遂に、この時が来ましたよ、竜の君。
彼らが彼らの旅の始まりの地へと到着する時です。
私達の旅も道半ばを超え、佳境に差し掛かろうとしています。
竜の君。長い旅の終わりは、やはりまたこの場所なのでしょうか。
第二十六話「始まりの地にて」
~冬の月 16日~
幻想的な星の夜が過ぎ去り、再びいつもの冬の日に戻ってきました。舞い散る雪が湖端を白く染めています。
〈コンディションチェック〉
パワー:4
クライブ:9
ノーティ:11(絶好調)
ジョルティ:8
ルー:6
〈荷運びスキルによる振り直し〉
クライブ:19(絶好調)
シンフォニック・クリスタルの旋律が皆に加護を与えているはずなのですが……思っているほど皆体調が良くはなさそうです。それどころか、ティエとトリシアは起き上がってきませんでした。
2人とも激しい寒暖の差でダウンしてしまっているようです。仕方なく2人は荷運び動物の荷台に積み込んで行くことになりました。(ティエPL遅刻・トリシアPL欠席)
ルー「……朝になると、すっかり普通の湖ですねぇ」
パワー「鎧着ながら寝ると蒸れるな」
ルー「寝る時は脱いだら良いのでは…?」
ノーティ「水晶の気配も感じられなくなりましたね、不思議な力がみなぎるようです」
クライブ「まぁ、いつまで湖面を見ていても仕方あるまい。先へ進むぞ」
ルー「そうですね、残念ですけど…いつかまた来たいですね」
ノーティ「ところで、リーダーが荷台に積まれていますけど、今日はどうします?」
パワー「俺様が今日はリーダーだからなぁ?」
クライブ「ティエが寒さでダウンしやがったからな…とりあえずノーティかジョルティどうだ」
パワー「俺様が今日はリーダーだからなぁ?」
ルー(不安だなあ)
ノーティ「最終議決権をパワーさんに委譲します。前もそうでしたが、案外しっかりと決める所は決めてくれますので、多分なんとかなりますよ」
結局、しばしの議論の結果今日のリーダーはパワーになりました。……まあ、皆のサポートもあるのでなんとかなるでしょう。
ルー「そ、それで今日は山を下るんですか?」
パワー「そうでーす。バナナはおやつにはいりませーん」
ジョルティ「まままままままぁ、たたたたたたたまにはいいいいいいいいんじゃないか?パワーさんに任せても」
クライブ「しかしこう移動距離長いとポーチ二つとか邪魔くさいな…ルー、要るか?」
ルー「使わないんですか?それなら、せっかくですので」
クライブ「今なら短剣も2本入ってるが」
ルー「短剣はその…結構です」
クライブ「そうか。まぁポーチだけでも持っておくと便利だろう」
ルー「はい、ありがたく頂きます」
クライブが2つ購入したは良いものの、2つ共腰につけると窮屈だということでポーチをルーに渡していました。ルーはそれを受け取って早速装着していました。
ノーティ「このまま北上するのが良いでしょうね。といっても、前のままなら何もないんでしょうが……」
パワー「まあ待て。まずは草を取る」
ノーティ「あ、そうですね。そうしますか」
〈薬草取り:山:目標10〉
パワー:10(白夜ハルシャ菊獲得)
ノーティ:11(白夜ハルシャ菊獲得)
ノーティ(お、これは心が落ち着くハーブですね。パワーさんがこれを食べてくれれば落ち着くのでは…?)
パワー「今回は食べないでやるよ。リーダーだからな!」
ルー(持ち帰ってきてる!珍しい!)
