おはようございます、竜の君。
秋も深くなってきて、場所によってはもう雪が降り始めているようですよ。
どうやら、この世界では東に行くほど寒いようでして…彼らが東に向かっていることもあって寒さが加速しているな、という具合です。
さて、それでは今回は、遺跡調査からラ・ヴィスに戻った所からお話を始めましょう。
第十八話「芳しき香りに誘われて」
~秋の月 13日~
静かな川面を渡ること約半日、夕方頃に彼らと私はラ・ヴィスへと戻ってきました。誰も酔うことなく船旅が楽しめたのは、今回が初めてですね。
ノーティ「ディアンさん、お疲れ様です。ラスさんもどうもありがとうございました」
ラス「いえいえ、皆さんもお疲れ様です。それじゃ、俺は先に船舶組合に戻りますね。今後もラ・ヴィス船舶組合の船をご贔屓に」
ノーティ「機会がありましたら。…さて」
ディアン「お疲れ様でした。この度は真にありがとうございました。宝玉の事に関して確認しなければなりませんので、考古学協会の方までご同行願えますか?」
ノーティ「ですよね。では、行きましょうか」
こうして彼らは、ディアンと共に街の中心近くにあるラ・ヴィス考古学研究協会へと向かいました。協会本部は小さな建物ですが、中に入ると幾つかの古い美術品が飾られていました。
ディアン「探索を終えて戻って参りました。未知のこともかなり見られ、危険もなさそうですので、今後はじっくり研究することができると思います」
協会上司「ご苦労様です。皆様も、護衛の任ありがとうございました。こちら、お約束の報酬の6000Gでございます」
ディアンの上司と思われる方が、彼らに対して護衛報酬の6000Gが入った袋を手渡しました。ちょうど前にいたノーティがソレを受け取ります。
ディアン「かくかくしかじかで、皆様の持っていた宝玉をお返しできなくなってしまいまして…。その分もお支払していただければとのことですが……」
ジョルティ「宝石2個で1万、2個だったから2万です。あ船酔いの労災で4000ぐらい乗せても結構」
協会上司「労災は労働者ではない皆様には発生しないのでともかくとして、ふーむ、その宝玉2つを使って手に入ったのが青い宝玉、ということですね?」
クライブ「ああ、こいつだな」
クライブは手荷物に入っていた青い宝玉を取り出して見せました。
協会上司「なるほど、承知しました。それでは、2万Gをお支払致しますので、そちらの青い宝玉はこちらで収蔵させていただければと思います」
ジョルティ「ほう…青い宝石は危険を犯してまで手に入れたのに、2万の宝石よりも低いと…そんな馬鹿な…」
協会上司「ですから、その分は護衛の約束の報酬をお支払しております」
協会の方は、静かな口調でしたが、少しばかり苛立っているようでした。…まあ、仕方がないかと思いますが。
ノーティ「まあ、我々には必要のない……というより、考古学にお詳しい方々にこそ必要なものですから、宝玉についての処理はその通りで構いませんが……」
ノーティ「考古学協会として、今回の水竜についての見解を後ででもお聞かせいただければと思うのですが……」
協会上司「水竜について、ですか…。ディアンが直接声を聴いていないということですし、こちらとしてはまだ全く。より深い実地調査をしてみないと結論は出せませんね」
ノーティ「そうですか、それについてはお話します」
ノーティは昨日、遺跡の奥の部屋で水竜が言っていたことをメモを見ながら説明しました。
協会上司「ドーレスの都自体、過去の文献にも出てきていないものですから、やはり調査が必要になりますね…。今後の行き先を教えていただければ、調査結果が出次第郵送させていただきますが」
ノーティが協会の人と話している間、クライブは何か考えているような表情で青い宝玉を上に投げては受け取り、投げては受け取り、と弄んでいました。…まあ、落として割れるようなものではないとは思いますけれども。
クライブ「よし、良いだろう。やはり2万はいらん。俺がその分を全員に出す。この宝玉気に入った。俺がもらう」
ノーティ「えっ」
協会上司「ふむ、そうですか?それでも構いませんが…。」
ノーティ「え、構わないんですか?」
協会上司「ええ、まあ、物は確認させていただきましたし、”魔力を帯びる性質がある”こともわかっているのであれば、実物にはそれほど拘りません。私達は魔法研究家ではありませんからね」
ノーティ「は、なるほど……」
協会上司「その”水竜”の言うことが確かならば、発掘調査を進めれば近しい性質のものが見つかると思いますし」
ジョルティ(宝石2万で報酬が6000なのに2万放棄だと!?この酔っ払いは計算も出来ないのか!!14000の価値って計算になるぞ!?)
