短いものの、ようやく訪れた春は、やはり気持ちが良いものですね、竜の君。
とはいえ、もう夏は目の前……夏の竜も今年は少し抑え気味にしてくれると助かるのですが……多分そうはいかないんでしょうね。
今回は、皆がフリーグゼルに戻ってから、1日経過した日から物語を始めます。
第三十四話 第一部「七つの旅-夏/火の燻りは初夏の薫り」
~春の月 24日~
すっかり春となり、暖かい1日が始まりました。
ルーはフリーグゼルに戻ってからすぐに、仲間探しをするということで皆とは分かれて別行動を取っています。
フリーグゼルは相変わらず混乱しているようで、各種サービスについても利用できないものが多いようですが、人が行っているサービスはある程度復旧しているようです。
例えば皆が泊まっているこの公共宿も、一応料理が出る程度には回復しているようでした。
……久し振りに火で料理したためか、少し焦げているようではありましたが。
トリシア「あたたかい」
ノーティ「いやあ、車輪の再発明とでも言いましょうか……」
その日の昼、別れて行動をしていたルーが皆の元に訪れました。隣にはネーヴェさんも連れています。
ルー「一人だけではありますが、一緒に行く人が見つかったので、リリアスを経由してローリスに向かうことにしました」
トリシア「るーちゃん行っちゃうのかーがんばれー」
ノーティ「……ルーさんならさらにいい仲間が見つかりますよ。お達者で」
ルー「頑張ります! あ、ちなみに一緒に行くのはキルトさんですよ、工房の!」
ティエ「ああ……あの魔力浪費の人」
クライブ「おお、そうだったそうだった。ほれ」
別れの挨拶に来たルーに、クライブが荷物から銀の剣を取り出して手渡しました。
ルー「貰って宜しいんですか…?」
クライブ「その剣は俺に剣を教えてくれた親父さんからもらったものでな。親父さんもまた別の旅人からもらったそうだ」
ルー「……そんな大事なものを。ありがとうございます。大事にします」
クライブ「そうやって旅してきた剣だ。お前もいらなくなったら誰か旅人に渡してやれ」
ルー「ありがとうございます!」
トリシア「じゃあわたしからはこの香り袋をあげよう」
ジョルティ「じゃあ、俺らいらないからこのカンテラもあげよう」
……折角あげたものをすぐに渡している!?まあ良いですけどね!? それにトリシアのそれも貰い物ですよね!?
ルー「なんだかいっぱい貰っちゃって……。ネーヴェにも荷物を持ってもらわないといけないですね」
ネーヴェ「香り袋ぐらいなら……」
ジョルティ「働け」
ネーヴェ「ペンとノートより重いものは持てない」
ジョルティ「こいつ! 旅暮らしはそんなに優しくないぞ!」
ルー「本当に、最後までお世話になりました! いつかきっとまたどこかで会いましょう!」
こうして、ルーとネーヴェさんはフリーグゼルを後にしました。彼女達にも春の竜の加護のあらんことを。竜の君の無理のない範囲で。
パワー「食費浮いたな!」
ティエ「ごく希に溢れた分押しつけてただけで浮くとかそういうのじゃないんだよなぁ」
パワー「そうだったのか!? 草食わせてやればよかったな!」
ティエ「ありがた迷惑では? まあ、とりあえずやることも特にありませんし、今日はどうしましょうか」
パワー「とりあえず草だ!」
ノーティ「食べませんけど取りに行きますか……」
〈薬草取り:強風の密林:目標12〉
パワー:6
ノーティ:Critical(風泣きチューリップ3個獲得)
パワー「雑草うめぇ!」
ノーティ「珍しいものがこんなに群生しているとは……春っていいものですね」
ジョルティ「暖かくなって出てきたんだろうな」
エレオノーラ《あら、綺麗な翡翠色のお花ですね》
ノーティ「翡翠をご存知で」
エレオノーラ《鉱石仲間ですから?》
ノーティ「なるほど」
トリシア「わたしはちょっと街中見てくるー」
そう言うと、トリシアは街中を歩きながら、混乱の様子を見てまわっていました。春になったこともあって、道に雪が積もっていることはありませんが、やはり不便な場所が多いようです。
