さて、前回はラ・ヴィスに到着し、船長から船のチケットを受け取った所までお話しましたね。
今回は……少し話すのも気が重く、一回分飛ばしてしまおうかとも思ったのですが、やはり竜の君にはありのままの旅物語をお伝えしないとなりませんよね。
……その、先に謝っておきます。なのでどうか怒らず聞いて頂ければ幸いです……。
第十五話「宿る命、失う命」
さて、彼らが船長と話を終えると、船から降ろされた荷運び動物の箱の中からパワーが出てきました。本当に3日もこの中に居たのだとすると血行が心配ですね。……まあ至って健康そうではありましたが。
普通ならばここでまずはティエが先導して、石炭を売るために商業街に行く所なのですが、長い船旅で疲れが溜まっていたのか、ティエはどうにもその気力がなさそうで、先に宿に向かっていきました。ジョルティについてもいつも通り皆を置いて美味しい食事が出る場所がないか探しに行ってしまいました。(PL不参加)
ノーティ「ええっと、ティエさんは行ってしまいましたが、とりあえず商業街で石炭を売る当たりを付けに行きますか」
クライブ「ま、いくだけいくか…」
トリシア「れっつごー」
マーチャントであるティエが不在なので売買は行えないはずですが、スムーズに売却できるようにするため、一先ず商業街を見に行くことにしたようです。ラ・ヴィスの商業街は港から近く、徒歩でそう時間を掛けずに到着することができました。到着したのは夕方ではありましたが、まだ十分に賑わいを見せています。
クローナ・ディアでは店舗を構えているマーチャントが多かったのに対して、ラ・ヴィスは露店という形で店を開いている人が多いようでした。数は多いものの秩序立っているようで、特に不便なく色々な店を見て回ることができるようになっています。販売だけではなく、買い取りを行っているお店も多いようでした。
ノーティ「売ることができそうな店は結構ありますね。とはいえ、ティエさんの手腕なしでは石炭を売ることもできず……」
クライブ「あーたいへんだなーはこいっぱいでたいへんだなー」
そんな風に、とりあえず露店街をブラブラとしていると、1人の男が彼らに声を掛けてきました。体格は大きくないものの身なりはよく、見た目だけでもそこそこの手腕を持ったマーチャントであることが伝わってきます。
露天商「どうもどうも。見たところ旅のお方かと思いますが」
パワー「見ればわかんだろうがよぉ」
箱詰めされていたせいか、パワーも少し機嫌が悪そう……いえ、考えてみるといつも通りの気もします。
ノーティ「その通り……に見えるかは分かりませんが、ご名答です」
露天商「これは失礼しました。キャラバンの方かとも思いましたので」
クライブ(今はどうみてもキャラバンなんだよなぁ)
露天商「私はこちらで露天商を営んでいるカルディエと申します。私の目が正しければかなりの実力者とお見受けしますが……」
パワー「俺は強いぞ」
露天商「やはり!」
パワー「うむ」
クライブ(さてな…厄介ごとのにおいだが…)
露天商「もし皆様が腕に覚えがありましたら、少々お願いしたいことがあるのですが……」
ノーティ「力になれることなら話をお聞きしますが 旅人の役目ですので」
クライブ(ティエがいない今、ノーティがリーダー代理なら受けることになるか…ま、なるようになるだろう)
……パワーがいるとものすごい話が進みやすいなあ、と思いました。案外リーダー向きなのでは……?いえ、適切な判断ができるかどうかはまた別の話ではありますが。
露天商「ありがとうございます。実は、数年前に私と同じく商人を営んでおりました祖父が亡くなりまして」
露天商「父は商人ではありませんでしたので、私が祖父の蔵を相続することになったのですが……」
露天商「その、長らく使われていなかったということもあってか、中がかなり荒れてしまっていまして」
露天商「……有り体に言えば魔物の巣窟に。結局蔵にある貴重なものなども全く取り出すことができなくなってしまっているのです」
トリシア「貴重なモノ…」
露天商「そこで、腕に覚えがある方を探していたのですが、どうにもこの街は隣に闘技場の街があることもあって、実力者がそちらに取られてしまっていてですね……」
露天商「旅人の方でなけれはお願いできないということで、こうしてお声をかけさせていただいたのですが……」
パワー「まかされよ」
ノーティ「えっえっ」
クライブ(おいおい…)
前言を撤回します。スピーディに話が進めば良いってもんでもありませんよ!?
