~春の月 18日~
トリシアとルーは昨日の夜更かしの影響もあり、昼過ぎまで寝ていました。他の皆も特に急ぐことはないということで、そのまま2人が起きてくるのを待っていました。
第三十三話 第二部「七つの旅-冬/機械仕掛の竜人」
〈コンディションチェック〉
パワー:3
クライブ:16(絶好調)
ティエ:14(絶好調)
ノーティ:13(絶好調)
トリシア:8
ジョルティ:11(絶好調)
ルー:12(絶好調)
ルー「おはようございまーす……」
トリシア「おなかすいた」
ルー「ですね……寝すぎました」
ジョルティ「昨夜はお楽しみでしたね?」
トリシア「たのしかったよ」
ルー「ちょっとだけドキドキしました」
トリシア「食べ歩きしてきた」
ルー「美味しかったですね」
ジョルティ「知らんけど、何があったのか報告してくれや」
ルー「あれ、トリシアさん話したんじゃ……? 昨日の夜にはですね……」
トリシア「かくかくしかじか」
トリシアとルーが、互いに補完しながら昨夜の出来事を皆に説明しました。魔晶網は図書館にまで通じていたこと、その図書館の地下に、大きな地下道があったこと。
トリシア「ってことを今朝ティエを起こして説明したはずなんだけど!」
ティエ「ぼんやりと夢の中で聞いた気がする……」
ジョルティ「悪魔の所業」
ジョルティ「しかし、研究所が怪しいと思ってたけど、なんでそんな遠い施設の下なんだろうねぇ」
ノーティ「地下ですか。そういえば、図書館の辺りって崖になってませんでしたか?
崩れそう……」
ルー「確かに……でも、鍵で地下に入ったので、どのくらいの場所なのかは分からないんですよね……」
トリシア「反対側に進めばまた違ったのかもね」
クライブ「とりあえず行かない事にはわからんだろう」
ジョルティ「じゃあまた鍵使えばてっとり早く入れるのか?」
ルー「トリシアさん、金の鍵で繋げそうですか?」
トリシア「やってみよう」
トリシアが金の鍵を空間に向かって回しました。思惑通り、そこに昨夜見た地下道へと続く竜の道が繋がりました。昼ではありますが、相変わらず真っ暗なようですが……。
ルー「……繋がってるみたいですね」
ティエ「ほー」
ルー「灯りが欲しいですね……」
ジョルティ「光る短剣をどうぞー」
ティエ「貰ったカンテラもありますし、使いますか」
ジョルティ「両手塞がるんだけど?」
ティエ「括り付ける?」
ルー「カンテラ持ちましょうか……?」
ジョルティ「あざっす!!」
ルー「わかりました。では私が持ちます」
ルー「では……行きますか……?」
パワー「いくぞー」
ジョルティの光る短剣と、ルーの持つカンテラによって、ほどほどに明るくなった地下道へ、パワーを先頭にして入りました。
地下道は正面へと真っ直ぐ続いており、他に行くことができる道はないようです。道の先に何があるかまでは暗いためにまだ見えませんでした。
天井には、街中にあった魔晶網と同じようなシステムの魔力送信システムが巡らされています。この魔力送信も正面の道から続いて来ているようです。
ルー「正面しか道はないみたいですね……」
ティエ「後ろの壁が動いたり?」
しませんでした。
パワー「殴れば道になるかな?」
ノーティ「こんな地下空間に魔力が必要でしょうか……物語では大抵、昔使われていた、といった具合でしょうが」
ルー「どうなんでしょうか……?」
ティエ「まあ一本道ですから、進みますか。パワーさーん先頭お願いしまーす」
パワー「オラオラ!」
ジョルティ「構造わからんので広い所出るまで警戒しながら進みましょ」
パワーは言われるまでも無いとばかりにズカズカと地下道を進んでいきます。地下道は代わり映えがなく、どこまで続くのかも分からない闇がささやかな不安を掻き立てました。
1時間ほど歩いた所で、道が正面と左に分かれている所にたどり着きました。その場所の天井にこれまでの魔晶網には見られなかった小さな装置がありました。
〈装置知見:知力・知力:目標12(ノーティのみ10)〉
パワー:Fumble
クライブ:6(失敗)
ティエ:15
ノーティ:20
トリシア:4(失敗)
ジョルティ:17
ルー:15
ジョルティ「何か見慣れないの着いてんな」
ルー「緑色……の水晶でしょうか?」
ティエ「春の新色的な?」
ノーティ「そういえば、この前図書館で読んだ本にありましたね……緑の水晶は、魔力を分岐させる力があるとか云々」
ジョルティ「確かに読んだな、なんだっけ…クロロ…なんちゃらみたいな」
ルー「魔力がここで別れてるんですかね……?」
ティエ「先に根元を見に行くか、分かれた先を見に行くか…ですかね?」
ノーティ「どうやら、この装置で正面の方向と、これまで通ってきた方向とに魔力を分けているようですね。この左折した先が、魔力の源の方向のようです」
ティエ「そういえば我々はどっち方向に歩いてたんですかね? コンパスありましたよね?」
トリシア「海の下だったりしてねーハハハ」
ノーティ「見てみましょう」
方向を確認するため、ノーティは懐からコンパスを取り出しました。コンパスが正しければ、今まで来た道は東から西に向かっている道だったようです。
つまり、この分岐では正面に続く道が西、左に折れる道が南、ということですね。
ノーティ「始端が東で、西に進んでいたようですね」
ノーティ「つまり正面に向かえば今まで通り西に進むことになるでしょう」
ルー「海の方に向かっているわけではないみたいですね」
トリシア「そっかー」
ティエ「ってことは分岐先は……研究所の方向?」
ジョルティ「真っ直ぐと今来た方向が分岐先なら…俺らが調べるべきは左だろうな」
ノーティ「仮に鍵で開いたのが図書館の真下だとしたら、研究所と……南に進んだら何処につながっているのでしょう?」
ルー「どうなんでしょう……今、どの辺なんでしょうね……?」
ジョルティ「うーん、街の規模からしたらそう進んではいないだろうな」
ティエ「市営馬車と郵便局以外の全ての施設が該当しそう」
クライブ「南…公園、か?」
ルー「流石に遠すぎるような?」
ジョルティ「とりあえず行ってみましょ」
トリシア「どっちに?」
ティエ「たぶん分岐先追っても研究所に魔力送ってるだけのようですし…」
ジョルティ「パワーさん左折!」
パワー「左に曲がります!」
ジョルティがパワーの操縦をしているみたいになっていますが、ともあれ皆は左折して進んでいくことになりました。その先も相変わらず見通しが立たない程長い地下道になっています。
左折して直進すること1時間半程、また正面(南)と右(西)とに道が別れています。
天井を見ると、また先程の分岐地点と同じように分岐装置がありました。
ティエ「あ、また緑だ」
ノーティ「分岐装置を見るに……源流は正面、支流が右(西)とこれまで来た道(北)みたいですね」
ジョルティ「なら、真っ直ぐだな」
ティエ「ですね」
パワー「バックします!」
ティエ「しないで!」
その時……何か微かな音が天井の方から聞こえました。
〈察知:敏捷・知力:目標9〉
パワー:6(失敗)
クライブ:15
ティエ:9
ノーティ:4(失敗)
トリシア:8(失敗)
ジョルティ:6(失敗)
ルー:Fumble
ルーは音がする天井に気を取られて足元がもつれて転んでいました。(1d4=3ダメージ)
天井から聞こえているのは、蹄の音のようでした。
ティエ「蹄……?」
クライブ「……のようだな」
ティエ「ってことは……公営馬車庫の辺りでしょうか?」
ティエが地図を取り出して場所を確認していました。図書館から道が続いているとすると、確かにこの辺りは公営馬車庫の真下辺りのようです。