トリシア「あたたかい」
役所と研究所は特に人が集まっているようでしたが、どちらも何も対応できていないようでした。
病院の業務にも支障が出てしまってしまっているようで、こちらも人が集まっていることが見受けられます。
浴場は閉まっています。お湯が沸かないですからね……。
トリシア「うーむ。食材のお店は開いてるかなー?」
トリシアはそのまま商店街に差し掛かりました。商店街は魔力が回っていた当時に比べると賑わいが少なくなっているものの、最低限のものは売っているようでした。
トリシア「よし、食材は買えそう。おっちゃん、これとそれとあれと、箱で売って」
店員「随分買っていきますね」
トリシア「ちょっとねー。おっちゃんも暇なら後で役所前の広場においで」
店員「はい……?」
トリシアは思わせぶりなことを言うと食材の詰まった箱を馬車に乗せ、そのまま役所の前の広場に向かいました。そこで食材と調理道具を広げて、料理を始めます。どうやら、炊き出しをすることにしたようです。なるほど、そういうことだったのですね。私も一口頂きましょう。
トリシアは早速魔法のまな板を使って料理をしていました。ちょうど合流したノーティからハーブを貰い、それも料理に使うことにしたようでした。
〈料理判定〉
達成値:26
トリシアの料理はこれまでに見た料理の中でもトップクラスに美味しそうな出来栄えでした。……訂正します、美味しい出来栄えでした。
ノーティ「見た目も匂いも完璧だ……」
ジョルティ「凄い美味しい」
トリシア「いつのまに。良いけども」
トリシア「暖かいものよかったらどうぞ。お代は結構です」
トリシアの炊き出し所は見る間に人だかりができ、多くの人がその料理を食べていました。
ティエ「はいならんでー」
ティエ「はい十分残っておりますー おさないでー」
トリシアは料理を続け、その列の整理をティエがしていました。
市民A「これはなんと美味しい……」
市民B「旅の料理人のお方ですか?」
トリシア「料理人の子のたびのひとです」
市民C「火を使った料理は久しぶりですが……美味しいですねぇ」
トリシア「暖かくなってきたけど暖かいものどうぞ」
炊き出しは大盛況でした。夕方頃には食材を使い切り、店じまいとなりました。皆、魔法調理ができないことで暖かいものに飢えていたようなので、その点も良かったようです。
トリシア「さて、文句つけられても困るので逃げ帰ろう」
本来なら役所の人が勝手に場所を取っては困ると言いに来る所だったのでしょうが、おかげで役所の混乱が少し収まっていたので黙認してくれていたようでした。……ちょっと世知辛い気もしますが。
ノーティ「いつまでもこうして付きっきりでいるわけにも行きませんね」
その後撤収を行っている間に、もう宵の口という時間になっていました。街灯も付いていませんのでかなり暗くなっています。
ノーティ「暗いですね……」
トリシア「やることなさそうだから寝る」
ノーティ「本が読めませんね……雪もないですし、ホタルもいないし」
ティエ「ピュアクリスタルライトで適当なもの光らせればいいのでは」
ノーティ「やっぱり自然光がいいかなーと。ま、寝ましょう」
~春の月 25日~
麗らかな日差しが差し込む暖かい春の日和となりました。
〈コンディションチェック〉
パワー:4
クライブ:11(絶好調)
ティエ:14(絶好調)
ノーティ:11(絶好調)
トリシア:17(絶好調)
ジョルティ:12(絶好調)
皆が目を覚まして朝の支度をしていると……突如としてティエの部屋に竜の道が開きました。私が開けたわけではありません。
……その竜の道の向こうには、火山の頂上近くのような景色が広がっていました。この場所は……。
ティエ「まぶしい……鍵もクライブさんが持ってるからしめられない」
ティエ「とりあえず誰か呼んでくるかー」
ティエはとりあえず部屋を出て、隣の部屋のドアを連打し始めました。静かに寝ぼけてます?