ノーティ「ま、まあ、その季節闘技大会で優勝したのが我々……ですから。実力は信用していただいていいと思います」
露天商「なんと……!それは渡りに船……!」
パワー「そうだぞ、もっとあがめろ」
露天商「もし蔵の中に入れるようにして頂ければ、その中から十分なお礼をお渡しいたします。お願いできないでしょうか……?」
ノーティ「そんな、礼だなんて……でも、その程度のことであれば朝飯前かと思われます。分かりました、お受けしましょう」
ノーティもパワーに感化されてか、実にスピーディに依頼を受けることが決まりました。……この時、私も、きっと彼らも、この依頼を「大したことがないもの」だと思っていました。……町の蔵に住み着く魔物が、それほど強大なものではないと、どこか高をくくっていたのです。
露天商「ありがとうございます!」今日はもう遅いですので、明日以降お願いするということで宜しいでしょうか……?」
露天商「もし、まだ宿が決まっていないようでしたら、商会の宿をお取り致しますので」
ノーティ「それならご厚意に甘えて宿をお借りします、お世話になります」
露天商「はい、よろしくお願い致します」
こうして、彼らは皆に案内され、商会の宿へと向かいました。途中で先行していたティエとジョルティにも話を付け、宿へと移動します。宿は豪華なものではありませんでしたが、一泊するのには十分なものでした。
宿につくと、早速食事を取り始めます。食事も普通の食事ではありましたが、各地の料理が組み合わさったようなものとなっていました。
クライブ(普通だなぁ…まあ、船の食事がグレード高かっただけだが)
トリシア「もぐもぐ」
パワー「クチャクチャ」
ノーティ「食事中ですが、何が巣食っているんでしょうね?どうせ小物だろうと安請け合いしましたが」
クライブ「さてな…まあ、なんとでもなるだろう」
パワー「つよいからな」
そんな話をしつつ、その日は過ぎて行きました。私も彼らも、久しぶりに揺れていない地面での睡眠を味わうことになったのです。パワーは広い場所で寝るのが久しぶりだったのではないでしょうか。
~秋の月 6日~
そして翌日、皆が商会の宿で目を覚ましました。空はどんよりと曇っています。ともすれば、降り出しそうな空模様でした。とは言え、今日は移動をする訳でもないので、雨ぐらいはわけないでしょう。……まあ、大ぶりは止めて欲しい所ではありますが……。
ティエはそのまま寝ており、ジョルティは依頼の話を聞いたのも完全に忘れたのか朝一番でレストラン街へと走っていきました。
〈コンディションチェック〉
パワー:4
クライブ:6
ノーティ:7
トリシア:5
〈荷運びスキルによる振り直し〉
クライブ:16(絶好調)
パワー「神は死んだ、腹も死んだ」
……揺れているのに慣れてしまったのか、皆あまり体調は良くないようでした。
〈薬草取り:砂漠:目標10〉
パワー:4
ノーティ:3
パワー「やべぇきょうしぬかもしれねぇ。アフロがボウズとか冗談じゃねぇぜ」
ノーティ「薬草取れませんね……」
パワーもノーティも近くの砂漠で薬草を取りにいきましたが、全く見当たらないようでした。ノーティは帰ってくると、今日の戦闘に向けて月華ノ雪割草を煎じて飲んでいました。……あまり美味しくはなさそうです。
パワー「俺の頭の木の実も食べるか?」
ノーティ「結構です」
パワーは頭から世界樹の実を取り出してノーティに差し出していましたが、ノーティはそれを丁重に断っていました。……どういう仕組なんでしょう。
ノーティ「さてさて、昨日の商人にお会いしましょう」
一行は朝食を終えて商業街へと向いました。まだ朝は早いものの、商業街はすでに動き始めているようでした。
露天商「おはようございます。来て下さったんですね」
パワー「うーっす」
露天商「早速、蔵にご案内させていただいて宜しいですか?」
