2017/02/07

りゅうたまリプレイ 第三十三話 第一部「七つの旅-冬/魔都フリーグゼル」【キャンペーン】

随分遅くなってしまいましてすみません、竜の君。
フリーグゼルのことを皆に頼んでから、随分色々あったもので……。
それにしても、今日は暖かいですね。やっぱり、こっちの方が春っていう気がして、好きですよ。なんだかんだ、やっぱり私も春の竜の眷属なんですねぇ。
それでは、お聞かせしましょう……今回は長いですから、覚悟して下さいね?


第三十三話 第一部 「七つの旅-/魔都フリーグゼル」




春の月 17
名ばかりの春が、また今日も訪れました。
外は相変わらず寒いですが、フリーグゼルの屋内はどこも暖かく、過ごしやすいものです。
皆、私や竜の君との邂逅で疲れているようでしたが、朝にはしっかり目を覚ますあたり、旅慣れを感じました。

〈コンディションチェック〉
パワー:14(絶好調)
クライブ:18(絶好調)
ティエ:11(絶好調)
ノーティ:12(絶好調)
トリシア:7
ジョルティ:7
ルー:6

皆が体調を確認しつつ朝食を採っていると、外から何か声が聞こえてきました。どうやら、フリーグゼルには市内に向けて放送を行う施設があるようで、そこから聞こえているようです。

市内放送フリーグゼル市魔晶網管理局からのお知らせです。本日、吹雪により積雪量が多く、融雪のための魔力量の不足が予測されます
市内放送つきましては、輪番停力へのご協力をお願いします。午前9時より午前11時、住宅街東区。午前11時より午後13時、住宅街西区。午後13時より午後15時、宿泊街東区。午後15時より午後17時、宿泊街西区。午後17時から午後19時、公共施設街
市内放送以上、フリーグゼル市魔晶網管理局からのお知らせでした。ご協力をお願い致します」

ノーティ「この放送も魔晶の力ですかね
パワー「よく分からんけど草取りに行ってくる」
ノーティ「いってらっしゃい」

<薬草取り:密林:目標12+1
パワー:9(失敗)

パワー「草食えない…」
ジョルティ「おおい、パワーさん道草食ってんじゃねぇ!! 食ってない!?
パワー「餓死する」

さっき普通にご飯食べていたでしょうに……。何故そんなにも草にこだわりを……。
そんなこんなで、パワーが戻ってきたのは大体朝の8時頃でした。

ノーティ「どうでしょう、輪番停力が重なる時間に調査に行くのが良いと思いますが。つまり放送の順に……
ジョルティ「なんで?
ノーティ「水晶魔法の影響を比較実験できるからですよ
トリシア「なるほどー
ジョルティ「それで壊したらお前…どうなってもしらんぞ!!
ノーティ「別に魔法を使うとは言っていませんが……
ジョルティ「いやまぁ、冗談はおいといて
ノーティ「まあ、観察がメインですね。聞き込みなりなんなりもできるでしょうし」
ジョルティ「実験するなら研究所で手伝って貰った方が早いんじゃないか?
トリシア「図書館で冬の竜について調べてみるとか
ノーティ「まあ……確かに今から2時間研究所に行っても計画に影響は出ませんが
ティエ「聞き取りでぐるっと回ってから図書館でまとめる感じとか?
ノーティ「移動時間も含めると、1箇所調べるのに2時間ほど掛かりそうだと考えると……今から研究所、市内施設の5箇所を回って図書館に行けば22時に終わりますね、宿の時間に間に合います
クライブ「まかせた
ジョルティ「情報が集まりそうな所といえば、情報屋は間違いないとして、後は人が集まりそうな飲食街宿住宅区商店街辺りか?」
ノーティ「役所は待たされそうですからね……
トリシア「役所はお昼時外したらそこまで混んでないんじゃないかな
トリシア「同じ理由で飲食店街もお昼時は相手にしてもらえないんじゃないかなー?」
ルー「見る場所多いですね……手分けした方が良いでしょうか? 私じゃ分からないことが多そうですけど……
ノーティ「研究所、情報屋、住宅街、飲食街、役所、商店街、図書館の順で22時ですね、この順を考えていますがどうでしょう
ティエ「いいんじゃないです?
ノーティ「今日中に見て回ったほうがいいんでしょうかね? 早いに越したことはないですが
ノーティ「研究所に最初に行けば調査の方針も見えてくるのではないかと思って
ルー「昨日は結局魔法を使いに行っただけでしたもんね……
ティエ「でも研究所昨日行ったとき冬の件特に気にしてなかったんですよねえ
ノーティ「そういうことも兼ねて、最初に研究所に行きましょう 行きましょう!
パワー「闘技場はないのか? また全額Aチームにぶち込みたいんだけど!」
ティエ「ないですないです」

