2016/09/18

りゅうたまリプレイ 第十三話「夏の終わりの狂騒曲(後編)」 【キャンペーン】

前夜祭で喧嘩を止め--いえ、彼ら自身も渦中にいた気がしますが--宿に戻って休んだところまででしたね。
一部はすっかり酔っ払っていましたが、そこは流石というか、全く寝坊することなく朝6時頃には起きていました。
さて、そんなこんなで今日が本祭、どのような一日となったのでしょうか。



の月 30日~


〈コンディションチェック〉
パワー:7
クライブ:6
ティエ:17(Critical絶好調)
ノーティ:9
ジョルティ:7

まだ朝は早いものの、外を見るとすでに大勢の人が歩いていました。皆一様に、闘技場の方に向けて歩いているようです。その中には、シュヴァリエ・ルージュのアルバの姿もありました。他の面々の顔はないため、分かれて行動しているのでしょう。……紅の竜人・ラグナさんは、旅物語が書きにくいと苦心しているとは思えませんが……。

闘技場の方に向かって歩いている者の中には、アルバの姿もありました。

アルバ「隣の宿だったのだな。お前達も出立式を見に行くのか?」
ティエ「?なんですか それ?」
アルバ「む、そういうわけでもないのか?」
クライブ「…出立式?」

ちなみに、クライブはすでに片手にお酒を持っていました。……本格的に病的なものを感じますが……。

アルバ「ああ、もしかして今日何をするのか知らないのか」
クライブ「今日も飲み歩くんじゃないのか…」
アルバ「感謝祭の今日は、闘技場から街をぐるりと一周、輿を回すのがメインイベントでな。昨日のような雰囲気とは少々違うぞ」
アルバ「夜になると闘技場に戻ってくるという塩梅だ。ルートはこんな感じだな」



そう言ってアルバが祭りのパンフレットを皆に見せました。そこには、街の地図の上に大雑把な矢印の引かれた輿のルート地図が書かれていました。……役所にあった地図といい、どうもここの都市の行政は仕事が大雑把なような……?

クライブ「どれ…」
アルバ「で、朝の8時頃に闘技場を出立するわけだ。一緒に来るか?」
クライブ「なるほどな…どうする、リーダー?」
ジョルティ「一緒に行ったらお菓子とか貰えんの!?」
アルバ「そういう祭りではないはずだなあ」
ティエ「特にすることも無いし見に行きますかね なんか他の輿とぶつけ合うとかそういうなんか有ります?」
アルバ「まあ、俺も余所者だからな、詳しいことまでは知らん」
ノーティ「なるほど、それでは見に行きましょうか」
ティエ「いこいこ」
アルバ「そうか、では向かうとしようか。」
クライブ「…そういや、色黒。他の連中はどうしたんだ?」
アルバ「ローナ……昨日暴れていた奴を酒のない行政区画に隔離して、ほか二人は闘技場周りで見張らせている……お前らもほどほどにな」

私も含めて、クライブ以外は「全くだ」という顔をしていました。……当のクライブだけは全く気に留めていないようでしたが……。

そんなこんなで、彼らはアルバと共に2時間程歩き、闘技場に到着しました。闘技場にはすでに大勢の人が集まっています。アリーナの中心部分には竜を模したと思われる大きな輿が置かれており、周囲には屈強な男達と綺羅びやかな衣装の女性達が集まっていました。

ノーティ「間に合ったようですね」
アルバ「うむ、どうやら間に合ったようだな」
クライブ「ふむ…中々立派な造りだな」

その後、神官らしき装いの者が竜輿の前に現れ、祝詞を唱えていきます。その祝詞は、火竜の歌と同じ、竜の古代語のものでした。


【水竜の祝詞】
荒れ狂う竜よ 偉大なる竜よ
我らが願いは豊穣なり
我らが祈りは平穏なり
泉下に瞑する我らが命に安らぎを与え給え
その広き御心で我らの想いを聞こし召し給え