ノーティ「是非お願いします」
パワー「宝じゃー!」
露天商「ありがとうございます。こちらです」
露天商は彼らを蔵の方へと案内し始めました。蔵は郊外の方にあるらしく、商業街からは少々離れています。商業街から少し離れると、建物もまばらになっていきます。どうやらこの町は中心部に人が集まっているようで、外縁部はあまり人が生活していないようです。
トリシア「近くなかった」
露天商「少々遠くて申し訳ない」
クライブ(めんどくさいなぁ…)
ノーティ(こちらまでくると都市とは思えない田舎ぶり)
パワー(解放感あるわー)
トリシア(町中だったらそもそも魔物住み着かないか…)
歩くこと三十分程、郊外にある蔵に到着しました。蔵はレンガ造りの大型のもので、階層こそないものの単純に面積が広いようです。窓はなく、小さな扉が1つ据え付けてあります。
露天商「こちらの蔵になります」
露天商「準備はよろしいですか?よろしいようでしたら鍵をお開けしますが……」
ノーティ「ちょっと待ってください。クライブさん、何か気配を感じますか?」
クライブ「ん…まあ待て」
〈動物探し〉
クライブ:10
クライブは蔵の壁に耳を当て、中の音を聞き始めました。中からは何か硬い、石のようなものが動いているような音が聞こえてきます。
クライブ「石…?硬質的なものが動いているな…」
ノーティ「装甲の厚い何かですかね?」
クライブ「かも知れん。一応、対策は万全にしておこう」
ノーティ「そうですね。それでは、前回は効果がありませんでしたが……再挑戦ということで」
〈ノーティ:冬魔法「セブンフォーチュン・フリゲート」〉
発動判定:10
効果:6(ヒーラー)
ノーティがセブンフォーチュン・フリゲートの儀式魔法を行うと、空から船が現れました。船には何やら頭の長い老人が座っており、ヒーラーに祝福を与えて帰っていきました。
パワー「うおおおお」
ノーティ「そういえはヒーラーでしたね…」
クライブ「ノーティ、アイスソードも頼む」
ノーティ「分かりました」
〈ノーティ:冬魔法「デザイアー・アイスソード」〉
発動判定:6
ノーティの魔法により、氷の剣がクライブの手に現れます。クライブは銀の剣を鞘に仕舞い、こちらを構えました。……と、この準備におおよそ1時間ほど掛かりました。
露天商「そろそろ良いですか?」
ノーティ「では、参りましょうか」
トリシア「蔵内喫煙可?」
露天商「可燃物があると困りますので……ご遠慮頂けると助かります」
トリシア「はーい」
トリシアはどこかしょんぼりとした様子でした。前回のことがあり、煙草が切れていると実力が発揮できないと思っているようです。
露天商「舶来物の煙草がありますので、お帰りになったらお渡ししますね」
トリシア「!」
露天商「それでは、鍵をお開けしますね」
ノーティ「お願いします」
露天商は懐から鍵を取り出し、扉の鍵穴に挿して回しました。ガチャと音を立てて特に抵抗もなく鍵が開いたようでした。が、露天商は鍵が開いたはずの扉をなかなか開けられずにいるようでした。
露天商「おや……ちょっと待って下さいね……んんっ……?」
ガチャガチャと扉を押しているようですが、扉は開きません。
露天商「どうやら蝶番が錆びているようですね……。うーむ……よかったら誰か押してみて頂けませんか?」
トリシアは何かしら疑っているようで扉を引いていましたが、やはり開きませんでした。
パワー「まかせろー!!」
〈体当たり:体力+体力:目標10〉
パワー:11
パワーは思い切り扉に体当たりしました。蝶番がはじけ飛び、扉が力なく倒れました。
露天商「お……おおー……流石ですね……」
露天商は無残に倒れた扉を見て、小声で「油持ってくれば良かった」と呟いていました。
クライブ(…請求されないだろうなこれ)
ノーティ「いいんですか?
