冬の竜の問題が一歩解決に近付いたことを夏の竜と秋の竜に伝えて戻ってくると、ちょうど皆が起き上がってきていました。
やはり部屋は底冷えしており、悪い風を捕まえてしまわないか心配です。
第三十三話 第三部「七つの旅-冬/春の息吹」
~春の月 19日~
〈コンディションチェック〉
パワー:13(絶好調)
クライブ:18(絶好調)
ティエ:11(絶好調)
ノーティ:13(絶好調)
トリシア:11(絶好調)
ジョルティ:13(絶好調)
ルー:12(絶好調)
まだ公共宿は混乱状態にあるようで、皆食堂に集まっていましたが朝食も供されそうにはありませんでした。
ティエ「朝ご飯出ないしさっさと移動しますか」
ルー「とりあえず……朝ごはんも保存食ですねぇ」
ジョルティ「一体誰だよ!!飯すら出ない街にした奴は!?」
ジョルティ「いまから釣ってくる?」
ルー「釣りも楽しそうですね!」
ティエ「この左手にある釣り竿がうなる」
ルー「……でも、船に乗るなら船で釣ればいいですかね?」
パワー「まぁ俺は草食べるよ」
ノーティ「まあ……ご一緒しますか。食べませんけど」
〈薬草取り:密林(強風)+長冬:目標13〉
パワー:12(失敗)
ノーティ:14(風なきチューリップ1つ入手)
パワー「草がない。死ぬ」
ノーティ「ふふん」
パワー「今日も雑草か……ハルシャ菊が食いてえなあ」
……昨晩あげたのに!
草を取りに行っていた2人が戻ってくると、皆、昨日私が伝えた入り江への移動を考えているようでした。……少しは役に立っていますよね?
ルー「入り江ってどの辺なんでしょう? そのまま鍵を使ったら行けるんですかね?」
ジョルティ「歩いて行くにはしんどい距離だよな…直でつながるのか?」
トリシア「船があるよって言ってた子がいましたね…」
ノーティ「やってみれば分かります。しかし、どうやってるんでしょう?
入り江に繋がれって念じながら鍵を回すんですかね」?
ティエ「最悪春の竜の所に戻れば帰れますからやるだけやってみましょ」
クライブ「ん…じゃあ開けてみるか」
クライブが入り江に繋がるように念じながら、空中に向かって金の鍵を回しました。音もなく空中に竜の道が繋がり、その向こう側には昨日空からみた入り江が広がっています。
入り江のそばには小さな建屋が一軒あり、大きな船が一隻係留されています。これも、昨日見た通りですね。
皆が竜の道を通って入り江に到着しました。その後、開けっ放しになっていたので竜の道は代わりに閉じておきました。不用心不用心。
トリシア「人もいるのかな?」
ノーティ「持ち主がいらっしゃるか確認しましょうか」
2人がぐるりと周囲を見渡しましたが、見たところ外に人がいる様子はありません。
ティエ「船は?」
トリシア「船の中カナー?」
船に近付くと、側面には縄梯子があり、登ることもできそうに見えました。ただ、やはりいきなり人の船に乗り込むのは抵抗があるようで、甲板に人がいないのを確認すると今度は小屋の方に向かっていきました。
ノーティ「どなたかいらっしゃいますか?」
ノーティが小屋の扉をノックをすると、小屋の扉が開き、1人の男が出てきました。白い髪に白い髭を蓄えた、体の大きな男性です。年の頃は60代から70代のように見えました。
白髭の男性「おや、人が訪ねてくるのはいつ以来か」
ノーティ「これは突然失礼しました。あの島まで行こうと思いまして、船をお借りできないかと……」
ノーティが海霧の晴れた水平線の向こうに見える島影を指差してそう告げると、白髭の男性は目を瞑って大きく一つ頷きました。
白髭の男性「……そうか、あの島に」
白髭の男性「良いところに来てくれた。実は儂もあの島に向かおうと思っている所だったのだが、船員がおらずに困っていた所でな」
白髭の男性「ようやく海霧が晴れ、波もおさまった。……いつか見たあの島に、やっと行けると思っていたのだが」
白髭の男性「……残念ながら昔の船員たちは先に逝ってしまってな……クィナティット号だけは日々整備をしていたが、儂1人では動かせん」
ジョルティ「アイサー!船長!!俺達がいますぜ!!」
ジョルティは気が早いと言うかノリが良いですね。白髭の男性はその言葉に口元を緩ませているようでした。
白髭の男性「……そうだ、名乗るのを忘れていたな。儂はクラウス・ティーチ、この船の船長だが、今はしがない世捨てジジイだ」
白髭の男性はそう名乗ると、一歩下がって深々と礼をしました。(礼儀作法判定省略)
クラウス「……というわけで、渡りに船とはこの事だ。どうだね、儂は君達の為に船を出そう。その代わり、必要な道具の用意と、船員の仕事をお願いしたい」
ノーティ「願ってもないことです。私はノーティと申します。それで、必要な道具とは?
クラウス「用意して欲しいものは3つある。1つは水、できるだけ多く欲しい」
ティエ「持っててよかったミスリルの樽。これは心配なさそうですね」
クラウス「もう1つは、オレンジ。海の旅では病が流行ることがある、その予防になる。それほど遠くはない海の道だが……一応は用意しておきたい。海の旅のお護りのようなものだ」
ティエ「オレンジはどのくらい必要ですか?」
クラウス「1箱もあれば十分だ。あくまでお護り代わりだからな」
ジョルティ「キャベツでも良いって聞いたことあるけど」
クラウス「オレンジの方が良い。美味いからな」
パワー「草でも良くない?」
クラウス「良くない」
クラウス「そして最後の1つは望遠鏡だ。昔使っていたのが壊れてしまってな……」
トリシア「壊れた望遠鏡見せてもらえませんか!」
トリシア「ひょっとしたら治せるかもしれない。なおせないかもしれないけど」
クラウス「む、そうか? ちょっと待っていってくれ」
クラウスはそう言うと小屋の中に戻り、壊れた望遠鏡を持ってきました。それほど大きくはありませんが、立派な装飾の付いた古めかしい望遠鏡のようでした。
トリシア「どこが壊れてるんですか?」
クラウス「レンズの部分がどうもな。上手く動かなくなってしまっているようだ」
トリシア「お借りします。街で直してきます」
クラウス「頼んだ」
トリシア「ジョルティ協力してね!」
ジョルティ「え?どうやって?」
クラウス「しかし……賑やかで良いことだな。人は多いほどできることが多くなる」
クラウス「儂はここで船の調整をして待っている。用意が済み次第、小屋に呼びに来てくれ」
クラウス「小屋に反応がなかったら船にいる、その時は船に声をかけてくれ」
トリシア「はーい」
そう言うとクラウスは小屋の中へと戻っていきました。
ティエ「さてと……じゃ、鍵で戻りますか」
ノーティ「それが良いでしょう」
クライブ「ん。分かった」
クライブが再び金の鍵でフリーグゼルへと竜の道を繋げました。
ルー「便利ですねぇ、鍵」
ティエ「さっさとしめよう」
クライブ「ああ……そうだったな」
今度はクライブが金の鍵で竜の道を閉じてくれました。……ぼーっとしていたのが悪いのですが、私が入り江に残されてしまったのでもう一度開けて付いていくことにしました。……その後暫く閉め忘れていたのは言うに及ばず。まぁ竜人の開いた竜の道は普通は人に見えないので良いのですが。
ノーティ「さてさて、お買い物ですか」
フリーグゼルの商店街は相変わらずてんやわんやという状態でしたが、商店自体はいくつか機能しているようでした。
ジョルティ「だらしねー街だなぁ」
ティエ「青果が腐らないように捌けさせたいだろうし安く買えそうかも」
ルー「確かに、冷やしておけなさそうですもんね。あれ、でも外においておけば良いような?」
ジョルティ「凍っちゃうんじゃね?」
ティエ「どこまで依存してたかによるからなぁ。氷らせないためって使い方もあるし」
ルー「冷凍したオレンジも美味しいですよ!」
ティエ「氷っても味が落ちない奴ならいいだろうけど…」
ジョルティ「保存には適さないだろうなぁ、自然解凍だとべっちょべちょになるし」
ティエ「冷凍焼けとかさせられない肉とかなら安いかなぁ…」
商店街を回ってみると、オレンジが売っている店は比較的簡単に見つかりました。
その値段は……
〈値段判定:1d100*10〉
ティエ:8:80G
一箱80Gでした。……あれ?桁間違ってません?安く売りたいにしても安くし過ぎではないですか?