こうして、とりあえず皆は魔晶研究所の方へと向かうことにしたようです。馬車を使って1時間ほどで研究所に到着しました。

【午前9 公立魔晶研究所
研究所は昨日とそれほど変わらない様子です。

ジョルティ「ちわーっす。また見学にきましたー
ノーティ「受付みたいなところがあるんでしょうか? とりあえず誰かに声を掛けましょう」
研究員おや…皆さんは昨日の
研究員ええ、どうぞ、お入り下さい
ノーティ「ええとですね、今日は少しお聞きしたいことがあるのです
研究員おや? 何でしょうか
ノーティ「我々は現在、この春の異常気象について調査をはじめたのですが、研究所として何か見解があればお聞かせいただければと
研究員春の異常気象……ですか? ふうむ……私共はあくまでも魔晶の研究者ですからねぇ……
ノーティ「特に気にしてらっしゃらないと? まあ、この都市に限った話ではないので、それもそうなんですが……」
研究員「雪が続いて魔力不足になっているので困ってはいますけどねぇ。原因までは全く。対症療法で凌ぐしかないかと思っていますよ」
ノーティ「ううむ、そうですか……」

ティエ「そういえばクライブさん似たような石もってませんでした?
クライブ「む? 似たようなもの? あぁ、これか

クライブが青い水晶を取り出して、研究員に見せました。研究員は珍しそうにそれを見ています。

研究員おや、青晶ですか? 加工品のようですね、珍しいものをお持ちで
ノーティ「そうですね、古代のもののようですが、どうも過去の人間に使われていたとのことで
研究員ふむ……なるほど
研究員当研究所の装置を使えば、魔法を充填できますよ。見たところ、魔法は記録されていないようですし
ノーティ「つまり、ある魔法を入れると……どう使うんでしょう?
ティエ「近くで魔法使うとダメなんですっけ?
研究員ああ、いえ、それはこの街の魔晶網への影響の関係ですね
研究員水晶に魔法を記録すれば、この街の魔晶網から魔力の供給が受けられますから、誰でも水晶だけで魔法が使えますよ。街中に限定されますけどね
ノーティ「なるほど。魔力が満ちている場所でないといけないんですね
研究員そうですね。ただ……まあ、ご覧のように今は魔力が不足気味の状況ですから、あまり濫用はしない方が良いと思いますけど
クライブ「ほーん
研究員記録なさいますか? 装置に入れて頂いて、ここに記録したい魔法を詠唱して頂ければ記録できますよ
クライブ「じゃあ何か入れてくれ
研究員何を入れるかはご自由に。一度詠唱する必要があるので記録には時間がかかりますけどね
研究員この街では色々なシステムにこの青晶が使われています。ここまで見事な加工品はそうそう見ませんけれどね

研究員が皆を中に案内し、置かれている装置の前で色々と説明をしていました。その装置は中央に水晶を置くための場所があり、その周囲にその水晶に向かって魔力を送信するためのリング状の装備が置かれているものです。
説明によると、このリング状の装備に対して魔法を使うことで、中の水晶に魔法を記録することができるのだとか。……不思議な仕組みもあるものですね。

ノーティ「では、私の【スプラウト】を入れようと思うのですが
ノーティ「季節魔法というやつです。少し派手な魔法ですが……できますよね?
研究員ええ、勿論できますよ。ただ、魔力消費が大きい魔法ですから、あまり連続で使用しない方が良いと思いますよ
ノーティ「ああ、そうですね。では良いですか……
研究員では、青晶をこちらにセットして……この装置に向かって詠唱してください

<ノーティ:春魔法「スプラウト」→充填装置〉
発動判定:3

ノーティは冷静そうな顔をしていたので皆は気付いていないようでしたが……魔法の発動、失敗しそうでしたね……。

研究員「魔法が記録されました。魔晶網から魔力供給がある場所であれば使えますよ」
研究員と言っても、水晶魔法での魔力消費は普通に魔法を使うよりは抑えられてますので、そこまで警戒しすぎる必要はありませんので」

ノーティ「さて改めて、この異常気象に関してお詳しい方をご存知ならお教え頂きたいのですが
研究員うーむ……気象について詳しいというのは分かりませんね、申し訳ありませんが
ノーティ「まあ、そうですよね……皆さん、他に聞きたいことは?