パワー「さあ出発しようぜ」
ノーティ「そ、そうですね」
……ま、ハーブごときでパワーが落ち着くとも思えませんが。
〈移動チェック:雪山:目標13〉
パワー:16
クライブ:14
ノーティ:10(失敗)
ジョルティ:Fumble
ルー:16
ルー(案外下りやすい)
ジョルティ「ちょっ、足が!そこのヒーラーの人助けて!!」
パワー「菊たべます?」
ジョルティ「てめぇ!!」
パワー「精神が落ち着きますよ」
パワーの様子がどうもおかしい気がします。……よく見るとまた足が凍傷になっていました。いえ、だからこうなっているとは限らないのですが。
ノーティ「この先何もないとは思うんですが、ハーブもそろそろ傷んできていますし、使います?」
ジョルティ「折角ハーブ一杯あるんだから使おうよ」
パワー「食べようよ」
パワーの戯れもほどほどにいなし、ノーティが自分とジョルティを回復魔法で回復させました。
〈ノーティ:呪文魔法「キュアタッチ」 春魔法「キュアプラスプラス」→ジョルティ〉
発動判定:13
回復量:9
〈ノーティ:呪文魔法「キュアタッチ」 春魔法「キュアプラスプラス」→ノーティ〉
発動判定:7
回復量:10
ルー「大丈夫ですか…?」
ノーティ「色々大丈夫じゃないですが何とかやってきているのが我々です」
ジョルティ「魔法は偉大」
パワー「大丈夫だ、じきに気持ち良くなる」
ジョルティ「気持ちよくはならなくていいよ…」
ルー「臨機応変な対応力が大事なんですね!」
ノーティ(吸収が良いなあ……パワーさんのようにならないことを祈るばかり)
クライブ「いや、これは臨機応変じゃなくて行き当たりばったりというんだ…」
ジョルティ「怪我ぐらいであたふたしてられないのよ。割りと命がけだし」
思えばジョルティはそれほど苦手そうではないにも関わらず、よく移動の時に転んでいる気がします。確かに命がけのような。
そんなこんなで負った怪我の治療を終えた頃、山の中からどこか郷愁を感じさせるような動物の鳴き声が聞こえてきました。悲しげで寂しげな雰囲気を感じさせるような鳴き声が山の木々に反響しています。
クライブ「む。何の声だ」
ジョルティ「狩りの時間か?」
〈動物探し〉
パワー:6
クライブ:Critical
ジョルティ:7
クライブ、ジョルティの視線に併せて山の木々に目を向けると、木の上に3匹の猿のような動物がいるのが見えました。
クライブ「何だ、尻尾が2本あるな。本当に猿か?」
猿達はクライブ達の視線に気付き、声色を変えます。威嚇のような声を挙げながら、木々の間を飛び渡りながら向かってきました。体長はそれぞれ150センチほどで、ルーと変わりません。
ジョルティ「うるせー!害獣かな?狩ってやりますよぉ!!」
クライブ「はて…わざわざ向かってきた?」
パワー「かかってこいやおらぁ!皮はぎ取って靴にしてやるよお!!!」
あ、案外凍傷のこと気にしてたんですね?
ノーティ「近くで見ると大きいですね」
ルー「か、構えます!」
パワー「猿は去る」
ノーティ「はい?」
パワー「私の力で」
ジョルティ「はいはい、戦闘ですよー戦闘」
パワー「武器をもてぇーい!」
クライブ「…まぁ、アレは放っておくとして。唐突に向かってくるのは、はてさて」
〈戦闘開始〉
3匹の猿はいずれも歯茎をむき出しにしながら威嚇をしてきています。何故それほどまでに敵意があるのかは分かりませんが…。
〈ラウンド1〉
ルー「す、少し頑張ってみます!」
ジョルティ「ルーちゃん無理すんなよー?」
クライブ「まぁ、こんだけいればフォローも利くだろう」
ジョルティ「危なくなったら横のおっさんどっちかを盾にするんだぞ!!」
パワー「攻撃だ攻撃!」
ジョルティ「両方でも良いよ!!」
ルー「は、はい!無理はしません!」
【ジョルティ】
〈呪文魔法「オープン・ドラコニカ」→二本尾の猿〉
発動判定:10
ジョルティのドラコニカがページを捲っていきます。捲られたページには「魔猿」という魔物の情報が記載されていました。
冬に活発になる幻獣の一種で、2つの尾を使って木々を渡る性質があります。また、環境に応じた戦い方を得意としているらしいことも書かれていました。
ジョルティ「戦闘は情報が鍵ですよー」
パワー「体力がすべてだ」
ジョルティ「お、そうだな」
パワー「パ ワ ー こ そ す べ て」
ジョルティ「お、おう、そうだな」
魔猿はオープン・ドラコニカで情報を読み取られたことに何か嫌な気配でも感じたのか、キィキィと甲高い声で鳴き始めました。……パワーも鳴き始めました。何故?