ジョルティ「くっそ安いじゃねーか!!」
ティエ「氷らせておやつ分も買おうか?」
商人「こんなんじゃ長持ちしないからね! 今なら1箱につき1箱おまけするよ!」
ほぼ不当廉売ですよ不当廉売。
パワー「オレンジの皮乾かして風呂にいれよう」
商人「お湯がねぇ、沸かないんだよねぇ今」
ジョルティ「フロストーンっていう便利なアイテムがあってな…」
商人「売ってないんだよねぇこの街じゃ」
ティエ「何箱積めましたっけ、動物」
クライブ「35箱」
ティエ「そんなには要らないなぁ」
商人「というかそんなに在庫ないよ」
ティエ「全部で3箱分くださいな」
商人「はいはい、3箱分だね。1.5箱のおまけで1.5箱ついてくるってことで」
ティエ「こんなに入って120G……食べ切れないのでは?」
商人「はい、まいどありー」
ジョルティ「いざとなったら任せて?」
パワー「任せろ?」
ティエ「……まあ、余る分には困ることはなさそうですね」
こうして3箱のオレンジを荷運び動物に積み込みました。
トリシア「後は望遠鏡の修理かー。どこがあるかな」
ジョルティ「魔法工房とか?」
トリシア「じゃあそこで。一緒に来るのだジョルティ」
ジョルティ「連れてかれるぅー」
こうしてトリシアはジョルティを連れて魔法工房へと向かいました。工房には主のキルト以外の姿は見えません。
キルト「おや……君達は。残念だけど開店休業状態だよ。魔晶網が使えないみたいでね」
トリシア「そうなのかー。不思議っすねー」
キルト「いやぁほんとに……最初は魔力の使いすぎで停止されたと思ったんだけどね。どうやらうちだけじゃないようだし」
キルト「まあ、工房としては普通に使えるよ。何かするのかい?」
トリシア「ちょっと修理場所を貸してもらいたいなーと」
キルト「良いよ、自由に使って」
トリシア「よしジョルティ、スプラウトして」
ジョルティ「はいはい」
〈ジョルティ:春魔法「スプラウト」→トリシア〉
発動判定:5
キルト「おっと、ここは魔法遮断はされていないよ……魔法を使うのは……ってもう遅いか」
キルト「まあ、どうせ今は魔力が止まってるし、どうでもいいか」
トリシア「魔力止まってるし一緒一緒」
キルト「他では注意した方が良い。原因探しに躍起になってる市民もいるからね」
キルト「押し付けられたら堪らないだろう?」
トリシア「その時は逃げるだけさーハハハ」
キルト「面白い人達だねぇ」
〈修理:目標10〉
トリシア:16
そんな話をしながらトリシアはクラウスから預かった望遠鏡の修理に取り掛かりました。雑談しながら3時間程の修理をした結果、問題なく機能を取り戻したようでした。
トリシア「ハンマーがあればどうにかなる!」
キルト「金床も忘れずに!」
トリシア「まな板しか持ってないや」
キルト「ウチでまな板に魔力を込めたのは君が初めてだよ」
キルト「まあ、用事は済んだのかな? 私はちょっと今後のことを考えないといけないんでね、そろそろ閉めるよ」
トリシア「ありがとうございましたー」
こうしてトリシアとジョルティも宿の方へと戻りました。宿の前では荷運び動物にクライブとティエがオレンジと水の積み込みと荷物の確認をしていました。
ティエ「これで頼まれていたものは揃いましたね」
クライブ「よし小屋に戻って船を奪取だ」
ルー「あれっ? そういう話でしたっけ?」
クライブ「いや、多分違う」
ノーティ「クライブさんがそんな冗談を言うとは」
ティエ「我々操船技能ないですし」
クライブ「話を聞いてなかったからな。適当に言ってみただけだ」
ルー「話聞いてなかったんですね……」
ノーティ「ともかく、クラウス氏に話をしなければ」
クライブ「2分以上かかる話は聞いていて面倒だ」
案外この人パワーと同じぐらい話を聞いていないのでは?