クライブ「よし、ならそういう形で。金は後で払う」
協会上司「では、そのような形で。改めましてこの度はお世話になりました」
ノーティ「そうおっしゃるのでしたら。次はリーテに向かおうかなどと考えておりますが……変更があればこちらから連絡させていただきます、調査結果を楽しみにしております」
協会上司「はい、分かり次第連絡を致します。一朝一夕に、とはいきませんので、どうぞ気長にお待ち下さい」
ノーティが挨拶をしている間も、クライブは楽しげに青い宝玉で遊んでいました。……クライブの瞳と同じような青い色が、気に入ったのかも知れませんね。
こうして彼らは協会本部を後にしました。
ノーティ「どうします?
次はリーテに向かうのが道理だと考えていますが」
ジョルティ「お、飯の美味いとこだな!!」
ノーティ「そうですね、その点も兼ねて周りの人たちに話を聞きましょうか?」
ジョルティ「トリシアが言ってたレシピとか現地で味わいたいしな!!あわよくば現地民に直接教わりたい。」
クライブ「任せた」
ノーティ「最終目的地は東の果てを考えています。宝の地図に示された場所も東でしょう、どうです、リーテ」
ジョルティ「竜について知りたいのはお互い様だ、最後まで付き合うぜ」
ノーティ(お互い様?)
……目的が大幅に違っていますが、確かにこの2人の目下の目的は「竜」のことなので、間違ってはいないでしょうか…。
トリシア「まーかーせーたー決まったら教えてくれ!」
パワー「おふねにのりたいです」
ジョルティ「そういや、パワーさんはちゃんとは船に乗ってないな!」
ジョルティ「パワーさんあの時流されなくて良かったね」
パワー「その時は泳ぐから」
呪われたヘヴィーアーマーを着ながら泳げるものでしょうか……いえ、彼なら泳げそうではありますが……。
ノーティ「ではリーテへの便を取りましょうか」
トリシア「あいおー」
ノーティ「とはいえ、この時間ではもう便がないですかね、一泊してからいきましょうか」
クライブ「疲れたしな。ティエも先に帰っていることだ、そうするのが良いだろう」
……そういえばティエはいつの間にかいませんでした。船から降りて、真っ直ぐ宿に戻っていたようですね。(PL不参加)
こうして彼らは商会の宿へと戻り、ラ・ヴィスでの最後の1日を堪能するのでした。
~秋の月 14日~
そして翌日。晴れやかな船出日和となりました。今日も、昨日と同じように穏やかな流れなら良いのですが。
〈コンディションチェック〉
パワー:13(絶好調)
クライブ:6
ノーティ:10(絶好調)
トリシア:10(絶好調)
ジョルティ:5
ノーティ「また斬馬が出なければ良いですね。さあ港へ」
パワー「待て!薬草を取っていない!」
ノーティ(何故か最近薬草取りに全力な気がする)
〈薬草取り:砂漠:目標10〉
パワー:7(失敗)
ノーティ:10(黒ガラン瓜入手)
パワー「砂漠に草なんてあるわけないだろ!」
ノーティ「ありましたよ?」
パワー「なんだそれ臭っさ!」
ノーティ「ええ…」
港に向かう前に少し街から出て薬草を取り、その足で港へと向かいました。港はまだ朝早くであるにも関わらず人が多く、賑わっています。
人を避けつつ旅船の受付へと向かいました。
港受付「おはようございます。どちらにお越しでしょうか?」
ノーティ「えー、リーテまでの便を。船舶組合からチケットを受け取っております」
ノーティがハウゼン船長から受け取ったチケットを見せました。すると、受付の人が手を叩いて驚いたような仕草をします。
港受付「ああ!斬馬を退治してくださった方々だったのですね!」
港受付「はい、組合から承っております。最も良い部屋を無料で用意することができるのですが…本日だとスイートが最も良い部屋になりますね」
港受付「2日後の便であればロイヤルスイートをご用意できますが…如何なさいますか?」
ノーティ「どうします?
