2016/08/10

りゅうたまリプレイ 第七話「2つの道(番外編)」 【キャンペーン】

旅人達が部屋に戻った後、私は彼らには付いて戻らず、アージェントの面々の近くで時間を過ごすことにしました。今回の件を巡る結末が、どのような形となるのか、見届ける必要が有ると思ったからです。
……同時に、何故このような顛末となることになったのか、その経緯についても、知りたいと思っていました。少しばかり「旅物語」からは逸脱してしまいますが、どうぞ、暫くの間お付き合い下さい、竜の君。


旅人達を見送った後、リンはカレンの部屋に残り、レイジャはルーカスを捕らえている地下牢の方へと向かって行きました。私もそちらに同行することにしました。地下牢は領主の館の奥から通じる階段で繋がっており、広さはそれほど大きくはありません。しかし、石造りの堅牢さもあり、到底破ることができそうにない、頑丈なものでした。
牢は唯一ルーカスが入っている場所を除けば、他に囚人は捉えられていません。それどころか、長らく使われていなかったと思われるような匂いがしていました。

レイジャ「……居心地はどうだ」
ルーカス「……貴方も最近まで同じような場所にいたでしょう。存外悪くありませんよ。それで、私のことはどうするおつもりですか?処刑をするなら、痛くない方法が良いんですが」
レイジャ「……それを決めるためにも、お前が何故あのような行動に出たのか、話してもらわなければならんな」
ルーカス「……私なりの責任ですよ。カレン様の教育係としての。残念ながら、貴方方のお陰で果たすことはできませんでしたが」
レイジャ「責任……教育を誤った責任とでも言うのか」
ルーカス「いいえ、そんな曖昧なものじゃありません。……カランド伯とカレン様を巡るこの一件の、全ての責任です」

そう言うと、ルーカスは滔々と「自らの責任」を語り始めました--

私がカレン様の教育係に任命されたのは、今から10年前のことです。カランド様とギルネシアが旅から戻り、次はリリィ様がグローシア姉弟と共に旅に出るという時でした。
リリィ様が、カランド様だけでは面倒を見きれないこともあるかもしれない、そういう時のために頼みたい、ということで私がカレン様の教育係となりました。
カレン様は、当時まだ10歳でしたが、利発でご聡明で、私の教育などほとんど必要がありませんでした。……日常的なことも、私ではなくレイシアが姉のように見ていてくれましたから。

……それから2年程で、リリィ様達も旅から戻られました。リリィ様が戻って教育係も解かれることになるかと思いましたが、その後もカレン様の教育をするように申し付けられました。嬉しく思う反面、少しばかり重荷にも感じていたのが本当の所です。
……状況が変わったのは、それから数週間後のことでしたね。もちろんギルネシアも覚えているかと思いますが、リリィ様が病床に伏せるようになりました。……リリィ様が伏せるように、と仰っておりましたから、恐らくギルネシアも知らないことかと思いますが、リリィ様の病は旅の途中でラナを庇った時にできた傷が原因だと医者は言っておりました。
……結局、リリィ様の体調は回復することなく、1月程の後に身罷られてしまいました。

……その後、どのようなことが起こったのか、これも恐らくギルネシアは知らないことでしょう。
……カレン様が塞ぎ込み、死の魔法の研究に傾倒するようになったのは、リリィ様が亡くなったことが原因ではありません。……もちろん、リリィ様が亡くなって非常にお気を落としておられましたが……決定的だったのはその後のことです。
ラナが、良心の呵責からか、カレン様にリリィ様の病の原因について話してしまったのです。……カレン様はそれを聞いて、ラナを責めてしまいました。私が、この時すぐに対処することができていれば、このようなことにはならなかったかもしれません。
……その数日後、ラナは自ら命を断ってしまいました。カレン様はその事に酷く動揺し、酷く後悔されていました。……私も同様です。カレン様の死の魔法の研究は、リリィ様のためではなく、ラナのために始まりました。

初めは私が自らの知っている魔法の基礎のことをカレン様にお教えし、2人で死の魔法の研究を始めました……しかし、その後は私では到達することができませんでした。カレン様は、恐らく才能ある魔法使いだったリリィ様の血によるものでしょうか、次々に死の魔法の研究を進め、独自にその真髄を解き明かしていきました。
……私達とは別にラナの復活について研究をしていたロイも、数ヶ月の後にはその道を諦め、コッペリアを作るという別の形に至ったのは、ギルネシアも知っている通りです。

カレン様が死の魔法を研究する内に、「死」の構造というものが少しずつ見えてきました。死には3つの段階があるということです。死を迎えると、まず「魂が肉体から抜け出し」、ごく短い時間の内に「死の世界へと送られ」、それから幾ばくかの期間を置いて「死の世界で処理」されることになります。……この処理がどのようなものであるのかまでは、私達にも知る由はありませんが。
魔法に長けたロイがいくら死の魔法を研究しても、ラナの復活が叶わなかったのは、すでにラナの魂が「死の世界で処理」されてしまっていたためだ、とカレン様は仰っていました。