ジョルティ「おなかすいたんでオレンジ下さい」
ティエ「はい」
パワー「おかわりもあるぞ」
ティエ「シャリシャリ」
ルー「あ、私も一つ貰って良いですか?」
ティエ「はいよー」
ルー「ありがとうございますー」
ノーティ「こんな寒いのに……冷凍オレンジ…」
ティエ「シャリシャリになってますよ」
ルー「冷たくて美味しいですよ」
ルー「しゃりしゃり」
パワー「知覚過敏には厳しい現実」
ティエ「だから草ばっかり食べてるんですか?」
パワー「それは違う。草がうまいからだ」
ティエ「……さてと、オレンジの味も確認したところで、戻るとしますか」
ノーティ「では、クライブさんお願いします」
クライブ「あいよ」
クライブが宿の厩舎の中で金の鍵を使い、入り江に竜の道を繋げました。今度は人だけでなく、荷運び動物も一緒に竜の道を通って入り江に向かいました。
ティエ「ただいまーっと」
入り江に到着すると、クラウスが船上で作業をしているのがすぐに見当たりました。
ジョルティ「せんちょー準備出来たぞー」
ノーティ「どうしますか、4日位待機してから声を掛けます? …って遅かった」
ノーティが思い至った時にはもう遅く、ジョルティが船上で作業をしているクラウスに声を掛けていました。……まあ、バレて困るものでもないとは思いますけどね。
クラウス「む? 何、もう戻ったのか? おかしいな……そんなに近かったかね、フリーグゼルは」
クラウス「頼んだ物は揃ったかね?」
ジョルティ「たまたま近くに行商人が居たー的な?」
ノーティ「フリーグゼルも拡大しているのです。ご要求の品はこの通り」
クラウス「ふむ、なんだかよく分からないが、揃ったなら文句はない」
クラウス「今、荷積台を降ろす、そこに水とオレンジを載せてから、皆船に登ってくれるかね」
クラウスはそう言うと、甲板から縄で繋がった大きな板を下ろしました。クライブを中心に何人かで荷運び動物の水とオレンジを積み上げていきます。
ティエ「ニハ・コビ・ドウ・ブツー おいでー」
ティエ「おーよしよし」
ジョルティ「乗り込めー」
クライブ「おい、手伝え」
ルー「なかなか重いですよねえ、水の樽も」
ノーティ「樽はこのように回すようにして……」
ルー「溢れません?」
ノーティ「なあに、少しくらい……おっとっと」
ティエ「しっかり蓋を閉めてるから大丈夫だと思うよ」
十分そこそこで水樽とオレンジの木箱は荷積台に載せ終わりました。……パワーが箱の1つにまぎれて寝ていたことに、私以外は気付いていないようでしたが。
クラウス「荷物は全部載せたか? じゃあ登ってきて、引き上げるのを手伝ってくれ」
ティエ「動物は乗りますかねー?」
クラウス「動物は引き上げられそうにないな……小屋に入れていいぞ。餌と水を置いていけば数日なら大丈夫のはずだ」
ティエ「はーい」
クライブ「跳べ! トロンベ!」
クライブは普段から乗っているロードランナーのトロンベを焚き付けて甲板まで跳ばせようとしましたが……
〈跳躍:目標8〉
トロンベ:7(失敗)
……微妙に届かず海に落ちてしまいました。まあ、浅瀬なので問題はなさそうでしたが。
クライブ「おしい……ま、仕方ないな、一緒に留守番だ」
トリシア「ばいばいとろんべ」
トロンベ「クェェェ……」
パワー「ジャムにすっか」
トロンベ「クェッ!?」
クライブ「おいやめろ」
その頃ノーティは、ティエと一緒に小屋の方にペガサスを連れて行っていました。ノーティの方はペガサスを最初から連れて行かず、置いていくことにしたようでした。
ノーティ「ペガサスの君は待っていてね、無事に戻ってくるから」
ペガサスはノーティの声に静かに頷きます。
ノーティ「言うことを聞いてくれて嬉しいよ」
それから全員が改めて船に乗り、荷物の引き上げを始めました。
クラウス「では、引き上げるぞ。腰に来るから気をつけろ!」
皆で力を合わせたこともあり、問題なく荷物を引き上げることができました。ヘヴィアーマーにガントレット装備の巨体の男が1人紛れていたのでかなり重かったはずなのですが。
クラウス「流石だな。腰は大丈夫か?」
パワー「あー腰痛だなぁ」
クライブ「お前を運んだ俺が腰痛になりそうだよバカ野郎」
パワー「ようやった、それでこそ男!」
クライブ「自分で動け。さもなくば鎧を脱げ」
パワー「変態!」
クライブ「うるせえ海藻類!」
なんだか新しいタイプの罵倒語が使われている気がします。……そんな掛け合いの様子を見て、クラウスは懐かしげな目をしていました。
クラウス「そういえば、望遠鏡は直ったのか?」
クラウス「望遠鏡は針路を見るのに必要でな。航海には必要だ。どうかね」
トリシア「直ったと思うヨ」
ノーティ「望遠鏡が直っているか、使ったことのない私には分かりませんね……」
トリシア「一応確認してネ」
クラウス「ああ、では渡してくれ。見てみよう」
トリシア「ドゾー」
クラウス「……うむ、問題ないようだ。よく直せたな、こんな古いものを」
トリシア「ふふふ」
ティエ「針路と言えばコンパスもあるけど、もっとデカいのが船に据え付けてあるんだろうなぁ」
クラウス「ああ、デカイ羅針盤がある。船で使うものは水平を取る必要があるからな、特別製だ」
ティエ「ほー。そういうもんなんすねぇ」
クラウス「これで、航海の準備は整った。しっかり毎日手入れをていたからな、クィナティット号も問題なく出港できる」
パワー「じゃあこの船、貰っていくぜ」
クラウス「それは困るな。儂は船を枕に死ぬつもりだったのだが」
パワー「お前の枕でけぇな」
クラウス「低い枕だと首が痛くてな。歳のせいか」
クラウスはそう言って豪胆に笑うと、船首に立ち、目標の島を指差しました。
クラウス「どうする、すぐにでも出港できるが。波風によるが、島までは2,3日といった所だろう」
ノーティ「では、準備もしたところですから、行きましょうか」
ノーティ「しかし、そんなにあの島に行きたかったのですか?」
クラウス「ああ、昔一度近くまで行ったんだがな。海が荒れていたせいで上陸できなかったのが心残りだったのだ」
クラウス「なんとか間に合って良かった」
クラウス「昔の仲間たちは間に合わなかったが……この船が皆の魂のようなものだ。満足してくれるだろう」
クライブ「ついた途端死なれたら困るからな。せめて帰りまで心残りもっていてくれ」
クラウス「そうだな、ちゃんと書き残す仕事がある」
クラウスはそう言って少しだけ遠い目をして、すぐに目の前の島に焦点を戻しました。
クラウス「では、いざ行かん東の海へ! 錨を上げろ!……といったらそこの錨を上げてくれ」
ノーティ「おっと…危ない危ない……」
クライブ「しまらんなぁ。まぁいい、分かった」
クラウス「それでは改めて、いざ行かん、東の海へ! 錨を上げろ!」
トリシア「ちなみに今更なんだけど、本読んだよ」
ノーティ「ヨーソロー」
クラウス「お、おう、今言うかね?」
クラウス「おっと、ヨーソロー!!」
トリシア「今思い出したんだ」
クラウス「そ、そうか。それはありがとう」
ティエ「パワーさんその錨引っ張ってー」
パワー「とれたんだけど?」
ティエ「クラウスさん飛んでくるからちゃんと結んでおいて?」
クラウス「おう、取るな取るな」
パワー「固結びしとく」
クラウス「まったく、賑やかなことだな」
こうして、皆を載せたクィナティット号は東の海に向けて出港しました。
ティエ「そういえば、海の竜に話すの忘れてましたね」
ノーティ「海の竜……我々は出発します……どうしますか……」
ノーティが海に向かってそう小さな声で呼びかけました。海の竜から返事はありませんが、明らかに波が変わったようでした。どうやら、東の島に向けて移動するのに最適化された波になっているようです。
ティエ「なんかすごい」
さて、こうして船が出港したわけですが……船は久し振りですね。そう、船と言えば忘れてはならないことがあるのでした……。
〈船酔いチェック:体力+精神:目標8-4(海の竜の波制御)〉
パワー:9
クライブ:10
ティエ:3
ノーティ:7
トリシア:8
ジョルティ:?(振り忘れ)