ジョルティ「こいつら物を使ってくるみたいだぞ!気をつけろよみんな!」
ノーティ「なるほど」
【魔猿1】
〈攻撃→クライブ〉
命中判定:15
ダメージ:7(防護1)
魔猿はひょいひょいと木を渡りながら、翻弄するようにクライブを攻撃しました。
クライブ「ちぃ…面倒な」
【魔猿2】
〈攻撃→ルー〉
命中判定:Fumble
二匹目の魔猿も同じ様にルーに接近しましたが……突然足を、というよりは尻尾を滑らせて木から落ちました。背中を強く打ったのか、動けなくなっているようです。
パワー「えぇ…」
クライブ「…何がしたいんだアレは」
ジョルティ「そういうこともあるよね…」
猿も木から落ちるとはまさにこの事ですが……魔物の猿でも落ちるんですね。
【魔猿3】
〈攻撃→クライブ〉
命中判定:Critical
ダメージ:17(防護1)
先程木から落ちる仲間を見たためでしょうか、3匹目の魔猿はこれまでの2匹とは一線を画する動きでクライブに攻撃しました。
魔猿3「キィェアー!」
クライブ「づぅ…!」
ルー「クライブさん!?」
ジョルティ「クライブさんのいつものやつ!」
パワー「お前らチャンと戦えよ!」
【クライブ】
〈様子見〉
イニシアチブチェック:15
クライブははじめ、先程の一撃に報復せんと攻撃の体勢を取っていましたが、一旦落ち着きを取り戻したのか、魔猿達の動きを観察することに徹していました。
【ルー】
〈様子見〉
イニシアチブチェック:5(変化なし)
対してルーは、クライブが大打撃を受けたことに動揺しているのか、全く落ち着きを取り戻すことができていません。
【ノーティ】
ノーティ「環境を利用する敵が相手なら、環境を失くしてしまえば良いわけですね」
〈呪文魔法「ウォー・メタフィールド」〉
発動判定:16
ノーティの結界魔法によって、魔猿達と皆は特殊な空間の中に隔絶されました。魔猿が使えるようなものは、もはやありません。
【パワー】
〈攻撃→魔猿1〉
命中判定:24
ダメージ:9(防護2)
〈ラウンド2〉
ウォー・メタフィールドの外に残された荷運び動物に、さらに3体の魔猿が集ってきました。どうやら食料を漁っているようです。幸か不幸か、食べ物を匂いで探しているためか、ティエとトリシアが放り込まれている荷運び動物は見向きもされていませんでした。
パワー「気合でなんとかするぞー!」
ノーティ「急がないと大変ですね……」
パワー「俺たちの飯、いや俺の飯がー!」
ジョルティ「余裕ぶっこいてもいられなくなったなぁ」
【クライブ】
クライブ「どれ…さっさと始末するか…」
〈攻撃→魔猿1〉
命中判定:11
ダメージ:5(防護2)
【ジョルティ】
ジョルティ「飯に手を出すとは許せん」
〈春魔法「スプラウト」→ジョルティ・敏捷〉
発動判定:6
【魔猿1】
〈攻撃→パワー〉
命中判定:3
ダメージ:4(防護3)
パワー「かゆいな」
堅牢な鎧を着ているだけあり、パワーにはあまりダメージが通っていないようでした。
【魔猿2】
転倒していた魔猿が起き上がりました。ダメージはないようですが、痛そうに背中を気にしています。
【魔猿3】
〈攻撃→ルー〉
命中判定:8
ダメージ:9
ルー「痛っ…!」
反面ルーの装備はほとんど防御力を持っていないこともあり、大きなダメージになっているようでした。
【ルー】
ルー「さ、下がります…!ごめんなさい!」
〈移動〉
前衛→後衛
【ノーティ】
〈呪文魔法「キュアタッチ」・春魔法「キュアプラスプラス」・春魔法「キュアプラスエール」〉
発動判定:14
回復量:5+2
ノーティ「回復量は微妙ですね…」
クライブ「いや、すまん、助かる」
【パワー】
〈攻撃→魔猿1〉
命中判定:6(失敗)
パワー「動くな!」
魔猿3「キキィ!」
パワー「ウキィ!次はぶっ飛ばすウホ」