皆さん。私は今すぐにでも出発したい気分ですが」
クライブ「ま、良い部屋くれるなら待ってるのも手じゃないか」
トリシア「喫煙可ならどこでもいいよ」
パワー「スイートでいいよ。甘いんだろ」
ノーティ「喫煙は同じ部屋ではちょっと……」
港受付「スイートは個室でございますよ。喫煙も窓を開けていただければ構いません。アナウンスがあった時だけは閉めてくだされば問題ありませんので」
ジョルティ「美味い飯出るならどっちでもいいよ」
ノーティ「ではスイートで。クライブさんそれでも大丈夫ですか」
クライブ「任せる」
ノーティ「では今から一番近い便をお願いします」
港受付「承知しました。それでは、部屋をお取りします。5名様ですね?」
クライブ「いや、コレもだ」
クライブは、寝過ごして荷運び動物に詰め込まれていたティエの首根っこを捕まえて受付に見せました。
港受付「6名様でしたか、失礼致しました」
パワー(喋るノートは人数に含まれますか?)
港受付(喋るノートはマナーモードにして、優先席付近ではご使用をお控え下さい)
港受付「それでは、1時間後に出港の便、スイート6室をお取り致しました。お乗り込み頂けますので、出港30分前までにはどうぞ」
こうして彼らは船に乗り込みました。個室である上に、調度品等も優れたものとなっており、過ごしやすそうでした。ゆっくりと1時間過ごし、出港の時間となりました。
昨日と同じく波は穏やかで、揺れはあまり感じません。これなら、きっと酔わずに到着できることでしょう。
〈船酔い判定:体力+判定:目標6〉
パワー:8
クライブ:6
ノーティ:7
トリシア:11
ジョルティ:8
(アリア:13)
こうして、3日間の船旅は快適なものとなりました。天気も良く、食事も美味しく、ゆったりとした時間が過ぎていきます。
前回のように斬馬が襲ってくるということもなく…有り体に言うと特に語ることもありません。
〈ブレス発動:ミライ〉
~秋の月 16日~
宵の口頃、定刻通り船はリーテへと到着しました。船から降りると、すぐに芳しい香りが鼻孔をくすぐります。赤い屋根が多く、規模こそ小さいものの、賑わいのある町でした。
大河から町中に数本用水路が引き込まれていて、町中ではいくつもの水車が回っています。特に港のすぐ横には大きな水車が置かれており、町のシンボルとなっているようでした。
トリシア「ついたー!」
ノーティ「着きましたね、なんか如何にもといった感じの街」
ジョルティ「すっげぇ良いにおい」
ジョルティ「パワーさんでっけぇ水車があるぞ!!」
パワー「ちょっと乗ってくるわ」
ノーティ「田舎者みたいで恥ずかしいからやめてください……」
クライブ(こんな拷問あったな)
パワーが水車で遊んでいると、エプロンをした町の女性が話しかけてきました。
女性「おやまあ、元気の良いことですねぇ」
パワー「見てんじゃねぇよ!見世物じゃねぇぞおらぁ!」
ノーティ「ああ、すみません、悪気はないんですが」
パワー「水飛ばすぞおらぁ」
女性「旅のお方でしょう?リーテへようこそ。お食事・お宿はお決まりですか?」
ジョルティ「料理が一番美味い宿を探しているんだが」
女性「それでしたら私共の宿は良いですよ!もしよろしければ、3番地の小狐亭へどうぞ!」
ジョルティ「あと、ここの名産と名物を教えてくれぃ」
女性「料理はこの町のお店ならばどこも美味しいですよ。店によって少しずつ味が違っていますので、いろいろ回ってみると良いかと思います」
女性「食材の方はあまり独特なものはないのですが、それぞれのお店や家庭で自分なりのスパイスを持っているのが特徴ですね。美味しい料理は香辛料にあり、というのがこの町のモットーです」
女性「肉も魚もお野菜も、他で食べるより美味しくできますよ!」
ジョルティ「よし、乗った」
トリシアは船を降りて早速煙草を吸っていましたが、話は聞いているようでした。
ジョルティ「おーい、皆俺の独断と偏見で宿が決まったぞー」
女性「こんなこと自分で言うのは宿の者としては良くないと思うのですが、毎日別の宿に泊まられる方が多いですね。いろいろなお店の味を食べたいとのことでして」