ルー:10
アリア:16
〈春の竜の加護〉
ティエ:10
ノーティ「竜が全力で船酔い防止をサポートしている様子が今ならわかりますね」
パワー「あーそうですねぇ」
ティエは春の竜の加護でなんとか持ち直しているようですが、些かばかり海に撒き餌をしていました。(婉曲的表現)
エレオノーラ《ホントに吐くんですね…》
ティエ「そりゃね。体力がないですからね」
エレオノーラ《…私に吐くのはおよしになってくださいね》
パワー「やっぱり体力が最高だな!」
ルー「河よりもっと揺れると思いましたけど、案外なんてことはないですね!」
というわけで、若干一名を除いて、安定した海の旅を楽しむことができました。時折クラウスから船員としての仕事を頼まれていましたが、それほど特別なことが必要なことは特にありません。
船首で針路を眺めているクラウスに、トリシアが近付いて話を聞いていました。
トリシア「おっちゃんなんで本書いたのー?」
トリシア「本書くより船で色んな所行きたそうに見えるけど」
クラウス「ん、ああ、まあ儂の旅の記録を残したかったというのが大きいな」
クラウス「確かに、海を旅しているのが一番性に合っているが……正直、あの時嵐の海の旅で少々怖くなってしまった所もある」
クラウス「今ではこの通りしっかり修復したが、戻ってきた時はいつ沈んでもおかしくないほどボロボロになっていた」
トリシア「そうなのかー」
クラウス「それと……あの旅が終わった後に、測量士のケヴィンと海図書きのレフリーが結婚するってんで船を降りてな。船を出せなくなっちまったのもあって、暇つぶしに書いたというわけだ」
トリシア「なるほどなー」
クラウス「もうかなり昔のことで、今考える恥ずかしい限りだが、いい思い出だよ」
トリシア「おっちゃん結構寂しがり?」
クラウス「そうかも知れんな……。思えば、仲間と一緒に旅をするのがやっぱり楽しかった」
クラウス「こうして、また船に乗れて良かった。感謝する」
ノーティ「まだまだ思い出だってたくさん作れますよ……」
パワー「天寿全うしそうな顔してんなじじい」
クラウス「そうだな、こうして海が静かになった。もっと旅ができるだろう」
クラウスの物腰は穏やかでしたが、どこか寂しげで、どこか楽しげでした。やはり、人にとっても旅というのは……重要なものなのでしょうね。
〈察知:敏捷+精神:目標8〉
パワー:10
クライブ:11
ティエ:13
ノーティ:13
トリシア:8
ジョルティ:4(失敗)
ルー:12
そんな話をしていた時、突然、フリーグゼルの方向に何かキラリとした光を見つけました。
臨海公園の方でなにかが光っているようです。
トリシア「!」
トリシア「あそこ望遠鏡で何か見えますか」
ティエ「なんか光った?」
クラウス「む、望遠鏡を貸そう、見てみると良い」
クラウスはそう言って、トリシアに望遠鏡を手渡しました。トリシアはそれを臨海公園の方向に向けて覗き込みます。
トリシア「じー」
トリシアが望遠鏡で光の方向を見つめると、そこには、こちらの方向を望遠鏡で覗いている男の姿が見えました。(私は竜人視力で見ています)
トリシア「何か男がこっちを見てるようだ……なんだろう」
トリシア「公園の望遠鏡って壊れてなかったっけ?」
ティエ「なおしてないですね…」
トリシア「見てるってことは直したか別の望遠鏡か」
紫色のローブを身にまとっている男のようでした。遠いためそれ以上のことは分かりません。竜人視力でも良く見えませんでしたが……どうやら、壊れていたはずの望遠鏡を使って見ているようでした。
トリシア「紫色の男がみえるよ ほら」
ノーティ「どういうつもりなのでしょうね……?」
クライブ「ちぇー」
トリシアが望遠鏡を回し、他の者達も公園の方を見ました。同じように紫色のローブの男が見えました。
しばらく見ていると、向こうの男は望遠鏡から目を離して、公園を後にしていきました。
トリシア「ドラゴンサイン使ったら反応あるかな」
トリシア「この海竜脈通ってないかな…」
そんな事を考えている間に、男の姿は完全に見えなくなっていました。
クラウス「何だったんだ? 誰かこっちを見ていたのか?」
ノーティ「紫色のローブの男が……確実にこちらを見ていましたよね……」
クラウス「ふむ……。まあ、海の霧が晴れたことだ、船がいたから見てみただけではないかね」
ノーティ「心当たりはないようですね」
クラウス「ああ、全く」
それから暫くはその人物についての話題で盛り上がりましたが、結局その真相はわからないままということもあり、それ以上話をすることはありませんでした。
その後もゆったりとした船旅が続きました。
夜中になると、河で見たのよりも遥かに大きな、いうなれば超弩級斬馬とも呼べるような大きな魚影が見えましたが……海の竜のお陰か近づいてくる様子はありませんでした。
~春の月 20日~
そして翌日、その日も気持ちよく晴れていて、程よい風が肌を撫でていました。
朝にはかなり島影が近づいているように見えました。
〈コンディションチェック〉
パワー:12(絶好調)
クライブ:11(絶好調)
ティエ:12(絶好調)
ノーティ:7
トリシア:15(絶好調)
ジョルティ:9
ルー:5
〈春の竜の加護〉
ジョルティ:13
クラウス「おはよう。かなり進みが良い。こんなのは初めてだ」
クライブ「運がいいんだろうな」
クラウス「うむ、やはり海の上はいいな。心なしか体調もいい」
クラウス「では、今日も頼んだぞ。と言っても、もうそれほどやることはない。好きに過ごしてくれればいい」
ジョルティ「お、そうだな」
ノーティ(もう歳のはずなのに航海となると強いものですねえ)
ジョルティ「釣りしよ」
ティエ「オリハルコンの釣り竿貸しますよ」
〈釣り判定〉
ジョルティ:19(成功):サイズ7(普通)
クライブ:18(成功):サイズ9(少し大きい)
ティエ:20(成功):サイズ9(少し大きい)
パワー:20(成功):サイズ13(ヌシ)
ルー:8(失敗)
その日はクラウスから船員の仕事を頼まれることもなく、皆で釣りをして過ごしました。トリシアは釣りをせず、船尾の近くで紫煙をくゆらせていましたが。
~春の月 21日~
そして翌日、晴れやかなその日に、ついにクィナティット号は東の孤島に辿り着きました。クラウスはゆっくりと孤島の西岸に船を接岸させ、縄梯子を下ろしました。
〈コンディションチェック〉
パワー:10(絶好調)
クライブ:15(絶好調)
ティエ:Critical(24:絶好調)
ノーティ:10(絶好調)
トリシア:10(絶好調)
ジョルティ:Critical(17:絶好調)
ルー:12(絶好調)
なんだか皆、やたらと体調が良いようでした。海の竜のおかげでしょうか?
クラウス「……ついに到着したな」
クラウス「皆、降りると良い。儂は少しこの外周を見てみたい。今日の夜までにはここに戻る」
ジョルティ「あいあいさー」
ノーティ「では、一歩踏み出して……この一歩は私にとっては小さなものだが……何にとっては大きな一歩なんでしょう?」
ティエ「聞かれても?」
ジョルティ「久しぶりの陸」
こうして皆は縄梯子を降りて孤島に降り立ち、クラウスのクィナティット号は岸を離れていきました。
クラウス「では、また後で会おう!」
トリシア「またねー」
ティエ「また後でー」
パワー「成仏しろよー」
クラウス「勝手に殺すんじゃない!」
その島は見るからに小さいものの、中央には高い山があります。……というよりは、それ以外は特になにかあるようには見えません。
高い山の頂き付近は靄が掛かっており、その様子を窺うことはできませんでした。しかし、薄っすらと冠雪していることはここからでも見て取れました。
ジョルティ「登ろう」
ティエ「竜の気配とかわからないものですかねぇ」
ジョルティ「竜って大体地下か山頂にいるじゃん」
ティエ「アーリアさーん」
ノーコメントでお願いします。私も多分あそこに冬の竜がいると思いますが、そう言っていなかったら恥ずかしいのでノーコメントでお願いします!
