2016/08/02

りゅうたまリプレイ 第七話「2つの道(3/4)」 【キャンペーン】

ロイ達に実力を見せつけたあと、彼らは待っていた馬車で迎賓館へと戻って行きました。その頃にはもう夜も遅くなっており、各々部屋に戻りすぐに眠ることにしました。かくいう私はというと、昼に居眠りしてしまったせいで少し目が冴えていましたが……。

彼らはそういうこともなく、翌日の朝の鐘で目を覚ましたようです。




<コンディションチェック:3日目>
パワー:??(振り忘れ)
クライブ:15(絶好調)
ティエ:9
ノーティ:7
トリシア:10(絶好調)
ジョルティ:12(絶好調)

どうにも今日は体調が良いようですね。迎賓館はやはり違う、というところでしょうか。起きた彼らはまずは食堂で朝食をとり、それからしばらくは手持ち無沙汰にしていました。
私も相変わらずロビーでぼーっとしているしかやることがありません。暇よりは慌ただしい方がいいですね。

…………
………
……


そしてまた居眠りをしている間にゴーン、ゴーンと正午の鐘が鳴りました。
するとその頃、意外な来訪者がありました。フードこそ被っていないものの、ゴレンの鉱山で出会った黒衣の女性、リンです。

管理人「これはレイシア様。お久しぶりです」
リン「……息災の様で何より。ここに、宿泊している旅人達を呼んで欲しい」
管理人「レイシア様もですか。承知しました、すぐにお呼びします」
リン「……も、とは?」
管理人「昨日はラナ様が同じように訪ねて来られましたもので」
リン「……ラナが。そう」
管理人「それでは、お呼びして参ります」
リン「……頼む」

程なくして、彼らが部屋からロビーに向かってきました。ジョルティはやたらとドタバタとしていましたが……。

ヴェルガ《本当に来ていたのだな、お前達》

……頭の中に響く声には慣れませんね。

トリシア「ヴェルガさんちーす。リンちゃんもちっすちっす」
クライブ「久しいな」
ジョルティ「お、ヴェルガちっす」
ヴェルガ《うむ、数日振りだな。相変わらず元気が良いようだ》
パワー「ナイフが喋ったアアアア!!」
ノーティ「これか話にあった匕首ですか……」
ヴェルガ《見覚えのない者もいるが……なんにせよ、あの話を聞いて協力を決めたようで、我としては非常に助かる》
リン「……感謝する。……レイジャもあの後私達が解放して同行してきた」
クライブ「……そうか、あいつもくるか」
トリシア「ゴレン大丈夫かよ」
ジョルティ「レイジャさんいるなら頼もしいね。」

リン「……それで、……私は貴方達を呼びに来た」
ヴェルガ《ルーカスによると、穢れの状況が悪化しているらしい。作戦を考えなければならんということだ。足労だが……館まで同道して貰えるか》
ジョルティ「何やかんやで首突っ込まさせて貰ったよ」
クライブ「了解した。もう向かうのか?」

ジョルティ「リンさんの為に俺頑張るよ!!」
ヴェルガ《助かる》
ジョルティ「お前が返事するんかい!!」
トリシア「匕首が足労とかなんか面白い」
ヴェルガ《準備が出来次第、馬車まで頼む》
ヴェルガ《荷物も全て持ってきてくれ》
ジョルティ「あーい」
クライブ「分かった」
ノーティ「行きましょうか くれぐれも料理持ってったりしないようにしてくださいね」
ジョルティ「!?」

こうして簡単に話を済ませると、皆一度自室に戻り、荷物をまとめてから馬車へと向かいました。馬車の御者席にはすでに管理人とリンが座って待っています。
私も一緒に乗り込みました。相変わらず居心地の良い馬車で、揺れもあまり感じないままに領主の館に到着しました。

