さて、前回は私が彼らに連れられて、サンドラに到着した所で終わっていましたね。
……その、早速で申し訳ないのですが、いきなりちょっとお恥ずかしい事態になってしまいました。
別れにくくなるから、と早速温泉に向かった私だったのですが……1つ、失念していたことがあったのです。
竜人に戻るのは後で良いとして、私はとりあえず人の姿のままで露天風呂に浸かっていました。高いところにあるわけではありませんが、サンドラの長閑な風景が眺められ、ゆっくりとするのにはとても良い場所です。
サンドラは火山による地熱の影響からか、年中花が咲く場所でもあるようで、露天風呂からもその花畑の様子を見ることができました。美しい花もあれば、可愛らしい花もあり、そのバリエーションも豊富なようです。
……と、そんな具合で少し熱めのお湯に浸かりながらボーっとしていたのですが……
トリシア「ヤッホー」
……そうですよね、彼女もすぐにお風呂に入りに来たら、会いますよね、そりゃ。
『あ、早速入りに来たんですね。良いお湯ですよー』
冷静に対応をしましたが、ちょっとばかり慌てていました。見込みが甘いにも程があります。何だかんだ、サンドラへの旅路で疲れていたのかもしれませんね。
トリシアは掛け湯をして湯船に入り、私の傍……というよりは外が見やすい場所へと来ました。
『熱いお湯は疲れが取れる気がしますねぇ』
トリシア「そだねえ……ここの湯って何かいい効果とか有るのかなー?」
『ああ、脱衣所に何か書いてありましたよ。打ち身、やけど、リウマチ、腰痛に効くとかなんとか?』
トリシア「ほうほう。そういや、お酒持ってきたんだった。一緒に飲むー?」
『なんと。それでは、少しだけ。ご相伴に預かります』
こうして、トリシアと軽くお酒を飲み交わしました。私は熱くなってきたと理由をつけて、トリシアより先に上がることにしました。
この後も不意に会ってしまうと気まずくなりそうなので、服を着たら早速竜人の姿に戻りました。これで、もう見られることもないでしょう。
そして、そう言えば男湯の方はどうなっているのだろう、と思いそちらの方を見に行くことにしました。……覗きじゃありませんよ?
男湯に向かうと、旅人達は先に体を洗っているようでした。湯船には既に、彼らとは別の老人が1人浸かっています。男湯はこの時間帯は内湯のようですが、大きな窓があり、こちらからも外の花畑が見えるようになっていました。
彼らが体を洗い終えて湯船に入ると、老人の方から彼らへと話しかけました。
老人「おやおや、旅のお方ですかな。ようこそ、火竜の湯へ」
ノーティ「いつもここに来られる常連の方ですか?」
老人「ええ、ほぼ毎日来ておりますな。その御蔭か風邪1つ引きません」
老人「少々熱いですので、お気をつけて」
ノーティ(これは確かに熱いですね)
ティエ(少々熱いとか少々辛いとか言われてそれが少々だった試しがないんだよなぁ…)
老人「どちらからお越しになったのですか?」
ノーティ「この前はアージェントに滞在しておりました」
老人「アージェント、ああ、あそこも良い場所ですな。昔一度だけ行ったことがあります。歴史ある良い街ですな」
老人「ただ、歴史ならこのサンドラも負けておりませんぞ。サンドラの温泉には古い言い伝えがありましてな」
ノーティ「というと」
老人はそうして、サンドラの歴史についてゆったりとした口調で話始めました。
老人「向こうからお越しだということは、道中で見ていないかと思いますが、この村から西に行った所に大きな山がありまして。この山が火の山として、この温泉の源になっておるのです」
老人「ただ、あの山は元々火の山ではなかったといいます。かつてこのサンドラは政治的な理由などで追放された者達の寄り合いとして生まれた集落でした。当時のサンドラはそれはもう不毛の地で、土地も痩せていてロクな農業もできない、山にも大した鉱脈がなく、いささかばかりの石材が取れるばかり。なんとか糊口を凌ぐのが精一杯というような状況だったのです」
〈???:体力+体力:目標4〉
クライブ:8
ティエ:7
ノーティ:4
ティエ(あついなあ)
老人「そんな折、旅の祈祷師というお方がこの村に訪れました。彼女に村のことを相談すると、彼女は西の山て祈祷を行ってくれることになりました。その時、村人たちは半信半疑であったといいますが、わらにもすがる思いとでも言いましょうか。彼女を送り出すことに致しました」
ノーティ(熱くて話が頭に入ってこない)
老人「それから、三日三晩彼女は祈り続けたといいます。山の天気は大いに荒れましたが、彼女に自分が戻るまでは山には入らないように言われていたため、数日は待つことにしたといいます。……しかし、さすがに戻るのが遅いということで、彼女の言いつけを破り山に見に行った所、脚を痛めて帰れなくなっている彼女を見つけたのだそうです」