トリシア「研究員さん竜ってどう思います?
研究員竜……ですか? うーむ……私はあまり肯定的な立場ではありませんね。実在しているのかどうかも分かりませんから……

いますよー。ここにいますよー。と身振り手振りをしても見えてはいないのですが。

研究員夢のある話だとは思いますけれどね
トリシア「なるほどなるほど有難う御座います
トリシア(クライブが持ってた青晶が使われてた街だと竜にも関心あったようだけどこっちはあんまり無いのかなぁ

研究員他には何かございますか? 魔晶は他の場所では余り見られないものですから、聞きたいことがあれば何でもどうぞ

この時、ジョルティはティエを連れて外に出て、何かキョロキョロと建物を見回しているようでした。

<知見>
ジョルティ:15

ジョルティ「あの外壁、どっかで見たことあるな
ティエ「あー 取れなかった
ジョルティ「水竜の祠だったか?
ティエ「ですね中の竜はなんか違うとかなんとか言ってましたけど

ノーティ「さて、お忙しいところお世話になりました。他にはありませんね?
ジョルティ「ありがとうございましたー

こうして、研究所での諸々が終わる頃には午前10時頃になっていました。

【調査進行度4

ノーティ「情報屋か住宅街を目指していますが……どうしましょう?」
ジョルティ「12時は飲食街にしないか? 腹減った」
トリシア「早飯しながら聞くという手も
ジョルティ「おい、12時は飲食街にしないか??
ノーティ「ええと……
ジョルティ「早飯ってもいま買ってこないとあかんやんけ
ティエ「えーっと 予定は…」
ノーティ「情報屋が早い方が良いと思いませんか?
ノーティ「あそこなら天気についても詳しいでしょうし
ジョルティ「いや、お腹が空いたから行きたいだけです
ノーティ「どうぞ。とりあえず情報屋に行きますので、時間になったら抜けて頂ければ」
ジョルティ「お前ら昼飯要らないとか凄いな!」

こうして、皆はとりあえず情報屋へと移動することになりました。また1時間ほどかけて、馬車で情報屋へと向かいます。

【午前11 情報屋に到着
情報屋は繁栄した中心街の中では珍しくこじんまりとしたお店でした。「情報・占い・天気予報と看板に書かれていました。声に出してみると何処と無く語呂が良いですね?

ノーティ「こういう場所はどこでも変わりませんね。信用できる場所なら良いのですが

店に入ると、40前後と思しき男性がカウンターに座っていました。

ィエ「コンチワー
ノーティ「こんにちは
情報屋どうも、いらっしゃいませ
ノーティ「ここはどういった情報を扱っているのですか?
情報屋街に関する情報が中心ですね。猫探しもしますよ
ジョルティ「じゃあ全部くれ
情報屋漠然としすぎです
情報屋欲しい情報を絞ってもらえないと、こちらとしても提供できませんよ
ティエ「そらそうだ」
ノーティ「では、まずは天気について
情報屋良いでしょう。天気予報は5Gです」
ティエ「はい、では5G

ティエが懐から硬貨を取り出し、カウンターの上に載せました。情報屋の男はすぐさま話を続けます。

情報屋……これから暫くは、吹雪が続くでしょう。悪い天気が続きそうです
クライブ(見れば分かるんだよなぁ)
ティエ「へぇー
ノーティ「でしょうね。お話したいのはまさにその点です。この異常な天気について、何か情報はありませんか?
情報屋異常な天候について……ですか。過去の天気情報などで良いですか?

ティエはいくらでもお金を出せるようにと、金貨袋を取り出していました。……パーティの共有資産だけでもかなりの金額があるので、もう皆がお金に困ることはないんでしょうね……。

情報屋過去にも一度、冬ではありませんが、長い夏が来たことがあったと記録されています
ノーティ「!
情報屋その時は各地の川の水も涸れるような事態だったそうで……フリーグゼルは幸いにして海が近いためそれほど問題はありませんでしたが、地域によってはかなり苦しんだと言いわれています」
情報屋これもかなり昔の話ですから……その目で見たわけではありませんが……。不確かな話ですから、10G程で構いませんよ
ノーティ「なるほど。何か原因だったり関係していた事象についてお聞かせいただければ

ティエは誰かが質問する度に10Gずつカウンターに積んでいきます。15,6の少年が持っていて良い金額ではないように思えますが、自分で稼いでいるのでなんとも言えませんね!

