2016/08/25

りゅうたまリプレイ 閑話「酒とバクチと時々読書」 【キャンペーン】

さて、前回は大都市クローナ・ディアへ到着した所で終わっていましたね。
これまでにない大都市ということで、私も彼らも浮足立ってしまっていました。今回はそんな、浮かれきった彼らのお話です。
わ、私はそこまででもありませんよ?


閑話「バクチと時々読書




ジョルティ「美味い飯を食いに行くぞ!」
パワー「行くぞ!」
ノーティ「待ってください、先に宿を取っておきましょう。合流できなくなりますよ」
クライブ「まあ、良いだろう、その辺の宿で。高級な宿を取る必要もあるまい。……勘定方がもうどこかに行ってしまったしな」
ノーティ「……それもそうですね。では、そこの宿を取っておきます。各自用事が終わったらこちらに集合で」
クライブ「了解」

こうして、彼らは各自で行動を始めました。さて、ではそれぞれの行動について見てみましょう。



【ノーティの行動】
クローナ・ディアは非常に大規模な都市ということもあり、それぞれの区域の距離もかなり離れています。徒歩で行くと2時間程掛かりそうです。それをカバーするために、都市内には定期の馬車交通が走っており、それを利用すれば短時間で移動ができるようになっています。

ノーティ(とりあえず馬車交通を使って行政区で情報を見てくることにしましょう。……まだやっていれば良いですが)

ノーティは丁度来た馬車に乗り、行政区へと向かって行きました。行政区は整然としており、街の入り口に比べるとそれほど騒がしくもありません。その中でも、一際高い建物が、この街の役所となっているようです。

ノーティ(とりあえず、役所なら色々と見られることもありそうですね。まずはここに入ってみますか)

ノーティはまず役所に入り、貼りだされている情報を閲覧し始めました。まずは、この街の地図を見つけて、それを手元のノートに書き留めていきます。

ノーティ(大都市だけあって大きいですねぇ……にしても、地図、大雑把じゃありません?)




元々大雑把な地図を、簡略にノートに書き写し終わると、今度はその側にあったイベント情報に目を通し始めます。イベント情報の欄には、3つのイベントについて書き込まれていました。

【大食い大会】
会場:繁華街 レストラン「竜の棲家」
日時: 夏月18日 午前11時~
参加費:500G

来たれ!竜の如き大食漢!
我こそはという者よ、竜の棲家に集え!

賞品
優勝:高級レストラン「パレス・クローナ」グループ食事券
準優勝:バル「クロン」グループ食事券
三位:厳選珍味3点セット

ノーティ(大食い、はあんまり興味がないですねえ……次)


【飲み比べ大会】
会場:繁華街 バル「クロン」
日時:夏月18日 午後10時~
参加費:500G

この暑い日は、やっぱり冷たいお酒に限る!
キンキンに冷えたお酒を浴びるように呑みたい方は是非ご来訪下さい!

賞品
優勝:高級ホテル「アンダルシア」のグループ宿泊券
準優勝:ホテル「ジェミニ」のグループ宿泊券
三位:クローナ・ディア銘酒5本セット

ノーティ(飲み比べですか……そういえば、カナセでそんなことをした気がしますね。こっちは書き留めておきましょう。……次)

【季節闘技大会:夏】
会場:クローナ・ディア都立中央大闘技場
日時:夏月20日 午前10時~
参加費:無料

燃え上がるような日差しを退けるような、熱い試合が待っている。
集え、猛者たちよ!