女性「ということで、1日目はどうぞ小狐亭へ」
クライブ「ま、いいんじゃないか。勧めてくれるなら面倒がなくていい」
ジョルティ「この街だとそうなのか、じゃあそうするよ」
ノーティ「あのー、よろしければ後で街の軽い案内などもお願いできますか。旅人なものでここらの地理に疎く、また仕事も探しているのです」
女性「ええ、承知しました。私はこちらで仕事がありますので、宿の担当の者に案内させますね」
女性「それでは、御一行様お宿へご案内いたします。ささ、どうぞこちらへ」
ノーティ「お邪魔させていただきます」
彼らは今日「小狐亭」に泊まることにしたようです。送迎馬車に乗って店へと向かいました。小狐亭は2階建ての、水車が付いた宿です。
小狐亭店主「いらっしゃいませ皆様。この度は小狐亭へようこそ。早速ご夕食に致しますか?」
ノーティ「お願いします」
小狐亭店主「それでは、出来ましたらお呼び致しますので、二階のお部屋でお待ち下さい。苦手な食べ物などはございませんか?」
パワー「砂漠でとれる植物じゃなければ」
ノーティ「甘い野菜はちょっと……すみません」
クライブ「食い物は感謝して食うべきだ」
トリシア「突然どうしたの」
クライブ「いや、ファーマーとして言っておいた方が良いかと思って」
ジョルティ「フィッシャーじゃなくて?」
小狐亭店主「承知しました。それでは、お料理を始めさせて頂きますね」
小狐亭の店主に促され、二階の部屋に登って30分ほどゆっくりと過ごすことになりました。部屋にいても、厨房から食欲をそそる香りが漂ってきます。
どんな料理が出てくるのかと思いを馳せていると、すぐにお呼びが掛かりました。
小狐亭店主「本日のメインディッシュは「豚肉のスパイス焼き」でございます」
ノーティ「いただきます……あぁいい香り」
トリシア(もぐもぐ)
ジョルティ(ガツムシャ)
小狐亭店主「とても良い食べっぷりで作りがいがあります!ご用意がありますので、おかわりもどうぞ」
ジョルティ「めっちスパイス効いてて、豚肉臭みが全く感じられない上に味がシャープで食欲をそそりますね!!おかわり!」
トリシアは料理を美味しそうに食べながら、その味の元について考えているようでした。
〈味覚:知力+敏捷:目標10〉
トリシア:
16
トリシア「王冠アサガオと…釣鐘ツユクサかな?こんな味になるんだねー」
ノーティ「え、ハーブ?
私の仕事がこういう味になるのかと思うとなんですね」
小狐亭亭主:おお、食べただけでおわかりになられるとは」
ノーティ「ハーブを取るのも楽じゃないでしょう、どこからか輸入されているのですか」
小狐亭亭主「ええ、幸いラ・ヴィスが交易先になってくれていますので。おそらく、このあたりのお店は皆そうかと思います」
ノーティ「ハーブをねえ……」
ノーティ(混ぜると何が起こるか分かったものではないんですが。現地の人達は逞しいですね)
小狐亭亭主「ああ、そうでした、町のご案内をご所望だと伺いました。本日はもう遅いですから、明日でも宜しいですか?」
ノーティ「もちろん。よろしくお願いします」
小狐亭亭主「はい、それでは皆様ごゆっくりお過ごしください。ご朝食は朝7時からとなっておりますので、その時間以降でよろしくお願い致します」
彼らはその後美味しい料理を堪能して、そのまま二階の宿で一泊しました。
……私は彼らが皆二階に上がったのを見計らって、人の姿になって料理を頂きました。美味しゅうございました。
~秋の月17日~
船旅の間も合わせて、ここ数日は天気が良い日が続いています。今日も天気が良く、少しだけ肌寒いものの町を歩くにはちょうど良さそうでした。
〈コンディションチェック〉
パワー:9
クライブ:13(絶好調)
ノーティ:14(絶好調)
トリシア:9
ジョルティ:7
小狐亭店主「おはようございます皆様。朝食の準備はできております」
小狐亭店主「食事が終わりましたら、町のご案内を出させて頂きたいと思いますが、宜しいですか?」
ノーティ「是非。料理も楽しみです」
小狐亭の店主はすぐに用意していた朝食を出してくれました。何という料理なのかは分かりませんでしたが…ともかく美味しそうでした。