情報屋関係していた事象……ですか。ううむ……これは本当に不確かで、私自身信じているようなことではないのですが
情報屋なんでもその時、西の方で大きな戦があったとか。それに怒った夏の竜が日照りを起こしたとか……そんな風に言われています。与太話だとは思いますが……
ノーティ「与太話でも何でも今の我々には必要なのです。まだまだ聞きたいことはありますが……

ジョルティ「あー、もっと具体的な事聴いていいか?
情報屋ええ、どのような?
ジョルティ「この街の研究所が稼働し始めた時期と、異常気象が観測さ始めた時期の2つを教えてくれい
情報屋ふうむ……? 残念ながら、その2つには関連性はないと思いますよ。魔研究所はフリーグゼルに大昔からある施設ですし……異常気象はこの冬……というよりは春に入ってからのことですから
ジョルティ「昔からかーその昔ってちなみに何年前ぐらい?
情報屋そうですね、記録にある限り、フリーグゼルが作られた当時からある施設の一つですよ
情報屋具体的なことまでは……この当たりではかなり古い街だとは思いますが

ティエはもう面倒になったのか、先んじて100Gをカウンターに積んでいました。気をつけないといつか痛い目見ますよ!

トリシア「竜について調べたり調べなかったりするんですが、竜のお話とかこの街と竜の関わりとか知っていたら教えて欲しい」
情報屋竜……ですか。私もそうですが、この街の者はあまり竜を信じていないことが多いですね。魔晶で発達してきた街という意識を持っている物が多いので
情報屋ただ……他の街並には竜の伝承などもあります。海の竜の伝承なども昔は聞かれたようですが、最近は全く
情報屋……何せあの荒れようですからねぇ……海は
ノーティ「ああ、というと占いは竜が関係しているわけではないのですね
ノーティ「てっきり竜の力を借りた形になっているのかと
情報屋そうですね、占いは、まあ、過去の情報の統計だと思っていますよ

ジョルティ「図書館で航海記って本に書いてあった東の海にあるらしい孤島についての情報とかは?
情報屋孤島……ですか。いえ、確かに島があるという話は聞いたことがあります
情報屋しかし、具体的なことまでは全く。海は荒れ果てて出られるような状態じゃありませんし、海霧で遠くも見えませんから……
情報屋「少なくとも私が生まれてからは、ずっとこの調子でして
ティエ「ってことは鎮める情報もなさそうだなぁ

トリシア「情報屋さんは普段街のどんな情報を売っているのですか
情報屋はぁ……色々と売っていますが、基本は暇ですよ。街の人はあまり来ませんから、皆さんのように旅人の方が街について聞きに来る事がほとんどです
情報屋ああ……そういえば昨年の今頃に、さんと同じように街について聞きに来られた方がいらっしゃいましたね

ジョルティ「占いお願いします!!
情報屋占い、ええどうぞ。どのようなことを占いたいのですか?
ジョルティ「我々ー探しものしてるんですけどぉー? この街のどこを重点的に調べれば探しもの見つかりそうですかー?」
情報屋良いでしょう……地図はお持ちですか?
ジョルティ「門番に貰ったのが

ジョルティが地図を取り出してカウンター上に置きました。情報屋はカウンターの奥にあった引き出しから水晶の付いたペンデュラムを取り出し、それを地図上に持っていきます。

情報屋「では、このペンデュラムで占います
情報屋……むむむ。でました。私のペンデュラムは図書館を指しています
ジョルティ「だそうです
情報屋「……まあ、占いですから参考までに。払い戻しはしませんよ」
ノーティ(だからというわけではないけれど、最後に図書館に行くのが情報のまとめにもなって良いかな……)

大体この占いが終わった頃、正午を迎えていました。……気付くと結果を聞き終えたジョルティがいなくなっていました。……まあ、宣言してましたからね……。

ノーティ「まあ、ここでの情報収集はこれぐらいですかね」
情報屋「そうですか。私も昼食するとしましょう。皆様もお気を付けて」
ノーティ「飲食街は混んでいそうですし、情報を聞くのには良い時間ではなさそうですねぇ」
ノーティ「私は住宅街へ向かおうと思います」
ティエ「じゃあ、そっちについていこうかな」
ノーティ「ジョルティさんは宿泊施設や飲食店街のあるところへ行かれるんですね? どこで合流しましょうか?」
クライブ「もういないぞ」
ノーティ「……まあ、食事が終わったら適当に合流してくれるでしょう……」