これ……」
露天商「ま、まあ、この後中のものを取り出すことができれば大丈夫ですから……」
パワー「何か悪いことしたか!?」
露天商「い、いえ、大丈夫ですよ。ともあれ中に入れるようになりましたので、見てきて頂けますか……?」
ノーティ「さて……何が現れるか」
パワー「やほーい」
4人は打ち破られた扉から中へと進んでいきます。中は薄暗いものの視界が奪われる程ではありません。蔵の奥へと入っていくと、部屋の中央には大きな黒い鎧が、まるでこの蔵は自分のものであるとでも言いたそうな風貌で鎮座していました。
また、その周囲には動物の化石や、古代のものと思われる土像などが点在しています。
パワー「やべぇあれかっけぇ」
クライブ(蔵の扉が全壊…もとい全開だしそこまで暗くは無いか?)
トリシア(たばこすいたい)
パワーは一直線にその鎧へと向かっていき、ペタペタと触り始めました。
ノーティ「着られますかね?
別に止めなくてもいいか……」
クライブ(あーあー、あんな高いものベタベタ触っちゃってまぁ…)
パワー「やべーこれくれねーかな」
ノーティ「質の良いものは触るくらいでは何とも無いはず……しかし見当たりませんね」
パワーが鎧の頭の部分に触れようとしたその時、鎧の目が微かに赤く光ったように見えました。
パワー「うおーすげー目が光ってるぜコレ!」
次の瞬間、突如鎧の腕が動き出し、その体を触っていたパワーの腕を掴みました。そして、同時に周囲に置かれていた化石や土像などがガタガタと動き出しました。
トリシア「!」
クライブ「ぬ!? パワー!さが…れないか」
パワー「うおーやべーなんかやべー!」
クライブ「…これ壊しても請求はされないよな」
ノーティ「商人さんは下がってください!」
露天商「そもそも外で待ってます!!」
ノーティ「そりゃよかった!」
〈戦闘開始〉
彼らに立ちふさがったのは、皆元々は物であり、それに命が宿った存在のようです。長い間蔵の中で安置されていたことによって命が宿ってしまったのでしょうか……。蔵は戦うに十分な広さがありますが、パワーは腕を掴まれており移動ができそうにありません。
〈ラウンド1〉
【クライブ】
〈知見→動く鎧〉
成功判定:8(失敗)
クライブ「む…まぁ良い」
〈攻撃→動く鎧〉
命中判定:8(失敗)
鎧はパワーの腕を掴んだまま機敏に動き、クライブの攻撃を回避しました。
パワー「うぉーはえー!」
クライブ「ちぃ…銛投げてた所為で剣の腕が勘鈍ってるか…?」
パワー「かっこいいなこの鎧!」
【動く鎧】
〈魔道の剛剣→パワー・クライブ〉
このモンスターは自身の行動で3体まで同時に攻撃を行うことができる。(命中チェックは1回)
また、この攻撃を受けたものは病気8の呪いに掛かる。
命中判定:18
ダメージ:10
クライブ「ぐぅっ…」
パワー「いてぇ」
闇を纏った剣が2人を襲いました。2人とも大きなダメージを受けたものの、病気には耐性を持っているようで影響を受けませんでしたが……。
【パワー】
〈攻撃→動く鎧〉
命中判定:Critical(セブンフォーチュン・フリゲート)
ダメージ:13(防護点5)
セブンフォーチュン・フリゲートの加護もあり、力強い一撃が鎧に命中しました。しかし、かなり硬質であるためか、ダメージが大幅に削られているようでした。そのことは、パワーにも手応えから分かったことでしょう。
パワー「ヨロイホシイヨロイホシイヨロイホシイ」
クライブ(手加減して倒せる相手じゃないから多分終わる頃はボロボロだろうな…)
【トリシア】
〈知見→動く鎧〉
成功判定:14