……この事が分かったのは、リリィ様の死から5年も後のことです。……カランド様が亡くなる、前年のことですね。
この死の魔法の研究は、私とカレン様だけの秘密でした。……そのため、カランド様には大いなる心配を掛けてしまっていたことでしょう。カランド様はリリィ様の死以降、部屋に篭もるようになってしまったカレン様のことを慮り、館の裏に慰霊の塔を作りました。
街を賑わすことでカレン様を励まそうと、街の発展のために精力的に取り組むようになり、季節ごとの催し物が行われるようになったり、郷土館などの人が集まる施設を作ったりと、街が目覚ましく発展していくことになりました。……ギルネシアも、この頃のカランド様のご様子はよく覚えていることでしょう。

……そして、リリィ様の死から6年の後、カランド様は急な病に倒れてしまいました。……年齢から来るものだろうと言うことでしたが、カレン様はそれを信じることができず、自分のためにカランド様が死んでしまった、と再び激しい自責の念に囚われることになりました。
ラナの時と違うのは、カレン様がすでに簡易ではあるものの死の魔法を完成させていたことです。カランド様は急死されたために、「死の世界へ送られる」前にお助けすることはできませんでしたが……「死の世界で処理」される前に、その魂を引き戻すことに成功しました。

……その後のことは、ギルネシア達も知っていることでしょう。カレン様は復活したカランド様と共に慰霊の塔に入り、そこで暮らされるようになりました。私も、皆も、暫くは静観することにしましたが、1年程後に穢れの魔物が出現するようになり、アンデッド化しているカランド様を解き放つ、という目的で動き始めることになったわけです。
……私の真の目的は、最初からカランド様だけではなく、カレン様もまた同様に解き放つことでした。カレン様は、もう「死の魔法」のことを理解してしまっています。もしカランド様を解き放ち、カレン様を助けたとして……カレン様は親しい者が亡くなれば、きっとまた同じように死の魔法を使ってしまうことでしょう。……例えば、姉のように慕っていたレイシアが亡くなるようなことがあれば。

「死者」を引き戻すという魔法が、何の代償もなく行われているはずはありません。私はカレン様が慰霊の塔に篭もるようになられてからも、カレッゾ……鷲を用いて連絡を取っておりましたが、カランド様が復活して以降、カレン様の状態は少しずつ悪くなっていきました。
手始めに目が灼かれました。今のカレン様は、強い光を見ると何も見えなくなってしまっています。慰霊の塔が、昼でも尚暗い空間になっていたのは、そのためです。
次に脚を斬られました。カレン様はもはや両の脚で歩かれることはできません。車椅子を使うようになっていたのは、そのためです。
そして、心を奪われました。もはや、カレン様は自分自身の意思では死の魔法を解くことができなくなりました。穢れの魔物のことを知り、何度も止めようとしたものの、本日に至るまで止めることができなかったのは、そのためです。

……本日、我々がカレン様の元に訪れ、カランド様共々死の魔法から解き放とうとしていることは、カレン様もご存知のことでした。……しかし、それに皆を--特にレイシアを巻き込めば、自分と同じように闇に囚われてしまうかもしれない、とカレン様は心配しておりました。
私だけではカランド様をお止めすることはできませんから、本来はロイと2人で事を終わらせるつもりでした。そのためにギルネシアとレイシアをゴレンに送ったというのに、何故だか旅人達が首を突っ込んできたので、私としては非常に驚きましたよ。

……しかし、これはある意味では私達にとっては好都合でした。外部の人間がカランド様達を解き放ってくれるならば、先ほど申し上げたような懸念は無くなってしまうのですから。
計算が違っていたのは、彼らが予想以上に力を持っていて、かつ見る目を持っていたことでしょうか。何人かは、初めて会った時から私を疑っているようでしたし、魔力の暴走の話をしたにも関わらず、カレン様を手に掛けることもしませんでした。

……もう1つ誤算があったのは、ロイが土壇場で手を引いたことでしょうか。私はロイは「姉を殺された敵討ち」のために、カレン様を解き放つ計画に乗ってきたのだと思っていましたが……どうも、違っていたようですね。私にも彼らのように見る目があれば、もう少し結果は違っていたのかも知れませんが--


ルーカス「……これが、死の魔法を巡る顛末です。信じるかどうかはお任せしますよ。……願わくば、私の死によってカレン様がまた苦しむことがないように、して欲しいものですが」

ルーカスが語るのを、レイジャはじっと黙って聞いていました。ルーカスから一度も視線を切ることなく、何かを見極めるような眼でした。

レイジャ「……事の次第は分かった。だが、お前とカレン様がしたことは、カランド様とリリィ様を冒涜することで……許されることではない。……無論、俺もまた、己の主君のために罪を犯した身だ。強いことは言えまい。リンもそうだ。リリィ様に助けてもらった命を粗末にしたラナも、その命を別のものとして作りなおしたロイも、やはり同じだ」
ルーカス「……どうするつもりです」
レイジャ「……我々の犯した罪は、我々で贖わなければならない。……カレン様も含めて、全員で。……カレン様が目を覚まされるまでは、全員の始末は保留にするしかないだろう」
ルーカス「……私を処刑しない、と」
レイジャ「今決めない、と言っているだけだ。……カレン様が目を覚まされた時が、我らの裁かれる時となるだろう。……恐らくは、だがな」
ルーカス「……ギルネシアは、もっと血気盛んなものだと思っていましたよ。やはり、私は見る目がないようだ」
レイジャ「それほど、付き合いがなかっただけだろう。俺達は、カレン様のことに無頓着過ぎた。当然、その側近であるお前のことにも。……その日が来るまでは、ここで暮らしてもらうことになるだろうが」
ルーカス「……構いませんよ。ギルネシアにとっての執務室よりは、快適でしょうから。……ああ、そうだ。カレッゾのことだけは、お願いしたいのですが」
レイジャ「……言われるまでもない。俺が預かっておこう」
ルーカス「案外、動物好きなのも、知りませんでしたね」
レイジャ「……俺は戻る。後で、本ぐらいは持ってきてやろう。牢の中は暇なものだからな」
ルーカス「……あと、それともう1つ。彼らにも、今回の件の報酬を渡すようにお願いします。どうせ払うことはないだろうと思って随分大きなことを言ってしまいましたから」
レイジャ「……良いだろう」