老人「彼らが彼女を助けて山を降ろうとしたその瞬間、山の頂きに真っ赤な竜が現れたのです。人の背丈の何倍もあろうかという竜に、当然彼らは腰を抜かす程驚きました」
〈???:体力+体力:目標6〉
クライブ:8
ティエ:6
ノーティ:9
老人「しかし、竜は襲ってくることはありません。その代わりに、竜は厳かな声で語り始めました「優しき心をもつ者よ、お前たちの苦しみを我が救ってやろう。すぐに山を下れ、さすれば暮らしは良くなるだろう。その代わり、一年に一度、必ずこの山を訪れよ。そして、祈りの歌を捧げるのだ」」
老人「彼らは怯えつつも、その竜に言われるがままに山を下りました。するとほどなくして、その山が火を吹いたのです。火柱は大きく村の者達を恐れさせましたが、火は全て村とは逆側に流れていき、村にはせいぜい灰が降る程度でした。それから数日後、今度は村の中心で水の柱が上がりました。……そう、これこそが今皆さんが浸かっている「火竜の湯」なのです」
老人「……と、いうのが我が村に伝わる伝承です。なんともよくある竜のお伽話というように思われるかもしれませんが、この村ではこれが信じられているのです」
〈???:体力+体力:目標8〉
クライブ:10
ティエ:6
ノーティ:6
ノーティ「火竜……」
ティエ「あー」
……老人の長話を聞くに連れ、どうもティエとノーティの顔が赤くなっているようでした。これは……。
老人「……おっと、申し訳ない、長話が過ぎましたな」
ノーティ(女湯でセクハラ事件とか起こしてなきゃ良いけど……ブツブツ)
老人「そちらのお方、どうやらお仲間が2人とものぼせてしまったようです。手を貸してさし上げた方が良さそうですぞ」
クライブ「…? おっと大変だ」
ティエ「あついんですけどー そろそろ死ぬんですけどー」
クライブ「ほれ、いくぞ」
クライブだけは平気な様子で、明らかにのぼせている2人を担ぎ上げ、脱衣所へと運んでいきました。
ティエ「わーい」
ノーティ「えーと、その話をまとめると何ですか、竜がセクハラで……いやいや、えー……」
老人「いやはや、慣れない方々を付きわあせてしまって申し訳ない」
老人は申し訳無さそうにしているのかどうか分からない表情で、茹だった2人を団扇で仰いでいます。なんとか2人も着替えて、宿のロビーへと戻りました。老人も連れ立っています。
そこに、ちょうど女湯から上がったトリシアも合流しました。
トリシア「いい湯だったネー」
ティエ「あー ぬらした手ぬぐいっていいよねー」
トリシア「2人ほど茹で上がっているようだけど」
ノーティ「先ほどの話を信じるなら火竜は信仰か何かを必要としているとかですかね……ああ、どうも」
ノーティは寝転がりながらそんなことを言っていました。ティエも濡らした手ぬぐいを替えながら、ダルそうにしています。
老人「ええ、恐らくはそういう所かと思います」
老人「そちらの女性もお身内の方ですか?実は、少々相談したいことがあるのですが--」
ティエ「のうさいぼうがゆで卵になるすんぜんだからきいといてー」
ノーティ「ジョルティ氏に聞かれたら食べられちゃうよー」
ティエ「殻つきだけどちゃんと剥けるかなー」
普段どちらかというと冷静組の2人がこの有様!
老人「ええ、実はですね、これから2日後に【捧げ歌の儀式】というものがあるのですが……その時に歌を捧げる予定だった吟遊詩人が足にケガをしてしまいましてな。山に登ることが難しくなってしまったのです。もし皆様の中に吟遊ができる方がおられたら、どうか代わりに【捧げ歌の儀式】を行ってもらう事はできないでしょうか?」
老人「こちらが、その吟遊詩人の家の住所です。詳しいことはそちらからお聞きになって下さい」
老人は彼らが何かを言う前に、ささっと吟遊詩人の住所の書いたメモ書きを押し付け、団扇だけをそこにおいて去って行きました。……自由というかなんというか、なかなかめちゃくちゃなご老人のようですね。
トリシア「断る理由はないと思うけど丁度うちにも新米吟遊詩人二人いるし」
ノーティ「竜が歌好きなんですかねえ」
ノーティは次第に調子を取り戻してきたようです。
トリシア「なんかメモ書き渡しておじーちゃん消えちゃったけど」
ティエ「なにそれこわい」
ノーティ「とにかくその儀式の内容を聞かないことにはいけないですね」
ティエ「二日後だからさっさと聞かないとアレかー」
ティエは相変わらずゴロゴロしていたのですが、トリシアがそれを見かねてサッと水を汲んできて思い切り掛けました。
ティエ「ぬれた」
トリシア「着替えておいで」
ティエ「さむくなったから風呂はいってくる」
クライブ「やめろ」
ティエ「着替えるか」
ノーティ「流石にこの時間から訪問はどうでしょうね?