【調査進行度 3(合計7)】

【午後1時 宿泊施設・飲食施設西】
場面をジョルティの方へと移しまして、食事処にやってきました。

ジョルティ「おっちゃん!美味しいごはん一つ!!
飲食店店員「あいよぉー!」

ジョルティはというと、調査のことは特に気にすること無く、普通に食事を楽しんでいるようでした。

<感知:知力・精神>
ジョルティ:10

ジョルティは楽しげに食事を待っていましたが、その間に店の中や調理している姿なども何気なく見ていたようです。

ジョルティ「料理にも水晶魔法を使ってるんだなー。便利だな魔晶」

ジョルティの言うとおり、店内で火が使われている所は全くありませんでした。証明も、よく見ると青水晶が光っているもので、火を使ったランプなどではありません。
ここまで高度に魔法が発展している街は初めて見ました。

調査進行度 1(合計8)】

【午後1時 住宅街】
一方その頃他の者達はというと、住宅街へとやってきていました。
住宅街にはちらほらと人が見られますが、基本的に地元の人のようで、変わった様子はありません。
基本的にどこも雪は積もっておらず、歩きやすい路面になっているのが印象的でした。

ノーティ「そのあたりの適当な住民に声を掛けましょう」
ノーティ「こんにちは

ノーティが声を掛けたのは、40歳ぐらいの女性でした。

住民はい、こんにちは。旅人の方ですか?
トリシア「はいこんにちは旅人の方です」
住民「これはどうもご丁寧に」
ノーティ「少々聞きたいことがあるのですが……率直に言って、この気象のことです。今は春だということはご存知ですよね?
住民「ええまあ……暦の上では春ですが、全くそんな感じはしませんねぇ
ノーティ「何か異常気象以外に変化があったりしませんか? 違和感とか、感覚的なものでも構いません
住民うーん……ああ、ちょっとした違和感、というよりは愚痴みたいなものですけど
住民今年は大雪でも停力しないようにする、ってお役所が言ってたんですよ。でも今日はこの有様で
住民お役所に文句言いに行こうと思ったんですけどね、大行列を見て帰ってきたんです
ノーティ「ということは、暦上の冬の時期よりも雪が強くなっていると
住民いえ、そういうわけではないですよ。冬も雪は強いですから。でも、冬の間は保ってたんですがねぇ
ノーティ「大変ですね……。それと、停力……魔力が止まっていたということは普段はないと推察しますが、普段の生活と何が変化しました?
住民何が違うもなにも、全く違いますよ。この街での生活はかなり魔力に依存してますからね……。料理もできないし、お湯も沸かないし、困ったものです
ティエ(冬の大変なうちは持ってて春に切れたってダム的に魔力は溜めておける物なのか
トリシア(なのかなー?)
ティエ(そんなことできるなら旅ですごい便利なのになぁ)

住民全く、住宅街よりも研究所とか図書館とかを停めてくれれば良いのに。 これはもうまったく愚痴ですけどね
ノーティ「ああ、それはそれは。……私から聞きたいことはこれだけです。不躾でいきなりでしたのに、わざわざありがとうございます
住民いえいえ。みなさんも停力にはお気を付けてー
トリシア「ちなみに竜の話が好きな変人とかお知り合いにいませんか!
トリシア(きっとこの街では竜の話するやつなんて変人扱いされてるに違いない
住民竜の話……うーん、ああ、工房のキルトさんは外から来られた方ですから、この街の人に比べるとお好きかもしれませんよ
トリシア「ほほー
住民この街の人は、あまり竜には興味がありませんからねぇ
ノーティ「では、工房に行ってみましょうか」

【調査進行度 1(合計9)】

調査進行度+1(合流後・合計9

【公立魔法工房 午後3時】
示し合わせたわけでもないのに、ジョルティがちょうど工房に来ていて、合流することができました。

ノーティ「こんにちは、旅の者ですがー
キルトはいはい、どうもー
キルトおや、昨日来られたも。お連れの方ですか?
トリシア「そんなところです」
ジョルティ「お邪魔しまーす」
ノーティ「ええ、来ていたと思います。キルトさんですね? 街の外から来られたと聞いたのですが、竜については多少ご存知で?
キルトええ、そうですね、私はリリアスの出身ですから、街の方に比べれば
キルトといってもリリアスも竜よりは星の信仰が中心ですから。そこまで詳しいわけではありませんよ
ジョルティ「最近の異常気象について何か知ってます?
ノーティ「天気悪いっすね

……ノーティがなんだか雑な話し方を始めている気がします。

キルトそうですねぇ、天気は悪いですねぇ……
キルト何か知っている……と言われても難しいですね……。リリアスでは星辰の乱れが季節の乱れを引き起こすと言われますが……
キルト「停力さえなければ、この街でそこまで雪に困ることもありませんからねぇ……
ノーティ「これは自説……というより妄想なのですが、もし竜が季節を司っていて、冬を司る竜がこの異常気象を発生させているとしたら。何が原因だろうって思います? 竜にも色々あると思うんですが
キルトんん……?冬の竜が、ですか。そうですねぇ……悪い天気などは竜が怒っていると言われることはよくありますが

どちらかというと、はしゃいでいることが多いんですがね!