パワー「山だぁぁあああ」
ノーティ「ティーチさんは周りを見て回ると云ってましたね、全貌を見たいとも思いますが」
ノーティ「実は裏から見たらハリボテだったり……」
ルー「島がハリボテだったら凄いですね……」
ルー「結構高そうですけど、登って大丈夫でしょうか?」
ノーティ「そうですねえ……どのぐらいの高さでしょうか……」
パワー「山はいいぞぉ」
パワー「おっと、忘れるところだった。その前に草の時間だ!」
ティエ「さすが草食系だなぁ」
〈薬草取り:高山:目標14〉
パワー:10(失敗)
ノーティ:9(失敗)
パワー「駄目だな草ねえな!」
ルー「仕方ないですよ、高山は険しいですし」
ノーティ「そもそも高山の薬草は枝ですよ」
ティエ「結界樹枝は難しいですよねぇ」
パワー「先に言えよぉ!」
ノーティ「まあ、何にせよ、頂上の様子は上ってみないことにはということですね」
パワー「つまり上るということですね?」
ルー「上の方は霧がかかってて見えませんね…」
ティエ「ドラゴンフライで見に行けないかな?」
パワー「人間には立派な足がついています。ハエみたいなことをしてはいけません。どうせ登るのです」
言っていることは正しいのですが突然何故そんな話し方に?
ノーティ「体力は使いたくはないですが、最終的にはそうなりますから、仕方がないですね……」
ルー「気合入れて登らないといけませんねぇ」
トリシア「竜絡みなんだったら鍵反応したりしないかな」
クライブ「鍵は光ってないぞ?」
ノーティ「使える時に光っているとも限らないのでは?」
ジョルティ「使ってみれば良いじゃない、試しに」
パワー「こすったら光るんじゃね」
クライブ「そうだな」
クライブが空中に向けて金の鍵を回しましたが、竜の道は繋がりませんでした。私が訪ねようとした時と同じく、冬の竜は自らの棲家を鎖しているようです。
ジョルティが何かあるのではないかと思い鏡をかざしたりしていましたが、こちらも特に何も起きることはありませんでした。
ジョルティ「はい」
ルー「……何もないですねぇ」
ジョルティ「心なしか今日は肌の艶が良い気がしました」
ルー「海が合ってるんですかね?」
ジョルティ「潮風って水分もってかれない?」
ジョルティ「よし、良いから登ろうぜ!」
ノーティ「では登りましょうか」
ティエ「登りますかー」
ティエは高山歩かなければならないことになったことで、心なしかしょんぼりとした顔をしていました。……まあ、体力ないですからね、彼は。
〈移動チェック:濃霧の高山:目標14+3〉
パワー:15(失敗)
クライブ:15(失敗)
ティエ:11(失敗)
ノーティ:Critical
トリシア:20
ジョルティ:12(失敗)
ルー:13(失敗)
ノーティ「傾斜がないかのようにスルスルと」
ノーティ「まるで下り坂のよう」
それは傾斜があるのでは?
ティエ「むりむりーつかれたー」
ジョルティ「普通に無理ですよねー」
ルー「流石に……きついですねぇ」
パワー「だれかおぶって」
クライブ「自分でどうにかしろ」
パワー「おっさん一人くらい運べるでしょお」
クライブ「うるせえおっさん」
ティエ「自分にキュア打つか悩むな…」
高山を登っている途中で、他では見かけないような樹木があるのを見かけました。樹氷のようにキラキラと輝いていますが、よく見ると氷が付いているわけではないようです。
普段からハーブ取りに勤しんでいるパワーとノーティには、どうやら結界樹の亜種のようなものであることが分かったようでした。
ノーティ「これは……”食べられない"あの結界樹枝が採れる樹に似ていますね……」
パワー「食えねぇならいいか」
ノーティ「まあまあ、採ってみましょうよ試しに」
〈薬草取り:高山:目標14〉
パワー:14(結界氷枝1つ獲得)
ノーティ:13(失敗)
パワー「食べ……られない! 硬いぞ!」
ノーティ「こう、何とか口の中でふやかして……なんでもないです」
パワー「しばらく口にいれとくか」
ルー「冷たいんですか? それ」
パワー「それなり。でも溶けない」
通常の結界樹枝と違い、氷のように透き通っています。
ノーティ「これは……儀式魔法を通常魔法として使用できる力があるようですね」
パワー「よく分からんな」
ノーティ「凄いってことですよ」
パワー「最初からそう言いなさい」
そんなわけで、目新しいハーブを見つけてからしばらく登ると、頂上が近づいてきました。周囲を包む霧は更に濃くなり、見通しが悪くなってきています。
トリシア「霧が濃くなってきたな」
……が、これは恐らく……竜の棲家に入ったのでしょう。突如として皆に姿が見えるようになった私の方に、ちょうど近くにいたティエの視線が向いていました。
ティエ「あ、こんにちは」
「……あれ? 見えてますか?」
ノーティ「いらっしゃったんですね、全然気が付きませんでした」
ノーティ「何か言ってくださいよ」
パワー「しゃべってみろ! はねてみろ! チャリンチャリンなってるだろ!」
「お金なんて持ってませんよー」
「静かについていくのが信条なものでして」
ジョルティ「霧が濃くってなぁ」
「確かにかなり見通しが悪いですが……私が見えるようになったということは、多分、冬の竜はこの先にいると思います」
「竜の棲家でしか、私達の姿は普通は見えませんから」
パワー「今日のおかずにもうすぐ会えるな」
「あれ? パワーもそういう感じでしたっけ?」
パワー「しばらく草しか食べてないので」
「またまた、取るの失敗して食べられてないでしょ?」
「というか昨日魚食べてたでしょうに」
パワー「そこをなんとか」
ティエ「船に半解凍のオレンジがありますよ」
「美味しいですね、あのオレンジ。こっそり一個頂きましたけど」
ノーティ「竜は美味しくないって話ですよ、胃の中に入れば何でも良いんですか」
パワー「おにくっていいよね」
ジョルティ「アリアちゃんや」
「なんでしょうなんでしょう?」
ジョルティ「冬の竜見つけたら呼んだほうが良い?」
「あ、このまま一緒に行きますよ。と言うより、竜の棲家では、姿を消せないんです」
ジョルティ「ほう」
トリシア「ってことは今まで竜っぽいのに会ってた時急に走り回ったら見れてたのかな」
ジョルティ「そういうことになりますな?」
「ああ、季節の竜以外は棲家を持たないんです。なので、残念ですが見えませんでしたよ」
トリシア「はえーそういう感じかー」
そんな話をしていると、ジョルティが何かを思いついたように背負っていた竜殺しの弓を手に持ちました。当然、私に反応して刻印が光り始めます。
ジョルティ「アリアちゃん感知機能!」
「姿消えてる時は反応しませんよ、多分。というより反応していませんでしたし」
ジョルティ「なんでや!!」
「さあ……私もよく知らない技術ですしそれ……」
パワー「匂いでわかるやろ」