まだ間に合いますかね?」
トリシア「暗くなる前には訪ねたいね」
ノーティは立ち上がって、ちらりと窓から外の様子を眺めます。まだ日は沈みきっておらず、夕方といったところでした。
ノーティ「まだ明るいですし行きましょうか」
ノーティが手渡された住所のメモに目をやると、どうやらその場所は温泉宿からすぐ近くのようでした。ティエが着替え終わるのを待ち、彼らはとりあえず急いで吟遊詩人の家へと向かいました。
家の扉をノックすると、奥から女性の声が返って来ます。
吟遊詩人「どなたですか?ちょっと脚を怪我しているので、中まで入ってくださいなー」
ノーティ「旅の者です 失礼します」
トリシア「オジャマシマース」
ティエ「おじゃまします」
軽く挨拶をしながら、皆で吟遊詩人の家へと入ります。吟遊詩人の家はそれほど大きいものではありませんが、色々な絵が飾っているなど、どこか芸術的な雰囲気を感じさせるものでした。
中に入ると、居間で座っている吟遊詩人が迎えます。老人の話に聞いていた通り足を怪我しているようで、片足に包帯を巻いていました。見るからに、重い怪我のようです。
吟遊詩人「どうぞどうぞ。旅のお方ですか。すみませんね、このような有様でして」
ノーティ「どうなさったんですかその怪我は!」
吟遊詩人「いやあ、それがちょっと……その、温泉でですね、足をですね?」
トリシア「つるっと?」
ノーティ「ああ……」
吟遊詩人「効能に骨折はないんですよねえ」
トリシア「冷やしたほうがいいとかなんとか」
トリシア「しらんけど!」
怪我について話しているにも関わらず、吟遊詩人はどこかのんびりとした雰囲気です。案外気にしていないのでしょうか……?
吟遊詩人「それで、旅のお方がいらっしゃったということは、恐らく捧げ歌の代わりをしろ、と長老から言われたのですね」
ティエ「な なぜそれをー?」
ティエはまだのぼせた影響が残っているようですね……?
トリシア「長老だったのかあのじーさん」
クライブ「ああ、長老……道理で話が長いわけだ」
ノーティ「長老?
あのご老人がそうですか、もしや」
ティエ「っていうか長老?」
なんとも統率の取れた聞き返しっぷり。
吟遊詩人「ええ、まあ、ただ一番年寄りだというだけの人ですよ」
吟遊詩人「申し訳ありません、強引な人でして」
ティエ「強引というかなんか我々を茹でたがってたよ」
実際2人ほど茹で上がりましたしね。
吟遊詩人「……では、みなさんの中に吟遊ができる方はいらっしゃいますか?」
トリシア「いたっけ…」
ノーティ「私とティエ氏が、一応」
トリシア「音痴がいた気がするけど」
ティエはトリシアからあからさまに目を逸らしています。……まあ、ノーティもまだ歌を披露したことがないので、どうなのか分からない所なのですが。
吟遊詩人「いらっしゃるのですね!ええ、音痴とかどうとかというのは大丈夫ですよ。火の竜は寛容ですから、多分」
トリシア「よかったねティエ」
さて、そんな話をしていた所に、皆と一緒に温泉に入らず、とりあえずサンドラの美味しいものを探しに行っていたジョルティが突然吟遊詩人の家に入ってきました。
ジョルティ「おーっす!みんな温泉卵と饅頭食べたー!?」
ジョルティ「誰この人?」
吟遊詩人「え?私の家なんですけど誰ですかその人?」
ジョルティ「外歩いてたら何か声が聞こえたもんで」
トリシア「だれですか吟遊詩人さんの知り合いでは…?」
吟遊詩人「いえ、存じませんけれども……」
ノーティ「この人ですか、まあ、旅仲間です」
吟遊詩人「ああ、お仲間の方でしたか」
……トリシアが他人のフリをしようとしていましたが、ノーティは普通に答えてしまいましたね。いやはや、やっぱり仲が良いのでは?
ノーティ「本職の吟遊詩人である貴方を運んだほうがよろしいのでは?」
吟遊詩人「私はこの通り、足がですね、随分と複雑にやられているので、その、声が出なくてですね」
吟遊詩人「なのでですね、その、よろしかったら私の代わりに、捧げ歌の儀式をしていただけないかなーと思ったりするのですがー」
絶対山に登りたくないだけですよこの人は!目を見れば分かります!
ノーティ「この街に吟遊詩人は他におられないと」
吟遊詩人「ええ、残念ながら。山登りが嫌ってんで居着かないんですよ」
ノーティ「それなら我々が向かいましょう」
吟遊詩人「お受け頂けるのですね!それでは、捧げ歌の儀式で使う「火竜の歌」をミンストレルの皆さんにお教えします!歌いますので続けて下さい!」
声がでないという話だったのでは……?
いえ、まあそんなことは良いでしょう。吟遊詩人は特に楽器などを弾くことなく、「火竜の歌」を歌い始めました。不思議なことに、この歌に使われていたのは「竜の言語」です。しかし、所々に誤りや欠落があるようですね。伝わる間に、少しずつ変化していってしまったのでしょう。……かつて物好きな竜が、彼らに力を貸し、この歌を教えたのでしょうか?
【火竜の歌】
竜ありて人あり 竜ありて人あり
竜を畏れよ 竜を敬え 竜なしでは人あらず
竜は人に遠からず 竜は人に遠からず
全ての季節もそうあるように 幾歳後もそうあるように
何度か吟遊詩人の歌うのに続けて歌ったことで、ティエとノーティの2人は【火竜の歌】を習得しました。彼らにとっては分からない言語であるにも関わらず、よく短時間で覚えられるものだと感心します。
吟遊詩人「それでは、よろしくお願いします!2日後の昼に西の山の山頂にある祠の前で今の歌を歌って下さい!」
ノーティ「今まで何もなかったんだから我々でも何とかなりますよね?