ノーティ「はいはい……おはようございます どうしました?」
ティエ「ちょっと部屋に。みてくださいよこれ」
ノーティ「おや、これは……どこなのでしょう?」
ティエ「ちょっとみんな呼んできます、閉まらないようにみといて貰っても?」
ノーティ「はい……勝手に開いたのですか?」
ティエ「ええ 起きたら勝手に」
ノーティ「では皆さんをお願いします」
ティエがノーティを部屋に残し、他の皆を部屋に呼びに行きました。相変わらずドアを連打ノックで次々に皆を起こして部屋に集めました。
トリシア「はえーなにこれ」
ティエ「起きたら勝手に開いておりまして」
皆がティエの部屋に集まって開いた竜の道を覗き込みました。すると、向こう側に、またもや大きな竜の姿が見えました。真紅の体表を持つ巨大な竜。私にはもうそれが何者であるのかは分かっていました。
そして、その隣には大きな槍を背負った男性の竜人の姿がありました。紅の髪に紅の瞳をもつ、長身の彼は、クローナ・ディアの闘技場で出会ったラグナさんです。
トリシア「竜人……よし、入ろ」
と、トリシアが竜の道を通り、その向こう側に出た所で、突然クライブが手元の鍵でその竜の道を閉じてしまいました。
ティエ「あっ」
ラグナ「何故閉じる!?」
即座にラグナさんが驚いたように道を開け直しました。うちの旅人がすみません。
ノーティ「また竜ですか。ここまで頻繁だと何だかありがたみがないですね おお、開いたり閉じたり」
ジョルティ「しかし、ここに来て竜人やら竜やら大盤振る舞い過ぎやしませんかね?流石にありがたみも減るわー」
それから、他の皆も竜の道を通って紅い竜の元へと向かいました。
トリシア「ところで、目の前にいるわたしのことは放置かしら」
ラグナ「いやいや、すぐに来てくれて助かる。君は話が早そうだな」
トリシア「他のやつは話にならない可能性」
ラグナ「元々、竜も竜人もそこらじゅうにいるものだ。本来有り難みがあるものではない、目に見えないだけでな」
トリシア「そんな気がした」
ジョルティ「そっすか、無信仰なんで助かるっす」
ラグナ「随分な言われようだが……まあ仕方がない部分もあるだろうな……」
トリシア「うちについて回ってる竜人さんありがたみ感じない」
ジョルティ「あれはつまみ食いの竜人だっけ?」
「ちょっと、トリシア、何を言っているんですか何を。そんなことはないですよ、色々してるんですよ!?」
あ、独り言のつもりだったのですが、そうですよね、竜の棲家に入ったので私のことも見えていますし、声も聞こえていますね。
トリシア「やあアリアちゃん」
ノーティ「それで、こうやって呼ばれたということは我々のことはご存知でしょうが、貴方がたはどちら様で?」
ラグナ「あ、ああ、すまん。わざわざ閉じられたもので段取りがな」
トリシア「殴ってもいいよ。私は痛くない」
ラグナ「自分で言うのも何だが、私が殴ると人間には痛いぞ」
ラグナ「とりあえず名乗ろう。我が名はラグナ、夏の竜の眷属だ」
トリシア「夏の人ってアリアちゃん前言ってた人だっけ」
「あれ?話しましたっけ…?」
トリシア「冬以外の季節はなんらかしたら絡んだ的なこといってなかったっけ」
「ああ、確かに話しましたね。そうですそうです。その夏の竜人です」
ラグナ「実は私からすると君達は初めてではない。クローナ・ディアの闘技場を覚えているかな」
トリシア「はい」
ティエ「お金とられました」
ラグナ「ああ、そちらではない。賭け闘技のほうではなく季節闘技の方だ」
ラグナ「その時の決勝戦の相手が、私の旅人だったのだよ。カカシばかり殴っていたが」
トリシア「なるほど」
トリシア「なんか戦った後馴れ馴れしくなってきた人たちがいました!」
ラグナ「その節は迷惑を……まあそっちのデカイのも突然殴っていたからそれで手打ちということで」
パワー「知らんな!」