レイジャはそう言うと、口元に薄い笑みを浮かべながら、地下牢を去って行きました。……私も、その後に続き、暗い地下牢を後にします。
アージェントを巡る物語は、思ったより複雑な背景があったのでしょう。このようなことまでは、旅人達に知らされることはないでしょうが……旅物語を作る私だけでも、この話を聞いたのは正解でした。
……纏めようのない感情を胸に押し留めて、私は旅人達の部屋へと戻ることにしました。今日はあまり食欲もありませんから……恐らく静かであろうノーティの部屋あたりに滞在することにしましょう。

非常に長い時間が経過しているように思えましたが、今はまだ昼下がりという時間です。疲れてこそいるものの眠ることもできず、ノーティは読書に勤しんでいました。パラパラと、ページを捲る音だけが部屋の中に響く時間が続きました。
……そうしている内に日は傾き、窓からは綺麗な赤い夕焼けが見えました。ちょうどそのくらいの時間のことです。トントンと部屋のドアを叩く音が聞こえました。

ノーティ「はい、どちら様ですか?」
女性の声「お疲れの所申し訳ありません。ギルネシア様から、皆様を執務室にお呼びするように、と申しつかりました。手がお空きになりましたら、執務室の方へお願い致します」
ノーティ「分かりました。すぐに参ります」

ノーティは読んでいる本に栞を挟むと、すぐに支度をして部屋を出ました。私もその後に続いて、レイジャの待つ執務室へと向かいます。他の皆もすぐに準備ができたようで、ずっと寝ているパワーを除いて全員が執務室に集まりました。
執務室にはレイジャだけではなく、リン、ロイ、ラナの3人も待っていました。


レイジャ「……疲れている所済まんな。今回の件の報酬について、話をしておかねばなるまい。」
トリシア「ウッス」
クライブ「いや、かまわん。面倒な話はさっさと終わらせるに限る」
レイジャ「仕事前にはルーカスが何でも好きなものを言えと随分大きなことを言ってくれていたようだが……まあ、俺たちにも対応できることとできないことがある」
クライブ「だろうな……」
レイジャ「その辺は、忖度してもらえると助かる。……その上で、どのような報酬を望むか、教えてくれ。可能な範囲で対応しよう」

クライブ「さて、な……お前らはどうする?」
トリシア「そっちはどんな事考えてるのかな」
レイジャ「無難な所で言えば金や物品になるだろうが……」
レイジャ「まあ、俺達が稽古の相手になる、というようなことでも構わんぞ」
クライブ「ほう……それは興味深いな」
レイジャ「お前達にすれば、無用のことかも知れんがな。まあ、俺達でできることならば対応する」
クライブ「俺は金や物品よりも……まあ、いい。金はどの程度、物品はどの程度を想定している?」
レイジャ「金なら、そうだな、合計で3000,4000ぐらいだろうか物品については、あまり考えていなかったな……」
レイジャ「それこそ館にはそこそこ高級なものはあるが、それなら金のほうが手っ取り早いだろう?」
クライブ「ま、旅の身の上だからな。あまり大層な物をもらっても売り払うことになるな……」
レイジャ「ルーカスは協力しないだろうが、ロイやラナも話を聞いてれるだろう。彼奴等にできそうなことでも構わん」
トリシア「特産品とかだったら何個くれるのー?」
レイジャ「特産品……材木か?重いぞ?」
トリシア「馬鹿力のおっさんがそこにいる」

クライブはそこいらの荷運び動物よりも荷物を持つ力があります!

ティエ「最悪に運び動物買うぐらいの資金は有ります」
レイジャ「まあ……欲しいというなら材木屋に掛けあってみるが……1本ぐらいがいい所じゃないか。結局俺達が買ったものを渡すことになるからな……。」

ノーティ「ロイさん、何か魔法について教えていただけることなどありませんか?」
ロイ「魔法、魔法か……。そうだな、ノーティ君はかなり良い魔法の知識を持っているようだからね……。付与魔法か、呪文魔法か……それか、杖の作り方と使い方ぐらいかな。」
ロイ「むしろ、君が何故秋の魔法を使えるのか、教えてほしいぐらいだよ」
ノーティ「それなら、杖についてご教授いただければと思います」
ノーティ「私が秋魔法を使えるようになったのは……」