完全に猿に引き摺られているような……。いえ、でも余り変わらない気もします。
〈ラウンド3〉
ウォー・メタフィールド外の魔猿達は依然として食料を漁っています。どうやらその場で食べているわけではなく、集めているようです。
ジョルティ「食料がああああああああああああああああああ!!」
ジョルティ「ゆるせん!」
ジョルティ「あ、そうだ、喋るノートが荷運び動物においてあったはず!おい!ノート!ちょっとそいつらの邪魔しろ!」
歩く喋るノート「はぁ?何でそんなことしないといけないんだ!」
パワー「燃やすぞ」
歩く喋るノート「お前ら!ヘイヘイ!こっちにもっと美味いモンがあるぞこっちだ!」
喋るノートはその場で大騒ぎを始めました。魔猿達はそれに気を取られているのか、食料を漁る手が止まっているようでした。
【クライブ】
クライブ「…早めに始末せんとまずいな」
〈攻撃→魔猿1〉
命中判定:20
ダメージ:9
クライブの剣が魔猿の1匹に襲いかかります。ギィーと鈍い声を出して、その場に倒れ動かなくなりました。その様子を見て、もう2匹の魔猿達も慌て始めました。(イニシアチブ-2)
パワー「焼いたら食えるかな」
ジョルティ「早く何とかしないと切実に」
【ジョルティ】
〈攻撃→魔猿2〉
命中判定:24
ダメージ:7
ジョルティ「オォン、倒しきれん」
【魔猿2】
〈攻撃→クライブ〉
命中判定:9(失敗)
【魔猿3】
〈攻撃→ジョルティ〉
命中判定:11(失敗)
落ち着きを失っているためか、あるいは使える木を失っているためか、魔猿の攻撃は共に命中することはありませんでした。
【ルー】
〈様子見〉
イニシアチブチェック:13
ルー「ちょっと落ち着いてきました…」
パワー「もっと攻撃しろよ攻撃!」
ルー「は、はい!」
【ノーティ】
ノーティ「まあまあ無理はせず。まずは治療を」
〈治療(ハーブ消費)→ルー〉
回復量:1
ルー「ありがとうございます!」
ルー(あまり治っていないような?)
ノーティ(あまり治ってない感じ)
【パワー】
パワー「手本を見せてやる!」
〈攻撃→魔猿2〉
命中判定:21
ダメージ:10
パワー「うむ、ふつうだな!」
ルー「おー」
〈ラウンド4〉
相変わらず、喋るノートが荷馬車に集る魔猿を大声で引きつけています。魔猿達は食料を漁る手を止め、ノートの方に注目しているようです。
クライブ「あいつ存外役に立つな」
パワー「ノートのくせにな」
歩く喋るノート「ウキィィィィ! こ、こんなんでいいか!?」
ジョルティ「ナイス!よくやった!後で紙差し替えてやる!」
【クライブ】
〈攻撃→魔猿2〉
命中判定:14
ダメージ:11
クライブ「よっ…」
2匹目の魔猿もクライブの剣に倒れます。残された1匹は激しく動揺しはじめました。(イニシアチブ-2)
ジョルティ「撃たなきゃ…」
【ジョルティ】
〈攻撃→魔猿3〉
命中判定:8
ダメージ:11
ジョルティ「よし、もうひと押しだ!!」
【ルー】
ルー「治療ありがとうございました、前に出ます!」
〈移動〉
後衛→前衛
【魔猿3】
〈攻撃→ジョルティ〉
命中判定:3(失敗)
魔猿の攻撃はもはや避けるまでもありません。自然とジョルティへの攻撃は外れました。
【ノーティ】
〈春魔法「カグヤ・レイランス」→魔猿3〉
発動判定:14
ダメージ:8
【パワー】
パワー「やはり俺の出番!前衛が正義!」
〈攻撃→魔猿3〉
命中判定:19
ダメージ:3
ノーティ「……まだ動いていますよ」
パワー「いいや…!これがリーダーの力だ!」
〈リーダースキルによる判定+1〉
ダメージ:4
ノーティ「……! 」
命中後、さらに力を込めたパワーの攻撃が最後の魔猿を討ち倒しました。
パワー「やはり、猿は去る!!俺の力で!!」
ルー(やっぱりこの人大丈夫かな?)