※参加希望者は前日までの参加登録が必要です。
※最大6名までのグループでご登録下さい。
※登録は役所、または大闘技場サボートカウンターにて。

ノーティ(闘技大会ですか……私はそこまで興味はありませんが、彼らにとっては良いイベントでしょうね。こちらもメモしておきますか)
ノーティ(イベントはこんな所ですかね……)

ノーティはノートを畳んで仕舞うと、帰りがけに図書館の情報を調べていきました。
図書館は午前9時から午後5時まで開いていることが分かったようです。

ノーティ(明日は朝一で図書館に行くことにしましょう。今日は閉まってしまっていますし。今日の所は戻るとしましょう)

ノーティは必要な情報を書き留め終わると、役所を出て再び馬車に乗り、宿へと戻りました。

【ジョルティ&パワーの行動】
ノーティが行政区での調べ物を終えた頃、ジョルティとパワーは繁華街のレストランに入っていました。
ちょうど夕食時ということもあり、レストランはかなりの賑わいを見せています。闘技場の関係者でしょうか、武器を携えたような客も多く見受けられました。

ジョルティ「うん、やっぱり大都市の飯はうまいな!」
パワー「うまいな!よく分からん肉がうまいぞ!」

ジョルティが軽く一皿平らげて、次の料理を頼もうと顔を上げた時、壁に張り紙があるのを見つけました。張り紙は、先ほどノーティが役所で見ていた「大食い大会」についての内容でした。

ジョルティ「参加費たけえ!ぼったくりか!?……でも三位の賞品が気になる」
パワー「俺も出るか!?」
ジョルティ「そうだな!まあ今は目の前の飯だ!美味しい飯さらに大盛りでー!」

こうして彼らは気が済むまで食べ続けていました。まあ、彼らなら優勝も狙えそうですね。

【クライブの行動】
クライブは砂漠の乾燥した空気に飽々としたのか、とりあえず砂漠とは逆側にある大河の方へ向かうことにしたようです。馬車を使い、商業港へと向かって行きました。
商業港にはいくつもの汽船が停泊していますが、すでに仕事を終えているようです。丁度最後の積み荷と思しきものが船から降ろされ、市内に向けて搬送するための馬車へと積み替えられていました。

クライブ「まあ、もう終わりか…」

クライブは特に目的があるわけではないようで、ブラブラと港の中を歩いていました。すると、足元に何か黒い塊が落ちているのを見つけました。

クライブ「これは……何だ?石にしては軽いな……」

クライブが拾ったのは、黒い石のような塊でした。

クライブ「まあ……恐らく積み荷だろう。返すついでに訊いてみるとするか」

クライブは周囲を見渡し、仕事じまいをしている途中の港の職員に話しかけました。

クライブ「どうも、適当に見て回っていたのだが……これが落ちていた」
港職員「おや、落ちていましたか。ありがとうございます」
クライブ「この石は何だ?なにか特殊なものか?」
港職員「これですか?これは石炭というものです。上流の鉱山で取れるものでして、燃えるんですよ」
クライブ「燃える?石がか?」
港職員「ええ、石がです。最近になって見つかりまして、今では色々な所で燃料として使われるようになっています」
クライブ「なるほどな……この港は石炭ばかりか?」
港職員「いえ、石炭は多いですが、他にも街の中で使われるようなものは多く扱っていますよ。食品なんかも多いですね」
クライブ「魚は特にやっていないのか?」
港職員「魚は目の前が川ですからねえ。輸入に頼る必要があまりないんですよ」
クライブ「そうか、色々とすまない。では、これで」
港職員「ええ、届けて頂いてありがとうございました」

クライブはその後も少し風にあたると、終馬車で宿へと戻って行きました。

【ティエ&トリシアの行動】
ティエとトリシアは、他の皆よりも先に商業街へと出かけていました。他の街ならそろそろ店じまいをすることが多い時間帯でしたが、ここクローナ・ディアではまだ閉じている店の方が少ないくらいでした。