ノーティは簡単に名月の光証について説明を始めました。……簡単に、と言いましたが、数分程魔法について談義をしていたのですが。

ロイ「おっと、随分話がそれてしまった。杖だったね、それぐらいならお安い御用だ。この杖はここがこうなっていてだね……」
ロイ「というわけで、木材や金属材があれば簡単に作れるよ」
ロイ「使い方も簡単だ、杖の上部に向かって魔力を込めるように意識するだけで触媒になる」
ノーティ「今まで短剣を持て余していましたからね、これで私もようやく魔法使いとしての第一歩というところです」
ロイ「ああ、僕も初めは短剣だったね。全く役に立たなかったが」

トリシア「リンちゃんヴェルガから隕鉄とかの事教えて欲しいのと、皆から稽古かなー」

トリシアがリンに質問をすると、例によって頭の中に響く声が返答をしてきました。

ヴェルガ《隕鉄のことか?ふむ、自分で言うのも何だが、かなり希少なものだぞ。》
ヴェルガ《隕鉄は「開けた場所」「通常とは違った天候」の場合に見つけやすい傾向があるな》
ヴェルガ《かくいう我も夏なのに雪が降っていた日にリンに見つけられたのだ》
ヴェルガ《まあ、条件が整っていても希少だとは思うが……見つけることができれば力になるだろう》
トリシア「ちなみにヴェルガを打ったのは?」
ヴェルガ《ここからはかなり離れているが、希少鉱物を扱う町があってな。そちらで加工してもらった》
ヴェルガ《とは言え、我はもともと短剣に近い形だったからな。形を整えた程度だが》
リン「……雨の日の砂漠で見つけたという話も聞いた」
トリシア「ありがとう」

ティエ「レイジャさん、ここに忠実な乗用動物がおるんですけどね?」
レイジャ「繋いである馬がいたな。良く躾けられていたようだ」
ティエ「旅慣れさせたいなと思っておりまして……」
レイジャ「……ふむ。まあ、ある程度動物については分かるが……一朝一夕とは行かんぞ」
レイジャ「あの馬を見るに……そうだな、新しい地形を「2つ」踏破した頃には旅慣れた動物となるだろう」
ティエ「なるほど」
レイジャ「動物は、存外支えとなるものだ。大事にするが良い」
ティエ(あっやっぱり動物好きなんだ……)
ティエ「はい わかりました」
トリシア「レイジャさん動物に対する視線だけなんか目尻下がるよね」
レイジャ「……そんなつもりはないのだがな。カランド伯にも言われたものだ」

クライブ「……さて、残りは俺か」
クライブ「そうだな……俺も全員に一手ご指南いただく、ということにしようか」
クライブ「特にラナとロイ、お前らとは一度も手合わせしていない。気になるな。実に気になる」
ラナ「私達ですか?いえ、もちろん構いませんけれども……。お疲れでは?」
クライブ「問題ない。まあお前らも疲れているだろうしトリシアとは日を分けてもいい」
クライブ「万全なお前らと戦いたいところだ。できれば一対一を望む」
ラナ「……良いですよ」
ロイ「僕もそれ自体に異存はないが……自分で言うのも何だが僕は一人だととても弱いぞ?」
クライブ「そうだな……それじゃ22でやろうか。トリシア、どうだ?」
トリシア「へい」
ラナ「わかりました、そういうことでしたら。日取りは明日あたりで宜しいですか?」
ラナ「せっかくなら、中庭でやりましょうか。館に来ている町の方々にでも見ていただきましょう」
クライブ「こちらはかまわん。レイジャ、リン。お前らとは再戦ということで軽くサシでやらせてもらいたい。どうだ?」
レイジャ「良いだろう。今回はディラも出さん。俺もそれを期待していた」
クライブ「いいな、実にいい。それでこそだ」
トリシア「リンちゃんもそれでいい?」
リン「……良いけど。鱗粉、使ってもいい?」
クライブ「かまわん。万全のお前らと戦わないと意味がない」
リン「……わかった」

レイジャ「……報酬は、こんな所で決まったか。金銀財宝で支払いといかず済まないな。戦闘については、明日ということで頼む。……呼びつけて済まなかった」
クライブ「……ジョルティとパワーは寝過ごしているようだから、そっちの話はまた後で聞いてやってくれ」
レイジャ「……承知した」

こうして、今回の件の報酬が決まり、皆は部屋へと戻って行きました。私も先ほどと同じく、ノーティに同行して部屋へと戻りました。

その日は夕食を終えると、夜更かしをすることなく眠ることにしたようです。杖作りについて多少思案していたようですが、それもすぐにまとまったらしく、夜の鐘から1,2時間程度で眠りに就きました。

そして翌日--

〈コンディションチェック〉
クライブ:12(絶好調)
トリシア:11(絶好調)

昼前頃に目を覚ました皆は、食事を済ませると中庭の方へと向かって行きました。中庭にはレイジャ達4人だけではなく、たまたま訪れていたと思しき街の人達の姿も見えました。

ラナ「……おはようございます」
トリシア「おはやうざーます」
クライブ「おはよう。実にいい朝だ。戦うには丁度いい具合だしな」

クライブはどうにもやる気が満ち溢れているような表情をしていました。……やはり、どうも戦闘となると人が変わる所がありますね。

ラナ「それでは、やりましょうか。私も実は、やってみたかったんです」
ロイ「お手柔らかに頼む」
トリシア「皆やる気満々でびびる」

《戦闘開始》

中庭は十分な広さがあり、戦闘をするのにも特に不都合はなさそうです。トリシアが弓使いということで、射線の方向からは街の人達も避けました。思う存分戦うことができるでしょう。