トリシアは動く鎧の様子をじっくりと見据え、その力を見極めました。動く鎧は「デュラハン」と呼ばれる不死の魔物です。鎧に怨念が宿ったことで動き出してしまったというものです。
〈様子見〉
イニシアチブ判定:14
【動く土像1】
〈攻撃→パワー〉
命中判定:9(失敗)
〈2回攻撃〉
命中判定:13
ダメージ:4
【動く土像2】
〈攻撃→クライブ〉
命中判定:11(失敗)
〈2回攻撃〉
命中判定:12(失敗)
【動く化石1】
〈攻撃→パワー〉
命中判定:12
ダメージ:7
〈2回攻撃〉
命中判定:14
ダメージ:10
パワー「痛いぞぉ!」
ノーティ「ちょ、ちょっと、大丈夫ですか?」
クライブ「気を付けろよ、鎧着けてないんだから」
【動く化石2】
〈攻撃→クライブ〉
命中判定:13(失敗)
〈2回攻撃〉
命中判定:12(失敗)
クライブ「つっ…危ないな」
【ノーティ】
〈呪文魔法「キュアタッチ・プラスプラス・プラスエール」→パワー〉
発動判定:8
回復量:9
ノーティ「少し不安が残りますね…」
パワー「元気!」
〈ラウンド2〉
【クライブ】
クライブ「鎧は平気……ならば」
〈知見→動く化石〉
成功判定:7
クライブは動く化石の動きを見据え、その情報を捉えます。それは「石化した化石」という、古い化石に命が宿った魔物です。これも、やはり長い間蔵の中に置かれていたことでそうなってしまったのでしょう。
〈攻撃→石化した化石1〉
命中判定:13
ダメージ:12(防護点2)
クライブ「そこそこ硬いな…」
【トリシア】
〈知見→動く土像〉
成功判定:4(失敗)
〈攻撃→デュラハン〉
命中判定:6(失敗)
トリシア「だめだタバコ切れた」
【デュラハン】
〈魔道の剛剣→パワー・クライブ〉
命中判定:5(失敗)
クライブ「ぬぉ!」
【パワー】
〈攻撃→デュラハン〉
命中判定:Critical(セブンフォーチュン・フリゲート)
ダメージ:7(防護点5)
パワーは普通の相手であれば大きなダメージを与えられるであろう一撃を放ちますが、デュラハンの硬い装甲に弾かれてしまいました。不死の装甲を貫く銀の武器を、彼だけは所持していないのです。
【動く土像1】
〈攻撃→パワー〉
命中判定:10
ダメージ:6
〈2回攻撃〉
命中判定:11
ダメージ:8
パワー「うおおおお」
ノーティ「本当に大丈夫ですか!?」
クライブ「むむ…」
【動く土像2】
〈攻撃→クライブ〉
命中判定:4(失敗)
〈2回攻撃〉
命中判定:Critical
ダメージ:4
クライブ「つぅっ…!」
【石化した化石1】
〈攻撃→パワー〉
命中判定:11
ダメージ:8
石化した化石の攻撃が、パワーの体を貫きました。体力に満ち溢れたパワーの体が倒れ伏します。鎧を着けていなかったこと、それにデュラハンによって動きを制限されていたことが影響したのでしょうか。……ともかく、彼の命はまさに今、失われようとしていました。
クライブ「なっ…!?」
ノーティ「…………」
喋るノート「しっかりしろよ!」
クライブは突如倒れたパワーの様子に驚きを隠すことができず、ノーティとトリシアもその姿を静かに見ていました。……まだ、まだ希望はあるはずです。ノーティは春の魔法を極めており、魂が死の竜に召される前であれば引き戻すことができるはずです。
……もう少しだけ様子を見ましょう。
【石化した化石2】
〈攻撃→クライブ〉
命中判定:8(失敗)
〈2回攻撃〉
命中判定:5(失敗)
驚嘆しているクライブでしたが、攻撃を見極める目は狂っておらず、簡単に石化した化石の攻撃を回避していました。
【ノーティ】
〈知見→動く土像〉
成功判定:17