ティエ「ちょっと楽器屋を見に行きたいんですが良いですか?」
トリシア「いいよーその辺見て回ってる」

火竜の歌を覚えたことで、ティエはミンストレルとしてももう少し頑張りたいと思っているのかもしれませんね。演奏用の楽器を探しに来たようです。

楽器屋「おや、楽器をお探しですか?」
ティエ「ええ。小さくてかさばらない物が良いのですが」
楽器屋「色々と取り揃えておりますよ、どのようなものが良いですか?」
ティエ「ちっちゃいカンテレとかない?」
楽器屋「カンテレですか?珍しい楽器ですね。もちろんウチでは用意しておりますよ。お安いものから高級なものまでございますが、どういたしますか?」
ティエ「厳重な体制では持ち歩けないので、そこまで高級じゃないやつでー」
楽器屋「それでしたら、こちらでいかがでしょうか?」

楽器屋はそう言って、片手で持てそうな楽器を見せました。ティエはまだこれでも少々大きいと思っているようですが……。

ティエ「うーん、明日まで悩んでみます」
楽器屋「そうですか。お決まりになりましたら是非」

ティエが楽器屋から出ると、丁度トリシアが近くの材料店から出てきた所でした。

トリシア「いい物あった?」
ティエ「まだ保留で」
トリシア「そっかー」
ティエ「せっかくですし闘技場でも見に行きましょうか」
トリシア「そだねー」

ティエとトリシアは商業街から近くにある大闘技場へと向かっていきます。大闘技場はこの時間にはすでに閉まっているようですが、入り口の所にスケジュールなどが書いてありました。

【季節闘技大会】
毎季20日開催

【賭け闘技大会】
毎日午前10時、正午、午後2時開催

ティエ「今日は終わってますね」
トリシア「明日来てみるかー」
ティエ「もうちょっと情報を集めていきますか?」
トリシア「武具店の人なら詳しく知ってそう」

闘技場の開場時間をメモした後、2人は商業街へ戻り、武具店へと向かいました。大規模な街ということもあり武具店も複数あるようでしたが、その中で最も闘技場に近い店を選んだようです。

店主「いらっしゃい」
トリシア「おっちゃん、ちょっと闘技場について聞きたいんだけど。どのくらいの強さの人たちが出てるもんなの?」
店主「おやおや、闘技場に興味がおありですか?そうですねえ、毎日やってる賭け闘技の連中は正直そこまで強い装備なんかも揃えておりませんが、季節闘技大会の者達はかなり良い装備を揃えている人も多いですね」
店主「季節闘技大会は旅人の方々の参加が多いので、毎回違った方々が参加することが多いのですが、今回は前回の優勝者のチームもでるってんで、盛り上がってますよ。彼らはかなりの実力ですね」
店主「私しゃ賭け闘技の方が好きですがねハハハハ」
トリシア「ふつうの賭け闘技はどんなかんじなのー?
店主「賭け闘技は玉石混交って具合で。強いのもいれば、勝てる気でいたのか?ってのもいてね。人気によって倍率が変わるんで、強いのに賭けるだけじゃ儲けが薄いってもんで」
トリシア「野良で出たりもできるのかな?
店主「賭けの方は旅人の方は出らんねえかもなあ。あれは街の人間の娯楽みたいなもんで。季節闘技の方ならまだエントリー受け付けてるはずですぜ?」
トリシア「そっかーありがとー

トリシア「まあ、こんな所でいいかな」
ティエ「帰りますかー」

こうして2人は馬車に乗って宿へと戻って行きました。

全員が宿へ戻ると、得た情報の交換をして、その日は眠ることにしたようです。サンドラからの砂漠超えで、疲れも溜まっていたことでしょう。

〈コンディションチェック:1日目〉
パワー:8
クライブ:12(絶好調)
ティエ:8
ノーティ:5
トリシア:7
ジョルティ:8

ノーティ「今日は大食い大会と飲み比べ大会がありますね。皆さんどうしますか?」
ティエ「たくさん食べるのもたくさん飲むのも苦手だし、賭け闘技を見に行ってから、応援かなぁ」
トリシア「同じくー」
ジョルティ「もちろん大食いに行くぞ!」
パワー「行くぞぉ!」
クライブ「飲み比べには出るとして……それまでは適当にブラついていることにする」
ノーティ「なるほど。私は図書館に行ってきます。夜には飲み比べに出ましょう」