ジョルティ(大丈夫じゃないです)
〈戦闘終了〉
3体の魔猿を気絶せしめ、ウォー・メタフィールドが解ける前には荷馬車に集っていた魔猿は逃げ去っていました。
クライブ「逃がしたか…」
ジョルティ「おい、荷物は!?」
クライブ「……5つほど保存食が持って行かれたな」
ジョルティ「まぁ、仕方無いか。深追いはしないでおこう。変わりにさっき倒した3匹に食料になってもらう」
パワー「任せろ」
〈材料加工:目標10〉
パワー:10
ジョルティ:17
パワー「残り1匹はお前がやれ!疲れた!」
ジョルティ「はいはいよっと」
パワー「リーダーは偉いんだよ」
ジョルティ(今日はパワーさんがリーダーだからな、黙って聴いておこう)
ノーティ(これがリーダーの器…)
〈材料加工:目標10〉
ジョルティ:6(失敗)
1匹分の解体には失敗しましたが、2匹分は上手く解体することができ、食料にすることができました。
パワー「まぁまぁの収穫だな」
ジョルティ「パワーさん、脳みそが珍味らしいよ。おら食えよリーダー特権だ」
パワー「どれどれ…」
ジョルティ「うまいか?うまいだろ?」
パワー「おいしいです。ジョルティのもおいしいのかな」
ジョルティ「脳みそは鮮度が大事だからな!」
パワー「じゃあおいしくないか…」
ルー(猿の脳みそ、なるほど、そういう食材もあるんですね。お姉ちゃんメモに書いておかないと)
ルー「私の荷馬車の方もやられてました。こっちは4つほどですね…」
ノーティ「なんと」
皆が荷馬車の中を確認していると、近くの荷台で休んでいたティエが顔を出しました。(PL参加)
ティエ「どうかしたんですか、騒がしいですけど」
ジョルティ「お、ティエ無事だったか?ちょっと猿に襲われてたんだよ」
クライブ「復活したか」
ティエ「暖かい装備でじっとしてたら暖まってきました」
ノーティ「体調を崩されてたんですかね?
何にせよ戻ってこられて何より。今日のリーダーはパワーさんに代わってもらっていますよ」
ティエ「なるほどパワーさんに……パワーさんに?」
パワー「そうです、わたしがリーダーです」
そんな話をしている間に、逃げ去った3匹の魔猿は完全に行方を眩ませてしまっていました。代わりの食材が手に入ったということで、それほど気にしていないようでしたが。
パワー「よし、行くぞ。この枝の倒れた方向に」
ノーティ「待って下さい、マッパーまでは任せてません」
荷物を纏め直し、再び旅路へと戻ることになりました。このバイタリティは見習いたいところですね。
〈コンディションチェック(遅刻)〉
ティエ:16(絶好調)
〈方向チェック:雪の山:目標13〉
ティエ:19(サポート)
ノーティ:21
疲れもそれほど影響を与えていないようで、道に迷うこともなく山を下ることができました。そんな山下りの途中、視線の先にどこか見覚えのある草原が見えました。
--始まりの地が、ついに目の前まで迫っています。
パワー「猿たべよーぜ」
クライブ「今日はこの辺りで一度休むほうがよかろ。さ、野営だ野営」
ジョルティ「お、そうだな。ついでに追加の食料も探してくるわ」
パワー「2回目の狩りの時間だ!」
〈狩猟チェック:山:目標10〉
パワー:
4(失敗)
ジョルティ:15(包丁さばき:美味しい食料を6獲得)
ジョルティ「いっぱい取れたどー」
パワー「リーダーは指揮官だから」
ノーティ「そういえばトリシアさんが動かないとなると、誰が野営の準備しましょうか」
クライブ「仕方ない、俺がやろう。ルー、今日は1人だ、頑張れ」
ルー「頑張ります!」
〈野営チェック:雪の山:目標13〉
ノーティ:11
クライブ:14
〈野営チェック(ルー):雪の山:目標13〉
ルー:17
ルー「野営はまた上手くできました!