ジョルティ「これは何の料理だろ…美味けりゃなんでもいい!」
ノーティ「まあ美味しければ良いですね」
皆が食事を終えた頃、店の奥からティエと同じくらいの歳の娘が出てきました。ショートヘアをサイドで結わえた、明るそうな娘です。
ノーティ「これはご丁寧に。ノーティです」
ジョルティ「ほら、ティエ、商人らしくチップでも…ってあれ?ティエいねえな」
クライブ「どうせ部屋でダウンしてるんだろ」
ジョルティ「なら仕方ない、クライブのポケットから出そう」
クライブ「お前な…」
ルー「あ、ありがとうございます」
ルー「本日はよろしくお願いいたします。では、ご案内致したいと思いますが…特に見たいものなどございますか?」
ルー「特にございませんようでしたら、近場からぐるりとご案内致しますが…」
ノーティ「竜に縁のあるもの……は、ないですよね」
ルー「竜、ですか?そうですねぇ、このあたりは竜より食事という場所でして。あまり信仰が深くないのです。簡単な祠ぐらいならありますが…」
ノーティ「ふむ。では近くに寄った時にでも。近くから回っていただければと思います」
ルー「それでは、ご案内致します。最初に向かうのは、八百屋街です!」
ノーティ(そういう区切り方をするということは、さては本当に食事関係しか文化がないな…?)
ルーの案内で、リーテの町を歩いていきます。基本的に土レンガで舗装がされていて、歩きやすくなっていました。
八百屋街は名前の通り、多くの八百屋が並んでいました。種類も豊富で野菜、果物など幅広く売られています。
ルー「八百屋街は他の町よりもかなりお安く野菜を購入することができます。卸しなので細かい購入はできないんですが、料理をする人にとってはありがたいですね」
トリシア「自炊、ヤスイ、ウマイ」
ルー「一人暮らしだとちょっと多いんですよねぇ。余らせないようにしないと」
ルー「それでは次は食肉街へと参ります!」
ノーティ(やはり…!)
ルー「食肉街は他の街よりもかなりお安くお肉を(後略)」
ジョルティ「次の街に行く時に、買い溜めていくのも良いかもな。ティエが喜びそうなもんだ」
ルー「それでは次はハーブ街へとご案内します!
ルー「ハーブ街は他の町に比べて、珍しいハーブが売られていますね。調味料加工用なので、通常通りの使用はできないのですが…」
ルー「調味料加工、保存用のミル付き容器などもこちらでお求め頂けます」
ノーティ「ここまで料理に特化した町は初めて見ました、料理人なら一度は夢見る街でしょうね……」
ルー「遠くから来る方も多いですねぇ。皆さんはどちらからですか?」
クライブ「どこ…だろうな…?」
クライブは嫌な記憶からか、故郷のことを忘れてしまっているのでしょうか…?いえ、そんなことはないと思うのですが…。
ルー「皆さん同じ故郷ではないんですか?」
ノーティ「ええ、偶然草原で出会った6人でして」
ルー「なんと、珍しいですね。旅の方々は同じ故郷の方が多いものですから」
ノーティ「これも運命の引き合わせと思って旅を続けてかれこれ半年以上」
パワー「なんでここにいるかがわかりません」
クライブ「場所としてはこの辺りから来た」
クライブは地図を取り出して、旅の始まりとなった平原のあたりを指差しました。
ルー「なるほど、カナセの方ですね。あそこのお魚も美味しいですねぇ」
ルー「ローリスの山菜も美味しかったですよ」
ルー「おっと、話し込んでしまいました。それでは、次は中央広場にご案内します」
ノーティ「ジョルティさんに負けない程の美食家でいらっしゃる」
ジョルティ「ほう、後で語り合おうか」
ルー「美味しいものは良いですね。私も旅に出るときは美味しいものがある場所を回りたいです」
次に向かった中央広場は赤レンガ敷きで、周囲にはいくつかのベンチが置かれています。中心には大きな噴水が設置されていました。
ジョルティ「パワーさん、噴水があるぞ!」
パワー「うひょっほー」
ルー「……寒くないですか?」
ノーティ「ま、まあ気にしないで下さい。彼ら頑丈ですから」
ルー「……流石は旅人さんですね?。さて、ここはイベントなどで良く使われる場所ですね」
ルー「リーテでは季節ごとに食事関連のイベントがありますので、良く人が集まりますね!」