ジョルティ「天井見ながら歩くと危ないよルーちゃん」
ルー「はい……気をつけます……いたた」
ジョルティ「悪いけどいま魔法使えないから我慢してな」
ルー「大丈夫です。ちょっと転んだだけなので……」
ルー「……どうしますか? 右にも行けるようですけど……真っ直ぐ行きましょうか?」
ジョルティ「真っ直ぐで」
ノーティ「源流に向かうのであれば……真っ直ぐですね」
パワー「男は黙って!」
ティエ「右は多分病院とか工房に魔力を送っているだけだろうから、源流を目指しましょう」
そこから更に1時間程直進すると、左側(東側)にこれまでよりも少し広い道が見えてきました。
天井を見ると、これまで辿ってきた魔晶網とは別に、もう一本南に向かう魔晶網があることがわかります。どちらも左側の道から通じています。
ジョルティ「疲れたなー」
ティエ「左……ですね。左?」
ティエ「ひだりに施設も何にも無いんですが…」
ジョルティ「そりゃぁ、施設も何もない場所に源流があるって事じゃないか?」
ルー「でも…こっちに進むと海ですね……?」
ジョルティ「ここって海抜いくつぐらいなんだろうな…」
ルー「どうなんでしょう……?」
ティエ「まあ今更寄り道してもしかたない」
ノーティ「左というとつまり東側ですが、そう遠い場所までつながっているとは考えづらいですね」
ノーティ「さすがにこれ以上曲がりくねっているとは考えにくいですし」
ジョルティ「左で良いな?」
パワー「男は黙って! 左!」
ルー「良い…と思います」
ノーティ「地下にそれこそ魔力網が敷かれているようですね……」
パワー「ドカドカドカ」
ティエ「ぞろぞろぞろ」
こうして、皆は東に続くこれまでの通路よりも広い通路に入りドカぞろドカぞろと進んでいきました。
また1時間ほどすると、今度は正面が少し広い部屋に繋がっているようです。その部屋の中央には、大きな青い水晶が2つ置かれています。入り口に対して部屋が広いこともあり、部屋に入らないとこれ以上は見えないようでした。
〈動物探し〉
クライブ:10
ジョルティ:5
クライブ「……生物の気配はないが……何か黒い痕のようなものがあるな」
クライブの言うとおり、黒い痕のようなものが部屋の中央にあり、さらに奥にある部屋の方向へと続いていることが分かりました。
ノーティ「ここまで来て戻るという選択肢もないでしょうけれど」
ティエ「まあそれもそうなんですよね」
〈捜索〉
ジョルティ:16
ジョルティは罠を疑って黒い痕を凝視しました。しかし、それは罠のようではなく、何か乾いた液体の痕のようです。
ジョルティ「何かが乾いた痕みたいだなー」
パワー「よしじゃあ入ろう!」
パワー「いくぞぉ!」
部屋の入口から色々と見ている様子に業を煮やしたのか、パワーが堪らず部屋へと突っ込んでいきました。中央にある青い部屋の方向に向かっていきます。
クライブとトリシアもそれと一緒に突入し、他の者達はその後ろから部屋に入っていきました。
部屋に入ると、2つの大きな青い水晶が強く光を発しました。同時に、部屋の奥の方で何か、ガシャンガシャンというような何かが動く音が聞こえます。
音の方向を見ると、何かわからない銃口の付いた装置のようなものが、皆の方向に照準をあわせているようでした。
ジョルティ「防衛機能か!?」
クライブ「チッ、面倒な」
ティエ「ここは魔法使ったらマズいですよね?」
ノーティ「でしょうね……やることがないような」
〈戦闘開始〉
その装置は見たところ2つの種類があり、1種類につき2台設置されており、今すぐにでも発射せんと魔力を充填しているようでした。
〈ラウンド1〉
【ティエ】
ティエ「クローズドラコニカ!(魔法使えないの意)」
ルー「そもそもドラコニカに載ってるんでしょうか?」
ティエ「それもそうだ」
〈知見→自動砲台A〉
判定:22
ティエ「……見たことはありませんけど、何やら鉛弾のようなものが入ってるみたいですね。飛ばしてくるんじゃないんですか、あれ」
ティエ「ついでに……魔力は左側の青水晶から送られてるみたいですよ」
〈ターン消費知見→青水晶〉
判定:23
ティエ「もう片方の青水晶は後ろの方のあれに繋がってるみたいですね……これ、魔法が使える人なら解除できるんじゃないですかね?」
ノーティ「ふむ」
ティエ「まあ手を触れる必要がありそうですが……前に出ますかー」
クライブ「あの石ころは有用そうだな…あの得体の知れない砲台も便利そうだ。うまいこと捕まえておきたいな」
ジョルティ「砲台は無理だろ…砲台に精通してる奴俺らに居ないしな…」
【クライブ】
〈知見→自動砲台B〉
判定:5(失敗)
クライブ「……分からんな」
クライブ「……とりあえず、折角だ、使っておくか」
クライブはスプラウトの魔法が込められている青水晶を取り出し、その力を解放しました。
〈水晶魔法【スプラウト】→クライブ〉
発動判定:自動成功
すると、その瞬間、部屋の奥からさらに奥に繋がる道から、何か大きな咆哮のようなものが聞こえました。
……この声は、あるいは。
ジョルティ「なんか聞こえたな」
トリシア「……まーさかー」
【ルー】
ルー「い、一応あっちの砲台を見てみます」
〈知見→自動砲台B>
判定:10
ルー「あっちは弾のようなものは入っていないような……」
ティエ「なら魔法を射ってくるんでしょう」
ルー「じゃあ後ろにいても前にいても同じですね! 前に出ます!」
〈移動〉
後衛→前衛
【トリシア】
トリシア「砲台の水晶は狙撃できそうにないしー、よーし、ノーティ前にこーい」
ノーティ「あわわ」
〈引きずる→ノーティ>
後衛→前衛
【ジョルティ】
ジョルティ「狙うだけ狙ってみるかー」
〈攻撃→自動砲台B2〉
命中判定:5(失敗)
ジョルティの攻撃は砲台前方についていた装甲に弾かれてしまいました。
ジョルティ「狙いにくいなー」
【自動砲台A1】
〈攻撃→クライブ〉
命中判定:17
ダメージ:7(防護点1)
ティエの見立通り、その砲台は銃弾を射出してきました。高速で発射された銃弾はクライブの鎧を貫通しました。
クライブ「チッ……」
【自動砲台A2】
〈攻撃→トリシア〉
命中判定:Critical
ダメージ:3(防護点3)
トリシア「痛……くもないね!」
クライブ「急所に入ったように見えたが」
トリシア「防具の違いだね」
【自動砲台B1】
〈魔法攻撃→トリシア〉
命中判定:15
ダメージ:4
トリシア「痛……い! 魔法だこれ! 防具関係ない!」
【自動砲台B2】
〈魔法攻撃→ジョルティ〉
命中判定:8(失敗)
ティエ「お互いに外しあってる……」
ジョルティ「仲良くなれそう……」
【パワー】
パワー「殴ればいいんだよな? 殴るぞ!」
〈攻撃→自動砲台A1〉
命中判定:16
ダメージ:1(防護点2)
〈左手攻撃→自動砲台A1〉
命中判定:9
ダメージ:1(防護点2)
パワー「硬い! 殴りがいがある!」
結果的にあまり攻撃は通じていないようでしたが、本人はなぜか楽しそうでした。
【ノーティ】
ノーティ「さてと……解除を試してみますか。どちらが良いですかね……」
トリシア「後ろの方が良いんじゃないかなー?」
ノーティ「……痛いのは魔力の弾を放つ方ですね、そうしましょう」
〈解除:知力・知力:目標10〉
判定:15
ノーティは右側の青水晶に手を触れ、内部の魔力を操作し始めました。
程なくして、青水晶からの自動砲台Bに対する魔力の送信が停止し、自動砲台Bが動きを止めました。
ルー「おおー……!」
ジョルティ「ああっ! 自動砲台B2!!!」
ノーティ「えっと……これでよかったんですよね?