ジョルティ「よーし、それじゃあ今日の大会の必勝のために魔法をかけておこう」

ジョルティはそう言って魔法陣を描き、自身、パワー、トリシアの3人に「ラック・ラック・ラック」の魔法をかけました。

〈魔法発動:ジョルティ:ラック・ラック・ラック→ジョルティ・パワー・トリシア〉
発動判定:5

【ノーティの行動】
それでは、ここからは彼らの行動を時間順に見ていきましょう。まずは、朝一番で図書館ヘ向かったノーティからです。
通常、図書館は入場にお金が掛かるものなのですが、こちらの図書館は都市で運営しているものらしく、無料で利用できるようでした。

ノーティ(流石は大都市ですね。それでは……)

ノーティは図書館に入るや、本を探し始めました。さて、どのような本が目的なのでしょうか……?

〈図書館探索:敏捷+知力〉
ノーティ:Fumble

本棚の方ばかり見ながら歩いていたせいでしょうか……ノーティは突然なにもない所で盛大に転び体を打ち付けました。……かなり痛そうです。

ノーティ(どうしてこんな目に……!)

……ちょっとしたアクシデントこそあったものの、ノーティは1時間程度で目的の本を見つけたようです。読書用の机の前に3冊の本を抱えて座りました。

ノーティ(さて、論文が2つに、一般書が1つですね。先に論文から片付けて、一般書は口直しにしましょう)


そうしてノーティは、1冊目の論文を開きました。

【『竜に関する論攷』 アーバレスト・ガラン著】

この世界にとって「竜」というのは極めて稀有な存在である。その姿を明確に見たことがあるという者がほとんどいないにも関わらず、多くの人がその存在を信じている。竜を信奉する宗教のようなものも存在しており、軽々に「竜はいない」と言うことはできまい。
しかし、私にとってこの「竜」というのは、信じがたい存在である。我々人間を超越する知的な存在が、姿を持たずこの世界に存在しているということが、有り体に言えば認められない。私は「竜の否定」を単なる妄言に終わらせないために、様々な地域を旅し、その情報を蒐集してきた。この論文は、その記録でもある。
(中略)
私はその旅路の中で、数多くの「竜」に関する目撃談や伝承に出会った。東西南北、その場所は違えども、その内容は極めて似通っているものが多い。
例えば、北部の高山の街、バレスにおいては、「山の象徴」としての竜の存在が伝承されていた。バレス以外にも、山を象徴する竜の存在は多く語られており--
(中略)
以上に挙げた数多の事例より、「竜」は自然を恐れる人々により、その依代として作り上げられた架空の存在であることは疑いようもない。
勘違いしないで頂きたいが、私は「竜」への信仰を否定するものではない。「自然」を畏れ、敬うことは我々にとって重要なことであることは、それが「竜」によるものでないとしても、違いないためである。

……竜の存在について、これほどまでに考えられた書があったのですね。結論は、私の知っているこの世界のこととは違っていますが……私達の存在がどのように人々に受け止められているのか、私達ももう少し考えなければならないかもしれません。
しかし、「竜は自然の象徴」というのは、当たらずといえども遠からず、ですね。

ノーティ(なるほど、説得力がある論文だ……でも、私は火竜の声を聞いているからなあ。自然の象徴というのは当たりませんね。とりあえず、この「バレス」という街の場所をメモしておきますか)
ノーティ(では、次の論文を……)