ノーティ「冬の竜が何かの拍子に拗ねちゃった、とか……
キルト分かりませんねぇ……竜が私達と同じような感情を持っているのかどうかも分かりませんから……
ノーティ「竜の考えることは分かりませんな! いや失敬!

……何か乗り移ってませんか?

キルトいえいえ。構いませんよ
トリシア「良さげなまな板ありますか
キルトまな板……あれ、まな板ですか? 金床でなく?」
トリシア「ないですか?」
キルト「そ、そうですねぇ。そこまで特別なものではないですが……一応この街のまな板に水晶魔法で加工をしましょうか?
トリシア「買います!」
キルトなんかこう……使いやすそうな感になりますよ」
トリシア「なんかそう、使いやすそうな感じで! できれば携帯性にも優れてそうな感じで!」
キルトわかりました。では、なんかこう使いやすそうな感じで加工してきます。すぐ済みますので
トリシア「ハーイ

そう言うと、キルトは水晶魔法を使い、まな板に加工を行い始めました。なんかこう、滑りにくくて使いやすくなりました。……いや、ごめんなさい、私にはよく分からなかったのですが、その後使っているトリシアを見るに使いやすそうにしていました。

魔法で加工自体にはそれほど時間がかからなかったのですが、その時、魔法を扱うティア・ノーティ・ジョルティには、何か気付くことがあったようです。

ティエ(あれここでこんなに魔力つかっていいのか?)
ノーティ(確かに公共施設ですが、何ででしょうね……)

確かに、工房で使われていた魔法は、水晶魔法の効率の良さを考えてもかなりの規模のものでした。……MPにして、30から40ほどの魔力が消耗されているように思えます。
有り体に言うと、「どうせ魔晶網から魔力を供給されているから豪勢にやったれ!」というような感じで、魔法効率のことを全く気にしていないように見えました

キルト「杖をお持ちの方がいらっしゃいましたら、どうですか? カスタマイズもできますが」
ティエ「では、この杖をお願いしますー」
キルト「承りました。魔力重視と命中重視の加工が選べますが」
ティエ「じゃあ命中重視で」

そしてティエの杖を受取り、キルトは再び魔力の注入を始めます。やはり大量の魔力が使われていることが分かりました。

ティエ「うわーって改造すっごい魔力つかってません?
キルト水晶魔法ですから、これぐらいはそれほどでもないですよ」
キルトはい、どうぞ、完成しました。ご利用ありがとうございます
ティエ「ありがとうございますー。使いすぎで怒られるとかないんですね すごい
ノーティ「このときにも停力されないというのは、役所と何か契約してらっしゃる?
キルトああいえ、今日の夕方からはここも停力されますから。使える時に使っておこうという奴です
ノーティ「ああ、そうでしたか。それは失礼
キルト(あれ? 何かフォーマルな口調になってる?)

こうして皆は工房を後にしました。

調査進行度2(合計11)】

【午後3時 北部市街】
工房から出た皆は、これまでの調査を通して何か思い当たる部分があったようです。

<想起:知力・精神:目標10
パワー:6(失敗)
クライブ:4(失敗)
ティエ:10
ノーティ:19
トリシア:8(失敗)
ジョルティ:12
ルー:Critical

ティエ「この魔力どっからきてるんだろ?」
ノーティ「水晶だけでは街の魔力が供給しきれていない……?」
ルー「と思います……魔法には詳しくないですけど……これまで見てきた皆さんの魔法と比べても……明らかに魔法の使いすぎじゃないかな……と」

ルーはノーティが時々やるように、眼鏡を直すような仕草をしていました。……エア眼鏡ですけけれども……。

トリシア「冬の竜が弱ってるのと関係あったりねなーんて、ハハハ」
パワー(この街は大っきいなあ)
ジョルティ「なんにせよ、魔晶網の源流を探す必要がありそうだな」

この街は極めて強く魔力に依存しており、その消費量は膨大なものであることは間違いありません。水晶魔法とやらの効率を考えても、膨大な魔力の供給源が必要であることは明白です。