何かジョルティさん泣いてますけれど」
クライブ「とまったな」
ジョルティ「うわああああああ」
……一発外しあっただけで何故そんなに。
〈ラウンド2〉
【ティエ】
ティエ「とりあえず前に出ますかー」
〈移動〉
後衛→前衛
【クライブ】
クライブ「ま、俺の出る幕はなさそうだな」
トリシア「もう一回スプラウトしたら?」
クライブ「やらねぇよ、何か嫌な感じがするし」
〈防御〉
ダメージ-1
【ルー】
ルー「私も防御します!」
〈防御〉
ダメージ-1
【トリシア】
トリシア「よし、折角だしあの機械触ってみよう」
〈修理技能→自動砲台A2〉
判定:16
トリシアは自動砲台A2に近づき、その作りを見始めました。初めて見たものながらも、その機械の簡単な作りがわかったようでした。
駆動のポイントとなっている部分に意図的に損傷を発生させ、動きを止めることに成功していました。
トリシア「がしゃーん!」
ジョルティ「!! トリシア!B2を直せんかね!?」
トリシア「直すのはむーり」
ジョルティ「畜生ッ!!!」
【ジョルティ】
〈様子見〉
イニシアチブ:20
【自動砲台A1】
〈攻撃→クライブ〉
命中判定:4(失敗)
クライブ「狙われすぎじゃないか」
トリシア「良い仕事してる」
【ノーティ】
〈解除:知力・知力:目標10→左の青水晶〉
判定:7(失敗)
〈春の竜の加護〉
判定変更:7→10
ノーティ「……魔力が勝手に動いたような気もしますが、とりあえずこれで解除することができましたね」
ノーティがもう1つの青水晶の魔力を停止させたことで、自動砲台はすべて停止しました。もはや、敵となるものはその場にいません。
〈戦闘終了〉
ルー「おおー、全部止まりましたね……」
トリシア「よーし、バラバラにしてやるー」
ジョルティ「B2は俺がやるから! 俺がやるから!」
パワー「バラバラだー!」
〈材料加工:目標14〉
パワー:7(失敗)
トリシア:13(失敗)
ジョルティ:13(失敗)
ジョルティ「リーダー、手伝ってくれても良いぞー」(意訳:リーダースキルで成功にしろ)
ティエ「えー、でもまだ奥に何かありそうですしー」
ジョルティ「一部だけでも持って帰るんだよぉ」
ノーティ(色々な対象に情が移りすぎでは?)
ティエ「工房で貰ってくださいよー」
ジョルティ「俺達は確かに通じ合ったんだ…お互い射線は通らなかったけど…」
トリシア「かなしい」
……何故こんなに執着しているのかはわかりませんが、結局残念ながら材料加工には失敗してしまったようでした。
一通りのことが終わってから部屋を見渡すと、さらに奥に続く道があるようです。道幅はこの部屋に入るまでの道と同じく、少し広めです。この部屋の中心にあった黒い液体の後は、この奥の道に向けて続いていました。
また、その道にもこの部屋に対して繋がる魔晶網がありました。
ノーティ「誰がこんなものを作っているのでしょうか?」
ティエ「ここでこういう系統の物作ってるとしたら…研究所?」
ノーティ「何者かが魔力源を守ろうとしているようですね……進みましょうか」
ルー「はい」
そうして、皆はこの部屋を抜け、奥の道へと進みました。その先からは微かに波の音が聞こえてきました。
ティエ「海だー」
ノーティ「この音は。そろそろ海岸付近でしょうか?」
歩くこと20分程、先程の部屋よりも広い部屋に到着しました。その部屋は四隅にまた大きな青い水晶があり、部屋の奥には、大きな扉がありました。
その扉と周囲に使われていいる材質には、ジョルティには見覚えがありました。研究所でみたのと同じ、青い石材です。
ジョルティ「研究所の壁と同じ素材だな。魔法を遮断する」
ティエ「またこれかぁ」
ノーティ「何か魔力を閉じ込めたりしているんでしょうか? 迂闊に入ることはできませんが、この部屋自体も不思議ですね」
ジョルティはその扉に力を開けようと力を込めましたが、鍵が掛かっているようで、開きませんでした。
ジョルティ「鍵かかってるな、当たり前か」
パワー「よし! じゃあ壊すぞ!」
ノーティ「え、ちょっと」
ティエ「あの青い壁だから金鍵は使え…あれ、本当に使えないのかな?」
パワー「必要ねぇ! 通り抜けホール作ってやるぞ!」
ノーティ「ああ、誰か止めてくださいよ!」
ティエ「私に止められるとでも?」
ジョルティ「ほっといてとりあえず部屋を調べようぜ」
クライブ「どれ」
〈調査→部屋〉
トリシア:16
トリシアは部屋の四隅にある青い水晶を調べ始めました。どうも、奥の部屋から何かしらの方法で魔力が送信されており、ここに膨大な魔力が貯蓄されていることが分かりました。
そして、この青水晶から魔晶網に対して魔力が供給されており、これまで辿ってきた魔晶網はこれを源としているようです。
ノーティ「止めたらまずそうですね、これは」
ティエ「まぁ地上が大混乱になりそうですね」
ノーティ「しかし、この青い壁は魔力を通さないのでは?
どうやって魔力を供給しているのでしょうか」
ジョルティ「扉の鍵は開きそうにないかなーっと」
〈調査→扉の鍵〉
ジョルティ:15
ジョルティ「……あまり見ない形だけど、開けられそうかな」
ジョルティ「じゃあちょっくら、開けてみましょうか」
パワー「おい! 待て! 壊させろ!」
ノーティ「でも、解錠のための道具もありませんよ?」
ルー「あ、ヘアピンならありますよ、使えますか?」
ノーティ「あ、お借りします。折ったらごめんね」
トリシア「ヘアゴム派だと思ってた」
ルー「普段はそうですけど、ちょっとした時用に」
〈解錠〉
ジョルティ:5(失敗)
クライブ:7(失敗)
ティエ:10(失敗)
ノーティ:12
ノーティがヘアピンでガチャガチャとすると、鍵が外れた音がしました。
ジョルティ「ノーティ君、その技術はどこで覚えたのでしょうか?」
ノーティ「そういう本を読んだからです」
ジョルティ「その割には手慣れてますなぁ!」
パワー「何故……何故鍵を開けてしまったんだ……!」
ジョルティ「まあまあ、扉を開ける役目は譲るから」
パワー「押せば開く扉を開けることになんの意味があるんだ……!!」
開くという意味があるのでは……?