ヴェルガ《皆、執務室で待っている。こちらだ》
ジョルティ「どっちよ」
クライブ(ナイフにこちらって言われてもなあ・・・)
ジョルティ「匕首ジョーク?」
ヴェルガ《こちらだ、こちら!》
トリシア「悲しいなあ」

見かねてリンがヴェルガの代わりに案内をしてくれました。……いや、そもそも彼ら、執務室初めてじゃないんですけど。
執務室の扉の前に到着すると、リンはノックもすることなくそのまま扉を開けました。
執務室の中には、すでに他の3名も集まっていました。昨日は何も止まっていなかった止まり木には大きな鷲が止まっています。入り口の前にいる者達の方を見つめています。
レイジャの隣にはディラの姿もありました。

トリシア「ディラやーいディラやーい」
ジョルティ「ディラお肉食べる?お肉」
トリシア「ヨーシヨシヨシ」
ディラ「ワン!」

トリシアとジョルティは随分ディラが気に入っているようです。ディラもそれほど警戒している様子はありません。

ルーカス「ご足労頂きありがとうございます。これほど早くお呼びすることになるとは思っていなかったのですが……」
ジョルティ「なんか問題有りだって?」
ルーカス「はい。状況の変化については、ロイから」
ジョルティ「早く喋れよロイ」

ジョルティは一夜明けても相変わらずロイに謎の敵愾心を剥き出しにしていました。対してロイはというと、生活リズムが合っていないためか、酷いクマを顔に刻んでいます。

ロイ「……皆さんと夜に穢れ祓いをした時にも少し触れましたが……」
ロイ「穢れの質が変わりました。あの後皆さんが帰った後にも、何度か同じように強力な穢れの魔物が出現しています」
クライブ「ほう」
ロイ「このようなことは……これまでは有りませんでした。どのような変化があったのかまでは分かりませんが……穢れが強まっていることは間違い有りません」
クライブ「強まっている・・・ね」
ルーカス「……ということです。本来であれば十分な時間を取って準備をしてから塔を開けるつもりだったのですが……」
ルーカス「あまり猶予がありません。つきましては……明日・明後日には実行に移したい所です」
ルーカス「……そこで、ご協力頂ける皆様にも、不測の事態に備えて領主の館にお泊り頂ければと思い、荷物も持って来て頂いたのですが……」

ジョルティ「美味しいご飯出るならどこでも構わんが?」
ルーカス「……ええ、それは勿論」
ジョルティ「今日明日中に俺達の方で何かやっておいて欲しい事とかある?」
ルーカス「皆さんは銀の武器をお持ちですよね。銀の武器が揃っているのであれば、特にご準備いただくことはありません」
ジョルティ「持ってない人も居るけどね」
ルーカス「……おや、そうなのですか?剣当たりであれば余剰がありますが……」
クライブ「剣を使うのは俺だけだな・・・まあ、俺はこの通り、銀の剣は持っている」
ノーティ「私には到底扱えないものですね」

トリシア「ヴェルガさん今回……あっ……」

銀の武器について話をしている時、トリシアが何かに気付いたようにリンの方を見ました。あっ……確かに隕鉄の武器ではアンデッドには意味が……。

ヴェルガ《待て、哀れみの目を向けるのは止せ。我は持っているだけで加護があるのだから良いだろう》
トリシア「持ってるだけって自分で認めてしまわれた」
ジョルティ「リンちゃんと手を繋いだら俺達にもその加護があったりしないの?」
トリシア「おうリンちゃんと手繋ぎたいだけってのが見え見えだゾ」
ルーカス「……戦ったというのは聞きましたが、ここまで仲がよろしいとは」
ジョルティ「袖すり合うも多少の縁っていう旅人の基本でしょ」