ノーティ「最終的に眠ったんでしたっけ……」
ラグナ「そうだったな……もう随分前の事だが」
ノーティ「それで、用件があって呼びつけたのでは」
ラグナ「ああ、そうだ。思い出話をしている場合ではない」
ラグナ「実は……まさにその彼らのことで頼みたいことがあってな……」
ラグナ「実は今、彼らと合流できなくなってしまっている。2日ほど前に火山窟に入ったのだが……その時に崩落の影響で分断されてしまった」
トリシア「竜人さんってそこらへんどうにでもできるイメージでした」
ラグナ「思った以上の規模で崩落しているようでな……私だけでは合流できそうにない」
ラグナ「本来ならそれも旅物語の一部なのだが……ちょうど最近冬の竜人の顛末を聞いていたからな……少々臆病になってしまっている。ぶち壊そうと竜の姿にもなったのだが、力不足だった」
クライブ「ほーん」
ラグナ「……ということで、協力を要請するためにこうして突然呼ばせてもらったわけだ。冬の竜の問題を解決し……何より彼らに直接勝ったことがある実力の持ち主なら、誰よりも信用することができるだろうと思ってな……」
トリシア「とのことですがアリアちゃんどうですか」
「私は皆さんの行く所に付いていきますよー。決定権は私にはないですから」
トリシア「うんわかってて聞いた」
「察しが良いですねぇ」
トリシア「絡んでこないもんねーごはんのとき以外は!」
「そ、そそそそんなことはないですよ」
トリシア「ホホホホントカナー」
ノーティ「もう乗りかかった船といいますか、ここまで来ていただいて断れるはずもないでしょう」
ジョルティ「助けに行くんでなんか下さい」
ラグナ「アバウトな要求だな……。大弓ぐらいなら渡してもいいが……」
ラグナ「十分な実力を持っている者にとって、必要なものではないぞ」
ジョルティ「どうせ人間に使えないやつでしょ?」
ラグナ「まあ直接引けるものではないな」
トリシア「竜とは交渉云々って最近言われた気がしたんだけどなーきのせいかなー」
ラグナ「そうだな、本来はあまり交渉をするべきではないだろう……季節の竜はまだ温厚だが、天候の竜辺りは希少が荒いものも多いから会うことがあるなら気をつけた方が良いぞ」
トリシア「ようは竜人とかって大それた名前ついてるけど基本的に妖精さんみたいなもんだなって最近感じてる」
ラグナ「まあそんな所だな。多少人よりは頑丈だが、1人でなんでもできるような存在ではない」
ラグナ「……ということだ、頼まれてくれると助かる」
ジョルティ「じゃあ、季節の竜は食べれますか!?」
ラグナ「それは分かりかねるが……」
ジョルティ「天候の竜は!?」
ラグナ「雲や雷の味がするのではないかな……?」
ジョルティ「雲なら食べてみたい」
ラグナ「思った以上に変わり者だな、春の旅人は」
「恐縮です」
ラグナ「褒めてはいないが……」
トリシア「で、具体的に私らにどうしろというのです」
ラグナ「彼らの入った火山窟はフリーグゼルとは真逆の方向だ。その近くの村までなら竜脈が通じている、そこまで送らせてもらう」
ノーティ「歩かなくとも済むならありがたい限りですが」
ラグナ「いや、全く歩かなくて済むわけではない。近くの村までは行けるが、少しは歩くことになるだろう」
ラグナ「……承諾してもらえるなら、すぐにでもその村までの道を繋ごう。すぐに諸君の動物たちも送る」
ジョルティ「おっけー。現地で準備も必要だからさっさと送ってくれぃ」
ラグナ「姿は見えなくなるが、私も同行する。火山窟はその村から南に進んだ方角にある」
ラグナ「……有り難い。それでは、道を繋がせてもらおう」
そういうと、ラグナさんは竜の道を開きました。遥か西にあるアンダルという村に道がつながっています。見たところサンドラに雰囲気が良く似ており、湯気が立っていることから温泉があることが窺えました。しかし、規模としてはサンドラよりは小さいようです。