〈イニシアチブチェック〉
後弓 トリシア Init12 HP27 MP8 Cnd11 Pro0
前剣 ラナ       Init11 HP27 MP12 Cnd8 Pro2
前剣 クライブ Init10 HP27 MP12 Cnd12 Pro1
後杖 ロイ        Init8 HP22 MP30 Cnd10 Pro0

最初に動いたのはトリシアでした。トリシアはロイに向けて弓を放ちます。しかし、矢は上手く飛ばず、後ろへと外れてしまいました。

ラナ「力んでいらっしゃいますね」
トリシア「まだ少し眠いネ」

次に、ラナがクライブに向けて攻撃を行います。ラナは両腰に佩いた剣をそれぞれの手で引き抜いて、同時に切りかかりました。右手の剣は赤く、左手の剣は青く光っています。

〈魔血の双鎌〉
攻撃成功時、MPに対しても半分のダメージを与える

ラナの刃はその両方がクライブの体に触れました。それほど深くは入らなかったものの、青い刃が精神力を奪っているようです

クライブ「クハハ!痛いな!強い!良いぞ!」

お返しとばかりに、クライブがラナへと切りかかります。クライブはどうにも調子が良いのか、ラナは避けきる事ができず、思いの外深く入りました。

ロイ「こちらの環境で戦わせてもらおう」

ロイがそう言うと、左手に持った革表紙の本がひとりでにページを捲っていきます。開かれたページには「ウォー・メタフィールド」の呪文が書かれていました。ロイが呪文を詠唱すると、周囲の空気が変わっていきます。戦闘に使えそうな物は消えてなくなり、クライブ達にとっては動きにくく、ロイ達にとっては動きやすい空間が作り上げられました。

〈ウォー・メタフィールド〉
周囲からオブジェクトを排除する。
味方のダメージ判定+1,敵のダメージ判定-1

〈ラウンド2
後弓 トリシア Init12 HP27 MP8 Cnd11 Pro0 フィールド-
前剣 ラナ      Init11 HP19 MP12 Cnd8 Pro2 フィールド+
前剣 クライブ Init10 HP23 MP9 Cnd12 Pro1 フィールド-
後杖 ロイ       Init8 HP22 MP20 Cnd10 Pro0 フィールド+


トリシアは再び弓を引き絞り、ロイに向かって放ちます。今度は逸れることなく、まっすぐと矢は飛んでいきました。その飛んでいく矢を、ラナは眼球で追っています。

〈切り払い〉
敏捷・知力で命中判定に勝利することで、遠距離攻撃を無効化する

ラナ「見えました……!」
ラナ「でも間に合わない……!」

ラナは確かに矢を目で捉えましたが、その速さに対応することができず、切り払いは間に合いませんでした。その矢はそのままロイに刺さります。

ラナ「そろそろ本気で行きますよ……!!」

ラナは切り払いが失敗したことへの八つ当たりかのように、鋭い剣閃でクライブに攻撃を行いました。(Critical) 両の剣はクライブに大きなダメージを与えます。

クライブ「はははは!たのしいなああ!!!「
トリシア「まーた一人になるのか」

トリシアはなんとなくその後の展開が目に見えてきたようでした。……まあ、多分その通りになるんだろうな、と私も思っていました。

体の傷もなんのその、クライブの剣もまた鋭さを増しています。ラナに振るわれた剣はウォー・メタフィールドの効力を差し引いても尚、大きなダメージを与えました。

ロイ「手を貸すよ、姉さん」

ロイは再び、魔法の詠唱を始めます。捲られたページは「エンハンスド・レッドハンド」、赤い光がラナの武器持つ手を包みました。

〈ラウンド3
後弓 トリシア Init12 HP27 MP8 Cnd11 Pro0 フィールド-
前剣 ラナ       Init11 HP11 MP12 Cnd8 Pro2 フィールド+/レッドハンド
前剣 クライブ Init10 HP14 MP3 Cnd12 Pro1 フィールド-
後杖 ロイ       Init8 HP16 MP16 Cnd10 Pro0 フィールド+

トリシアはこれまでと同じく、ロイに向かって矢を放ちました。しかし、ラナは先程の攻撃を見ていたためか、今度はその軌道を先読みし、ロイに届く前に矢を切り払ってしまいました。

ラナ「今度こそ見えました……!」
トリシア「ざんねん」
ラナ「この調子で行きますよ!」

矢を切り払った剣を持ち直し、ラナは三度クライブへと攻撃を行いました。しかし……途中で蹴躓き(フィールド内には何もないハズなのですが)、動きが明らかに鈍りました。(Fumble)

ラナ「おっと……!?」
クライブ「どうしたどうした!?」

クライブはその行動に驚きつつも、攻撃の手を緩めはしません。勢い良くラナへと切りかかります。斬撃はまたも深く入り、ラナの力を大きく奪いました。

ロイ「……そろそろ本気を見せてあげましょう、姉さん」

ロイの本が、またページを捲っていきます。次にたどり着いたページには「ハヤブサ」と書かれていました。

〈ハヤブサ〉
6ラウンドの間、対象を2回行動にする
6ラウンド経過後には「大怪我」を負う

ラナ「任されました」

〈ラウンド4
後弓 トリシア Init12 HP27 MP8 Cnd11 Pro0 フィールド-
前剣 クライブ Init10 HP14 MP3 Cnd12 Pro1 フィールド-
前剣 ラナ      Init10 HP5 MP12 Cnd8 Pro2 フィールド+/レッドハンド/ハヤブサ
後杖 ロイ       Init8 HP16 MP6 Cnd10 Pro0 フィールド+