ノーティ「ほほう、そして秋のイベントはいつ頃で」
ルー「秋のイベントは、21日ですね。秋の収穫祭があります」
クライブ「近いな」
ルー「ですね。小狐亭も出店するので、色々と準備中です」
ルー「皆さんもお店を出すことができますよ。よろしければ、各店でお申込みができます」
ノーティ「なんと。何か大会といった趣ですか?」
ルー「いえいえ、特に順位などがあるものではなく。皆でいろいろな料理を出し合って楽しもう、という趣のものですね」
ルー「小狐亭も、出店しますよ!」
ジョルティ「さっき聴いた」
ルー「私も当日売り子を致しますので、よろしければー」
ノーティ「出店、ですか。トリシアさんは興味あります?」
トリシア「んー、別にー」
ノーティ「えっ?」
トリシア「なんというか、旅に出てまで仕事したくないというか…実家でいつもしてたというか」
ノーティ「はあ……」
トリシア「旅仲間に振舞ったりするのは楽しいけどねー」
ルー「おや、そうでしたかー残念です」
トリシア「手伝いくらいならかまわんけども」
ジョルティ「俺も作れるっちゃ作れるが、自分が食べる用だし、専ら食べる側だしな」
クライブ(故郷の収穫祭が懐かしいな…元気にしてるかね、みんな)
ルー「それでは、次は…大水車はご覧になりましたよね?」
ノーティ「あの……まあ。見たというか」
ノーティ「見ました、はい」
パワー「乗りました」
ルー「乗ったんですか!?あれに!?」
ルー「…お元気なんですねぇ」
パワー「ほめてるんですかね」
ルー「え、ええもちろん!」
ノーティ「褒められてるんですよ」
パワー「やったぜ」
ジョルティ「しょうもない大人なんすわ、堪忍して」
この人が乗せようとしていた犯人です!
ルー「あとはそうですね、他の町にあるような浴場や手当所、天気予報などが宿屋街の近くにございます」
ルー「特筆するような場所はこれくらいですかねぇ。あ、そろそろ昼食時ですね。お食事にしましょうか」
ノーティ「この様子ですと街は平和そのものといった感じですね。おお、そうですねぇ」
トリシア「ひゃっはー飯の時間だー」
ジョルティ「ルーちゃんのオススメは!?」
ルー「オススメは小狐亭の!と言いたい所なんですが、私はもっと辛いのが好みなので、広場近くにあるお店にご案内しますね」
トリシア「宣伝を欠かさない恐ろしい子!自分も親にやらされたなぁ」
ジョルティ「よし、ルーちゃんの分はこっちで出したげよう。クライブが」
クライブ「格好つけるなら自分で出せよ…」
ルーが皆を連れて行ったのは、広場近くにある麺のお店でした。小麦を練って作った太麺で、ピリっと辛い薬味がアクセントになっています。……詳しく知っているのは例によってこの後1人で食べに行ったからです。
ノーティ「水車が麺のコシを生み出していたりするのでしょうか」
ジョルティ「ハーブも水車で挽いてるのか?」
ルー「麺はそうですね。ハーブはたいていお店に専用のミルがあるので、そっちで挽いてることが多いですよー」
トリシアはスープを飲みながら、また味を見極めようとしているようでした。
〈味覚:敏捷+知力:目標8〉
トリシア:13
トリシア「これは、”キョジンノテノヒラ”と”ホタルブクロ”かな?」
ルー「おー…一口で見抜くとは流石ですね!」
トリシア「どうしても味を調べてしまう職業病の悲しさよ」
ルー「分かります分かります。初めて食べるものは素直に楽しめないんですよねぇ」
トリシア「何も考えずに食べれるのは保存食だけなのか…」
ジョルティ(美味けりゃなんでも良いと思ってたけど、ちゃんと勉強するか…)
そんな具合で麺料理を食べつつだらだらと話しをしていると、店の入口から見覚えのある3人の女性が入ってきました。…彼らには2人に見えているのですが。蒼竜人のリーズさんと、その旅人であるニーナさんとクレールさんです。ゴレンで会った方々ですね。
ニーナ「おや…?おやおや、もしかして皆さんゴレンでお会いした!」
トリシア「おひさしー」
ニーナ「お久しぶりです!こちらに来ていらっしゃったんですねー」
クレール(げっ…何でこんな所に…)
ジョルティ(すっげぇ気まずい!!)