」
クライブ「ん…まぁそろそろ大丈夫そうだな
ティエ(おー)
ルー「あ、あのー、もし良かったら…料理担当するので、食料少し分けてもらえませんか?」
ルー「さっき盗まれてしまったのでちょっと心もとなくて…」
ノーティ「それはもちろん……リーダー、いいですよね?」
パワー「しょうがねぇな」
ルー「ありがとうございます!」
ルー「では、ちょっと料理をばー」
先程の魔猿の肉と、ジョルティが取ってきた食料を使い、ルーが料理をして美味しい料理ができました。
~冬の月 17日~
冬の寒さこそあるものの雪は降っておらず、晴れやかな空が見えていました。
〈コンディションチェック〉
パワー:4
クライブ:10(絶好調)
ティエ:16(絶好調)
ノーティ:4
ジョルティ:11(絶好調)
ルー:10(絶好調)
パワー「イヤー鎧着てると寝心地わるいな」
ティエ「脱げばいいんじゃない? 寝るとき」
パワー「でも体の一部だし。脱ごうとすると声が聞こえるんだよ」
ジョルティ「癒着してんのかよ…」
ノーティ「私の眼鏡だって寝るときは外しますよ」
ルー「そ、そうですよ、こっちのテントまでうなされてるみたいな声聞こえてますよ」
パワー「そこまで言うなら仕方ない、考えてやる。リーダーだからな!」
……案外、このままパワーをリーダーにしておいた方が諸々上手く進むのでは? とちょっと思いました。
パワー「まあそんなことはいいから草とるぞノーティ」
ノーティ「そうですね」
〈薬草取り:山:目標10〉
パワー:Fumble
ノーティ:6(失敗)
パワー「お、美味そうな草!」
ノーティ「あっ、だめですよそれ毒ですよ!」
パワー「もっと早く言ってくれない?」
パワーがどうみても毒があるように見える鮮やかな色の草を見つけるや否や食べていました。昨日の凍傷も治っておらず、ちょっとした満身創痍状態です。
ルー「ボロボロに見えますけど…大丈夫ですか?」
クライブ「…鎧脱がないから自業自得だ」
ノーティ「パワーさんが呪いに殺されたら私でも復活させられませんよ!?」
パワー「まぁ大丈夫だろ。リーダーだしな」
ルー「な、なら良いんですけど…」
ノーティ「良くないです。ほら、解毒しますからジッとしてて」
〈ノーティ:応急処置→パワーの毒〉
成功判定:12
パワー「治った気がする」
ノーティ「治しましたから」
パワー「ついでに大怪我も治しておくか」
〈パワー:応急処置→パワーの大怪我〉
成功判定:6
クライブ「…治しやがった」
ルー「おー…治ってるー」
ノーティ「力技で関節をずらして治した……?」
パワー「ハッハッハ」
……薬草取り以外のヒーラー技能を使ってるのは初めて見た気がします。やればできるのに何故……。
パワー「完全復活したことだ、そろそろ行くぞ」
ティエ「そうですね」
〈移動チェック:寒い草原:目標7〉
パワー:10
クライブ:12
ティエ:14
ノーティ:Critical
ジョルティ:12
ルー:13
流石に、これぐらいの地形はもはや彼らには何の障害にもなりませんね。思い出してみると、初めての時にはトリシアとクライブが随分疲れていたように思います。……トリシアは今日は荷台ですが、きっとしっかり歩くことができたことでしょう。
ノーティ「見えてきましたね、我々の出会いの地が」
ジョルティ「おー、どこかで見た景色だと思ったらやっぱりここかー。懐かしいな」