ノーティ「中に何があろうと進むしかないですね」
ティエ「ですね」
ノーティ「じゃあ、開けますよ」
ルー「どきどき」
結局、ノーティが扉を開けました。パワーはしょぼくれた様子で最後尾から付いていっていました。そんなに……。
こうして皆が扉に入ると、目の前に小さな手鏡が落ちているのを見つけました。手鏡には黒銀の装飾が入っています。
そして、それから遅れること数瞬、部屋の隅に3つの白骨化した遺体が倒れていることに気付き、ルーが悲鳴を上げました。
〈アーティファクト/鏡〉
精神・精神:目標6で抵抗判定
パワー:5(失敗)
クライブ:3(失敗)
ティエ:21
ノーティ:6
トリシア:6
ジョルティ:5(失敗)
ルー:自動失敗
〈春の竜の加護〉
ジョルティ:10
鏡の魔力が、数人に対して「短期的なショック」を与えたようでした。やはり、この鏡には覚えがありますね……。
ルー「この人達の服装は……」
ノーティ「何かお気づきで?」
ルーが何かに気づいている時、皆はより大きなことに気づきました。部屋の正面には大きな檻のようなものがあります。その檻を通して、この部屋は外の海と接続しているようです。
そして、その檻の中には、黒い水晶が胸に嵌め込まれた大きな竜が鎮座していました。
檻の近くには、先程にも見たような大きな青い水晶がまた2つ置かれています。
ティエ「竜……!」
ジョルティ「ちょっとアリアさーん!!」
……なんだかジョルティが呼んでる気がしますけどもう少し様子を見ましょう。
ノーティ「黒い水晶を持った竜……こんなところにも……」
その時、外と繋がった檻を通して海の水が部屋の中に流れ込んできました。一気に、ふくらはぎほどまでの水位となりました。
ただ、海の竜は檻の向こう側にいるため、襲ってくる様子はありません。その部屋に今のところ他のものは見えていません。
ルー「この服装……! 夢でみた人たちの……!」
ジョルティ「知っているのか、ルーちゃん!!」
ルー「夢で、ずっと見ていた旅人の方達の服装に似てるような気がします……!」
ノーティ「とりあえず、扉を確保しておきましょ--」
ノーティがそう言った時、背後でガシャンという音がしました。皆が通ってきた扉の場所にはシャッターが降りており、出ることができなくなっています。
ノーティ「あっ……」
ティエ「こうなったら……とりあえず青水晶を調べますか…」
ジョルティ「鏡も何かヤバそうだけど、目の前の竜も警戒しないと!!」
〈調査→青水晶〉
ティエ:5(失敗)
クライブ:15
ティエ「これはよくわかりませんねぇ……」
クライブ「さっきのに似てるが……魔力は特に流れていないみたいだな」
ティエ「おや、分かるんですか?」
クライブ「さっき、青水晶で魔法を使ったから少しだけな……」
〈調査→手鏡〉
ノーティ:22
ノーティ「この手鏡の素材……なんでしょう、見たことがありませんが……」
ノーティ「石材……? 金属? それに、鏡自体も曇っていてなにも映っていませんね…」
〈調査→白骨遺体〉
トリシア:6
ルー:Critical
トリシア「……ほぼ白骨化してるみたいだけど……」
ルー「……やっぱり、夢の人たちだと思います」
トリシア「海水が時々入ることを考えると……1年ぐらい前のものかな」
ルー「……時期も合いますね」
〈調査→黒水晶〉
ジョルティ:12
その黒水晶は魅入るように黒い輝きを放っていました。
ジョルティが目を凝らしてその方向を見ると、黒い輝きが一瞬強くなり皆の目を晦ましました。
ジョルティ「うお、眩しっ」
ティエ「うっ」
そして、視力が回復すると、竜の檻の目の前に先程まではいなかった何者かが現れていました。
それは、全身に様々な機械を纏った人のような姿をしています。
右手に赤水晶の刃の剣、左手に緑水晶の使われた杖を持ち、右目は紫水晶でできています。左目は爬虫類を思わせるような縦長の瞳孔を持ち、胸には青い水晶が繋がっているようでした。
ジョルティ「って…竜…人? 何か様子がおかしくないか?」
機械の人は、その刃を皆に向けていました。明らかに、敵意をむき出しにしています。……季節の竜以外に、竜人はいないはずです。しかし……確かに竜人のような気配を感じます。
……何者なのでしょうか、これは。
〈戦闘開始〉
【狂える大海嘯】
ふくらはぎまで海水に浸かっていることもあり、かなり動きにくい状況です。(イニシアチブ-3)それは、こちらに刃を向ける機械の人も同じようですが……。
(工房での加工と青水晶魔法使用による効果)
また、機械の人には薄っすらと光る膜のようなものが張られているようでした。
ジョルティの「竜殺しの弓」に刻まれている刻印が光っており、やはり竜に近いものであることを示しているようでした。
ティエ「青水晶がさっきと同じだとすると……前に出ておきますか」
ノーティ「私は後ろでとりあえず様子を見ます」
〈ラウンド1〉
【機械の人】
機械の人は、左手に持った緑水晶の杖を眼前に掲げ、そこに魔力を充填し始めました。その直後に、部屋全体に魔法の弾が拡散し、皆を襲います。
〈緑水晶の杖→全体魔法攻撃〉
命中判定:12
ダメージ:1
トリシア「まーた魔法か」
ティエ「みたいですね」
ジョルティ「拡散する魔法だと!?」
機械の人は黒水晶を通して多大な魔力を供給されているようです。目にも留まらぬ早さで行動を続けました。
心臓のように装着されている青水晶に手を当てると、そこにさらに強い魔力が充填されていきます。
〈青水晶の心臓〉
次の「紫水晶の瞳」による魔法攻撃力が1.5倍に増加
【トリシア】
〈知見→機械の人〉
判定:6(失敗)
ジョルティ「さっきの自動砲台みたいに故障させられないのか?」
トリシア「うーん……さすがに意味が分からないから無理かな」
〈攻撃→機械の人〉
命中判定:15
ダメージ:5(防護点2+魔法膜4)
トリシア「あんまり痛そうじゃないよ!」
パワー「軟弱ものめ!」
【ジョルティ】
〈知見→黒水晶〉
判定:17
ジョルティは狂える海の竜の胸に装着された、黒水晶の方を気にかけているようでした。
ジョルティ「……あまり硬そうではない、かな? 叩かない方がいいだろうか……」
〈ターン消費知見→機械の人〉
判定:9(失敗)
ジョルティ「機械の竜人の方はさっぱりだ、見たことねえ」
【ノーティ】
〈知見→青水晶〉
判定:7
ノーティ「青水晶からあの機械に魔力が送られているようですが……2つの青水晶が相互に働いているみたいですね。両方停止しないと停まらないかと思います」
ティエ「同時に停めないとダメとかだと難しいなぁ」
〈ターン消費知見→機械の人〉
判定:7(失敗)
ノーティ「……あっちの方は分かりませんね」
【ティエ】
〈知見→機械の人〉
判定:15
ティエ「なんとなく力の程はわかりました。……あの膜みたいなのが、かなりこちらの攻撃を弱めているようですね。……恐らく、青水晶の魔力があの膜を作っているのでは」
〈解除→青い大水晶1〉
判定:10
ティエは判明した情報から、早速青水晶の機能を停止しに行きました。先程の部屋にあったものと作りはほぼ同じようで、特に問題なく解除をすることができたようです。
しかし、ノーティの見立通り、片方を解除しただけでは完全に機能を停止してはいません。
ティエ「やっぱり片方だけじゃダメみたいですねぇ」
ノーティ「ふむ……」
【ルー】
ルー「できる限りのことはします!」
〈攻撃→機械の人〉
命中判定:Critical
ダメージ:3(防護点2+魔法膜4)
ルーはこれまでにないほど機敏な動きで、機械の人に剣撃を浴びせました。……彼女もまた、成長しているのでしょう。それに、今回の件は因縁のありそうなことですし、なおさらでしょうか。
ルー「入った……!?」
パワー「まだまだだな」
ルー「精進します!」
【クライブ】
クライブ「…どうにもあれを止めにゃならんか。ノーティ、来い」
ノーティ「前に立つと最悪一撃で全滅するのが危険だと思ったのですがー」
クライブ「まぁ、そんときはそんときだ」
クライブは後列にいたノーティを前へと引き出しました。
【パワー】
パワー「手本を見せてやるぜ!」
〈攻撃→機械の人〉
命中判定:12
ダメージ:1(防護点2+魔法膜4)
〈左手攻撃→機械の人〉
命中判定:7(失敗)
パワー「このぐらいにしておいてやる」
ルー(あれ? 私よりダメージ通っていないような?)