【『竜に関する論攷への反論』 グラシア・ヴィスト著】

本論は、竜学の権威であらせらるアーバレスト・ガラン先生の『竜に関する論攷』に感銘を受け、同じように世界を巡り竜に関する情報を集めた結果を記すものです。私の旅の途上では、ガラン先生の述べる「竜は自然の脅威の象徴」であるという説を、覆すような口承や伝承が幾つか見られました。ここでは、その情報についてまとめ、拙いながらも大先生への反論を致したいと思います。
(中略)
私の旅路の中で、特に印象に強く残った竜に関する伝承が残されていたのは、東の果ての街、フリーグゼルでした。フリーグゼルは万年雪に閉ざされる、普通ならば人が住むことが難しいような場所です。しかし、その街は極めて高度に発展しておりました。
各家は家全体を温めることができるような暖房設備が整っており、それどころか町中の道にも同様の設備がなされているために、雪が積もらないようになっておりました。このような高度な文明は、他の降雪都市では見られないものです。
郷土館、図書館、あるいは街の人たちから話を聞くところによると、フリーグゼルの高度な技術はかつて「竜」によって伝えられたものである、とのことでした。
(中略)
私の論は、「竜の存在」を肯定するものではありません。アーバレスト・ガラン先生の『竜に関する論攷』の内容だけでは「竜の存在」を否定しきることができていないのではないか?と疑問を呈するものです。
私はこれからも、もう少し世界を周り、より幅広い「竜に関する伝承」を集積する予定です。何か、新しい情報が手に入りましたら、また認めさせて頂きたいと存じます。

……こちらは、先ほどの論文を受けての論文のようですね。「フリーグゼル」も、サンドラと同じように、お人好しな竜が干渉した場所なのかもしれません。確かに、そういった事例があれば、竜は自然の象徴とは言い切れなくなるでしょう。私達は、自分たちが思っている以上に人間にとっては謎の存在なのかもしれませんね。

ノーティ(サンドラで声を聞いた竜も、自然の象徴というのとは少々違った気がしますね……。フリーグゼル、この場所もいずれは訪ねてみたいものです。場所を記録しておきましょう)
ノーティ(では、最後にこちらの一般書を読みましょうか)

【『人はなぜ「旅」をするのか?』 ヴェルデ・プリマヴェーラ著】

皆さんは、すでに旅をしましたか?それとも、今まさに旅に思いを馳せている所でしょうか?旅というのは非常に良いものです。私も旅を通じて様々な経験をし、様々なものを得ました。
ですが、この旅を通して、1つの疑問が生まれました。それは、「なぜ人が旅をするのか?」ということです。皆さんも、きっと「旅をする」ということについて、特に疑問を持っていないのではないでしょうか。この世界では、私達のような一般の者はもちろんのこと、領主のような人たちですら、一生に一度は必ず旅をします。私はこの「旅」の起源を、旅の中で探ってみることにしました。
(中略)
私は旅の途上で立ち寄った「フリーグゼル」という街の図書館で、ある本と出会いました。その本というのは『創始記』というものです。歴史に興味がある方なら、知っているという方も多いでしょう。この本は、現存最古の書と呼ばれているもので、今から800年程前に記されたものだと言われています。
その中には、当時の暮らしなどが多く記録されています。どのようなものを食べていたのか、どのような家に住んでいたのか、どのようなものを着ていたのか……そして、「どのように旅をしていたのか」も記されていました。
そう、「創始記」の時代には、すでに「旅」は当たり前のものとして存在していたのです。そして、その記述の中には、興味深いものもありました。今の私達のように単純に仲間たちと共に旅をするのではなく、「竜人」と呼ばれる存在と共に旅をしたということが記されていたのです。
竜人というのが、どのような存在であるのかは、残念ながら記されておりませんでした。もしかすると、私達の行う「旅」は、「竜」と深い結び付きがあるものなのかもしれません。

私達と人々、そして旅の関係はこの世界の始まりから存在しているものです。竜と人がいて旅があり、旅があって世界がある、そういう成り立ちは、私達からすると当然のものではありますが、人間達にはなかなか理解が難しいものでしょうね。

ノーティ竜人…………?
ノーティこれは追っていく必要がありますね……!