道筋はいかほどに」
ティエ「これで山の山頂までに4日かかりますとかそういうことはないですよね?」
吟遊詩人「西の山までは街道がありますので、そんなに厳しい道ではないです。1日もあれば到着できるかと思います」
吟遊詩人「あ、一応、今の時期はかなり暑いですし……目深の帽子なんかを用意しておくのが良いかと思います」
目深の帽子、の前に吟遊詩人はなにやらゴニョゴニョと声にならない声で話しています。……?
トリシア「えっ?なんだって?」
吟遊詩人「そのー、ちょっとばかりー、目ヲ合ワセルト良クナイモノガイル可能性ガアルノデー目元ヲ隠セルモノガアルト良イカトー」
最近、トリシアの棒読みがこれまで聞いた棒読みランキング1位だったのですが、ここで吟遊詩人が逆転しました。ちなみに第3位は私を褒めている時の竜の君です。
ノーティ「ええ……」
トリシア「なんか大変な事言ってないですかねー?」
ティエ(昔読んだ本で目を合わせると石化してしまう魔物がいたようなー……)
吟遊詩人「目、目さえ隠れていれば大丈夫なのでー!」
ノーティ(と言うかこの人結構喋れるじゃないですか)
ティエ(そもそもさっき歌ってましたし)
吟遊詩人「見たところ皆さんは旅慣れていらっしゃるようですし!大丈夫だと!思います!」
トリシア「なんで濁すのかなぁ…」
吟遊詩人「だってぇ……じゃあ行かないっていわれると足のケガなんて何とかなるから行って来いってあの爺さんがですね……?」
ノーティ「貴方は山に行ったことあるんですよね?」
吟遊詩人「ええ、もちろん何度も行ったことがあります!私はこれまで一度も会ったことはありません!」
ノーティ「帽子くらいでなんとか騙せるものなら、それでもいいんですが……」
吟遊詩人「ええ、まあ目さえ合わなければ大丈夫なようなので」
吟遊詩人「と、言う訳でですね、その、どうぞヨシナニーコノトオリー」
ノーティ「まあ、仕方ないですねぇ……」
ジョルティ(まーた胡散臭いことに首突っ込んでんなあ)
トリシア「そういやさっき言ってた長老って何処に住んでるの?」
吟遊詩人「宿の真隣に住んでます」
ティエ「あー そら毎日温泉にも通うわ」
ティエ「じゃあお礼参りに…じゃなかった 報告に行こうか」
トリシア「そっすね」
一先ず、吟遊詩人から話を聞き、依頼を受けたことを伝えるために長老の元へと向かうことにしたようです。長老の家は吟遊詩人の言う通りに温泉宿の真隣にありました。
道すがら、「温泉宿の隣に住んでるとか絶対覗き目的だな」「二階から露天が見えるようになっているに違いない」などなど色々と長老に対する邪な想像を話していましたが、予想に反して平屋建てでした。
長老「おやおや、皆さんおそろいで。」
トリシア「おじーちゃん一応吟遊詩人さんところに行って受けてきたよ」
長老「おお!真ですか。これはこれは本当にありがとうございます。」
トリシア「若干行くのが嫌でワザと怪我した感がうっすらあったけど」
長老「困ったものです。村の吟遊詩人は皆数年に一回ケガをするんですよ」
ティエ(お祓いしろ)
ティエ「ついでに、目を合わせると危険な生物についてとか、明日の天気についてとか、祠へのルートについてとか、色々と教えて頂きたいのですが」
長老「目を合わせると危ない危険な生物ですか……?ああ、トカゲのことですかね。目さえ合わせなければただのトカゲですから」
長老「明日の天気……うーん、ハッキリとはいえませんが、山の雲の感じを見るに雨は降らないかと思います。暑そうですれども」
長老「祠まではまっすぐ街道沿いに行けば登山道に入りますので、みちなりに登って頂ければ」
トリシア「あざーす」
長老「それでは、改めてよろしくお願い致します」
そうして彼らは、長老の家を後にしました。
ノーティ「とりあえず、必要そうなものを揃えましょうか。目深な被り物は……日よけ帽当たりでも用意しますか?」
ティエ「4つ以上になるならまとめ買いするよー」
トリシア「保存食作るね。とりあえず20個ほど」
〈春夏冬:日除け帽5つ〉
ティエ:20(8割引き)
〈物作り:保存食20個〉
トリシア:19
ティエもトリシアも、慣れた口調慣れた手つきで必要な道具と食料の調達を行いました。……ティエの商売口上に関しては、もはや魔法の域に達しているように思います。……絶対利益出てませんよ?