……古きこの街の人達にとって、大河は豊穣を齎す感謝の対象であり、同時に破壊を引き起こす畏怖の対象でもあったのでしょう。昨日、バル「クロン」のマスターが「古くは生贄を行っていた」とも言っていました。この祝詞も、恐らくはその頃から使われていたものなのでしょうね……。

ジョルティ「あれが大河の竜かー」
ティエ「わー  でけぇー」

俄に会場が湧き上がりました。そして、男達は輿を担ぎ、女達は舞を踊りながら、闘技場を南に向けて出発しました。
明らかに重いであろう竜輿を担いでいるにも関わらず、その速度は遅くなく、小走り程度の速さで進んでいきます。後を追っている者達も多いようでした。

ノーティ「本当に竜がいたらこの光景をどう思うでしょうかねぇ……」
ジョルティ「信仰心があるって事だから、悪い気はしないんじゃねぇの?」

アルバ「よし、それでは俺はこの辺りで。また夜には来るが……良い祭りを」
ジョルティ「日焼けに注意しろよー?それ以上は見えない」
ティエ「闇で不意打ち判定貰えるかもだから逆にすべきやも?」
アルバ「ははは、そうしたら次は夜に戦おうじゃないか」

どこかラグナさんに似た笑い方をしながら、アルバは闘技場から去っていきました。その後、私の旅人達は輿に着いて街を回ることにしたようです。

ノーティ「ちょっと待って下さい。先の神官やスタッフに話を聞きに行きたい」
ティエ「いってらー」

ノーティは闘技場を出る前に、先程の神官がいると思われる闘技場の詰め所へと向かいました。

ノーティ「お疲れ様です神官殿、私は竜の真実を求めて旅をしている者ですが……」
神官「ほほう、竜の真実ですか?」
ノーティ「この竜輿などの儀式の歴史はいつからどういった経緯で?」
神官「この竜輿ですか。祭りが始まったのはクローナ・ディアが出来て数年の後ですから、今から400年程前のことですね」
神官「元々はそれほど大きなものではなかったのですが、街の繁栄に合わせて輿も大きくなってきた次第です。毎年新しいものを彫って作っておるのですよ」
ノーティ「それはそれは大変なことで。先程唱えていた言葉は竜に捧げるものでしょうか? それにも何か歴史が?」
神官「ええ、一応祝詞といいますか、古代の竜の言語だと言われています。今では元の意味までは分からなくなってしまっているのですが--」

神官はそう言って、先程の祝詞をゆっくりとノーティに聞かせました。ノーティは口述筆記ではありますが、その祝詞を書き留めています。

ノーティ「やはりそうですか。温泉街サンドラでも竜の言語に関する言い伝えがありまして……竜の存在について確信が増しました。ありがとうございます。ご加護のあらんことを」
神官「ああ、サンドラはそうでしたね。ええ、竜のご加護のあらんことを」

話を終えて、ノーティは皆の元へと戻ってきました。ティエとジョルティは近くの出店で買ったらしい食べ物や飲み物を持っていました。手が早い……。

クライブ「…まあ、いい。ついていくんだろう。いくぞ」
パワー「ワッショイ!
ティエ「ワーッショーイ ワーッショーイ」
ジョルティ「ワッセローイ」

竜輿はすでに闘技場を発ってそこそこ離れていましたが、彼らは早足でそれに追いつき、その後はその竜輿と共に移動することになりました。



【旅船港:午前10時】
竜輿が旅船港を通りかかると、近くに停泊している旅船から何人もの人が手を振っているのが見えました。ティエがそれに手を振り返しています。

ジョルティ「なに、ティエの知り合い?」
ティエ「いやしらないけどなんか手ェ振ってたから適当に…」

旅船はクローナ・ディアから、隣街のラ・ヴィスへと向かう船のようです。大型で丈夫そうな船でした。

クライブ「前に来たときは何も無かったが…意外とでかい船が泊まるもんだな」
ティエ「次はこれに乗って移動するんですかねー」

各々、旅船の様子を眺めながら、竜輿は進んでいきました。



【行政区:正午】
竜輿が次に入ったのは行政区です。行政区は他の地域に比べると人が少ないものの、沿道には役所の職員達が立っており、鳴り物を手に声を上げて応援をしています。

行政区では役所の従業員たちが道の周囲に立っており、鳴り物を鳴らしながら声を上げて応援をしています。

所員たち「ワーワーキャーキャー」
ティエ(キャーって言うことがあるのか?)
パワー「キャーキャー!」


有るみたいですね?