ノーティが3冊の本を読み終わる頃には、すでに昼は過ぎ、15時を回ろうとしていました。時間も忘れて読書に没頭していたことに、ノーティ自身かなり驚いていたようです。

ノーティ(うわあ、もうこんな時間だあ。そろそろ行きますか)

ノーティは3冊の本を元の場所に戻すと、考え事をしながら歩いて繁華街の方へと向かって行きました。

【ティエ&トリシアの行動】
ノーティが本を読み始めた頃、ちょうど賭け闘技が始まるということで、ティエとトリシアが行っている闘技場へと向かうことにしました。闘技場は人で溢れており、ここにいる人だけでちょっとした町の人口ぐらいはありそうです。
賭け札の購入所に並んでいるティエが楽器を持っていたので、どうやら先に楽器屋に寄ってきたようですね。さて、彼らの購入の順番が回ってきたようですが……賭け闘技はどのような仕組みになっているのでしょうか?

【賭け闘技場のルール】
賭け闘技場では、A~Fまでの6チームの内、1チームに賭けることができます。
AFチームはそれぞれ実力差と人気差があり、勝率と倍率に違いがあります。
賭け金は端数が出なければ制限はなく、13試合行われます。












トリシア「F以外に賭ける選択肢がない気がする」
ティエ「ですねぇ」
ティエ「じゃあ、ひとまずF500Gほど」
トリシア「F1000……いや、2000Gで」
ティエ(あらすごい)

トリシアは賭け事が好きなタイプなのかもしれませんね。ティエは商人らしいというか、小幅な賭けという感じがしますが--

【第一試合】










試合はトントン拍子に進んでいきます。人気の通り、Fチームが軽く勝利を収めたようですね。

司会者「Fチームの勝利!1.2倍返しです!!」

ティエ「まあ、堅実な勝利ですね」
トリシア「そりゃね」
ティエ「次もF500Gで」
トリシア「F2500G
ティエ(楽器代ぐらい、回収しますか)

【第二試合】










第二試合の展開も実にスピーディなものでした。Eチームが人気では負けているDチームに負け、それをFチームが倒すという形で勝利を収めました。

司会者「またもFチームの勝利!1.2倍返しです!!」

ティエ(現在+200Gと)
トリシア(ちょっと嫌な予感がするなー)
ティエ(少し大きく張っても良さそうですね)

ティエ「F1000G
トリシア「2チーム買うことってできない?」
販売所店員「お一人様1チームまでとなっております」
トリシア「そっかー。じゃあ、F3000G

【第三試合】











賭け事にも、どうやら竜が宿っているようです。第三試合は波乱の展開を見せました。試合開始早々にDチームがFチームを撃破、CチームがABチームを撃破します。そのCチームとDチームをEチームが破り、Eチームの勝利となりました。

司会者「大番狂わせだ!!Eチームの勝利!!2倍返しです!!」

ティエ「おお……コレは痛いマイナス800Gか…」
トリシア「嫌な予感したんだよなあ…」
ティエ「出店で何か食べて帰りますか…」
トリシア「ソダネー」

ティエとトリシアはいささか消沈した様子でした。賭け事というのは恐ろしいものですね……。

トリシア「やっぱり飲もう」
ティエ「え?」
トリシア「夜の飲み比べ参加する」
ティエ「おお、じゃあ会場近くに向かっておきましょうか」

こうして2人は、夜の飲み比べ大会に向けて、繁華街の方へと歩いて行きました。

【パワー&ジョルティの行動】
さて、ティエ・トリシアが第一試合の行方を見守っていた頃、私はというとレストラン「竜の棲家」へと移動していました。
午前11時からこの店で大食い大会が開催されるためです。パワーとジョルティはちょうどその時間に合わせてレストランの前に移動していました。

シェフ「参加希望の方ですか?参加料は500Gとなっております!」
ジョルティ「おう!参加するぜ!美味しいの頼むぞ!美味しくなかったら金返せよ?」
シェフ「そこはお任せ下さい!」
パワー「早く食わせろー!」