それを言うなら他生の縁ですよ偽ノーブル。

トリシア「レイジャのおっちゃん構われなくて寂しい?」

これまで一言も発していないレイジャは、トリシアの方を一瞥し、また元通りの視線に戻りました。

ルーカス「……いえ、まあ共闘する以上、それに越したことはないですね。皆様の部屋はロビーに戻り、こちらとは逆の階段を登って頂いた先にあります」
ルーカス「6部屋用意しておりますので、ご自由にお使い下さい。また、何かご用事がありましたら、ロビー傍の使用人の詰め所までお申し付け頂ければ便宜を図ります」
ルーカス「……恐らくは作戦は明日になるかと思います。急なことで申し訳ありませんが……明日の昼前にロビーに集まって頂ければ幸いです」
ノーティ「ああ、可能であれば戦闘中に使うためのハーブを多少用意して頂きたいのですが」
ルーカス「確かに、あった方が良いですね。承知しました、可能な範囲で調達しておきます」

そうして、とりあえず作戦の伝達を受けた彼らは執務室を出て行きました。その途中、最後尾にいたクライブが立ち止まりました。

クライブ「そうだ……忘れていた。レイジャ」
レイジャ「……本当にここまで来るとはな。クライブ」
クライブ「……言っただろう、気になると」

クライブはそう言いながら薄く笑い、ポーチを外してレイジャに手渡しました。

レイジャ「……そうだったな」
レイジャ「……悪いな。返ってこないものかと思っていたが……。礼を言う」
クライブ「……牢に入ってるうちに鈍ってなかろうな?」
レイジャ「……そのあたりは保証しよう。次は前のようには行かん」

そうして、改めて全員が執務室を出て、ルーカスの言っていた部屋へと向かいました。特に部屋に違いもないようで、適当に部屋を決めたようです。
部屋の内装は豪華だった迎賓館の部屋よりなお豪華な作りをしていました。ロイヤルスイートというのはこういうものを言うのでしょう……。
私は……美味しい料理をつまみ食いできそうなジョルティの部屋に同行することにしました。

彼らはそのまま部屋でゆっくりと過ごしたようです。夜の帳が降りてきた頃、ゴーン、ゴーンと夜の鐘が鳴りました。
程なくして、各々の部屋にメイドが食事を運んできました。一品一品が豪華なだけではなく、品数も多く、ジョルティでなくとも喜びを隠せないような料理です。……少しぐらいなら摘んでもバレませんよね?

ジョルティ「あ、メイドさん」
メイド「はい。御用がありますか?」
ジョルティ「詰め所行ったらこの館の間取りとか分かる?」
メイド「はい。見取図がございますので」
メイド「ああ、私用のもので良ければ、こちらをお使い下さい」
ジョルティ「お、ありがとう」


メイドはそういって懐から館の見取り図を取り出して、ジョルティに渡しました。

ジョルティ「どうだろうか、暇なら一緒に食事でも」
メイド「申し訳ありませんが、まだ仕事がありますので。それでは、ごゆっくりお楽しみ下さい」
ジョルティ「デスヨネー」

ジョルティは懲りないというか逞しいというか……。まあ、そんなこんなで食事をとっている間に夜は更けていきました。
このまま眠るのかと思いましたが、どうもそうではないようです。パワーとトリシアは明日に備えてそのまま眠ったようでしたが、他の者達はこの館で情報を収集することにしたようです。明日に響きそうなものですが、確かに大事なことかもしれません。
皆単独で探索をすることにしたようですか、幸いにして時間はズレていたので、一人一人の行動を見てみることにしましょう。

【情報収集:ティエ:1/1箇所目:カレンの元部屋】

まずはティエの行動からです。ティエは魔法的な痕跡があることを期待して、カレンの元部屋へと向かいました。
部屋の扉には鍵がかかっておらず簡単に開いたものの、使われていないためか錆びた蝶番がギィと音を立てました。

ティエ(埃っぽいですね……机と、本のない本棚、使われた形跡のないベッド……ぐらいしかありませんか)
ティエ(とりあえず机の引き出しを開けてみましょう)