ノーティ「案外ノリがいいですね」

参道沿いには、ベンチに腰掛けて竜輿を見ているアルバとローナの姿がありました。

ローナ「昨夜はご迷惑をお掛けしました……」
ノーティ(監督者かな……)

ジョルティ「お、酒乱ローナちゃん」
ローナ「シラフでアミールに絡んでいた人には言われたくないわよ?」
ジョルティ「貴様…なんで覚えている…」
ローナ「記憶は残るタイプなの」
ジョルティ「酒の肴に華が欲しかったんだよぉ!!」
ローナ「まあアミールは可愛いから気持ちはわかるけどね!」

クライブ「大変だな」

クライブは適当にそんな感じで言っていますが、常にお酒を飲んでいました。


アルバ「お前は……。いや、体にわるいぞ単純に」
クライブ「今日はむしろ無いほうが調子悪い」
アルバ「もう既に…………まあ、止めはせんが……。いや、まあ気を付けてな、今日も暑い」
クライブ「おう」



【宿泊施設街:午後2時】
竜輿は行政区を抜けて、宿泊施設街へと入りました。宿泊施設街には観光客と思しき人達が集まっており、珍しそうに竜輿の行進を見ていました。

パワー「ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!」

パワーは完全に輿を担ぐ人達の中に混ざっていました。……体格が良すぎて全体のバランスが崩れているように見えますが。

クライブは途中で宿に立ち寄って、リザーブのお酒を持ってきていました。飲み比べ大会の商品で貰った地酒の瓶のようですね。……なかなかの度数だったと思うのですが、歩きながら飲むのは危ないような……。



【居住区:午後4時】
さらに2時間ほどして、竜輿は地元住民達の居住区へと到達しました。やはり地元の祭りということもあり、他の区域に比べて多くの人が輿を見に外に出ているようでした。沿道から黄色い歓声が上がっています。


地元民A「今年のも立派ね!」
地元民B「心なしか水竜様の目も輝いているようだ!」
地元民C「あ、あっちの人達って闘技大会の優勝者の人たちじゃない!?」
地元民D「ホントだ!カカシ見せてくれよ!カカシ!!!」

ティエは声援に応えて、グレイトフル・スケアクロウの魔法を唱えてみせました。

地元民C「おおー!!カカシだー!!!」
地元民D「本物のカカシだー!!」
地元民達「カカシ!カカシ!カカシ!」

クライブ「サービスがいいな、ティエ」
ティエ「まぁ 今日戦闘もないでしょうし」
ノーティ「どっちを見に出てきたんだ……」
ジョルティ「カカシ大人気、俺らスルーって腑に落ちないんですがそれは」

長く続くカカシコールに押されながら、竜輿は居住区を抜けていきました。


【商業港:午後6時】
居住区を抜けた竜輿は、今度は商業港の近くへ通りかかります。商業港は今日も休みということはなく、せっせと木箱の積み下ろしが行われていました。ただ、流石に輿が近付いた時だけは、職員達も手を止めて輿の方を見ています。

ノーティ「ご苦労さまですー」
ティエ「おつかれさまでーす」
ジョルティ「ブラックだなぁー」

その時、ガタッと積み荷置き場に置かれていた木箱の1つが動きました。

〈気配察知:敏捷+知力:目標11
ジョルティ:7(失敗)

しかし、哨戒のジョルティも他の者達も、その木箱の様子に気が付いていません。

竜輿が木箱の前を通り過ぎたその時、突如として木箱の蓋が持ち上がり、中から黒い影が現れました。複数の黒い影は素早い動きで背を向けた彼らに接近して襲いかかりました!