2人は参加の申請を済ませると、早々に参加者用の席に着きました。横を見ると、パワーに劣らず体格の良い男性や、トリシアと同じくらい小柄な女性など、様々な参加者が座っていました。

【大食い大会ルール】
体力+精神で3回ロール。合計値によって順位が決まる。
全体を1回の判定として扱うため、集中は1回まで。

パワー「食べるぞー!」
ジョルティ「うおおお!」

〈大食い〉
パワー:25
ジョルティ:20

パワーは自然体で、ジョルティは集中力を高めて出される料理を平らげていきます。2人だけではなく、他の参加者たちも尋常ではない勢いで食べ続けていました。
1人、2人と脱落し、残す所はパワーとジョルティ、そして大柄な男だけとなります。その中で最初に脱落したのは大柄な男でした。これでワンツーフィニッシュが決まったわけですが……。
先に食べ終えたのはパワーでした!ジョルティもかなり健闘をしましたが、パワーのとんでもない捕食能力の前には一歩及ばなかった様子です。

ジョルティ「大食いは勝てないかー
パワー「食い足りないぞぉ!」

シェフ「おめでとうございます!驚異的な食べっぷりでした!こちらが「パレス・クローナ」の食事券です!」
シェフ「そちらもなかなかの食べっぷりでした!こちらは「バル・クロン」の食事券になります!」

こうして、2人はそれそれ優勝と準優勝の賞品を受け取りました。

ジョルティ「まぁ、美味かったからいいか!」

……トラブルもなく終わったようで何よりです。

そして私は再び闘技場へと戻ってティエとトリシアの賭けの様子を見たり、図書館に行ってノーティの読書の様子を見たりと、慌ただしく移動することになりました。

この頃、クライブは旅船港をブラついていたようですが……申し訳ありません、ちょっとカバーしきれませんでした。後で話していた所によると、これといって何もなかったということだったので、それでどうぞご勘弁を。


そして、時間は夕方を回り夜へ、彼らは皆バル「クロン」へと集まっていました。パワーとジョルティは参加しないようで、観戦をしにきた様子でした。

トリシア「やけ酒しにきました」
ノーティ「お、参加されるんですか、トリシアさん」
トリシア「3000G負けたのでやけ酒しにきました」
ティエ「800G負けたのでやけ酒したいんだけど、呑んでいいんですかね?」

マスター「ええ、大丈夫ですよ。クローナ・ディアでは15歳以上なら飲酒できます!」
ティエ「セーフ」

ティエは16歳でしたね。この街ではもうお酒を呑んで良い年齢のようです。各都市、この辺のルールは違っているので、しっかり確認しなければなりませんね。

ノーティ(負けたんですか……)
ジョルティ(賭けの次は酒に溺れるのか…)
パワー(怪しい年齢制限だなあ)
クライブ(アージェントでパチった酒より美味しいかなあ)

マスター「皆さんお集まりですね!今日はお集まり頂きありがとうございます、飲み比べ大会へようこそ!」
マスター「これから、皆さんにはクローナ・ディア銘酒「大河の雫」を一杯ずつ呑んで頂きます!一杯は30秒以内!全員が飲み終わるか、制限時間に到達したら次の一杯に移ります!これを、全員が呑めなくなるまで繰り返します!」

【飲み比べ大会ルール】
1杯ごとに体力+精神>=6で判定をする。
成功した場合には次に進める。最終的に飲み干した数で順位を決める。

マスター「というわけで!一杯目からどうぞー!

