょうか。
それでは、次回もお待ち頂けると幸いです。

【参考サイト】
りゅうたま公式(ルールブックはこちらから無料でダウンロードできます。是非プレイしてみてください!)

りゅうたまポータル(プレイに必要な情報などが色々と紹介されています。初心者GMでもお陰でスムーズにプレイできています)


2 件のコメント:

  1. 今回は移動回ですね。ここからまた大きな展開が期待される所と思いますが、果たしてどういう事になるのか。楽しみにしています。
    それにしても、カカシがこれ程に厄介な魔法だとは。こっちでシミュレーションしたときはまるきり効果が無かったのになあ。ダイス目は厄介なものです。

    ……まあ、りゅうたまのルールだと、弓を持って前に出ても、特に支障は無いですからねえ。

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  2. コメントありがとうございます!大きな展開の前の移動回ということで、かなりシンプルなシナリオにしたのですが、カカシ様のせいで随分長引きました。
    ラウンド中全攻撃が回避された時は皆で爆笑しておりました。ルールでは6ラウンド残るはずでしたが、長引きすぎるので術者気絶で消えてもらったのはそのためです。

    そうなんですよね、キャンペーン初期は「弓で前でいいのか?」と思っていたものの、今ではすっかりイニシアチブが高い弓使いは前にいるのが当然のようになりました。恐ろしい世界じゃ…。

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