〈ラウンド2〉
【狂える大海嘯】
さらに水位が上がり、膝ほどまで水に浸かるようになりました。皆、なおさら動きにくくなっているようです。
【機械の人】
〈緑水晶の杖→全体魔法攻撃〉
命中判定:12
ダメージ:7
機械の人の緑水晶の杖が、再び魔力を拡散し放ちました。先程よりも勢いの強い魔力の弾が皆を襲います。
〈紫水晶の瞳→ティエ〉
命中判定:8(失敗)
今度は、右目の代わりに嵌め込まれている紫水晶の瞳に魔力が充填されました。先程青水晶の心臓が作り出した魔力が込められた、強力な紫の光を纏う魔法光弾がティエに向かって飛んでいきましたが、これは命中しませんでした。
ティエ「ヒィー」
ジョルティ「なんか怖いなあの紫の光」
【トリシア】
〈攻撃→機械の人〉
命中判定:12
ダメージ:4(防護点2+魔法膜4)
トリシアの放った矢は確かに機械の人に命中していますが、やはり魔法の膜によってかなり勢いを殺されているように見えました。
トリシア「通ってる感じはするんだけどなぁ」
【ジョルティ】
ジョルティ「そろそろ本気を出すか!」
〈春魔法「スプラウト」→ジョルティの敏捷〉
発動判定:13
ジョルティ「悪いけど、解除は二人に任せるわ」
……そういえばジョルティも魔法を使う者なので、青水晶の解除ができるんでしたね。
【ノーティ】
ノーティ「任されました」
〈解除→青い大水晶2〉
判定:5(失敗)
ノーティがもう1つの青い大水晶に手を触れ、魔力を走らせましたが、思うように停止させることができませんでした。
依然として、魔力の送信は継続しています。
ノーティ「ふうむ」
ティエ「そんなこともあります」
【ティエ】
〈解除→青い大水晶2〉
判定:19
今度はティエが交代するように青水晶に触れました。ティエの魔力による操作は上手く行ったようで、青水晶による魔力の送信が停止したようです。
同時に、機械の人を覆っていた魔法の膜は消えていました。
ティエ「よしっ」
【ルー】
ルー「今がチャンス、ですね!」
〈攻撃→機械の人〉
命中判定:5(失敗)
ルー「あれっ……」
ルー(おかしいなあ)
先程の冴えた動きは何だったのか、ルーの攻撃は今度はたやすく回避されてしまいました。
【クライブ】
クライブ「一旦様子を見るか……」
〈様子を見る〉
イニシアチブ:11
クライブは周囲を睥睨し、状況を確認しなおしていました。落ち着きを取り戻したようです。
【パワー】
パワー「うおおおおおお」
〈攻撃→機械の人〉
命中判定:8(失敗)
〈左手攻撃→機械の人〉
命中判定:9(失敗)
パワー「この斧壊れてるんだけど!!」
クライブ「落ち着け、斧のせいじゃない」
パワー「バカな!」
……パワーは全力の攻撃を見事なまでに空振っていました。力みすぎなのでは?
〈ラウンド3〉
【狂える大海嘯】
水位が更に上がり、なお一層行動の制限がかかっています。もはやふくらはぎ程まで海水に使っており、身長の低めなトリシアやルーは沈みかけです。
クライブ「動きづらくてかなわんな」
ジョルティ「だんだんあがってきてんな」
ノーティ(しばらくしたら機械の人だけ沈んで死んでしまうのでは?)
……その時は皆も沈んでいると思いますが。
【クライブ】
〈攻撃→機械の人〉
命中判定:20
ダメージ:15
クライブの一撃は、魔法膜の消えた機械の人に大きな損傷を与えました。青水晶の心臓が俄に明滅したように見えました。
クライブ「機械だろうと斬れば関係ない」
【機械の人】
〈緑水晶の杖→全体魔法攻撃〉
命中判定:10
ダメージ:5
三度放たれた緑水晶の杖からの魔法は、パワー、トリシア、ルーの3人を傷付けました。確実に少しずつではありますが体力を消耗しています。
トリシア「結構痛いんだけど……」
ルー「かなり貰っちゃいました……」
〈竜の黒水晶〉
次ターンの【狂える大海嘯】の効果が+1
機械の人が突如右腕を掲げました。
すると、海の竜の胸に装着されていた黒水晶が強く光を放ち、竜がひときわ苦しみの咆哮を放ちました。……密林の竜もそうでしたが、あの黒水晶はいかなるものなのでしょうか。
私達からすれば、忌むべき存在であることは、およそ疑いようもないことでしょう……。
【トリシア】
〈攻撃→機械の人〉
命中判定:18
ダメージ:11(防護点2)
トリシアの矢は、今度こそ機械の人に大きな損傷を与えました。少しずつではありますが、かなり蓄積しているように見えます。
トリシア「よし、今度はちゃんと通ったな!」
【ジョルティ】
〈攻撃→機械の人〉
命中判定:15
ダメージ:7(竜殺しによる装甲貫通)
ジョルティが矢を放つ瞬間、弓に刻まれた「竜殺し」の刻印が、ひときわ強く光を放ちました。
放たれる矢にもその刻印が浮かび上がり、そのまま機械の人を貫きました。
……この技術もまた、私達にとっては敵と言えるものなのでしょうけれども。
【ノーティ】
ノーティ「回復が必要なのは……ルーさんですね」
〈呪文魔法「キュア・タッチ」+春魔法「キュア・プラス・プラス」→ルー〉
発動判定:15
回復量:10
ルー「ありがとうございます!」
ノーティの魔法によって、ルーの傷がかなり癒えたようでした。
【ティエ】
ティエ「さてと……じゃ、後は任せますか」
〈呪文魔法「ハヤブサ」→ジョルティ〉
発動判定:15
ジョルティ「うおっしゃ! やってやるぜ!」
【ルー】
〈攻撃→機械の人〉
命中判定:10
ダメージ:3
ルー「手応えはあります…!」
ルーの攻撃は多少ではありますが、しっかりと機械の人に損傷を与えていました。
〈ラウンド4〉
【狂える大海嘯】
水位は更に上がり、もはや腰程まで至っています。動きが抑制されるだけでなく、冬の海の冷たさが体力を奪い始めました。
【クライブ】
クライブ「さっさと落とすか…いい加減寒くてかなわん」
〈集中攻撃→機械の人〉
命中判定:12
ダメージ:14
もはや、機械の人は立っているのがやっとのようになっています。倒れる時も近いでしょう。
【機械の人】
〈フェイント→パワー〉
これ以上イニシアチブは下がらない!