東西に道が伸びており、南北は山に挟まれています。西に行けばカナセが、東に行けばローリスがあります。
--遂に、始まりの地へと到着しました。
クライブ「戻ってきたな…色々したようなしてないような」
ルー「ここから旅が始まったんですね…」
ノーティ「感慨深いものがありますね……どうしてこんなところで我々が出会ったのか不思議ではありますが」
パワー「ここだっけ? 寝てたからあんまり覚えてねー」
ルー「確かに、近くにはカナセとローリスしかありませんし…皆さんどうやってここに集まったんですか?」
……私達の奇術も、旅を経験した彼らにはそろそろ気付かれてしまうことでしょう。
〈????:知力+精神:目標6〉
クライブ:5
ティエ:13
ノーティ:15
ジョルティ:7
ルーの言葉に思い当たることがあったのか、ノーティが慌てたように地図を取り出しました。パワーとクライブ以外の3人も、それを覗き込みます。
ノーティ「そう云われればどうして……故郷のフェルミから南下してきたことしか……」
ジョルティ「俺の故郷の森もだいぶ遠い場所だった気がする…」
ティエ「おかしい、こんな場所で皆が集まるはずが……いや、そんなことより、故郷のフリソスは何処だ…?」
ティエ「荷馬車で親に近くの待ちで下ろされたはず……いや、近く町ってどこだ」
ノーティ「……私もフェルミの場所が分かりません。どういうことでしょう……」
ノーティ「ここってどこなんですか……?」
クライブ「さてな…歩いていただけだから覚えておらん」
ジョルティ「何かが…おかしい…
ルー「…?どうかしたんですか?」
突然慌てだした彼らに、ルーがきょとんとした様子で問いかけます。
ノーティ「1年も経ってないはずなのに故郷の場所が思い出せない……」
ティエ「同じく……」
ルー「何なんでしょう…故郷の場所が、分からないんですか…?」
ティエ「おかしいなぁ…」
ルーは皆の様子を見て、リーテの場所に視線を送り、確かめるように頷いていました。
……イレギュラーであったパワーを除く、5人の旅人達には竜の君の魔法が掛かっています。
全く違う場所にいた彼らを集め、そして気にすること無く旅に出るための魔法が。どうやら、その魔法も半ば解けてしまったようですね。おそらく、荷台のトリシアも後で話を聞いて気が付くことでしょう。
しかし、不可解なのはパワーのことです。彼は私達の魔法によって集めた旅人ではありません。それなのに……どうやら彼も、自分の故郷の事がわかっていないようでした。それならどうして、どうやってここに辿り着いたというのでしょうか。
私達さえ知らないことが、もしかするとあるのかもしれません。
ティエ「まあ…ここでじっとしててもしかたがにい」
ティエ(あ、噛んだ…)
クライブ「そうだな、行くか。ローリスに」
さりとて、旅路を進むしかありません。私達も彼らも、旅の終わりまで歩み続けるしかないのですから。
ここから先、ローリスまでの道のりで彼らの障害となるようなものはないでしょう。そこまで、ページを飛ばしますね、竜の君。
〈ブレス発動:ミライ〉
~冬の月 21日 夕方~
雪のしんしんと降るその日に、彼らはローリスへと到着しました。ローリスはカナセと同じぐらいの規模の、小さな村です。村の中心にはこの村の中では大きな屋敷があり、東の山の斜面が植林帯となっているようでした。
パワー「どこだぁ!