ノーティも慌てているようでしたが、冷静さまで欠いているわけではなく、じっと動く土像の様子を観察します。動く土像は「ハニワゴーレム」と呼ばれる魔法生物であることが分かりました。
〈様子を見る〉
イニシアチブ:10
ノーティ「まずいですね……」
クライブ「まずいな…」
本当に、まずいことになりました……。いざという時には、もう傍観主義者を気取ってもいられないでしょう。
〈ラウンド3〉
【クライブ】
〈攻撃→石化した化石1〉
命中判定:12
ダメージ:3
クライブ「ちぃ…!」
【トリシア】
〈攻撃→デュラハン〉
命中判定:9(失敗)
〈リーダースキルにより判定+1〉
命中判定:10
ダメージ:1
トリシア「むう」
【デュラハン】
〈魔道の剛剣→クライブ〉
命中判定:11(失敗)
クライブ「クソが…薄氷を歩いているようだ…」
【ノーティ】
〈春魔法「カグヤ・レイランス」→デュラハン〉
発動判定:12
ダメージ:6
クライブ「まだ沈まないか…!」
ノーティ「うぅ…」
【ハニワゴーレム1】
〈攻撃→クライブ〉
命中判定:8(失敗)
〈2回攻撃〉
命中判定:11(失敗)
【ハニワゴレーム2】
〈攻撃→クライブ〉
命中判定:10(失敗)
〈2回攻撃〉
命中判定:12(失敗)
【石化した化石1】
〈攻撃→クライブ〉
命中判定:10(失敗)
〈2回攻撃〉
命中判定:Fumble(転倒)
ここまで、クライブはすべての攻撃を冷静に見極めて回避をし続けていました。しかし、その動きにも疲れが見え始めています……。
【石化した化石2】
〈攻撃→クライブ〉
命中判定:18
ダメージ:9
〈2回攻撃〉
命中判定:17
ダメージ:11
クライブ「クソガ…」
攻撃を避けに避け続けたクライブも、ついに石化した化石の攻撃に命中してしまい、その場に倒れました。パワーと違い、気絶をしているだけのようではありますが…。
咄嗟にトリシアが前に飛び出し、1人で前衛を担います。私もこの時、すでに来るべき時への準備を始めていました。
〈ラウンド4〉
【トリシア】
〈集中攻撃→デュラハン〉
命中判定:8(失敗)
トリシア「当たらないな…」
【デュラハン】
〈魔道の剛剣→トリシア〉
命中判定:13(失敗)
【ノーティ】
〈様子を見る〉
イニシアチブ:6(変化なし)
ノーティ「パワーさんを復活させることを考えると、これ以上魔力を使うわけにはいきませんし……かといって魔法以外でできることも…」
【ハニワゴーレム1】
〈攻撃→トリシア〉
命中判定:Critical
ダメージ:13
〈2回攻撃〉
命中判定:7(失敗)
【ハニワゴレーム2】
〈攻撃→トリシア〉
命中判定:14
ダメージ:0
〈2回攻撃〉
命中判定:6(失敗)
【石化した化石2】
〈攻撃→トリシア〉
命中判定:9(失敗)
〈2回攻撃〉
命中判定:11(失敗)
〈ラウンド5〉
【トリシア】
〈集中攻撃→デュラハン〉
命中判定:20
ダメージ:7
トリシアの放った銀の矢によって、デュラハンは大きな音を立てて倒れ、動かなくなりました。しかし、危機を脱しているとはまだ言えません。
【ノーティ】
〈移動→前衛〉
ノーティ「前に出ます!」
ノーティも前進し、パワーの近くへと陣取ります。まだ可能性がないわけではありませんが……。
【ハニワゴーレム1】
〈攻撃→トリシア〉
命中判定:5(失敗)
〈2回攻撃〉
命中判定:6(失敗)
【ハニワゴレーム2】
〈攻撃→ノーティ〉
命中判定:12
ダメージ:5
〈2回攻撃〉
命中判定:6(失敗)
【石化した化石1】
〈攻撃→トリシア〉
命中判定:Critical
ダメージ:13
〈2回攻撃〉
命中判定:6(失敗)
【石化した化石2】
〈攻撃→ノーティ〉
命中判定:15