〈戦闘開始〉
不意討ちを受けたとは言え、流石に戦い慣れた彼らのことです、咄嗟に振り返り臨戦態勢に入りました。戦列を整えることはできていませんでしたが……。
差し迫る影は8つ、3つは黒くおぞましい外見をした小鬼、2つはそれに羽根が生えたような生物です。そして残り3つは、半透明な濁った黄色をした獣のようでした。

〈ラウンド1
初めに動いたのは、黒い羽つきの小鬼でした。素早く近寄り、1体はジョルティを、もう1体はティエに鋭い爪で攻撃しました。2人とも不意のことで避けることはできません。

次に動いたのは意外にもパワーでした。パワーは斧を握りしめ、羽根の付いていない黒い小鬼に振り下ろします。ドシャという音と共に斧が命中しました。その直後、頭から取り出した世界樹の実を齧っていました。……あれを見ながら良く食事ができますね。

黒い小鬼達はティエ、パワー、ノーティにそれぞれ攻撃を行います。かの小鬼は動きが素早く、瞬く間に二度の攻撃を叩き込んでいました。彼らはほとんど避ける事ができませんでした。幸いにして、ダメージはそれほど大きくはなかったようですが……。

黒い羽根つき小鬼A「ヨクヤッタヨクヤッタ」

ジョルティ「シャベッタアアアアアアアアアアアアアアア」
ティエ(しゃべった…)
パワー「キャアアアアアア」
ノーティ「お祭りの余興ですかね……?」

……知的な生物だとは知っていましたが、喋る程の知能があったとは。

今度は、半透明の獣が、周囲に自身の体から生成された霧を撒き散らしました。その霧は集中力を失わせる力があるのか、吸い込んだ皆のMPを奪い取ります。

パワー「フン、ザコか」
クライブ「いや、MPなくなっても気絶するからな?」

……体験者は語る。

次に、クライブはまずじっと小鬼の動きを観察しました。小鬼が「ゴブローチ」と呼ばれる存在であることに気付きます。ゴキブリとゴブリンを足して2で割り、このような表現が適切かは分かりませんが……100倍醜くしたような生物です。

クライブ「……気色が悪いな」

クライブはその後、戦場の様子を見ていました。

ジョルティが続いて、半透明の獣をじっくり観察します。こちらは「メタ・ノール」と呼ばれる妖魔であることが分かりました。濁った酒がハイエナの形をしています。人の正気を失わせるお酒を生成する性質を持っているようです。

ジョルティ「酒臭!!あっ、クライブの方からじゃなくて犬っころからか!?」

ジョルティもその後、戦場の様子を眺めています。

ジョルティ「とにかく状況把握しないとな」

ティエは羽根付きの小鬼を見つめていますが、特に情報は得られなかったようです。体力がないため前列にいるのは危険と判断し、さっと後列に下がりました。

ティエ「しかし気持ち悪い見た目ですね……」

ティエに代わってノーティが羽根付きの小鬼を観察します。それによって、羽根付きの小鬼が「ゴブローチ・スカイ」と呼ばれる生物であることがわかりました。これはゴブローチに羽根が生えた種族で、飛翔能力を得たことでさらなる悍ましさを獲得しています。

ノーティ「むむ……危機を感じると飛ぶ個体のようですね。見たくないですが……」

ノーティは後列に下がらず、まずは様子を見ることにしていました。誰よりも十分な落ち着きを取り戻すことができたようです。

〈ラウンド2

今度は最初に動いたのはノーティでした。敵に向けてスノウボール・ストームの魔法を放ちますが、敵の動きが素早く全く当たりませんでした。

ノーティ「全然当たらない!」
ゴブローチシシシシ」

ゴブローチ達は不気味な笑い声……鳴き声を立てています。

次にジョルティがメタ・ノールに対して射撃します。メタ・ノールは液状に見えますが、矢は十分なダメージを与えることができたようでした。

ジョルティ「とりあえず霧がやべぇ、数だけ減らしたいな、っと!」

次に、ゴブローチ・スカイの一体がクライブに攻撃をしましたが、鎧によってダメージを受けることはありませんでした。もう一体の方に至っては、攻撃の際に転びました。

パワー「だっさ!!」
ジョルティ「なんかすっ転んでるぞ?」

パワーは矛先--斧ですけれども--を先程ジョルティが矢を放ったメタ・ノールに切り替えて一撃を放ちました。確かな手応えと共に、メタ・ノールの1体がその場に倒れ伏しました。