準備を整えた所で宿へと戻り、明日出発することにしたようですね。温泉で上がった体温がほど良く下がってきている折ということもあり、少々早いですが眠ることにしたようです。
〈魔法発動:ティエ:ミノーン・ビバーク〉
発動判定:10
ティエは新しく覚えた魔法「ミノーンビバーク」で天井から吊り下がって眠っていました。……絶対お布団で寝た方が疲れが取れそうなんですけれども……。
……ともあれ翌日。長老の言っていた通り、今日は暑い日になりそうです。
〈コンディションチェック:1日目〉
クライブ:Critical(絶好調)
ティエ:11(絶好調)
ノーティ:14(絶好調)
トリシア:10(絶好調)
ジョルティ:6
皆、起き抜けにとりあえず温泉に入りに行くことにしたようです。この時間帯は、男性が露天、女性が内湯のようでした。
露天風呂には相変わらず長老がいましたが、今朝は長話に付き合わずささっと切り上げて上がることにしたようです。……旅の前にのぼせてはいられませんものね。
ノーティ「……温泉に入る前に行っておくべきでしたね。とりあえずハーブを採ってきます」
〈薬草取り:山:目標10〉
ノーティ:10(白夜ハルシャ菊入手)
そして彼らは、改めて西にあるという火山に向けて出発しました。山への入り口はサンドラのすぐ側にあり、長老の言うように街道も伸びているため、これまで踏破してきた山に比べるといささか登りやすそうです。
〈移動チェック:暑い山:目標11〉
クライブ:12
ティエ:12
ノーティ:8(失敗)
トリシア:11
ジョルティ:12
ノーティ以外の者は段々と慣れてきたのか、特に疲れることもなく山を登っていました。
ノーティ「街道はありますが……一応万全を期しておきましょう。
〈魔法発動:ノーティ:アローコンパス〉
発動判定:15(成功)
〈方向チェック:暑い山:目標11〉
クライブ:4(サポート失敗)
ノーティ:6(失敗)
ノーティは途中で街道に続く獣道を街道と見間違え、道に迷ってしまったようです。……ですが、どうしたことでしょう、夕方になる前には山頂に到着していました。
ティエ「近いー!」
ジョルティ「この距離で迷うー?」
山頂に到着したことで、一部は気が抜けているようでしたが、トリシアとノーティはスッと目元を隠すように帽子を目深にかぶり直したり、ゴーグルを装着したりと「目を合わせてはいけない何者か」に備え始めました。
しかし、とりあえず周囲にそういった者の気配はないようでした。山頂の中央になる火口は縄で囲われており、その近くには小さな祠が設置されています。祠には、竜を象った神体が置かれていました。また、少し離れた所には小屋があり、今日はここで寝泊まりをすることができそうです。
そして……彼らには当然見えていないことですが……火口には赤い竜が眠っていました。声をかけようかと思いましたが、まだ私達の来訪にも気が付いていないようでしたので、とりあえずそれは後にすることにしました。
ジョルティ「神体じゃ食えん、本物でてこいや!!」
本当に本物が出てきたら確実にジョルティが食べられることになるわけですが……。というか本当に目の前に本物がいるので、穏便に済ませてほしいものです。
ノーティ「竜の像は私の読んだ本と近い姿ですね……」
……そう言えば、神体の像は火口で眠る火竜のものに酷似していました。なるほど、あの伝承は半ば本当のことだったのでしょう。……お人好しの竜もいたものですね?
彼らはとりあえず神体を見るのも程々に、夜に備えて小屋の方を見てみることにしたようです。
〈動物探し:目標10〉
クライブ:9(失敗)
ジョルティ:5(失敗)
〈探索:目標10〉
トリシア:18
クライブとジョルティは気配から、トリシアは直接中を見ることで、小屋に何かしらの異常がないかを確認し始めました。結果的に、特に何も異常がないことが分かったようです。……随分と入念なのは、旅の始めの始めに、雨宿りで入った小屋でオオアリに襲われたからでしょうか?
トリシアは中にも外にも異常がないことを確認すると、そのまま扉を開けました。中は埃っぽいものの、特に何かが居座っているということはありません。ただ、誇りが積もっていることと、熱気が篭っていることだけが問題という所でした。
ノーティ「特に明日まですることもないんですよね。ゆっくり掃除でもしていましょうか」
トリシア「とりあえず窓バーン」
トリシアはいくつかついていた窓を開け放ち、ノーティは掃除を始めました。その間に、クライブとジョルティは食料の調達に向かうことにしたようです。
〈狩猟:山:目標10〉
クライブ:15(食料5入手)
ジョルティ:9(失敗)
クライブは頂上から少し下った所で、食べられそうな動物を簡単に狩ってきました。……ジョルティはというと、神体の方に注意を惹かれてしまっているようで、あまりやる気が出ていなかったようです。
〈野営チェック:暑い山の小屋:11:小屋により判定+2〉
ノーティ:11(サポート成功)
トリシア:9(失敗)
しっかりと準備をしていた2人でしたが、どうしても風通しが良くならず、小屋には暑さが残ってしまいました。少々寝苦しそうです。
〈魔法発動:ティエ:ミノーン・ビバーク〉
発動判定:9
ティエは今日も屋根からぶら下がって寝ることにしたようです。……本当に寝やすいんでしょうか?