「臭いまでフルステルスですよ!」
「いや、臭くないですけど!」
ティエ「そういえば今は持ち歩いてないけど箱の黒いヤバそうな水晶は持っててええんです?」
「竜に付けないなら大丈夫なんではないですか……? 私には向けないで下さいね」
「というわけで……そろそろ行きましょうか?」
ティエ「はい」
ノーティ「いよいよご対面と」
「と、私が主導するのも変ですね。私はいつもどおり後ろから着いていきますので、どうぞどうぞ前に」
ノーティ「さて、行きましょう」
ルー「どきどき」
私は皆の後ろに戻り、彼らが濃霧の中を進んで行くのに着いていきます。しばらく歩くと、さらに霧は濃く、冷たくなっていきました。
全く視界がないような状態ですが、何故か進む方向は分かるようでした。何かに導かれるように、霧の中を進んでいきます。
特にノーティは移動が上手くこなせたことからか気分が良さそうでした。鼻歌交じりに先頭を歩いていました。
そうして暫く歩いて行くと……白く冷たい霧の中に、巨大な黒い影が鎮座していることに気が付きました。
その巨大な影は、竜の君と同じような大きさをしています。体表は黒く、赤い目が皆と私のことを見詰めていました。ジョルティの取り出していた竜殺しの弓も反応して光っています。
トリシア「ほへー」
ノーティ「間違いないようですね…」
ジョルティ「あっさり見つかりましたな」
ティエ「こんにちはー」
冬の竜「……何者ぞ。我らに弓を引きに来たのか?」
その声は小さい範囲で木霊をしているように聞こえました。竜の君の声と同じように。
ノーティ「やっと会えました。あなたが冬の竜ですね?」
冬の竜「……その通りだが……よく見ると、春の竜の眷属まで共にいるではないか」
ジョルティ「喋れるじゃん。もっと危篤なのかと思ってた」
トリシア「そろそろ春の気候にしませんかね?」
トリシアがそう冬の竜に直球で持ちかけました。すると、冬の竜は(彼らには竜の表情の違いは分からないと思いますが)、驚いたような貌を見せました。
冬の竜「……ん? 待て、そうか、そのために来たのか」
ノーティ「ご存知でいらっしゃる」
トリシア「待ちますよ」
冬の竜「……これは失礼した。まさか、外は今もまだ冬のままか……?」
トリシア「氷の結晶がよく空を舞っております」
ティエ「そうです。さむいです」
冬の竜「……そうだったか……。それは済まないことをした」
ジョルティ「ボケたの?」
冬の竜「海の竜が荒ぶっていたせいで、外の世界の様子が分からなかったのだ」
ノーティ「それで、冬の竜たる貴方が……何かあったのかと」
トリシア「ほへー」
冬の竜は、この島の外が長い冬に包まれていたことに気が付いていなかったようです。
トリシア「なんか海の竜監禁されてて生命力奪われてたよ」
ジョルティ「海の竜実は凄いんじゃない?」
冬の竜「……ああ、そこまでは聞いた」
冬の竜「……君達は竜人を連れているということは……竜と竜人のことをある程度は知っているのだな?」
ノーティ「ある程度は。もう少しお聞かせいただけるならそれでも」
まあ、あまり話していない気はします。
冬の竜「我ら季節の竜は、それぞれ竜人を眷属として持っている。この竜人からの旅物語を糧として、私達は生きている」
ジョルティ(アリアちゃんの覗きは趣味じゃなかったのか…)
冬の竜「……そして竜人は、我ら竜と繋がっている。我ら竜に何か問題が発生すると、竜人にも悪い影響が出る。逆も然り」
パワー「さよか」
トリシア「そういえばアリアちゃんから冬の竜の加護がついてる旅人の話は聞いてないような……いや、聞いてたわ、ルーちゃんから」
ルー「そうですね、恐らく彼らが……」
冬の竜「……昨年の春頃に、我が眷属が着いていた旅人が死んでしまった」
冬の竜「旅人が死ぬということは、我々の竜の歴史の中ではそれほど珍しいことではない。……が、彼女にとっては初めての旅人だった」
冬の竜「上手くすれば助ける事もできただろう。……彼らを守るために傷も負い、目が見えなくなってしまった」
冬の竜「……それを治すために、私自身の調子が良くなる冬の力を強めて治療を行っていたわけなのだが……」
冬の竜「……今はここで休ませているのだが……まだ十分に回復したとはいえない」
トリシア「ほへー」
冬の竜「然し、このまま冬を続けていることにもいられないのだな」
ジョルティ「また来年でお願いします」
冬の竜「……我が力を収めよう。すぐにでも、春は来るだろう」
冬の竜はそう言って、大きく黒い翼を広げました。周囲の空気がガラッと変わりました。
霧の中からは外の様子こそ見えないものの、春が来たことがはっきりと体感できました。
ジョルティ「あったけぇ」
冬の竜「……これで、季節はもとに戻ったはずだ」
ノーティ「ああ……こんな感覚、どれほどぶりでしょう……」
冬の竜「しかし、このまま眷属に力を与え続けているのではいずれ私の力も尽きてしまう。我が竜人に、再び旅をして貰わなければならない時が近づいているということなのだろう」
ジョルティ「叩き起こそう」
冬の竜の影から、真っ白い肌をした、黒い長髪をした少女のような竜人が姿を表しました。黒い瞳はこちらの方を向いているようでしたが、確かに見えてはいないようでした。
トリシア「いつもの流れなら何かしてくれと言われることが多い私達ですが。何かありますか!」
ノーティ「直球ですねえ」
トリシア「遠回しに言われるなら聞いてみようかなと」
冬の竜「……そうだな。彼女を付けるために良い旅人がいれば良いのだが……」
冬の竜「君達はすでに春の竜の旅人のようだ」
トリシア「まあ私達も明日死ぬかもね」
ノーティ「旅人というのは、今までに旅をしたことがない人々でなければならないわけですよね……知っている人だと……?」
トリシア「ルーちゃんは別に春の竜の旅人ってわけじゃないんだろうけども」
ルー「……そうですよね? 私は、春の竜の旅人ではない、はずですよね」
「ええ、ルーは私達の旅人ではありませんが……」
トリシアがこちらを向いていたので、そう答えました。
ノーティ「つまり、冬の竜の元で旅をするのに問題はないと」
ルー「……ですよね。……あの夢を見て、みなさんと一緒に海まで来たのには、意味があったんだと思います」
トリシア「お姉さんでも良いのよ?」
ルー「お姉ちゃんは、なんだかんだでライル義兄さんと離れたがらないですから……」
トリシア「家から出たくないだけでは」
ルー「それもありそうですけどね!」
ノーティ「ルー君は覚悟しているのですね」
ルー「……というわけで……。あの、もし良かったら、私を冬の竜の旅人にしてくれませんか?」
ルー「皆さんのお陰で、少しではありますけど、旅の道にも慣れました」
ルー「ちょうど、帰り道が一人なのは心細いと思っていたんです」