さらに強化されたラナを見て、トリシアはラナに攻撃をさせず動きを止めようと攻撃対象を変更しました。しかし、素早い動きのラナには矢も命中しません。

トリシア「だめかー」
ラナ「ふふ、見えましたよ!」

続いてクライブもラナへと攻撃を行いましたが……その鎧とフィールドの力に阻まれて全く損傷を与えることができませんでした。

ラナ「効きませんよ……!」
クライブ「クソが……!」

ラナは攻撃を受け止めるや否や、接近していたクライブへと切り返しました。ハヤブサの力により、目にも留まらぬ速さの剣閃が連続で襲いかかります。その結果、クライブは肉体的にも精神的にも大きな打撃を受け、その場で膝をついて動けなくなってしまいました。

クライブ「満足!」
ラナ「後で治しますからね……!」

ロイはやることが無くなったとばかりに、様子を見ています。……多分、攻撃魔法はブレイドブラッドウォッシュしか覚えていないのでは……?

〈ラウンド5
後弓 トリシア Init12 HP27 MP8 Cnd11 Pro0 フィールド-
前剣 クライブ Init10 HP-3 MP-5 Cnd12 Pro1 フィールド-/気絶
前剣 ラナ      Init10 HP5 MP12 Cnd8 Pro2 フィールド+/レッドハンド/ハヤブサ
後杖 ロイ       Init8 HP16 MP6 Cnd10 Pro0 フィールド+

クライブの仇討ち……とは多分考えていないと思いますが、トリシアは目下の脅威であるラナを止めるために射撃を行いました。この射撃がラナを捉え、その動きを止めることに成功しました。

ラナ「くっ……さすがの実力ですね!」
ロイ「……降参だ、僕一人では勝ち目がない」
トリシア「そっかー」

《戦闘終了》

こうして、クライブ・トリシア対ロイ・ラナの模擬試合は終了しました。(程なく近くにいたノーティによって回復されました)

クライブ「ふう、わがまま言って済まなかったな。ありがとう、楽しかった」
ラナ「私も久しぶりに思い切り体を動かしてスッキリしました」
クライブ「さて、次は……リン、そしてレイジャ、楽しませてもらうぞ」
レイジャ「良いだろう……」

もはや戦闘狂としか言いようがありませんが、今度はレイジャ、リンとそれぞれ戦うことになりました。

【トリシアVSレイジャ(1d100対決)
トリシア:21
レイジャ:51(勝利)

トリシア「弓は前衛うんたら」
レイジャ「弓は前衛ではうんぬん」

【クライブVSレイジャ】
クライブ:78(勝利)
レイジャ:48

クライブ「はっは!レイジャ、ブタ箱に入ってるうちに鈍ったか!?」
トリシア(なんだこのおっさん)
レイジャ「相変わらずの腕だな」

【トリシアVSリン】
トリシア:47
リン:71(勝利)

【クライブVSリン】
クライブ:69(勝利)
リン:56

クライブ「まあ、後衛とやるとこうなるか」

こうして、約束の稽古試合が一通り終了しました。この試合が終わった頃になって、寝坊していたジョルティが庭に顔を出しました。ジョルティはリンを認めると、まっすぐにそちらの方へと向かっていきます。

ジョルティ「リンちゃん、ちょっとこの後お食事でも行きませんか?勿論、ヴェルガさんも一緒に」
クライブ(おっ前回よりマシになってる)

マトモに誘ってる……!?この人は偽物です!!

リン「……良いけど……そんなこと言わずとも食堂で一緒になるんじゃ」
ノーティ(あっそれとなく避けられてる……!)
ジョルティ「いや、折角だから二人っきり、いや三人でどうかなって!!」
ヴェルガ《ふむ、良いのではないか?》
ヴェルガ《我は飯は必要ないからな。置いていっても良いぞ》
リン「……そういうこと。別に良いけど」
ジョルティ(ヴェヴェヴェ、ヴェルガさんあんた…。いいんすか!?ヴェルガさん込みでリンちゃんだと思ってたのに!!)
リン「じゃあ、夜にでも。店は決めてあるの」
ヴェルガ《世話になったからな》
ジョルティ「ミセ!?マカセロ!!リサーチハバッチリダ!!」

どう聞いても大丈夫ではなさそうな上擦り方ですが……。

リン「分かった」
クライブ(ふむ・・・珍しい。成功方面に向かっているな)
リン「……じゃあ、夜の鐘の時間に、東街で」
ジョルティ「よっしゃおらああああああああああああああああああああああ!!」
クライブ(叫んだら台無しじゃねえかなあ・・・)
リン「……店では静かにしててよ」
ジョルティ「ア、ハイ」

……私は直接見ていたわけではありませんが、話に聞いたクレールさんを誘った時に比べて、随分マトモになっていますね。そういえば、ジョルティの部屋に滞在した時に『初めてのノーブル入門』なる怪しげな書がありましたが、それに影響でもされているのでしょうか……?