……故障でもしたのでしょうか? 機械の人は赤い水晶の剣を振り上げたかと思うと、パワーの目の前でそれを止め、挑発をしはじめました。
パワー「おちょくってんのか!?!? 絶対許さねえ!!!」
……まあ、見ての通りこれ以上落ち着きがなくなることはないのですが。
〈緑水晶の杖→全体魔法攻撃〉
命中判定:8
ダメージ:3
杖から放たれる魔力も、どこか弱々しくなっていました。もはや傷を受けたのはパワーだけです。
【ジョルティ】
〈攻撃→機械の人〉
命中判定:17
ダメージ:7(竜殺しによる装甲貫通)
そして、ジョルティによる攻撃によって、ついに機械の人はその動作を停止しました。
ジョルティ「お、止まったな。ついでにあっちも」
〈ハヤブサによる2回攻撃→海竜の黒水晶〉
命中判定:14
ダメージ:11(防護点3)
ジョルティは二の矢を継ぎ、そのまま海の竜に装着された黒い水晶を射撃しました。しかし、一発で仕留めることはできませんでした。
【トリシア】
〈攻撃→海竜の黒水晶〉
命中判定:12
ダメージ:4(防護点3)
直後に放たれたトリシアの矢によって、黒水晶が竜から外れ檻の中の海中に落ちました。
同時に、室内を満たさんとしていた海水が引いていきます。
もはや、立ち向かうものはありません。
〈戦闘終了〉
ノーティ「助かった……」
ティエ「水が減ったー」
ルー「……なんだか、海の方も穏やかになっているような」
ルーの言うとおり、檻を通して見える外の海は先程までの荒れようとは打って変わって静まり返り、一面を包んでいた海霧も晴れていました。
トリシア「それもいいけど、ちょっと気になるからこの機械バラしてみていい?」
〈材料加工:目標24〉
パワー:7(失敗)
トリシア:3(失敗)
ジョルティ:16(失敗)
3人で機械の人の解体を試みましたが、上手く行きませんでした。解体の様子を見ていましたが……内部まで機械であり、どうも竜人ではなかったようです。私達によく似たあの左目も、作り物でした。
……しかし、雰囲気は確かに竜人のものでした。これを作ったものは、きっと竜人のことをよく知っている者のはずです。
そんなことを考えていた、その時でした。クライブに代わって、今日はトリシアが首に掛けていた金の鍵の白い宝玉が、一際強く光りはじめました。
ローリスの山中で起こったのと同じように、強い光が皆を包み込み、ある景色を投影し始めました。
頭の中に映し出されたのはここと全く同じ場所です。どうやらこれは、ここに倒れていた3人の”死の記憶”のようでした。
先程まで皆がそうしていたのと同じように黒い水晶の嵌った海の竜が咆哮し、機械の人が襲い掛かってきました。
しかし、皆と違っている点があります。3人は機械の人に必死に抵抗を試みるも次第に押されていきました。
満身創痍になった所に迫り来る刃を、2度、黒い竜が身を挺して受け止めましたが……結局、猛攻を抑えきることができず、そのまま3人はその場に倒れ、動かなくなってしまいました。その後、黒い竜も姿を消し……機械の人もまた、その姿を消しました。
死の記憶の投影はここで終了し、それと同時に背後の道を閉じていたシャッターが開いたようでした。
ルー「……やっぱり、皆さんだったんですね」
クライブ「……悪趣味なものを見せる」
ジョルティ「それはそうと……開いたな」
トリシア「それよりも、海の竜っぽいのが檻にいるんだけど」
トリシア「アリアちゃん何も言いに来たりしないか?」
何も言いに行ったりはしません、私はこの場では必要がないでしょうから。
ノーティ「竜は人語を解するんですよね、多分」
トリシア「アリアちゃんが来ないってことは、竜だと思っていたけどただの動物なのかな!?」
ジョルティ「あー、言葉、通じますかー?」
ジョルティが檻の中の海の竜に呼びかけると、海の竜は静かにその視線を皆の方へと向けました。
黒い宝玉が外れた今、激しい苦痛から解放され、理性を取り戻した目をしていました。
海の竜「…… ……」
海の竜「こうして、話ができるようになったのはいつ以来のことか……」
海の竜「君達が解き放ってくれたのだな……感謝する、旅人たちよ」
〈礼儀作法:対抗〉
ジョルティ:24
海の竜:6
ジョルティ「お初にお目にかかる。我々緑の竜の命を持ってあなたの救出に馳せ参じました」
一種の才能の気がしてきました、この瞬発的なキャラ作り。……そもそも海の竜のことは私達も把握していなかったので、正確ではないのですが、まあ良いでしょう。彼には私のことは見えているはずですし。
海の竜「……そうか。緑の竜にも感謝せねばならんな……」
海の竜「あの黒水晶が嵌められて以来……何があったのかは覚えていないが……人々に苦労を掛けたことも多いだろう……」
ジョルティ「いや、何か割りといい暮らししてましたよ上の人達」
海の竜「そうか……それなら、まだ良かったのかも知れんな」
トリシア「誰がこんなことしたんだろうか。話を聞いた感じ、街の人達は全然知らなかったようだけど」
ノーティ「機械の体を持った竜人に操られていたようにも見えましたが……何者なのでしょう」
海の竜「詳しくは私にも分からないが……黒い水晶に支配されるようになったのはあまりにも昔のことだ……」
海の竜「フリーグゼルという村の近くの海を泳いでいる時だったと思うが……」
トリシア(村? 昔はそんなに小さな集落だったの?)