ルーの申し出に、トリシアとノーティはどこかそうなる気がしていた、というような目をしていました。
冬の竜は目を細め、ルーの姿を見つめています。
ルー「冬の竜人さんは、なんという名前なんですか?」
ネーヴェ「……ネーヴェ。竜の言葉で、雪という意味」
冬の竜人の少女は、小さな声でルーに名乗りました。ルーはそれに笑顔で答えます。
ルー「私はルー。ルー・フィオーネって言います」
ネーヴェ「ルー・フィオーネ……。……黒竜様。なんだか、彼女と一緒なら、旅をできる気がする」
冬の竜「……ネーヴェ、良いのだな」
ネーヴェ「……はい」
でも、ネーヴェさんは目が見えないはずです。そういった中で、旅に同行することは難しいでしょう。……少し考えて、1つ良いことを思い付きました。
「……そういうことなら、これをあげましょう、冬の竜人さん」
「私が竜人の友から貰ったものですが……彼女もこういう使いみちなら文句は言わないでしょう」
私は懐からリーズさんに貰ったマスコットを取り出し、ネーヴェさんに手渡しました。
「このマスコットがあれば、人の姿で共に旅をすることができます」
ジョルティ「じゃあこれも何かと交換しましょう」
私がマスコットを手渡したのに合わせて、ジョルティも荷物の中から黒い鏡を取り出してみせました。
冬の竜「……その鏡も、持ってきてくれていたんだな」
ジョルティ「何か良いものと交換してくれるなら嬉しいんですが!!」
冬の竜「……鏡は、私が預かっておこう。いずれ、またこれを持って旅ができる日が来るかもしれない」
ジョルティ「そんな迷惑な鏡いる?」
冬の竜「……旅物語を作るのには、色々とあるのだよ」
冬の竜「しかし……良い物と言っても……困るな。我々竜は人間が喜ぶようなものを持っているわけではない」
冬の竜「杯も短剣も、君達には不必要だろう」
ジョルティ「後者で」
冬の竜「これは渡せんな……人に渡すのは危険すぎる」
ジョルティ「えーケチー」
ジョルティの言い様に、冬の竜は些かばかり苛立っているようでした。まあ、表情は私にしか分からないのですが。
冬の竜「……まあ、今回の件は感謝しているが。基本的に竜は取引をする存在ではない」
冬の竜「……鏡は預かっておこう。それこそ、君達には必要がないもののはずだ」
冬の竜「……竜や竜人にとっては、必要になることもあるのだよ。一見、全く意味がないようなものでも」
トリシア「竜に下手に取引を持ちかけるべきじゃないね」
ルー「……っと、話が脱線してしまいましたけど……。これで、一緒に旅ができる、ってことですよね?」
ルー「目が見えないなら、手を取って進めばいいんですよ。私も、皆さんに手を引いて貰って、ここまで来ることができました」
ノーティ「つまり我々とはここでお別れになるってことですか。名残惜しいですが……ルー君の選んだ道です」
ルー「そうですね、皆さんのお陰で、ここまで来られて本当に感謝しています」
ルー「皆さんの力がなければ、到底ここまで来ることはできませんでした。それに何より……一緒に旅ができて楽しかったです」
ノーティ「これからが本当の旅になりますよ。新しい仲間と一緒に、これから……」
ルー「はい。まずは一度フリーグゼルに戻って、仲間探し、ですね!」
ルー「賑やかな方が楽しいって、教わりましたから」
ノーティ「もっと良いメンバーがきっと、いや絶対見つかりますよ!」
トリシア「目は完全に見えないの?」
ネーヴェ「……残念ながら見えないの」
トリシア「つまり揉み放題ということ?」
ネーヴェ「……触られたら分かるよ?」
トリシア「やらんけど!」
私にはやったのに……。
「……まあ、春が戻りましたし、私としては目標達成ですね」
クライブ「もうほぼ終わりだけどな、春」
「そろそろ良いでしょう……。皆さん、少しこちらを見て下さい」
ノーティ「春の竜もお喜びになられるでしょう……はい?」
「……皆さんにかかっている魔法を解きます。旅を始めるために、皆さんには故郷を忘れて貰っていましたが……もう、必要ないでしょう」
ジョルティ「お前の仕業かよ!!」
「こっちにも色々都合があったんですよ!」
パワー「勝手なことを! ぶん殴ってやろうか!」
「待って下さい、パワーには掛けていないはずですよ! 冤罪です冤罪! というか貴方はなんで忘れてるんですか!?」
パワー「知らん!」
「……まあ魔法は関係ないんですよ、パワーには。思い出せないってことは、私のせいじゃありませんよ!」
「……ゴホン。お見苦しい所を。皆さんの旅も、もうすぐ終わりが近づいています。その時に、道に迷うことがないようにしないといけませんからね」
皆の視線が私に集まったところで、私は彼らにかかっていた忘却の魔法を解除しました。これで、彼らはもう、自分の故郷のことを思い出すことができるでしょう。
ノーティ「……思い出した……」
ティエ「あ! 故郷はこの地図のここら辺だ!」
パワー「思い出した! ハルシャギクまだ食べてない!」
クライブ(船で何食うかなー)
ジョルティ「思い出したけどよく考えたらくっそどうでもいいな」
ノーティ「私は帰ってこの旅のことを遺さなければ」
トリシア「忘れてた気があまりしない。そんな話だったっけ?」
「トリシアは皆が故郷を忘れた話をしていた時に寝ていましたからね」
「……では、私達は帰りましょう。フリーグゼルまでは、一緒に行きましょう、ルーもネーヴェも」
冬の竜「……その子のことをよろしく頼む。春の竜の旅人たち、そして、ルー・フィオーネ」
冬の竜「麓まで続く竜の道がある。使うと良い」
冬の竜がそう言うと、直後にその場にいた全員が山の麓に移動していました。
しかし、麓の景色は先程とかなり違っているようです。木々は萌え、花が咲いていました。
岸にはクラウスの船が戻っており、こちらを見て驚いたような表情をしていました。
ネーヴェさんは早速マスコットを使い、羽と角のない人間の姿となっていました。逆に私の姿は竜の棲家から離れたことで、皆には見えなくなっていたことでしょう。
パワー「萌えー!!」
ネーヴェ(すぐ叫ぶの怖いんですけど……)
ノーティ「ルーさんのことをよろしくお願いします、冬の竜の君、ネーヴェさん」
ネーヴェ「……ええ。今度こそは」
ネーヴェ「……これから、よろしくお願いね、ルー」
ルー「……さあ、手を。ここから一緒に旅を始めましょう、ネーヴェさん」
ルーがネーヴェの手を取り、一歩だけ前に進みました。ネーヴェもルーに手を引かれて一歩だけ前に進み、仄かに笑った気がしました。
ノーティ「我々はこれから最後の旅路ですか……旅というものはどうやって終わるのでしょう?」
ネーヴェ「旅の終わりに決まりはないわ。好きに旅をして、好きに旅を終える」
ネーヴェ(でも、貴方達はそうじゃないかも知れないね……)
クラウス「……なんだかよくわからんが、どっから出てきたんだ?」