さて、暑いながらに小屋で食事を取り、明日の昼に控える【捧げ歌の儀式】に備えて彼らは早めに寝ることにしたのですが……夜中になって、小屋の外からガサゴソという音が聞こえてきました。音からして大きな生物であるとは考えにくく、小屋にまで入ってくる心配はなさそうですが……。
ノーティ「これ、あのトカゲでは……?」
ノーティが小声で皆に話しかけますが、トリシアとジョルティは眠ったままで、聞こえていないようでした。
ティエ「とりあえず起こすか…」
ティエは眠っている2人を揺り起こします。
トリシア「扉ちゃんと閉めてる?」
トリシアはさすがというか、目を覚ましてすぐに状況を把握したようですね。……目は閉じたままで、起き上がってはいないのですが。
ジョルティ「どうしたティエ!!朝ごはんか!?」
ジョルティ「頂きます!」
ノーティ「やかましい!」
ティエ「夜食になるかもしれないし夜食にされるかもしれないし」
ティエ「食べられないかもしれない」
クライブ「収拾つかんな…リーダーどうする」
ティエ「明日起きたら大量のトカゲに囲まれるとかそういうアレじゃない限りは別にいいんじゃないかね」
ジョルティ「トカゲ食べれるの?」
ティエ「食べられないんじゃ?」
トリシア「戦いたいなら戦ってもいいけど無駄に疲れたくないなら寝よう」
ジョルティ「寝よ。オヤスミー」
ノーティ「気配を消しながら寝ましょう」
ティエ(とりあえずミノの糸短くしておこう)
そうと決めたら早いもので、彼らはもうそれ以降外で聞こえるガサゴソとした音には気を留めず、そのまま眠ってしまいました。外の音も、1時間もしないうちに聞こえなくなりました。
さて、そのまま翌日になり……彼らが目を覚まし、ゆっくりと扉を開けると、その目の前には大きなトカゲが3匹倒れていました。
ノーティ「……?」
ノーティは不思議そうにしながらも、とりあえず目深に帽子をかぶり直します。
ジョルティ「干せば食えるのでは……?」
ジョルティがそんなことを言いながらトカゲに近付くと、小屋の近くに係留していた荷運び動物に異常があることに気が付きました。動物自体は怪我をしていないようですが……積み込まれている木箱を見ると、いささかばかりの美味しい保存食と、お酒が減っているようです。
よく見ると、倒れているトカゲの近くには、酒瓶や保存食の食べかすなどが落ちていました。どうやら、トカゲは死んでいる訳ではなく、酔っ払って眠ってしまっているだけのようですね。
ノーティ「……これ、バジリスクですね。目を合わせると石化するという」
ティエ「ちゃんと危ないときは鳴きなさいよ」
……思うに、荷運び動物は出会い頭にトカゲと目を合わせてしまい、石化していたのではないかと思います。そして、強い酒にやられて倒れたことで解除された、とそんな感じではないのかと……。
ジョルティ「山狩りじゃああああああああああああ!!」
ジョルティ「美味しい保存食がああああああああああああああああああああああああああ」
ティエ「まあまあ、テイストグッド・テイストでまだ美味しい保存食は作れますし」
ジョルティ「そういう問題じゃァない!尊厳の問題だ!!」
クライブ「ま、寝る事を選択したのは俺達だ。仕方なかろう」
さて、ジョルティを中心にしてガヤガヤしていた彼らでしたが……トリシアがすっと眠っているトカゲの側に近寄り、ナイフを取り出しました。
トリシア「もらえるところはもらっておこう」
〈材料加工:目標14〉
トリシア:14
ジョルティ:5
トリシアは素早い手際でバジリスクの生目を抜きました。バジリスクの目は石のように硬く、極めて特殊な素材でできていることが分かります。貴重な素材として、売却することができそうであることがマーチャントのティエには分かりました。
さて、ジョルティはというと……空中に向かってナイフを振るっていました。もしかして、バジリスクの幻覚が見えているのかもしれません。
ジョルティ「128枚おろし!」
〈コンディションチェック:2日目〉
クライブ:8
ティエ:15(絶好調)
ノーティ:8
トリシア:9
ジョルティ:11(絶好調)
〈薬草取り:山:目標10〉
ノーティ:9(失敗)
ティエ「とりあえず、昼までは暇ですな」
トリシア「そっすね」
彼らは手持ち無沙汰に、とりあえず周囲の探索を始めました。何か目的があるというわけではなく、半ば暇つぶしのようですね。
〈探索〉
トリシア:4(失敗)
ジョルティ:7(失敗)
ティエ:7(失敗)
ティエ「火山なら金目のものぐらいありそうなもんなのになー」
〈動物探し:山:目標10〉
クライブ:7(失敗)
〈察知〉
トリシア:5(失敗)
クライブ:4(失敗)
ティエ:14
その時、ティエが何かに気が付いたかのように、火口の方をじっと見つめていました。……私も釣られてそちらを見ると、火口で眠っていた火の竜が目を覚まし、こちらのことを見つめていました。……ティエには見えていないはずですが……ティエはまだ若いということもあり、そういった感性が僅かに残っているのでしょうか?