その後、続いて皆の荷運び動物なども竜の道を通して送られてきました。……村の中央に。
「……人目につかない所に開けた方がいいですよ」
ラグナ「……すまん。次から気を付ける」
ノーティ「私の地図を更新しなければ……この辺りかな?」
ジョルティ「なんか懐かしい匂いが…」
ティエ「こ ここは…村の中央に飛ばすことないのに」
ノーティ「余程焦っているのでしょうか、手慣れていないのでしょうか?」
突然現れた皆に、アンダルの村人が声を掛けてきました。
村人「おや! なんと珍しい魔法ですね!」
パワー「まずは風呂だな」
村人「温泉なら無料で入ることができますよー」
ノーティ「まずは体を清潔にしなければ。海水は厳しいものがありましたからね」
村人「どうぞどうぞご自由に」
ティエ「そうですねえ」
長い間フリーグゼルで風呂に不自由していたということもあり、とりあえず皆軽く温泉に浸かっていくことにしたようです。私も密かに女湯に入っておきました。
温泉に入っていると、湯船の隅に赤黒い石のようなものが沈んでいることに気が付きました。どうも、これはフロストーンの亜種のようで、広い湯船であるもののこれ1つでお湯を沸かすことができているようでした。
その後はジョルティが温泉卵が売られているのを見つけて購入し、それも皆で食べていました。
お風呂から上がって村の中を見てみると、先程温泉に沈んでいた赤黒い石は普通に売られているようでした。火水石という、この村の特産品のようです。
ノーティ「これはこれで何らかの効能があったりするのでしょうか?」
ジョルティ「よし、このフロストーン買い占めてフリーグゼルに戻るか」
ティエ「思いましたけどね?」
ジョルティ「店員さーん」
店員「はーい?」
ジョルティ「この特産品は普通のフロストーンと何が違うのん?」
店員「ああ、これは普通のものよりも多くの水を沸かせるんですよ。ついでに、ちょっと温度が高めになります」
ティエ(これを今お湯の沸かないフリーグゼルに持っていけば……大儲けできるのでは?)
ジョルティ「ほう…。とりあえず温泉まんじゅう下さい」
店員「はいはいどうぞどうぞ。お熱いのでお気を付けて」
ティエ「じゃあ私は温泉卵を」
ノーティ「装備なども買えるところがありますか?」
店員「ええ、規模は小さいですが。ある程度のものは揃っていますよ」
パワー「草は生えてますか?」
店員「ま、まあ近くの岩場になら生えていると思いますが」
それから、皆は火山に向かうのに備えて、登山靴や耐火マントなどを購入していました。その間にパワーは岩場に向かい、草を取っていましたが……見つけることはできなかったようでした。
そして一通りの準備が終わったのが昼前頃です。
ノーティ「皆さんの体調に問題がなければ南に進みましょうか?」
ティエ「いきましょうかー」
こうして準備を終えた皆は、南の火山に向けて出発しました。
〈移動チェック:岩場:目標8〉
パワー:13
クライブ:17
ティエ :15
ノーティ:12
トリシア:14
ジョルティ:16
旅慣れた彼らにとって、特に障害のない岩場ぐらいは全く問題がなかったようです。一人も疲れることなく、歩き通すことができました。
〈方向チェック:岩場:目標8〉
ティエ:8(サポート成功)
ノーティ:20
地図を見るのを間違うこともなく、特に何事もなく夜を迎えました。視界の先に、大きな山が見えています。どうやらあれが目的の火山のようですね。明日もまだ、少しばかり岩場を歩くことになりそうです。
ジョルティ「狩猟ターイム!」
パワー「うおー!」
〈狩猟チェック:岩場:目標8〉
パワー:3(失敗)
ジョルティ:19(包丁捌き:美味しい食料12獲得)
ティエ「半分のこりますね…ジャムにしときますか」