ダメージ:5
〈2回攻撃〉
命中判定:7(失敗)
〈ラウンド6〉
【トリシア】
〈攻撃→石化した化石1〉
命中判定:12
ダメージ:3(防護点2)
【ノーティ】
〈春魔法「リザレクション・キス」→パワー〉
発動判定:9
ノーティがパワーの額へと口付けを行います。春の魔法の力により、死の竜の元へ旅立ちかけていたパワーに命が戻りました。
パワー「あれぇ?おかしいね?鎧くんはどうしたの?」
ノーティ「話は後です、化石をなんとかして下さい!」
パワー「アイツを殴れば良いんだな!」
【パワー】
〈攻撃→石化した化石1〉
命中判定:Critical(セブンフォーチュン・フリゲート)
ダメージ:13
復活した直後とは思えないようなパワーの一撃により、石化した化石には大きくヒビが入り、動かなくなりました。
【ハニワゴーレム1】
〈攻撃→ノーティ〉
命中判定:7(失敗)
〈2回攻撃〉
命中判定:5(失敗)
【ハニワゴーレム2】
〈攻撃→パワー〉
命中判定:10
ダメージ:8
〈2回攻撃〉
命中判定:12
ダメージ:8
【石化した化石2】
〈攻撃→トリシア〉
命中判定:16
ダメージ:7
〈2回攻撃〉
命中判定:6(失敗)
トリシアももう、満身創痍の様子です。このように追い詰められている彼女の姿を見るのは初めてのことです…。
〈ラウンド7〉
【トリシア】
〈攻撃→ハニワゴレーム1〉
命中判定:15
ダメージ:0
トリシア「やっぱりタバコが…」
【ノーティ】
〈様子を見る〉
イニシアチブ:6(変化なし)
ノーティ「やれることが何も……」
【パワー】
〈攻撃→ハニワゴレーム1〉
命中判定:13
ダメージ:7
【ハニワゴーレム1】
〈攻撃→パワー〉
命中判定:10
ダメージ:8
ハニワゴレームの攻撃により、パワーの巨躯が再び倒れ伏します。その生命は、もう一度失われようとしていました。もはや、ノーティにも魔力は残されておらず、彼を復活することは叶いません。
ノーティ「いやだー、死にたくないー」
トリシア「一服するか…」
……これ以上は、もうどうしようもないでしょう。何故、このようなことになってしまったのでしょうか。
……ともあれ、このような所で、彼らの旅を終わらせる訳にはいきません。私も彼らも、まだ何一つ為していないのですから。
やり直しましょう。……できるだけ、干渉はしたくありませんが、そんなことは言っていられません。旅は続けなければならないのですから……竜の君の元まで。
〈ブレス発動:カコ〉
時間を巻き戻す
……今回は、このような顛末となりました。彼らに手を貸す決断が遅れた、私の不徳の致すところです。
時を戻すという、極めて強い力を扱ってしまう結果となりました。竜の君の力も、かなり消費してしまったことでしょう……。
……彼らは、必ず連れて参ります。彼らの旅を、正しく終わらせるために。
こちらは、2016/9/16に行ったオンラインセッションのリプレイです。……まあ、ご覧の通りの惨状となりました。いえ、違うんです、そんなつもりではなかったんです。こちらからのダメージダイスがほぼ全てニアリー最大値という、とんでもない数値を叩き出してしまったせいでこんなことになったのです!
……いえ、まあ、2人足りない状態だったので、もうちょっと調整をするべきだったとは思うのですが……。(これでも6人用のものから弱体化しています)
今回はお互いにとって交通事故にあったような状態でした。……というわけで、次回は「カコ」のブレスによって巻き戻った世界をプレイすることになります。
【参考サイト】
0 件のコメント:
コメントを投稿
ご意見・ご感想、お待ちしております。