それから、ゴブローチ達がパワーやジョルティに対して攻撃を行いましたが、皆が落ち着きを取り戻していたということもあり、今度はあまり命中しませんでした。パワーは何発か貰っていましたが、本人はケロっとしていました。

ジョルティ「こいつら、落ち着いて対処すればどうってことないな!」
ジョルティ「ただし、数だけはやっかいだ」
パワー「ブッコロソウ!」
ジョルティ「だな、一匹ずつ潰していこう」

クライブもメタ・ノールに攻撃を行いますが、それほど大きなダメージにはなっていませんでした。

クライブ「ちっ…浅いな。手元が狂ったか」

メタ・ノール達も反撃を行いますが、全く命中していませんでした。

ティエはゴブローチの一体に向けてシューティング・スターを放ちます。これが渾身の一撃となり、ゴブローチはジジジジと苦しそうな鳴き声を上げました。まだ動いているようですが、かなりのダメージを与えているようです。

〈ラウンド3

ノーティは今度こそとスノウボール・ストームを放ちます。今度は全員に命中させることに成功しました。降り注ぐ雪玉はなかなかのダメージを与えることが出来ているようです。これによって、メタ・ノールは全滅しました。

注釈
実は、シナリオ15前後まで「エリア」についての裁定を勘違いしていました。フロントエリアが敵味方同一のものと分かっておらず、スノウボール・ストームを誤射なしで使っています。実質ここぐらいしか影響はありませんでしたが……気付くの遅すぎですね!ごめんなさい!

ジョルティ「魔術回路が疾駆する!!」

ジョルティは自らに「スプラウト」の魔法を放ちました。敏捷が限界を超えて、尋常ではない速度で動き始めました。

ここで、身の危険を感じたゴブローチ・スカイの1体が飛び上がりました。その姿は予想を超えて悍ましく、その姿を見たものの身を竦ませました。

〈飛翔〉
この飛翔を見たものは、精神+精神:目標8で成功しないと防御しかできない

ジョルティ「うわっ飛んだ!こっちくんな!お願いします!!」
パワー「あはは」

ゴブローチ・スカイB「アキラメルナ!カチメハアル!」

もう1体のゴブローチ・スカイは転びながら応援をしていました。無様……。

パワーは身がすくんで動く事ができませんでした。そんなキャラでしたっけ?

パワー「うわーきもーい!木の実食べてるからあとよろしくー!」

その後、ゴブローチ達がノーティやジョルティに攻撃を行いましたが、一発も命中することはありませんでした。不意討ちの一発目以外は、さっぱり当たっていませんね。

ジョルティ「しっしっあっちいけあっち」

クライブもパワーと同様、飛翔したゴブローチ・スカイの悍ましい姿に身が竦んで動くことができませんでした。

ティエは特に身を竦ませていることはありませんでしたが、放ったシューティング・スターは命中しませんでした。

〈ラウンド4
ノーティは引き続き敵の集団に向けてスノウボール・ストームで攻撃を行います。雪玉は先程ほどではないものの、やはり集団に対して大きなダメージを与えることに成功しました。

ゴブローチ・スカイA「ギギギギ ツメタイ!ツメタイ!!」
ゴブローチ・スカイB「ガマンシロ!ガマンシロ!」
ジョルティ「やっぱは寒さに弱いんすねぇ…」

と言いつつも、ジョルティは飛翔したゴブローチの悍ましさに身を竦ませていました。

ゴブローチ・スカイの1体はクライブに向けて攻撃しますが命中しません。もう1体はノーティに向けて攻撃を行おうとしましたが、すんでの所でパワーが間に割って入りました。何だかんだでちゃんと仲間意識があるんですね!