ノーティ「では……市内の魔晶網を調査してみましょうか。そもそもどうやって魔力が巡らせられているのか」

<知見:知力・知力:目標8
パワー:5(失敗)
クライブ:10
ティエ:14
ノーティ:16
トリシア:9(失敗)
ジョルティ:13
ルー:5(失敗)

皆、市街の周囲に目を配ります。すると、各所に転々と配置されている街灯に目が向きました。よく見ると、その該当には赤と紫の水晶のようなものが装着されていました。
赤い水晶の向いている先には必ず紫の水晶が配置されています。

ティエ「赤と紫の水晶かあれ、ラ・ヴィスで調査中の水晶って何色だっけ?」
ノーティ「ああ、対になっていたという。あれも赤と紫でしたね」
ノーティ「恐らく、水晶によって魔力を流してやりとりしているんでしょうけれど……
トリシア「魔法と竜って深く関係してるとか前誰か言ってなかったっけ?」
ティエ「じゃあ赤をたどってけば源流につくのかしら?」
トリシア「魔力って辿れるものなの
ノーティ「赤い水晶の向きを逆向きに……
ティエ「ほら、向きがありますから」
トリシア「ここでリンリラックスオーケストラ唱えたら…」
ティエ「大停力が起こって賠償金に追われることになりそうですね…」
ノーティ「この始端が水晶以外の何かにつながっている可能性を見て……これを辿りましょうか」
トリシア「そうだね」

しかし、この街はともかく広く、一つ一つの魔晶網を辿っていくだけでもかなり大変なように思えました。

<調査所要時間決定〉
ティエ:10

恐らく、始点に辿り着くためには10時間程掛かりそうです。現在が16時であることを考えると、通して調査を行えば朝方まで掛かることでしょう。

ティエ「かなり掛かりそうですねぇ」
ティエ「23時に宿閉まるから移動1時間考えて22時でヤメる?
ノーティ「6時間調査したら22時……そのくらいですかね
トリシア「私は終わるまで調査するよ」
ジョルティ「夕飯食べたいから帰って寝る!」
ルー「私もトリシアさんと一緒に行きます。……私の夢のこと、気になりますから……」
トリシア「うっす」

こうして調査が始まりました。街灯に設置された水晶を赤水晶側に向かって進んでいくというだけの極めて地味な作業ではありましたが、街自体が広い上、一つ一つを見なければならないために馬車に頼ることができない徒歩作業ということもあり、見立て通りかなりの時間が必要となりました。

リシアルー以外は22時まで調査をして宿に戻ります。

トリシア「あ、おっちゃん、帰るなら金色の鍵預けてくれない? 終わっても部屋に入れないと困るし」
クライブ「ん」

トリシアはクライブから金の鍵を借り受けて、そのままルーと共に調査を進めることになりました。
工房付近から始まった魔晶網の遡行調査は、次第に北東へと向かっているようでした。

トリシア「さて二人だけだしお姉ちゃんのスパイス使って夜食でも食べる?
ルー「あれ、持ち歩いてるんですか? お姉ちゃんのスパイス
トリシア「もってないです
ルー「ざんねん
トリシア「出店でもあったら何か買って食べよう
ルーそうしましょう!」

ちょうど飲食店街を通りかかったということもあり、トリシアとルーは出店で買った簡易な夕食を片手に調査を進めました。深夜を超えて真っ暗になっていたものの、幸いにしてこの街の街灯は明るく、調査にそれほど支障はないようでした。
……しかし残念です、クーのスパイスを使うようならひょっこり姿を表してご相伴に預かろうと思ったのに。

~春の月 18日~

【午前4時 公立図書館】
魔晶網を辿ること10時間、朝方近くになって彼女たちが辿り着いたのは、市街の最北東にある施設、公立図書館でした。
流石に営業時間外のようで人気は全くなく、断崖に打ち消える波の音だけが響いていました。

トリシア「ほへー

図書館に近づくと、トリシアがクライブから受け取っていた金色の鍵についている白い宝石が、淡く光り始めました。
昨日、臨海公園で光っていたのと同じような光り方のように見えます。

トリシア「経由して中に入れってことなのだろうか?」
トリシア「ルーちゃんどう思う?」
ルー「本当は良くないことだと思いますけど……気になりますね……
トリシア「とりあえず開けて見ようか」