ノーティ「最後に覚えていることはそれだけでしょうか?」
海の竜「そうだな……それ以降のことは分からない」
トリシア「昔よりここ最近何か変わったんです? 季節おかしくなってたみたいっすけど」
海の竜「……季節? 季節のことは一介の海の竜である私には分からないな……」
トリシア「ほへー」
ノーティ「ということは冬の竜についてもご存じない、ですよね……」
ジョルティ「我々緑の竜の命で冬の竜も探してるんですけど、どこかで見かけた覚えとかありません?」
海の竜「……冬の竜か」
ジョルティ(助けたのはたまたまで、そのついでなんだけど、黙っとこ)
海の竜「冬の竜なら、この海の向こうにある小さな島に住んでいたはずだ」
トリシア「ほほうほうほう」
ジョルティ「重要な情報がさらりと!!」
海の竜「昔はよく冬の竜の竜人と話したものだが……」
ジョルティ「はぇー、竜同士って割りと仲良しさん多いんすねぇ」
海の竜「数少ない話し相手だからな、大抵は」
トリシア「そういえば街はもう水晶魔法使えなくなったのかな?」
ジョルティ「源泉を俺らが壊しちゃった感じだしな」
ティエ「クライブさんが試しに使ってみたら解るのでは」
クライブ「使って面倒が起きたら面倒だから面倒だ」
海の竜「水晶のことは、私もよくわからない……」
海の竜「……そうだ、私からも1つ訊きたいことがあるのだが、良いだろうか?」
トリシア「どうぞどうぞ」
海の竜「”ドーレス”という街は、今もあるのか?」
トリシア「ないっす」
海の竜「……そうか、ないのか」
トリシア「昔に突如文明が消失したとか街が消失したとか」
海の竜「文明が……なるほどな」
トリシア「そこのおっさんが持ってる水晶がドーレスのものらしいっす」
クライブ「らしいな」
海の竜「そうか、この水晶が……」
トリシア「河にいる竜に教えてもらったよ」
ジョルティ「もしかして、川の竜さんとご親戚か何かで?」
海の竜「……私にこの黒い水晶を嵌めた者が、言っていたのだ。”ドーレスの礎となれ”と」
トリシア「ほへー」
海の竜「竜は皆兄弟のようなものだ。直接会うことがあるものは少ないがな……大河の竜とも、会ったことはない」
ジョルティ「でもここフリーグゼルっすよ?」
海の竜「……そうだな。詳しいことは私にもわからないが……」
トリシア「そういえばここの図書館でドーレスについて調べてみるのもいいのかもしれないね」
海の竜「……ともかく、助けてくれて感謝する」
トリシア「ところで、春の竜人って今も一緒に来てるの?」
トリシア「今私達には見えないんですけどいるんすかね?」
海の竜「ああ、見えているぞ」
トリシア「煽るだけ煽っといて全然絡んでこないんす」
海の竜「……彼女には彼女なりの理由があるのだろう」
そうです、私なりの理由があるのです。私が割って入っても、話がややこしくなるだけなのです。
ジョルティ「海の竜ー、海の竜ー」
ジョルティ「我々その冬の竜が居たっぽい島行きたいんんすけど、手伝ってくれたりとかしません?」
海の竜「ふむ……背に乗せていくこともできないわけではないが、乗り心地は酷いぞ、恐らくな」
ノーティ「海は元に戻ったのですから、船でも行くことは可能なのでは?」
ジョルティ「乗らなくていいんで着いてきてくれれば」
海の竜「……それぐらいなら喜んで協力しよう」
ジョルティ「よし、安全な航路が確保できたな!」
海の竜「君達が船旅をするというなら、その日の海路の日和は約束する」
トリシア「散々こき使われた海の竜を更にこきつかうジョルティさんぱねえっす」
ジョルティ「うっす」
ノーティ「さて、とにもかくにもお互い少し休みが必要では」
海の竜「……そうだな。私も体力を回復させたい」
海の竜「……一度、海に帰らせてもらおう。何か用があれば、海辺で呼んでくれ。お前たちのためなら、すぐに力を貸そう」
トリシア「有難う御座います」
海の竜「……こちらこそ」
ジョルティ「もう状況が状況なんで、向こうにあった青い水晶持ってきましょうか?」
海の竜「いや、それの力はわからないからな……、ちょっとした水晶恐怖症だよ、私は」
トリシア「この部屋の先水晶まみれっす」
海の竜「では、また会おう旅人たちよ」
海の竜はそう言うと、海に溶けるように一体化して姿を消しました。去り際に私を優しい目で一瞥して。
ノーティ「さて、元々は魔力の源を探っていたらここにたどり着いたわけですが。つまり地上がどうなっているか……」
トリシア「どう考えてもこの街の魔力源さっきの海の竜だよね? 通路戻ると捕まる気がするよね」
ティエ「ですよねぇ…とりあえずバレないように部屋からでて金の鍵で宿に戻ります?」
クライブ「鍵で戻るのが手早いし堅実だろう」
ジョルティ「だろうなぁ、阿鼻叫喚だろうな。こっそり出よう」
ノーティ「竜をエネルギー源にしているなんてあちらにも負い目を感じる点はあると思うのですが……何をしてくるかはわかったものではないですね」
ルー「それと、この人達も弔ってあげたいですが……この場所だと難しそうですね」
皆が海の竜と話し、脱出の算段をしている間、ルーは部屋に倒れた3人のことを気にかけていました。
ノーティ「弔いですか……この黄色のハルシャ菊はどうでしょう……」
ルー「……ローリスの」
ルー「……そうですね。それなら、きっと、弔いになると思います」
ノーティ「彼らの安らかな眠りを祈って」
ルー「……どうか、安らかに。夢の中でしか見たことはありませんでしたが……皆さんのおかげで旅に出られました」
ノーティが取り出した黄色の白夜ハルシャ菊を備え、手を合わせました。……死出の旅路に死の竜の加護のあらんことを。
ジョルティ「上出たら寒いんだろうなぁ…」
トリシア「もし魔法が止まってたとしたら浴場も…」
トリシア「それじゃ戻ろうか」
ティエ「部屋からですね」
トリシア「じゃあジョルティの部屋に戻ろう」
ジョルティ「食べかけおいたまんまだわ、帰ったら食べよ」
皆は、魔法遮断された部屋から出て、金の鍵によって竜の道を繋いで、ジョルティの部屋に戻りました。
私も皆が置いていった手鏡を拾い上げ、それに続きます。
部屋に戻ると、明らかに室温が低い事に気付きます。暖房が動いていないようでした。さらに、窓から外を見ると、道には雪が積もっていました。
海霧も晴れたことですし、軽く飛び上がって東の海の方を見てみることにしました。海の果てに、確かに小さな島が見えました。海の竜の言うことが確かなら、あれが冬の竜の棲家でしょう。
ついでに、あの島に行くための方法がないかどうかも見渡してみる事にしました。フリーグゼルには船着き場はありませんでしたが……街の北に入り江があり、そこに大きな船が係留されているのが見当たりました。これは後で皆に伝えないといけませんね。
ジョルティ「あー、パンとかカッチカチになってる」
ティエ「道の融雪機能も停まってますね」
ジョルティ「灯りもないし」
ノーティ「代替魔力源が必要ですね……」
ジョルティ「とりあえず光る短剣をテーブルにおいて灯りにしておこう」
トリシア「こうなるなら街でバレないように魔法ぶっぱなしても一緒だったね」
ノーティ「そうか、今なら季節魔法も使えるんですね。何とかならないでしょうか」
トリシア「まあ? この街の人間は? 竜とかいないって事になってるし?」
トリシア「海の竜がいなくなったとか関係ないよね?」
ノーティ「もし研究所に行ったら彼らはどんな顔をしているでしょうか……」
トリシア「何を研究してたんでしょうねぇ」
ジョルティ「フロストーン買ってくるか」
トリシア「売ってるんかな?」
ティエ「商店見た限り、見当たりませんでしたね」
ジョルティ「そうか、必要なかったからな……」
ノーティ「対症療法よりも、冬を終わらせた方が早いでしょうか?」
ノーティ「水晶だけでは魔力を補いきれないでしょうし」
ノーティ「街の様子は見に行くまでもないのでしょうが……竜の魔力に頼っていた人々は阿鼻叫喚でしょうね……」
トリシア「図書館もあとで行きたいねー」
トリシア「あとは東の島に行くための手段も考えないとなー船とかあるのかなー」
さてと、そろそろ良いでしょう。海の竜を助けてくれたお礼を、私からも言いに行かないといけませんね。マスコットを使い、人間の姿として皆の前に姿を表すことにしましょう。
「皆さん、本当にお疲れ様でした」
ジョルティ「おわぁ!?」
ジョルティ「急に現れるの心臓に悪いのでやめません?」
「これはすみません」
ジョルティ「見てたなら報告とかいらないっすよね? 見てただけだし」
「はい、必要ありません、見ておりました。見ていただけですが!」
ノーティ「これからどうすべきでしょうか」
トリシア「役所とか今行って話聞こうとしてもどうしようもないだろうなー」
トリシアは私の方に目を合わせていますが、直接何かを言ってきている感じではありません。なんだかとても非難されている気がします!