ティエが机の引き出しを開けるとそこには小さな封筒が入っていました。
中には手紙が一枚入っているようです。

ティエ(暗くてここでは読めませんね、後にしましょう)
ティエ(あとは……本棚……は動きませんね。ベッドも……特に代わり映えはない。窓からは塔が見えるぐらいですか)

ティエはこれ以上の探索を諦め、部屋を出ようとしました。
すると、扉の横の壁面に「日焼けしていない部分」があるのに気が付きました。

ティエ(絵でも飾ってあったのでしょうか?……まあ、あまり意味はなさそうですね)

こうして、ティエは改めてカレンの部屋を出て自分の部屋へと戻りました。

【情報収集:クライブ:1/2箇所目:屋上】

次はクライブの行動についてです。クライブは夕食で供されたお酒を持って情報収集に出かけることにしたようですね。誰かと話すつもりなのでしょうか?
彼が向かったのは屋上でした。
屋上からは慰霊の塔を望むことができますが、誰かがいるような様子はありません。

クライブ(レイジャあたりが涼んでいそうだと思ったが……誰もいないようだな)

クライブは少々残念そうにしていましたが、気を取り直してちびちびとお酒を飲みながら屋上を見て回り始めました。

クライブ(住宅街は……特に変わりはないようだな。明かりがちらほらと見える)
クライブ(北の方は……もう仕事が終わったのだろうな。人はあまりいそうにない)
クライブ(東の方はまだ賑わっているな)
クライブ(……そして、慰霊の塔は……)

慰霊の塔は、ただ静かにそこに佇んでいました。昨夜のように、妖しい魔力が漂っていることもありません。
穢れの魔物も現れていないようで、塔の前の広場にはロイが眠そうに立っていました。

クライブ(……ん?ここに誰かの足跡があるな)

屋上の、塔を望む方向には、確かに足跡が残っていました。ちょうど、塔の最上階の小部屋にある窓が見える場所のようです。

クライブ(……同じようにここから塔を見ていた奴がいたのかもな。さてと……)

これで探索を終えて帰るのかと思ったら、クライブは酒瓶から少しばかり酒を手に取り――
広場の前で手持ち無沙汰にしているロイに向かって飛ばしました。……これで、酔っ払っているんですかね?

ロイが不思議そうにキョロキョロしているのを見て、クライブは嬉しそうに口元を緩ませながら屋上を後にしました。

【情報収集:ノーティ:1/2箇所目:塔に面した部屋】

次はノーティが動き始めました。ノーティは塔に面した部屋へと向かったようです。部屋の扉の隙間からは光が漏れ出していて、誰かがいることが分かりました。
部屋の中からは、何かを書いているような音が聞こえてきます。

ノーティ(誰の部屋なのでしょう?まあ、直接聞いてみるとしますか)

ノーティは小さく扉をノックしました。すると、扉の向こうからは男の声が帰ってきます。……レイジャの部屋のようですね。

レイジャ「……誰だ」
ノーティ「どうも、あなたに殴り倒されたものです」
レイジャ「……あの時のヒーラーか。恨み言でも言いに来たか?入れ」

ノーティはレイジャに言われるままに部屋へと入りました。部屋の作りは皆が泊まっている部屋と変わりませんが、調度品などはあまりなく、簡素な雰囲気です。

ノーティ「何をお書きになっているのですか?」
レイジャ「日記のようなものだ。似合わんと思うか」
ノーティ「いえ、そういうわけでは。この部屋から、何か見えますか?」
レイジャ「……あの塔ぐらいなものだ。……邸宅街が見えていた頃よりは良い眺めだな」
ノーティ「そうですか……」