ゴブローチ・スカイB「ジャマダ!カミガオオイ!」

パワーはその勢いもあってか、もはやゴブローチ・スカイの悍ましさをものともしていません。(クリティカルで精神4なのに目標値8を抜けました。リンギツネの目標7も抜けていましたし、なんなんですか?

それから、ゴブローチ・スカイの1体に向けて斧を振りますが、こちらはさしたるダメージにはなりませんでした。

ゴブローチ・スカイ「イタ……クナイ!」
ジョルティ「アフローしっかりしろー」

ゴブローチの1体はクライブに二発攻撃を命中させ、彼を激昂させるという報酬を得ていました。もう1体はパワーに攻撃をしましたが、こちらは全く当たりませんでした。

そして、激昂したクライブは勢いのままにゴブローチ・スカイの1体を斬り、トドメを刺しました。それに続き、ジョルティがもう1体のゴブローチ・スカイを撃ち、引き続きティエがシューティング・スターを命中させたことで、こちらも動かなくなりました。

ゴブローチ・スカイが両方やられたことで、部下的存在のゴブローチが明らかに動揺しています。

それからは、もう特筆すべきこともありません。ノーティがスノウボール・ストームを打つけ、ジョルティが渾身の一撃を加えてゴブローチ達は見るも無残な屍を晒すことになりました。……少々やり過ぎでは?
そして最後の1体には、パワーが斧でトドメを刺し、悍ましき黒の小鬼団は全滅する運びとなりました。

〈戦闘終了〉

パワー「ごっぶろーち!ごっぶろーち!」
ジョルティ「うるせぇ!!俺は触りたくねぇ!!メタ・ノールだけ材料加工しとくか」
パワー「おいしいかもよ?」
ジョルティ「食いたくねえよ!」


材料加工
パワー:6(失敗) ※前回シナリオでレベルが上がりサブ・ハンターを習得しました
ジョルティ:20

パワーは特に考えることもなくゴブローチの身ぐるみを剥いでいましたが、特に得られるものはなかったようです。
ジョルティはメタ・ノールを材料に加工していきます。すると、そこから採取されたのは、紛うことなき「ローレライの涙」でした。

ノーティ「ええ……」
ジョルティ「やったな、クライブ」
ジョルティ「オェェ…」
ティエ「えー これ金はらってのまされたとかふにおちないなー」
ジョルティ「クライブ、採れたてだけど利き酒する?」
クライブ「遠慮しておく」
ノーティ「なんでこんな奴らが……? 積み荷に紛れ込んでいた?」
ジョルティ「なるほどね、悪酔いの原因はこれか。こいつが原材料だったわけね」

ジョルティがそんな風に考えていると、俄に周囲がガヤガヤとし始めました。戦闘は一瞬で終わったため、今になって周囲の人達が騒ぎ出したようです。

港職員A「うおお…すげえ…あの数を一瞬で……!」
港職員B「カカシは八百長じゃなかったんだな……!」
港職員C「いや、そんなことより、あの魔物、積み荷から出てきたぞ、どうなってるんだ」

ジョルティ「おーい、職員見物は良いけど検閲かけなくていいのかー?」

ジョルティが騒がしい港の職員たちに声を掛けると、慌てた様子で奥から監督らしき人が現れました。

港監督「しっかりチェックはしていたはずなのですが……どこからこんなおぞましいものが……」
ジョルティ「とりあえず積み荷運びこんだ船抑えとけよ、出ちゃったならリストから他の積み荷チェックしとけ」
港監督「誠に申し訳ありません。対処していただいてありがとうございます。この件は詳しく調査し、原因を究明致します」
ノーティ「何処からの荷物でしたっけ?」
港監督「ラ・ヴィスですね……ローレライの涙の積み荷のようですから」
港監督「……ともかく、詳しく調査を致します。輸入船はもう出てしまっているので、追跡調査を行います」

クライブはまさに小鬼達が現れた箱を確認していました。箱は端の方に隙間があり、そこに身を潜めていたことが伺えます。箱の中には、まだ多くのローレライの涙が残っていました。