ジョルティ「なんだか頭痛ぇなぁ…」
ジョルティ「まぁ、美味いもん食ってひとまず置いておこう」
クライブ「……ずいぶんとまあ」
ここで、クライブがこの村の様子のおかしさに気が付きました。……村の南には、墓地がありました。それ自体は変わったことではありません。しかし、この村の墓地は、村の規模に比べてあまりに広いものでした。
村の敷地の南1/4程が、全て墓地だったのですから。
第二十六話「始まりの地にて」 完
今回の話はここまでです。
彼らが始まりの地に到着し、私達の魔法の一部が解かれました。ここからは「新たな旅」となるでしょう。
私達も気を引き締めて、最後まで旅を見守り続けなければなりませんね。……ところで竜の君、なんだか今年の冬はいつもよりも寒いですね。悪い風を捕まえないで下さいよ、竜の君が体調を崩したら、私も体調が悪くなるんですから。
【MVP:パワー・ノーティ】
【ルー・フィオーネの日記】
〈冬の月
16日〉
雪❆
夢のように幻想的な夜が明けました。心なしか、体調が良くなっているような気がします。これも、あの美しい旋律のおかげかもしれないですね。
日が昇ると、湖はすっかり元の湖に戻っていました。それでも、透明な水に雪が浮かんでいるのが綺麗でした。
今日は北に向けて山を下っていくことになっています。寒かったためか、ティエさんとトリシアさんがなかなか起きて来ることができず、結局クライブさんたちが荷馬車に詰め込んでいました。
山下りは割りと調子が良く、疲れを溜めずに進むことができたのですが…途中で大きな猿に襲われてしまいました。魔猿というらしいです。大体、私と同じくらいの身長でした。
目の前の猿に気を取られていると、後ろの方で荷運び動物が襲われてしまい…食料が盗まれてしまいました。追いかけることもできそうでしたが、皆さん深追いをしないことにしたようです。その代わりとばかりに、討伐した猿を捌いていました。
なんでも、猿の脳味噌は珍味として食べられる地域もあるとか。ジョルティさんが調理して、その場でパワーさんが食べていました。……画が怖すぎてちょっと吐きそうになったのは秘密です。ともあれ食材は面白そうなので、お姉ちゃんに手紙で知らせておかないと。
夜は、食料が少し心もとなかったので皆さんがとってきた食料を料理する代わりに分けてもらいました。お姉ちゃんのように上手くはできませんでしたが…料理も少しずつ勉強したいですね。
明日も良い日になりますように。
〈冬の月 17日〉
晴れ☀(寒い)
もう山もかなり麓まで降りてきていて、今日は平野を歩くことができそうでした。
少し進むと平野には東西に伸びる道がありました。なんでも、この場所が皆さんの旅の始まった場所だそうです。
…でも、東西の道の先以外にはここに集まれそう道もなく、不思議でした。皆さんも、どうやってここに集まったのか、覚えていないそうです。
しかも、自分の故郷の場所が分からなくなっていると言っていました。…少し不安になって地図を見ましたが、私はちゃんとリーテの場所が分かって、少しだけ安心しました。
何が起こっているのでしょう?これも、何かの魔法なんでしょうか?
皆さんはそのことは一旦置いておき、東に向けて歩を進めました。歩きやすい道ということもあってそれほど苦労することなく進むことができました。
〈冬の月 21日〉
晴れ☀
気付いたら3日も日記を書くのを忘れていました。不思議と、思い出そうとしても何があったか全く思い出すことができませんでした。
…私にも忘れてしまう魔法がかかったのでしょうか?地図を確認してみましたが、リーテの場所は分かりました。
相変わらず平野を歩き続け、夕方頃にはローリスに到着しました。山の麓にあるのどかな村という感じですが……村の南側、敷地の4分の1ほどが墓地でした。
……リーテよりも規模が小さいのに、墓地の規模は倍以上です。このローリスで、何があったのでしょうか…?
(続く)
こちらは、2016/11/19に行ったセッションのリプレイです。実プレイ時間がかなり短めの、短いセッションとなりました。
本当は食料を盗んで逃げた魔猿への追跡シナリオがあったのですが、誰も深追いしようとしなかったのでこのような形に。
今回は物語の主軸を示唆する回でした。はてさて、ちゃんと伏線が回収できるかな?
それでは次回をお待ち下さい。
【参考サイト】