ノーティはそう言いながら、ふと部屋の中を見回しました。部屋には一枚の肖像画が飾られています。

ノーティ「この肖像画はどなたのものですか?」
レイジャ「……在りし日のカランド伯のものだ。これは、奥方様がご存命の頃のものだな、もう10年ほど前になるか」
ノーティ「……カランド伯は生前随分お強かったらしいですが、どれほどだったのですか?」
レイジャ「野良の龍を1人で倒せる程度の腕があった。カランド伯の剣は……そうだな、一言で言うなら、無駄がなかった」
ノーティ「本当の話だったんですね……龍を倒したというのは。ああ、そうだ、ところで、牢には何日くらい居たんですか?」
レイジャ「……リンが助け出しに来たのはお前達がゴレンを出た直後だ」
ノーティ「なるほど。……さて、お邪魔しました。このくらいで失礼します」
レイジャ「……ああ」

そうしてノーティはレイジャの部屋を立ち去りました。

【情報収集:ジョルティ:1/2箇所目:執務室】

次に部屋を出たのは、ゆっくりと食事を終えたジョルティでした。ジョルティはまっすぐ執務室の方へと向かっていきます。
執務室の扉からは光が漏れており、まだ人がいる気配がありました。また、部屋の中から時々羽を整えているような音も聞こえてきます。……あの犬といい、この鷲といい、時々私のことが見えていそうなのでちょっと怖いのですが。

ジョルティ「ノックノックこんばんは」
ルーカス「どうぞ」
ジョルティ「どーも。ちょいと質問したいことがあるんだけど」
ルーカス「何でしょうか?」
ジョルティ「カレンちゃんの部屋って今どうなってるの?」
ルーカス「カレン"様"の部屋ですか?誰も使っておりませんから、当時のままになっております。魔法に関係するようなものもありませんでしたので……」
ジョルティ「そうか。ところで、カレンちゃんには誰が魔法を教えたんだ?」
ルーカス「独学で習得なされたようです。……母君が魔法の才のある方でしたから、血筋なのかもしれません」
ジョルティ「館の魔法使いでも対応できなかったの?」
ルーカス「ええ、初めはロイにも魔法自体を解くように努力してもらったのですが……残念ながら叶いませんでした」
ジョルティ(使えねーなあのイケメン)

ジョルティのこの顔は良からぬことを考えている顔です!

ジョルティ「なるほどね。まあ分かった、じゃあ俺はこの辺で」
ルーカス「最後に1つだけ……私達の目的はあくまでも、カランド様の殺害です。……少なくとも、皆はそのつもりだと思います」
ルーカス「しかし……私は以前の研究から、カレン様の魔法が残っている間にカランド様を殺害すると……どのような魔法の暴走が起こるのかわからないと思っています」
ルーカス「……伝えたいことはそれだけです。明日も早いですから、お疲れの残りませんように、お休みください」

こうして、ジョルティは執務室を出ました。まだ眠らず、もう少し探索をするようです。

【情報収集:クライブ:2/2箇所目:中庭】

屋上を出たクライブは、次に中庭へと向かいました。風通りの良い中庭には、夜の涼しさが流れ込んできています。
中心にある噴水の側に、リンが座っているのが見えました。クライブは酒瓶を見せながら話しかけます。

クライブ「……眠れないか。どうだ、一献」
リン「……お酒は飲めない」
クライブ「そうか。……何か、思うところがあるのか?」
リン「……明日のことを考えると、少し。……あなた達は、ルーカスからカレンについてどの程度のことを聞いた?」
クライブ「……最悪の事態もあり得る、と」
リン「……そう」
クライブ「……死んだ者は、蘇らない」
リン「……分かっている。カレンも、分かっていたはずだった。……こんなことになる前は、カレンは妹のような存在だった」
クライブ「……そうか」
リン「……できることなら、生きていてほしい。こんなことになって、勝手だとは思うけど」
クライブ「……まだ生きているようなら、留意しよう」
リン「……感謝する」
クライブ「……これで失礼する。……本当に酒はいらないか?」
リン「……ええ、大丈夫」