そんなこんなで約束を取り付け、ジョルティは夜の鐘が鳴ってから少ししてレストラン街へと繰り出しました。すると、すぐに先に待っていたらしいリンが話しかけてきます。

リン「……どこにいくの?」
ジョルティ「おうあ!?気配遮断!?」
リン「……何騒いでるの」
ジョルティ「いつのまに……えっと、あの、待った?????」
リン「少し。鐘の時間、覚えてないから仕方ないでしょ」
ジョルティ「う、うん。正直、飲食店と館以外の道もさっぱりだしね」
リン「そう。それで、どこのお店に行くの?」
ジョルティ「とりあえず店までの道は分かるから、付いて来てくれる?」
リン「分かった」

……私はすぐ近くにいてもバレないのですが、なんとなく遠くから見ていましたが……実は隣にクライブもいました。野次馬が好きですねぇ。

クライブ「野次馬はよくない……よくないが、こんな面白いことを見逃すのもバカだ。後をつけさせてもらおう)

リン(……誰かに付けられてる気がするけど)
ジョルティ(何か後ろにすっごい気配するけど……)

リンとジョルティもなんとなくクライブの尾行に気付いている風でしたが、特にこちらを振り返ることはしませんでした。そのままジョルティの先導で、レストラン街の奥の方にある店へと向かいました。
店内は落ち着いた雰囲気で、ゆったりとした音楽が流れている酒場のようです。ジョルティが店員に名乗ると、店内の奥にあるテラス席へと通されました。そこからは、アージェントの夜景を眺める事ができるようになっています。


リン「……私、お酒飲めないけど」
ジョルティ「ああ、それは大丈夫。この店は料理が売りだから」
ジョルティ「あと、この景色もね」
リン「そう。ならいいけど……景色なら、領主の館の方が良い」
ジョルティ「そ、そうだね。あそこ高いもんね。色々あったけど、再会ともろもろの一段落を祝して」
ジョルティ「とりあえず、お酒じゃなくてジュースで乾杯しようか」
リン「私はお茶で」
ジョルティ「おっけー、じゃあお茶とぶどうジュースで」
リン「……助けられたのは間違いないわ」
リン「……お疲れ様」
ジョルティ「お疲れ様」

そう言って届いたお茶とジュースで乾杯をしていました。……なんだか前回のアレとは完全に別人のようですね?

クライブ(普通で面白くないな・・・)

隣にいるクライブは見るからに詰まらなさそうにしていました。

リン「……美味しい料理を出す店。覚えておく」
ジョルティ「今度は他の皆と来たら良いよ」
リン「……そうね。カレンも一緒に」
リン「……貴方も、彼らと来れば良いのに」
ジョルティ「リンちゃんはカレンちゃんの事心配してたよね。俺達も気になってたから、正解を選べて良かったよ」
リン「……カレンは、私にとっては妹みたいなものだから。感謝してる」
ジョルティ「皆はこの後もしばらく一緒だからね。その前にリンちゃんと二人で話がしたくてさ」
リン「……私に聞きたいことがあるの?」
ジョルティ「そうだなぁ、リンちゃんの大切な人って誰?カランド伯?カレンちゃん?ヴェルガ?」
リン「……この街の人は、皆大事。カレンとヴェルガは特別だけど」
クライブ(ええ子や)
ジョルティ(ええ子や)
ジョルティ「そっか、その特別の基準って何だろうね?」
リン「……考えたこともなかった」

リンはそう言うと、思案顔になりました。カレンや、街の者達に思いを馳せているのでしょう。

リン「……私はこの街以外には繋がりがないから。唯一の繋がりだから、特別だと思う」
ジョルティ「そっか」
ジョルティ「じゃあさ、もし俺が旅の目的を終えてもう一度この街に戻ってきたらでいいんだけど」

クライブ(お?)

飽きかけていたクライブが俄に期待に満ちた顔になりました。なんともまあ趣味の良いことで。

ジョルティ「その特別の理由を考えておいて教えてよ。それで…」
ジョルティ「その時は出来れば俺もその特別に加えて欲しいんだけど…。」
リン「……良く分からないけど……この街に住むということ?」

ジョルティ(そうじゃねえええええええええええええええ)
クライブ(そっちかあ)
クライブ(普段は直情的なのにまだるっこしい奴だなあ……)

ジョルティ「え、あ、お?いうあ、いやそうじゃなくて俺もリンちゃんが特別なんだ!!好きなんだ!!」
クライブ(お、いった)
リン「……2度しか会ったことないのに?」

……確かに!