トリシア(すっごい嫌われてる雰囲気)
……クレールさんは絶妙に嫌そうな顔をしていました。……まあ、色々有りましたからね……。
クレール「…お久しぶりです。お元気そうで」
ジョルティ「あ、うん。その、久しぶりー…ですね」
ニーナ「ええ!お久しぶりです!お声掛けもしないで先に出てしまいあの時は申し訳ありませんでした。皆さんはどちらから?レパーリア経由ですか?」
クライブ「まあ、久しいな…」
ノーティ「これはどうも。ラ・ヴィスから川を渡ってここまで」
ニーナ「ラ・ヴィス、ということは西廻りで来たんですね。私達はあの後レパーリア経由でこちらに来まして。すっかり長居してしまっているところなんです」
ニーナ「やっぱり料理が美味しい所は良いですね!」
ジョルティ(消し難いものだな、若さゆえの過ちと言うものは)
クレール(半年前のことで何言ってるんだか)
ノーティ「最近は何故だかすっかり飽食気味で。でもここの料理は特段おいしいですね」
ニーナ「そうですねぇ。レパーリアもそこそこ食事は美味しかったですけど、ここには敵いませんね」
ニーナ「あ、そうだ、これ、レパーリアのお土産です。よろしければどうぞー」
ニーナさんは皆に、人数分の「小さな香り袋」を手渡しました。リーズさんが私の分もくれました。レパーリアの香木が使われたもので、小さいながらも良い香りが漂ってきます。身につけておくことにしましょう。
ノーティ「これはこれは」
ジョルティ「お、いい香りっすね。香辛料で敏感になってる鼻が安らぐ」
クライブ「貰えるなら貰っておこう、ありがたい」
ニーナ「あ、ノーティさん、どうですか、その後?名月の光証、役に立ちましたか?」
……ほぼ使っていない名月の光証のことを聞かれて、ノーティは少し言いよどみました。トリシアが耳元で「何度か助けられました、とでも言っておけばいいんじゃない」と囁いていました。
ノーティ「ええ、まあ、旅の役には立っておりますよ、ええ」
ニーナ「それはよかったです!大事にしてくださいね!」
ノーティ「これからも大事にします。旅の思い出でもありますから」
ニーナ「はい!あ、そういえば、数日後にお祭りがあるらしいですね。皆さんもご出店されますか?」
ノーティ「出店についてはまだ決めておりませんが、非常に楽しみですねぇ」
ジョルティ「食べる側です!」
ニーナ「私達もお店を出す予定ですので、もし手が空いていたら是非!」
クライブ(…食えるものが出てくるのか?)
ニーナ「……その時は宜しくお願いします」
ジョルティ「何のお店を出すんだ?」
ニーナ「レパーリアで食べた煮込み料理を真似してみようかな、と。スパイスを使えばより美味しくなると思うんですよねー」
ジョルティ「ほー、いいね」
クライブ(思ったより食えるものは出そうだな…)
ニーナ「っと、話し込んでしまいました。店員さーん、2人分お願いしますー」
クレール「……辛さ控えめでお願いします」
店員「はーい、すぐお作りします!」
2人の元に料理が届いた頃、ちょうどこちらの皆の食事が終わりました。
ノーティ「いやはや、美味しい食事処をありがとうございます、ルーさん」
ルー「ごちそうさまでした。お口にあったようなら良かったです!」
ルー「他にも美味しいお店がいっぱいありますから、いろいろな所で食べて欲しいですね」
ジョルティ「クレール、昔の事は水に流してこの街でもまた仲良くやろうぜ!!そうだ、ここの薬味辛旨だったぜ!もっと一杯かけるとより美味いぞ!!」
クレール「…………そうですね。ニーナが仲良くしているようですし、ね」
クレール(運が悪い…わざわざ行きそうにない南を選んだってのに……)
クライブ「まぁ、なんだ…お前らも運が悪いな」
トリシア「なにやってんだ」
ルー「さて、それでは祠に寄って戻りましょうか」
彼らが店を出たので、私もそれに付いて出ることにしました。リーズさんに一礼をして、お店を去ります。
ルーの案内で寄った祠は、サンドラや水竜の社のものとは様式が違っており、どこか宝飾が多く現代的な雰囲気がありました。
ルー「ここですねー」
ルーは祠の前で2つ手を打って、「明日も美味しい料理をお願いします」とお参りをしていました。