2人には、どこか似たような雰囲気を感じる気がします。クライブがいつもよりも饒舌だったのは、そういったところも関係あったのでしょうか。
そうしてクライブは中庭を出て、自分の部屋へと戻って行きました。

【情報収集:ノーティ:2/2箇所目:塔前の小広場】

レイジャの部屋を後にしたノーティは、塔の前の広場へと歩いていきました。ロイがいると思ってのことだったのでしょう。
ノーティの目論見通り、広場にはロイが眠たそうに立っていました。

ノーティ「こんばんは」
ロイ「……ああ、君か。眠れないのかい?」
ノーティ「いえ、少しでも情報を集めておこうかと。今日も穢れの魔物狩りですか?」
ロイ「そのつもりなんだけどね、今日はまだ出てきていない。おかげで眠くて仕方ない」
ノーティ「そうですか……。ところで、「死の魔法」については、どのようなものか分かりますか?」
ロイ「いや、僕にはさっぱりだ。カレン様には才能があったんだろうね、どんな魔法なのかさえ、検討がつかない」
ノーティ「そんなに難しいものなのですか?」
ロイ「ああ。僕達のような魔法使いが扱うのは、それこそ呪文によるものか、季節の竜の加護によるものだが……「死の魔法」はその理の外にあるように思う。……原理そのものが違う。普通はこんなものは数年程度の研究でたどり着けるものじゃない……」

ロイの言い様は、どこか実感が篭っているように聞こえました。噛みしめるように、そう言っていたのです。

ノーティ「……そうですか。僕も魔術の徒として気になるところだったのですが。
ロイ「済まないね、役に立たなくて。君も早く寝た方が良いよ、徹夜は存外堪えるものだ」
ノーティ「……そうですね。では、この辺で失礼します。ロイさんも無理のないように」
ロイ「ああ、程々にして姉に代わってもらうよ。姉はあれでいて徹夜が得意なたちだからね」

そんな感じで話をして、ノーティは自分の部屋へと戻りました。

【情報収集:ジョルティ:2/2箇所目:使用人の詰め所】

ジョルティは執務室を出ると、その足で使用人の詰め所へと歩いて行きました。
詰め所はちょうど明かりが消えたところで、メイドが出ていこうとしています。

ジョルティ「やあやあ。お帰りですか」
メイド「ええ。普段はこちで寝泊まりしておりますが、今日は帰るようにとルーカスさんが」
ジョルティ「そっか。気をつけて」
メイド「はい、お疲れ様です」

ジョルティはメイドが帰るのを見送ると……そのまま詰め所の中に入って行きました。詰め所にある地下倉庫に用事があるようですね。
ジョルティはささっと地下倉庫に降りて、美味しそうなチーズを見つけてきました。……やっていることが完全にこそ泥なんですけど……。

ジョルティ(ま、収穫は少なかったけどこれで十分か)

結局そのチーズだけ持って、ジョルティも部屋へと戻って行きました。

情報収集を終えた彼らは、そのまま部屋で眠りに就きました。明日、大変な仕事が待っていることを思えば、しっかり休んでおくに越したことはないでしょう。
私も、ジョルティが眠った後にチーズを少し頂いて、眠ることにしました。


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こちらは、2016/7/2に行ったオンラインセッションのリプレイです。
今回は試験的に「個別の情報収集パート」を行いました。リプレイ内では書いていませんが、それぞれ最大2箇所まで、1箇所につき3分の持ち時間でロールプレイしてもらいました。
第7話は4話構成の予定でしたが、報酬パートを入れるとさらに長くなってしまいそうなので、そちらは番外編として付け加えたいと思います。
それでは、「アージェント編」の最後までお付き合い頂けると幸いです。

第七話「2つの道(2/4)」← 【各話リスト】  →第七話「2つの道(4/4)」

【参考サイト】
りゅうたま公式
りゅうたまポータル

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