クライブ(正論。ウケる)
ジョルティ「関係ーナイネ!!」
リン「……そう。変わった人」

話も佳境に入ったその時、クライブと私の横にちょうどトリシアが通りかかり近づいてきました。

トリシア(おっクライブじゃんこんなとこで何やってんの)
クライブ(野次馬)
トリシア「(うわ、リンちゃん口説いてんの?うける)
クライブ(邪魔してやるなよ?割といけそうな雰囲気だ)
トリシア(いや、洞窟で敵対して今回で2回だよ?それで告白とか)

リン「……まあ、すぐに何か、ということでもないんでしょ。旅を終えて、貴方がこの街に戻ってきてから考える。……父も母も、そんなことを言って戻ってこなかったから」
ジョルティ「oh...
クライブ(おっもーい)
ジョルティ「まぁ、命がけの旅なのは一緒だな」

この時のジョルティの顔は、なんというか、その、とてもキメているのですが普段の顔を見慣れている私としてはその、こう、笑いそうになりました。

トリシア(あいつ竜食おうとしてる奴だぜぷぷぷ)
ジョルティ「よし、じゃあ約束だ」
リン「……そうね。目的は知らないけど、死なないように頑張って」
クライブ(いい雰囲気で終わりそう・・・なんかつまらんな)
ジョルティ「今度は旅の話と美味しい食材持ってくるから、一緒に食べようぜ。ヴェルガも一緒にな!!」
リン「……ヴェルガは食事はしないわ。でも、期待しておく」

ジョルティ(俺、竜を食べたらアージェント領に帰ってくるんだ…)
クライブ(ま、これ以上は野暮か。さて帰ってレイジャとロイにでも酒付き合わせさせるか)

この後は、特に何事かあるわけでもなく、食事が終わりました。2人はそのまま連れ立って領主の館へと返ってきます。領主の館のロビーでは、先に帰っていたクライブやトリシアのほか、ノーティも待っていました。

ノーティはいつもどおり読書をしているように見えましたが……手に持っている本のページには「ディテクト・コイゴコロ」の呪文が書かれていました。

〈ディテクト・コイゴコロ〉
視界にいる者が恋をしているかどうかがわかる

ノーティはその魔法により、ジョルティが恋をしていることが分かりました。……リンに関しては反応がなかったようですが
ノーティ(なんだかいいことがあれば良いのですが……そっとしておきましょう)

トリシア「リンちゃんジョルティおかえりー」
ジョルティ「タダイマー」
トリシア「リンちゃん何してたのー?」
リン「食事。美味しかった」
リン「今度連れて行ってもらうと良い。良い店だった」
トリシア「それはよかったジョルティと二人きりで食事かーふーん」
ノーティ「それは何よりですねえ。ジョルティさんも楽しかったでしょう」
トリシア「何かジョルティにへんなこと言われてたりしそう」

リン「……いつも、変な人なんじゃないの?」
トリシア「せやな」
ジョルティ「概ね合ってる」

確かに。


リン「……楽しい食事だった。今度カレン達とも行く」
トリシア「そうだカレンちゃんも元気になったら皆でいつか遊ぼう」
リン「……ええ。カレンはいつになるか分からないけど」
リン「……今日は疲れた。この辺で部屋に戻る。……ヴェルガも置きっぱなしだから」
トリシア「ルーカスがやらかす前に止められてよかったと思おう」
トリシア「おっかれさん」
リン「……本当に。カレンのこと、守ってくれて感謝している」
リン「……それじゃ、また。お疲れ様」
ジョルティ「リンちゃん送ってくれてありがとね、本当は俺が送らないと行けないんだけど」
ジョルティ「またね。おやすみ」

そう言うと、リンはそのまま自分の部屋へと戻って行きました。残った彼らは暫くロビーで談笑していましたが、するとそこに受付の女性が話しかけてきました。

受付「皆さん良い所に。実は先程、こちらに依頼がありまして。この前依頼を探している様子でしたから、取り置いて置いたのですが……お受け頂けますか?」
クライブ「ふむ、どういったもので?」
受付「ええ、『薬草を探して欲しい』というものと、『花束を作って欲しい』という2つなのですが--」

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……と、いった所で今回はおしまいです。依頼の内容も気になるかと思いますが、この辺りが良い区切りですので、続きはまた次回をお楽しみに。
今回は私にとっても良い旅となりましたね。色々と、考えなければならないことが多くなったように思います。……破天荒な人たちだと思っていた彼らも、やはりそれぞれが違った考えを持っていて、そこが旅物語の面白い所なのでしょうね。
次の話もまだアージェントでの話となります。ある種、今回の後始末、というところでしょうか。竜人の責任として、最後まで見届けたいと思います。

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こちらは、2016/7/29に行ったオンラインセッションのリプレイです。……と言っても前半部分(ルーカスの語り)は全てリプレイでの加筆となります。長大なセッションになってしまったので、収まらなかった部分をリプレイで補足する形になりました。
だんだんと各人のキャラクターのようなものがしっかりと出るようになってきました。GMPLも、少しずつTRPGに慣れてきているのかもしれません。
まだまだ至らない所もございますが、どうぞ今後ともよろしくお願い致します。……暫くは短めの内容が続く予定です。

【参考サイト】

3 件のコメント:

  1. 大長編のセッション並びにリプレイ執筆、お疲れ様です。
    人名が多くてなかなか把握するのに手間が掛かりましたが、アージェントで起きた出来事とそれらに関わる人々、それぞれの物語が丁寧に語られていて、とても読み応えのあるストーリーとなっていたと思います。
    これからのPCの面々の活躍に期待しております。こちらもりゅうたまのリプレイを進めて行きたいですね。

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    1. コメントありがとうございます!アージェント編はスケジュールが合わずにプレイできない時間が多かったせいで、どんどん設定が生えてきてしまって、こんな複雑な感じになってしまいました。
      実はアージェントの面々は全員名前がラ行から始まるので、ラリルレロで把握できます(?)

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  2. そんな把握の仕方があったとは。
    読み返す際には参考にさせて頂きます。

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