ノーティ「これが祠ですか……」
ノーティ(何だこれは、どうにもごたごたしているな)
クライブ(願いごとなんぞ何もないが、一応旅の安全でも祈願しておくかね)
ルー「とまあ、これくらいのものでして。町の人も通りかかればお参りしていきますけど、あまりここを目当てに来る人はいませんねぇ」
ノーティ「これは……何を祀っているのですか?」
ルー「大河の竜様ですね。この地の豊穣に感謝して、ってことで」
ノーティ「水竜の社奥にあった像とは随分見た目が違っていますね…」
ルー「こんな感じですねー。リーテでは竜関係のものはこれくらいしかありませんよ」
ノーティ「とりあえず旅の無事を祈念しておきましょうか……」
ジョルティ「これ作った奴、ずいぶん下手くそだな」
ルー「そうですか?彫刻自体は上手く出来ていると思うんですけどねぇ。まあ、実物がいるのかも分からないですから、似ているのかは分かりませんけど」
ジョルティ「本物はだいぶ違う感じだったぞ?」
ルー「本物をご覧になったことがあるんですか?」
ノーティ「いえ、見たことはないですね。まあ、場所が変われば様式も違うんでしょう」
ルー「??」
その後、それぞれ旅の無事などをお祈りしました。私も、旅の無事を祈っておくことにしました。竜人が竜にお参りするというのも、変な話ではありますけれど。
ルー「さてと、皆さんお参りが終わりましたら、宿へ戻られますか?本日は別の宿にお泊りになるなら、個人的おすすめにご案内しますよー」
ノーティ「あ、それはどうも。良いんですか、別の宿で?」
ルー「いろいろなお店を楽しんでいただくのもリーテ流ですからね!」
ノーティ「それではお言葉に甘えて」
クライブ「他所へ行くならティエを回収せにゃならんな」
ルー「お荷物もお部屋ですし、どちらにせよ一度は戻っていただくことになるかと」
クライブ「それもそうか」
こうして、一行は一度小狐亭に戻り、ルーのオススメだという「子熊亭」に案内されました。雰囲気は似ていますが、漂ってくる香りが少し違っていました。
ルー「それでは、こちらでもごゆっくり。本日はありがとうございました、リーテを楽しんでいって下さいね!」
ノーティ「こちらこそどうもありがとうございました。お疲れ様です これはほんの気持ちですが」
ノーティはルーに30Gチップとして手渡していました。
ルー「こ、こんなに良いんですか?ありがとうございます!」
クライブ(町の案内だけで35G稼ぎよった…この娘、出来るな…)
ルー「何か有りましたらまたお寄り下さいね!それでは、お祭りの時にもお会い出来れば幸いです!」
ノーティ「旅で困っていたところでしたから。ええ、また後程」
ルーは深々とお辞儀をして小狐亭へと戻っていきました。出店をするにしてもしないにしても、ここでの滞在は楽しくなりそうです。美味しい料理は、旅のスパイス、ですね。
と、こうしてリーテの町を回ったのが今回のお話でした。
それほど大きな動きがあったわけではありませんが、リーズさん達にまた会えましたし、個人的にはかなり楽しい旅となりました。
色々と美味しい料理が食べられるのはやっぱり魅力的ですね。サンドラから、あのまま付いてくれば良かった、とちょっと思ったりもしました。また、どこかで一緒に歩きたいですね。
さて、それでは次回はリーテの収穫祭のお話となります。美味しい料理と美味しい料理、さらに美味しい料理が待っていますよ!
【MVP:トリシア】
【MVP:トリシア】
こちらは、2016/10/7に行ったオンラインセッションのリプレイです。船での移動と町の紹介だけというかなり簡易な内容でしたが、クローナ・ディア図書館で出てきた町の名前を1つ消化できました。
ちなみに、ルーは存在ごとアドリブでした。町の案内をお願いされる、というのはあまり考えていなかったのですが、なぜだかPLには人気が出たようで、やたらチップを頂いていました。……このセッションで数少ない闇のない女性キャラとなるでしょう…。
それでは、次回もお待ち下さい!
【参考サイト】
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