ノーティ「パワーさんは今日は動きが鈍いようで」
〈野営チェック:岩場:目標8〉
ノーティ :3(サポート失敗)
トリシア :13
ノーティ「申し訳ございませぬ」
トリシア「結果オーライ」
ティエ「ぴったり6個ジャムに出来ました。 おいしいジャム(肉味)」
こうして、美味しい食事を取りながらその日の夜は更けていきました。
~春の月 26日~
その日は、春とは思えないような日差しでした。炎天下と言うにふさわしいような暑い一日になりそうです。
〈コンディションチェック〉
パワー:判定忘れ
クライブ:12(絶好調)
ティエ:16(絶好調)
ノーティ:20(絶好調)
トリシア:15(絶好調)
ジョルティ:6
〈春の竜の加護〉
ジョルティ:13
〈薬草取り:岩場:目標8〉
パワー:8(キョジンノテノヒラ獲得)
ノーティ:7(失敗)
パワー「これは……食わなくていいか……」
キョジンノテノヒラは粘液質な表面が特徴的なハーブということもあり、さすがのパワーも生で直に食べるのはやめたようでした。
〈移動チェック:炎天下の岩場:目標11〉
パワー:9(失敗)
クライブ:21
ティエ:20
ノーティ:9(失敗)
トリシア:8(失敗)
ジョルティ:13
〈春の竜の加護〉
トリシア:12
ノーティ:14
山がもう見えている場所だったこともあり、道に迷うことはありませんでした。まっすぐ、目的の火山の麓まで到着しました。火山の麓にはポッカリと大きな口が空いており、火山窟がここから通じていることが見て取れます。
火山窟は怪しく口を開いており、とりあえず入り口については崩落している様子はありません。
トリシア「彼らはどこまで行ったのやら」
ティエ「ジョルティのランタンが久しぶりに活躍する?」
ジョルティ「ランタンもう持ってない、邪魔だったから捨ててきた」
ティエ「おっと」
トリシア「崩れたらしいけど閉鎖とか騒がれてないんだなあ」
ティエ「せやなぁ」
ノーティ「こんなところ誰も来ないのではないでしょうか?」
トリシア「なにしにきたんだろう」
ティエ「奥になにかいいものがあるとか?」
トリシア「まあ急ぐことにこしたことはないだろうし入っていこうか」
トリシア「行きませんかね。りーだー?」
ティエ「いきますか」
ノーティ「我々も閉じ込められては元も子もないですから、少しだけ慎重に……」
トリシア「ジョルティ、便利なあれだしてー」
ジョルティ「でらっくす光る短けーんー」
トリシア「あれジョルティ頭光ってない? もしかして……」
ジョルティ「それはない」
こうして、ジョルティの光る短剣による灯りで火山窟の中へと進んでいきます。ゴツゴツとした地面と壁面をしていますが、それほど特別な様子はありません。多少歩きにくい地盤ではあるものの、歩くこと自体にそれほど苦労することはなさそうでした。
そうして、数十分程歩くと、道が崩落によって塞がっている場所に出ました。
ティエ「ここかぁ」
トリシア「きれいに塞がってますなあ」
トリシア「竜人って見えないけど通り抜けたりできないんだなあ」
”ざんねんながら”と地面に筆記しておきました。
ジョルティ「見えないだけで幽霊ではないんだろ」
トリシア「うお急に文字が!」
ティエ「コワッ」
トリシア「両手広げて暴れまわったら見えてはいないけど当たったりするのだろうか」
”あぶないからやめて”と筆記しておきました。
トリシア「あたるらしい」
トリシア「さてこの瓦礫というか岩というか土というかどうしよう」
ティエ「爆破? そんな能力ないけれど」
トリシア「べんりなまほーないのー?」
ノーティ「シューティング・スター……は少し弱いかなあ」
ノーティ「変に崩しても中が大変なことになっては困ると思いますが、丁度いい魔法というと」
トリシア「ウォーメタフィールドって周りにあったもの消えたりしてるけどそれで消えたりしないかな」