「で、でも、1つだけ仕事もしましたよ。皆さんがおいていった手鏡を回収してきました」
ティエ「あああのおっかない鏡」
ジョルティ「それなんか曰く着いてそうだったんで」
ノーティ「何か手がかり、或いは助けになるでしょうか?」
「これは、冬の竜のアーティファクトだと思います。あの場所が冬の竜とつながっているのは間違いないでしょう」
ジョルティ「まじか。重要な手がかりだった」
トリシア「そういえば着替えないとなーお風呂入らないとなーどうしようかなー」
やっぱりトリシアは遠回しに何もしなかった私を非難しています……!
「ぐぬぬ、私そんなに便利な魔法使えたりしないんですよ! 人力でお風呂沸かすぐらいならしますよ!」
ノーティ「ええ……そうなんですか……」
「あ、でも薪集めるの大変なのでパワー、薪を集めてきてくれませんか」
パワー「ふざけんな自分で行け」
「そうしたら、ローリスで密かに拾っていた黄色い白夜ハルシャ菊をあげましょう」
パワー「すぐ行ってくるから先に草をよこせ!」
ジョルティ「いや、アリアちゃんフロストーンっていう便利なマジックアイテムがあってな」
ティエ「売ってませんけどね」
トリシア「そもそもここのお風呂に薪なんか入れるような場所ありますかねぇ?」
「確かに……。まあ、その、今までも皆さん全然お風呂とかそんなに気にしていなかったようなー?」
「……まあ、これは冗談として。冬の竜の元に行く手がかりならちょっとだけ見つけてきましたよ」
「上空から見るとですね、この街の北の方に、入り江があったんです。そこに、大きい船が1隻停まっていたので、これが使えるんじゃないかなーと」
「どうやら、あの入り江の近くも竜脈が通っているようなので、多分道が開けられると思います」
ノーティ「それは使えますね。操船も……何とかなるでしょう」
トリシア「ひそひそ(ナチュラルに船どろぼうしろって言ってるのだろうか)」
「ち、違いますよ。近くに小屋があったので、持ち主がいるんじゃないかな?という話です!」
ジョルティ「ひそひそ(それ、航海記の人の船じゃない?)」
トリシア「ひそひそ(だとしたら持ち主いるかどうか)」
ジョルティ「ひそひそ(生きてんのかね? いつの本だっけ?)」
「持ち主がいないようならー……借りていけば良いのではないかとー……」
ノーティ「もっとも、この異常事態に船一隻で何か云う人はいないと思いますが……」
トリシア「ひそひそ(ナチュラルに盗み聞きされた)」
ジョルティ「(それが仕事みたいなもんだし、言ってやるな」
「ひそひそ(盗み聞きのプロですから?)」
トリシア「ひそひそ(盗み食いとか拾い食いとかも)」
あれ、拾い食いまでバレてる……? いやいや、そんなにしていません、そんなにしていませんよ!
「ま、まあそんな感じです! 島に行く方法はあるってことですよ!」
トリシア「へーそうなのかー」
トリシア「スゴイナー アリアチャンサスガダナー」
「イヤイヤソレホドデモ」
トリシア「スゴイースゴーイ」
絶対バカにしてる! 絶対バカにしてますよ!
「と、ところで手鏡はどうしますか? 皆さんに預けておいても良いのですが、私が持っていても構いませんよ」
ジョルティ「呪われてたりとかしなければ、もらっときます!!」
「大丈夫なはずです。では、どうぞ。一応大事にしてくださいね」
「それでは、またひっそり皆さんに着いていきますので、もうしばらくよろしくお願いしますね」
パワー「おい待て、草置いてけ!」
黄色のハルシャ菊をパワーの口に投げ込んで、姿を消しました。……ネズミが齧ってた気もしますけど、ま、大丈夫でしょう。
パワー「アアアアアアアア! 草うめえ!」
トリシア「あ、そういえば鍵をクライブに返しとこう」
トリシアがクライブから預かっていた金の鍵をクライブに投げ渡していました。心なしか、段々この鍵に込められた魔力が増してきているような気がします。
ノーティ「ええっと……では、多少の準備の後に島へ向かうということで良いのでしょうか?」
トリシア「この街でちゃんと準備できるかなあ」
ジョルティ「外から悲鳴とか罵詈雑言一杯聞こえてきますけど」
ティエ「ほぼ内乱状態」
ノーティ「ともかく、できる範囲のことはしましょう」
トリシア「ドーレスの事は一旦保留するのかなー?」
ノーティ「図書館へ行っても満足な対応は得られないと思いますが、どうでしょう?」
ノーティ「都市機能がこれまで混乱していると、図書館は避難所にでもなっているのでは」
トリシア「あの司書の感じだと混乱から逃げてぼーっとしてそう」
ノーティ「書名も分からない中で向かっても役に立ちませんからね…季節を元に戻すのが先だと私は考えます」
トリシア「本の虫が本以外のことを優先してる!」
ノーティ「ドーレスよりも季節の異常の方が面白そ……大事ですからね!」
ジョルティ「とりあえず、今日はもうご飯食べて寝たい」
ノーティ「今日はもう大してできることがないので、そうしましょうか?」
……とは言え、街の機能は完全にマヒしており、この公営宿も例外ではありませんでした。いつまで経っても食事が提供されることはなかったため、結局皆自分の手持ちの保存食を食べて寝ることにしたようです。
部屋の暖房が切れていることもあり、寝心地も少し悪くなっているようでしたが……。
ともあれ、冬の竜の問題の解決へ一歩近付いたことは他の竜人達とも共有しておかないといけないと思い、私は夏の竜と秋の竜の元へ急ぐことにしたのでした。
第三十三話 第二部「七つの旅-冬/機械仕掛の竜人」 完
こちらは、2017/1/20,21に行ったオンラインセッションのリプレイです。
今回は久しぶりのボス戦回となりました。機械仕掛の竜人こと「機械の人」は、ランダム行動表をダイスで決定して行動をさせていました。
なのに毎回全体攻撃を引いてきたり、一度も赤い水晶の剣を使わなかったり、イニシアチブ0のパワーにフェイントしたりと、神がかった動きをしていたと思います。色んな意味で。まあ機械仕掛なので融通が利かないのは仕方ないよね?
最下部に参考として、今回のフリーグゼルの地下マップと、機械の人の行動表を付けておきます。興味が有る方だけ御覧ください。
というわけで、七つの旅-冬は第三部へ続きます。
【参考サイト】
いよいよ冬の竜の元へと旅立ち、といった所でしょうか。
返信削除やっぱりこのキャンペーンは戦闘が爽快で、読んでいてテンションが上がりますねえ。
色々とヒントが出て来た謎の真相を楽しみにしながら、続きを待たせて頂きます。
コメントありがとうございます!
削除そのままにしていると戦闘が長引きやすいシステムなので、大体、3~4ラウンド生き残れば良いかな?ぐらいの気持ちでボスを作っています。
今回は投稿が遅くなってしまいましたが、次回はもうちょっと早くに投稿できる予定です!