赤ん坊や動物は竜の存在に気がつくことがあるといいます。竜感とでも言いましょうか……。
ティエ(なーんか気配を感じるんだよなあ)
そんなこんなでダラダラと山頂を歩きまわっている間に、昼が近付いて来ました。
ノーティ「とりあえず、万全を期すために幸運の魔法でも掛けておきましょうか」
ノーティはその後の【捧げ歌の儀式】に備えて、その場に「ラック・ラック・ラック」の魔法陣を描きました。歌を歌うことになる自分とティエ、ついでにジョルティに幸運の魔法を施します。
〈魔法発動:ノーティ:ラック・ラック・ラック〉
発動判定:13
ノーティの魔法が掛かり終わった頃、ちょうど太陽が山の上へと近付いて来ました。そろそろ、儀式の時間のようです。火竜は変わらずこちらの方を見ていますが、その目は静かでした。何となく、私も話しかけ難く、私まで緊張していました。
トリシア「お昼ごはん!」
ティエ「昨日食べたでしょ」
刻限が近付くにつれ、段々と熱気が増してきました。まるで、火の竜の力を感じさせるような炎天下です。微かに吹く風も熱く、涼しさを与えるものではありません。
ノーティ「とりあえず歌を確認して、と……サポートに回りますので、ティエさん、歌をお願いできますか」
ティエ「いけるかなー」
【捧げ歌の儀式:目標10】
ノーティ:11(サポート成功)
ティエ:16
ティエは、吟遊詩人に教えられた通りに、【火竜の歌】を祠の神体へと奉納しました。その歌は、これまでのティエの「音痴」なイメージとは掛け離れた、どこか厳かで清らかな雰囲気を感じさせるものでした。
トリシア「ティエ歌上手くなった?」
ティエ「これまでがおかしかったのでは」
トリシア「…もしくは自作曲が変なの?」
ティエ「かもしれない…」
歌を歌い終えると、急に風が凪ぎました。彼らからすれば、別段何かが起きているようには思えなかったことでしょう。しかし、私にはハッキリと見えていました。火の竜は、両の翼を彼らを包み込むように広げていました。そして、その顔を彼らの、そして私の元へと近付けていきます。
普通なら危険を感じて彼らを逃がすところなのですが……その必要はないことが分かっていました。竜の表情は非常に穏やかで、優しい気配に満ちていたのですから。
そして、火の竜は彼らに語りかけます。姿こそ見えないものの……この声は彼らにも聞こえているはずです。
《今年は村の者がケガをしたと聞いた故、来ないものと思っていたが。旅人に頼んだのだな。諸君達もよく来てくれた》
突如聞こえた声に、彼らは何者かの存在を感じ取り、キョロキョロと周囲を見回します。しかし、その姿が見えることはありません。
《今年も良い歌であった。ともかく、我にとっては毎年この日が楽しみでな。諸君が来たのは嬉しい誤算だった》
ノーティ「貴方が火竜様ですか?」
ノーティは恐る恐る、竜に向けて声を返します。
《そんな大仰なものでもない。彼らは尾ひれを付け過ぎだ。山の精霊みたいなものだな》
ノーティ「精霊……ですか」
ティエ「へぇー」
トリシア「竜ってこんな声ナノカー」
ジョルティ「どこか食べさせて下さいお願いします!尻尾の先っちょだけでいいから!!」
ジョルティ「お願いします!!お願いします!!お願いします!!お願いします!!お願いします!!」
《……なんだかおかしいのが紛れている気もするが》
クライブ「まあ、こいつは頭が少しやられていてな。気にしないでくれ」
ジョルティ「おい、人の悲願馬鹿にすんな!」
《……いや、まあ良い。これは感謝の気持ちだ。……先ほどの歌、素晴らしかったが、どうやら一部に間違いがあるようだ。本来の【火竜の歌】を教えよう。……きっと、諸君らの旅にも役に立つはずだ》
火の竜は、そうして歌い始めました。【真なる火竜の歌】を。
【真なる火竜の歌】
竜ありて人あり 人ありて竜あり
竜を畏れよ 竜を敬え 竜なしでは人あらず
人を愛せよ 人を護れ 人なしでは竜あらず
竜は人に遠からず 人は竜に遠からず
竜と自然がそうあるように 人と自然がそうあるように
全ての季節もそうあるように 幾歳後もそうあるように
もちろん、これも竜の言語で歌われたものです。ですから、きっと彼らにはその意味は分からなかったことでしょう。それでも、竜の思いを感じることができた、と私は信じたいところです。
ティエ「!」
これにより、ティエは【火竜の歌】を歌うことができるようになりました。サポートをしていたノーティも、音楽全般が上手になったようです。
〈火竜の歌〉
歌い続けることで、同じエリアの全員のダメージ判定+1
歌い続けているターンの2倍のHPを消費
《それでは、来年も待っていると伝えておいてくれ。良い旅をするが良い。竜と竜人の加護のあらんことを》
そうして火の竜は彼らを包み込んだ翼を畳みました。ささやかな風が戻ってきます。しかし、すべてが終わっても、彼らはまだ暫く立ち尽くしていました。
ノーティ「本物の竜だ……!」
ティエ「わー 竜だー 着ぐるみ以外で初めて見た!見えないけど!」
ノーティ「今の皆さん聞こえましたよね!?」
ジョルティ「かじらせてええええええええええええええええええええええ」
ノーティ「……聞こえていたみたいですね」