クラウス「1人増えているし……それに、すっかり暖かくなってやがる。不思議なこともあるもんだ」
クライブ「ま、その程度些事だろ。さっさと帰るぞ」
クラウス「……ま、細かいことは気にせんがね! もう帰るのか?」
ノーティ「ちょっと春が来るのが遅れましたね。これで街も元通り……でしょうか」
ティエ「いや…街は…」
クラウスは豪胆な人物ですね。冬の竜が迂闊にも人のいるところに私達を送ったにも関わらず、クラウスは特に気にしている様子はありませんでした。驚いてこそいましたが。
クラウス「すぐにでも出せるぞ、帰るなら乗ると良い」
ノーティ「帰ってからこれからのことを考えましょうか」
クライブ「戻らなくてもどうせ今までの街と変わらない程度だろ。今更気にしたところでしようがない。パスの金は無駄になったが」
ノーティ「色々思い出したこともありますし」
皆はそんな話をしながら、縄梯子を登って船に乗り込みました。ルーがクラウスにネーヴェさんが盲目であることを告げると、荷積台を下ろして引き上げてくれました。
トリシア「クラウスさんなにしてたの?」
クラウス「ん? ああ、ぐるりと島を回ってきたんだよ。何か目ぼしいものでもないかと思ったが……」
クラウス「海が荒れていないこの島は、ただの島だった!」
トリシア「本の続編書けなさそうですね」
クラウス「……ま、そういうことの方が多い。長年の心残りがなくなっただけで十分さ」
クライブ「さてな。頂上に何かいるかも知れんぞ」
クラウス「山は専門外だ!」
パワー「山にも上れ! 軟弱爺め!」
クラウス「壊した錨の代わりにしてやろうか!?」
クラウス「そうだな。今度は北の海にでもいくさ。楽しみが一つ増えてしまったな。まだまだ死ねそうにない」
クラウス「ま、帰るなら行くぞ。遅くなる前に出てしまおう」
クラウス「なんだか見覚えが無いのも1人いるが、構うことはない!」
パワー「引き上げたら錨完全に壊れたんだけど」
クラウス「錨を上げろ!といったら錨を上げろと言っただろうに!」
クラウス「まあいい、ヨーソロー!」
ノーティ「面舵いっぱあい」
クラウス「待て待て激突させる気か!」
パワー「いえーい!」
クライブ「後は任せたzzz」
ティエ「しゃくしゃく オレンジうまーい」
トリシア(喫煙中)
クラウス「おい、船員働きする約束のはずだぞ起きろぉ! 食ってるんじゃない! 吸ってるんじゃない!」
ノーティ「取舵いっぱーい」
パワー「やらせろー!」
クラウス「舵は壊してくれるなよ!?」
船上は賑やかでしたが、波は穏やかでした。きっと、海の竜が待っていてくれたのでしょう。
一行はゆっりとした船旅で、フリーグゼル北の入り江まで戻るのでした。
〈ブレス発動:ミライ〉
~春の月 23日~
冬の竜の孤島を出発して2日後の昼過ぎ頃、フリーグゼル北の入り江に到着しました。
クラウス「よし、着いたぞ。世話になったな」
ノーティ「ありがとうございました、色々助かりました」
クライブ「おうじゃあな。死んだら呼んでくれ」
クラウス「そうそう死ねんよ。船旅の楽しさを思い出してしまったからな」
クラウス「錨が壊れたから直るまで船にいるとしよう。オレンジは結局お護りでおわったな。必要なら持っていってくれてもいいぞ」
パワー「壊して悪かったな!」
クラウス「要らないようなら、暫くオレンジ暮らしをしようじゃないかハハハ」
ノーティ「オレンジが駄目になってしまう前に頂きますか」
ティエ「だいたいみんな喰ったからあと1箱もないし 1人1,2個で捌けるんじゃないかな」
ルー「頂きましょう、美味しいですし、オレンジ」
ルー「とりあえず、フリーグゼルに戻りましょうか」
クライブ「戻ったところで既に景気の悪い街だけどな」
ノーティ「同じ竜人でもネーヴェさんは食欲旺盛ではないんですね、メモメモ……」
トリシア「アリアちゃんなら率先して食べに来そうだよね」
……実は密かに1つ食べてるんですけど、バレてないですよね?
ネーヴェ「……竜人は本来食べなくても良いから……。でも、1つ貰います」
トリシア「へー食べなくていいんだーへー」
(ドキッ)
(惑わされてはいけません。食べないといけないに決まってるじゃないですかハハハ)
ルー「今晩、色々話を聞かせてください。皆さんの故郷の話、教えてくれると嬉しいです」
ノーティ「そうですね、私達も思い出しながら、是非」
ノーティ「では、クライブさんお願いします」
クライブ「おう」
クライブが金の鍵でフリーグゼルまで竜の道を繋ぎ、皆はフリーグゼルの宿へと戻りました。クラウスは目の前で起こったことをやはり不思議そうにみていましたが、それほど気にしているようではありませんでした。……ちょっと気にしなさすぎな気もしますけどね?
その日は皆で夜更かしをすることになりました。ルーが料理をして、皆はそれを食べながら、自分の故郷の場所やその場所での暮らしの話をしていました。
第三十三話 第三部「七つの旅-冬/春の息吹」 完
こうして、ようやく長い冬は終わり、穏やかな春が訪れたのでした。……まあ、大体のことは竜の君もご存知のことだったとは思いますけれども。
ルーのこと、そしてネーヴェさんのこと、私にとっても予想外のことが沢山ありました。……この旅の終わりが、着実に近付いてきているように感じます。彼らは皆個性的で、ハチャメチャで、正直疲れることもありますけれど……こう、終わりが見えると、寂しいですね。
次回はどんな物語になるのでしょうか。残された短い春の彼らの旅を、記して参りましょう。
【MVP:トリシア】
こちらは、2017/2/3.4に行ったオンラインセッションのリプレイです。
長かった「七つの旅-冬」もこれにて完結を迎えました。冬の竜人ネーヴェの登場により、四季の竜人が全員揃ったことになります。
ここからは、本格的に彼らの旅の終わりに向けて、私の考える「りゅうたま」世界を描くことになります。……りゅうたまの持っている「旅」の楽しさというのは、少しばかり控えめになってしまうかもしれません。それでも、旅の終わりを描くために、お付き合い頂ければ幸いです。
それでは、次回の話の前に……番外編でお会いしましょう。リプレイではなく全編新規執筆ですが……。
【参考サイト】
季節の竜と、旅人を失った竜人と、新たな旅人。「りゅうたま」の設定を存分に活かしたストーリー展開が実にお見事。今回も充実の旅物語を楽しませて頂きました。
返信削除重要な謎はだいぶ片付いたキャンペーンですが、まだまだ気になる点が色々残る状況ですね。
旅の終着まで、じっくりと眺めさせて頂きたいと思います。
コメントありがとうございます!
削除伝説の旅は完全にGMが考えている形ですが、お楽しみ頂けているようなら幸いです。
残るシナリオはもう多くありませんが、旅の終わりまで、お付き合いいただけると幸いです。