クライブ「…一体何を運んでいたんだか」

竜輿の担ぎ手「守っていただいてありがとうございます!残り少し、気合入れていきます!!」
竜輿の担ぎ手「行くぞぉー!」
ジョルティ「おう、いいってことよ」
竜輿の担ぎ手「エイシャー!オー!エイシャー!オー!」

竜輿はほとんど止まることなく、そのまま再び動き出しました。


【闘技場:午後8時】
商業港から再出発した竜輿は、20時頃に闘技場へと戻りました。大歓声と共に迎え入れられましたが、闘技場の中は暗く、明かりが付いていません。夏とはいえ終わりも近く、すでに日も沈んでいるためか、闘技場内はかなり暗い状態です。

竜輿に伴ってアリーナに入ろうとすると、担ぎ手以外は入り口で止められました。

闘技場職員「お疲れ様でした。ご同行の皆様も、こちらをどうぞ。合図がありましたら、こちらのマッチで火をつけて下さい」

そう言って、職員が燭台に乗ったロウソクを彼らに渡しました。このマッチというのは、擦ることで火をつけることができる使い捨ての道具のようですね。便利な世の中になったものです。

彼らが燭台を手に会場に入ると、竜輿がアリーナの中央に置かれていました。すると、出立式の時と同じように、神官が現れて祝詞を唱えます。神官は祝詞を唱え終わると、観客席に向けて両手を広げました。その合図に合わせて、観客達が一斉に手元のロウソクに火を付けていきます。
彼らもそれに倣い、ロウソクに火を付けました。

仄かな明かりが広がり、闘技場がぼんやりと光り始めました。……クライブは口の中に酒を含んで火吹きなどをしていました。周囲は盛り上がっていましたが、運営の方に止められていました。

そんなぼんやりとした光の中、3人の男が竜輿の前に歩み出しました。フォース・クローナ、賭け闘技大会のチームFの3人のようです。彼らは輿に向けて剣舞を行い始めました。ロウソクの光が剣に反射し、不規則な光を放ちます。

彼らの剣舞が終わると、大きな花火が打ち上がりました。こうして、竜の本祭はフィナーレを迎えたのです。


第十三話「の終わりの狂騒曲」 完



と、今回はこのようなお話となりました。明日からは秋、少しずつ肌寒くなってくることでしょう。竜の君もお風邪など召しませんように。
私としては夏の暑さよりは秋の涼しさの方が肌に合っていますから、少しは過ごしやすくなるでしょうか。
彼らはどうでしょうね……?どちらかというと、夏の暑さの方が似合っていそうな人が多いですが……。
さて、次回は随分クローナ・ディアに長居したということで、そろそろ次の街へと移動するようですよ……?

【MVP:ノーティ】


こちらは、2016/9/3に行ったオンラインセッションのリプレイです。お祭りにちょっとしたスリルとミステリーを、ということで戦闘も織り交ぜてみました。
今回のことで、GMである私は1つのことを学びます。「2回攻撃」を使えば、そこそこ良い勝負を演出できるのではないか?と。
……この事が後に大きな事件を引き起こすことになるのですが、それはもう少し先のお話です。
ともあれ、今回はパワーさんがこれまでにないほどロールプレイをしてくれるなど、とても良い回だったと個人的には思っています。
それでは、また次回をお待ち下さい。




【参考サイト】


2 件のコメント:

  1. お疲れ様です。ゴブローチは1回目か2回目のセッションで出すと、1体でもボス級の緊張感が出せる手頃な強敵ですね。
    火竜に続いて水竜信仰の情景と出て来て、この世界の信仰と神話の体系が徐々に気になって来ました。全部を詳しくという訳にも行かないでしょうが、こちらの世界観の描写を楽しみにしています。

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    1. コメントありがとうございます!
      最初の方のセッション本当に手探りでかなりバランスがぐちゃぐちゃになってしまっていて、今もまだそこから抜け出せていない所ですね……。
      竜信仰については今後少しずつ出していきたいと思っています。元の世界観を壊さない程度に、上手く作っていきたいですね!

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