ジョルティ「んおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
トリシア「さてどうしよう」
ノーティ「実在する確からしさが高まりましたね、ジョルティさんにも追い風でしょう では報告に戻りますか?」
ティエ「かえろ」
呆然としていた彼らでしたが、程なくして気を取りなおし、とりあえず炎天下の山から下ることにしたようですね。私は、彼らが山を下り始めたのを見て、少しだけ火の竜と話をしていくことにしました。
『初めまして、火の竜様。私は彼らの旅物語を書いております、竜人アリアと申します』
《春の竜の眷属であろう。彼らを歌わせに来たのも、君の差し金かね?》
『いいえ、私は何も。私は旅の方針にはあまり関わらないようにしておりますので』
《そうか。なら彼らは彼らの意思で歌ってくれたのだな。……きっと良い旅物語になるだろう》
『ええ、私もそれを願っております』
《全てが完成したら、私の元にも聞かせに来てくれ。もちろん、季節の竜の後で構わぬ。ここは良い場所だが、人との関わりはあまりなくてな、どうにも退屈だ》
『分かりました。竜の君にお読みしましたら、必ずこちらにも参ります。どうぞそれまでご壮健で』
《ああ。そちらもな》
『竜と人の加護のあらんことを』
《竜と人の加護のあらんことを》
〈移動チェック:暑い山:目標11〉
クライブ:16
ティエ:17
ノーティ:9
トリシア:16
ジョルティ:Critical
帰り道ということもあり、彼らは迷うことなくまっすぐ山を下り、サンドラに帰り着きました。ノーティは先ほどの出来事について考えながら歩いていたため転んでしまったようで、少々傷がありましたが……。
ノーティ「疲れましたし、長老も見当たらないですし、温泉に行くしか……」
とりあえず、歌の奉納が成功したことを伝えに長老がいるであろうお風呂へと向かうことにしたようです。この時間、男湯は内湯のようでした。……そして、想像通り湯船には長老が浸かっていました。
ノーティ「やはりここにいましたね。仕事を終えてきましたよ」
長老「おお、戻られましたか旅のお方。まあまあ、まずは温泉で疲れを癒やしていただいて」
ノーティ「いえ、ちょっと……体を洗ってから!」
長老「ああ、そうですな!マナーがなっておりますな!」
さて、何だかんだで長老はまたもや彼らを温泉の湯船へと引きずり込みました。そして、依頼達成へのお礼の他に、さらに詳しいサンドラの伝承についてなどを語り始めます。……これまで以上に饒舌に。
〈のぼせ判定:体力+体力:目標12〉
ティエ:4(失敗)
ジョルティ:11(失敗)
クライブ:16
ノーティ:Critical
ティエとジョルティはのぼせ上がってしまいましたが、クライブは元より、ノーティも熱い温泉に浸かり続け……ついに長老をのぼせさせることに成功しました。
その後、お風呂から上がった彼らはのぼせた長老から報酬として「火竜の湯永久無料チケット」を受け取りました。……次に来るのはいつになることやら分かりませんが。
ティエ「吟遊詩人にも報告せねばのう」
ノーティ「ええ、向かいましょう」
女湯から上がったトリシアも合流し、今度は吟遊詩人のところへと向かっていきます。吟遊詩人は相変わらず足を怪我していましたが、どこか元気そうでした。
吟遊詩人「おや!早かったですね!」
ノーティ「これこれこういうことがありまして竜に出会ってトカゲに持ち物食われて云々」
ジョルティ「必要経費だよなぁ!?」
吟遊詩人「なんと、トカゲに食事を」
ジョルティ「ついでに美味い飯も奢れや!!」
もはや恐喝以外の何者でもありませんね!?
吟遊詩人「わかりました!それでは今日は我が家で料理を振る舞います!」
そして吟遊詩人は料理を作り、彼らに振る舞いました。……その料理に使われていた食材は、どこかで見覚えがある質感でした。
そう、ちょうど今朝方小屋の前で目を引き抜いたような--
第十話「歌を好むは人のみならず」 了
如何でしたか、竜の君?思い返すと、竜の君以外の竜と話すのは、カナセで雨の竜と話して以来でしたね。私にとっても、なかなか新鮮な旅となりました。
ということで、全ての旅物語が出来ましたら、竜の君の次に彼の竜にも聞かせに行きたいと思います。それぐらいなら、宜しいですよね?
何だかんだと、旅を通じて私の交友関係も広がっているようで、なんとも楽しい旅路です。旅というのは、良いものですね。
さて、それでは私も【火竜の歌】をご披露しましょうか--
【MVP:ノーティ・ティエ】
こちらは、2016/8/12に行ったオンラインセッションのリプレイです。ミンストレルにスポットライトを当てたいということで、このようなシナリオとなりました。
そろそろ「旅の終わらせ方」にも目を配りつつ、少しずつ「竜」の存在を匂わせるようになってきました。とはいえ、どのようにしてこの旅が終わりを迎えるのか、まだ皆目検討もつきません。
それでは、まだまだ続く旅に、もう暫くお付き合い頂ければ幸いです。
【参考サイト】
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