彼ら4人の他にも、何人かの参加者が並んでいます。それぞれの前にカップが置かれ、そこに白濁としたお酒が注がれていきました。

〈飲み判定:1杯目〉
クライブ:6
ティエ:4
ノーティ:10
トリシア:3

〈ラック・ラック・ラックによる振り直し〉
トリシア:7

一杯目を飲みきった所で、早速ティエが脱落しました。お酒を飲むのが初めてということもあり、酔ったというよりは味にやられた感があります。
トリシアも1回は苦しそうにしていましたが、その後持ち直し飲みきりました。

ノーティ「あっ
ティエ(苦い!美味しくない!)
クライブ(まあまあかな)

パワー「よっわいなー!」
ジョルティ「うわぁー」

〈飲み判定:2杯目〉
クライブ:5
ノーティ:Fumble
トリシア:11

〈六分儀:荷運び係スキルによる振り直し〉
クライブ:11

ノーティ「うっ……」

パワー「おい、ぶっ倒れたぞ!」
ジョルティ「マスター、あれ度数どのくらい?」
マスター「火がつくくらいですよ!」

〈飲み判定:3杯目〉
クライブ:4
トリシア:5

ティエ「がんばれー!」

〈六分儀:リーダースキルによる判定修正+1
トリシア:6

クライブは3杯目を飲みきった所でダウンしてしまいました。トリシアも厳しそうでしたが、ティエの応援で踏ん張っています

トリシア「ガ、ガンバル」
ノーティ「あんまり無理をろろろろろ」
クライブ(度数高いだけで美味しくないな…)

〈飲み判定:4杯目〉
トリシア:5

そして4杯目、トリシアはなんとかこれを飲みきりましたが、これ以上は無理という様子です。トリシアの記録は4杯となりました。
その後、他の参加者の1人が5杯目を飲みきりダウン、これで順位が決まりました。第一位は他の参加者の方、第二位がトリシア、第三位がクライブと相成りました。

マスター「おめでとうございます!こちらは第二位賞品の「ホテル・ジェミニ」の宿泊券です!」
マスター「そちらの方もおめでとうございます!高級地酒の5本セットです!」
アリア:マスター「今回も素晴らしい飲みっぷりを見せてくれました!次回はまた来月になります!」

ジョルティ「ま、商品貰えたんだから良い方じゃねーの?
トリシア「まあねー」
パワー「お前ら酒くせえな!」

飲んでいないジョルティとパワーを除くと、皆泥酔状態という有様でしたが、その後なんとか宿へと辿り着きました。ノーティに至っては、明らかに一人では歩けていませんでした。
……クライブは道道先ほどもらった高級地酒を飲んでいました。大丈夫でしょうか?

ノーティ「さて、明日が季節闘技大会の申し込み締め切りのようですね」
ジョルティ「最近戦ってなかったからな、腕が鈍っちまう」
クライブ「ああ、そうだな」
ノーティ「私はちょっと読みたい本の続きがあるので遠慮しておきます。……登録にはチーム名がいるらしいですよ、決めておいた方が良いかもしれませんね」
トリシア「明日にしよう」
ティエ「そうしよう」

閑話「酒とバクチと時々読書」 了


と、彼らは大都市で存分に楽しんだのでした。……ね、私、忙しかったでしょう……?
もうちょっと滞在するということでしたので、私も少しぐらいはゆっくりしたいものです。
次回は闘技大会へ参加するということで、久しぶりの血沸き肉踊る戦闘が見られる……かも知れませんよ。
それでは、また次回に……。


こちらは2016/8/20に行ったオンラインセッションのリプレイです。元々は第十二話の予定でしたが、日記との兼ね合いもあり、今回は番外編という形となりました。
賭け闘技第三試合のダイスの結果があまりにも出来過ぎていたので、かなり面白かったです。……連単・連複があったら良かったなあ、と言われてしまいましたが、その辺は倍率計算がよく分からんのです……すまぬ……。GMは賭け事しないんじゃ……。
というわけで、次回は戦闘回(予定)、頑張って行きます!

※日本国では飲酒年齢は20歳以上です。クローナ・ディアとは違うので16歳で飲み大会に出たり、飲酒中の写真をTwitterに上げたりしてはいけませんよ!

【参考サイト】

0 件のコメント:

コメントを投稿

ご意見・ご感想、お待ちしております。