トリシアは空間に向かって金の鍵を向けて回しました。すると、空間にぽっかりと穴が開きます。
竜脈を通し、その場所と図書館の中が接続されているようでした。

トリシア「経由どころか直行だったね」
ルー「便利ですねこれ…」
トリシア「ねー」
トリシア「じゃ、入ろっか」
ルー「はい、入りましょう」

トリシアとルーは竜脈を通り、図書館の中に侵入しました。図書館の中は人がおらず、明かりも灯っていません。
シンと静まり返っていますが、外の魔晶網に接続するように、中にも赤と紫の水晶が繋がっていることが分かりました。

<捜索:敏捷・知力:目標10
トリシア:9(失敗)
ルー:11

ルー「……こっちに繋がってるみたいですね
トリシア「ほうほう

ルーが暗い室内で、鍵の宝石の明かりだけを頼りに魔晶の接続先を見つけたようです。受付の後ろ側に続く部屋へと繋がっているようでした。

ルー「暗くて分かりませんが……書庫、ですかね……?
トリシア「図書館だしねえ

部屋に鍵は掛かっておらず、そのまま入ることができました。ルーの予想通り書庫のようになっているその部屋の中を赤と紫の水晶による魔力が続いていて……その先には、小さなハッチのようなものがありました。

トリシア「ここまで来たら入るしかないかー
ルー「ごくり

トリシアがハッチに手をかけますが、鍵がかかっているようでした。ハッチ自体は古いもののようで、それほど頑丈そうではありません。

トリシア「うーん、壊せそうではあるけど……バレそうだし」
トリシア「金の鍵で、この下まで道を繋げないかな」

トリシアが再び、その場の空間に向かって金の鍵を回しました。すると、今度は暗い地下道のような場所へと竜脈が繋がったようでした。

トリシア「入ろうか」
ルー「だ、大丈夫なんでしょうか? 真っ暗みたいですけど……」
トリシア「この街の中でこの鍵があれば完全犯罪も可能なのでは?」
トリシア「だめそうだったら竜脈使って帰ろう
ルー「そ、そうですね……
トリシア「逆に昼間にこんなところ来れるのだろうか?」

トリシアとルーは竜脈を通って地下道へと入りました。竜脈の出口の近くには、上へと続く梯子のようなものがあり、正面には長い通路が続いています。
微かな鍵の光だけでは先が見通せないような長い通路です。

トリシア「さてどうしよう

地下道の天井には、これまで辿ってきたのと同じような赤と紫の水晶網が続いているようでした。
流石にこれ以上は二人だけで進むのは危険そうです……「一旦戻った方が良いのでは?」と念波を飛ばしてみることにしました。……まあ聞こえるはずもないのですが。

トリシア「何か、これ以上は進まない方が良いって声がした気がする」
トリシア「一旦帰ろう」
ルー「そうですね……。場所がわかっていれば、後からでも来られそうですし……
トリシア「一度ここまできたらまたここに一気に来られそうだし」
トリシア「夜中で睡魔もなかなかやって来たので戻ろうか
ルー「もう深夜……というよりは早朝ですから……そうですね
トリシア「部屋に繋がれー」

……あれ? なんだか聞こえていたようですね?
トリシアは金の鍵を使って宿の部屋へと道を繋ぎ、二人連れ立って戻ってくれました。一安心です。

ルー「戻って来られましたね」
トリシア「眠いー……よし、誰か起こして話をしたらすぐ寝よう……ルーちゃんはおやすみ」
ルー「はい、お疲れ様でした」

トリシアはルーを部屋に送ると、適当に目についたらしいティエの部屋を襲撃し、熟睡していたティエを叩き起こして図書館のことを嵐のように話すと、そのまま部屋に戻って寝てしまいました。

トリシア「と、言うことだったのです」
ティエ「そzzz
トリシア「眠いので皆に伝えといてください
トリシア「もしくは起きるまでまってください
ティエ「わzzz
トリシア「おやすみなさい
ティエ「おzzz

そしてそのまま、トリシアとルーは昼前まで寝ていました。……当然、ティエはトリシアからの報告を覚えているはずもなく、結局のところ二人が起きてくるまで待っていることになりました。

第三十三話 第一部「魔都フリーグゼル」 完
こちらは、2017/1/14に行ったオンラインセッションのリプレイです。
七つの旅は、ルールブックに「伝説の旅」として記載されていたものを我流でアレンジしたものとなります。
最初の七つの旅となる「冬の旅」は、これまでのキャンペーンの中でもかなり長大なものになったため、何回かに分割してお送り致します。
プレイ自体はすべて終わっているため、次回の執筆をお待ち下さい。



【参考サイト】

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