ノーティ「多分それで岩が消えたら我々も落下してしまいそうですが」
パワー「草・・ドコ・・ココ・・?」
ジョルティ「パワーさん、出番だぞ」
ジョルティ「筋肉案件だ」
ノーティ「ああ、パワーさん、試してみます?」
ノーティ「この岩の向こうにハーブがありますよ」
トリシア「まあ力仕事しかないかー」
パワー「草!」
ジョルティ「地道に手作業しますかー」
〈岩盤除去:体力・体力:合計目標40〉
パワー:17
クライブ:16
トリシア:13
ジョルティ:9
ティエ:5
ティエ「私いらなかったね」
ノーティ「怪我したくないので手を出さなくて正解だった」
トリシア「へたれー」
パワー・クライブ・トリシアの3人によって岩盤は概ね取り除かれ、その後ジョルティが脇に避け、ティエが通りやすいようにしてくれたため、崩落による障害はもはやなくなりました。
私の隣でラグナさんが感心したように頷いてました。
ティエ「で 遭難した人は…」
トリシア「いませんか」
崩落の向こう側であたりを見回してみたものの、誰も近くにいる様子はありません。
トリシア「やっほー!」
トリシアが大きな声で叫んでみたものの、空洞に反響するばかりで返事が得られることもありませんでした。
ノーティが崩落による岩が塞いでいた場所を通る時に、そこに小さめの盾が埋まっていたのを見つけました。
ノーティ「これは……」
トリシア「この盾なんだろう?」
〈思い出し:知力・知力:目標8〉
パワー:3(失敗)
クライブ:5(失敗)
ティエ:7(失敗)
トリシア:11
ジョルティ:17
ジョルティ「この盾はあの味方を守れずに無駄に硬かったメイン盾の!!」
トリシア「じゃない方だね。グラサンの方」
ジョルティ「じゃなかった、グラサンの方か」
トリシアとジョルティは、その盾が”シュヴァリエ・ルージュ”のガルシャの持っていた盾であることを知っていたようでした。隣でラグナさんもその盾に目を凝らしています。
クライブ「ああ、無駄盾か」
ティエ「え じゃあこの下に…?」
パワー「これ以上掘れる場所ないぞ」
ノーティ「崩落するときに落として、命からがら逃げ出した……というシナリオも考えられますね」
ティエ「まぁとりあえずいることはわかりましたし進みます?」
トリシア「まあ死んでたらラグナとかって竜人さんに伝わったりするんじゃないの」
ノーティ「縁起でもないこといわないでくださいよねえ」
ラグナさんが岩場に爪で「少なくとも生きていることは間違いない」と記します。
トリシア「らしい」
ジョルティ「なるほど無事かは別として致命傷ではなさそうだな」
ジョルティ「他に目ぼしい手がかりもなさそうだし、奥へ行こう」
ノーティ「更に奥があるということは、彼らも進んだに違いありませんね。行きましょう」
ティエ「じゃあとりあえず先に進みましょうか」
パワー「草ない 山ない 帰りたい」
……まさに山の中なんですが、中じゃダメなんですね?
その後、崩落の場所を乗り越えて進んでいくと、道の先が空洞に繋がっていました。その空洞はなぜか明るく光っていることが、道からでも分かります。
ティエ「ほー」
〈判別:敏捷+知力:目標8〉
トリシア:19
トリシア「うーん、人工の光ではなさそう。なんの光だー」
また、その空洞から、そこはかとなく熱い空気が漂ってきているのを感じました--。
第三十四話 第一部「七つの旅-夏/火の燻りは初夏の薫り」 完
こちらは、2017/2/10,11に行ったオンラインセッションのリプレイです。
七つの旅の二つ目、夏の旅が始まりました。といっても暦の上ではまだ晩春なのですが。
久々に登場した夏の竜人、ラグナ。前回は間接的な登場でしたが、今回は直接登場してもらいました。
クローナ・ディアの闘技編も随分懐かしいことです。
それでは、次回までまたお待ち下さい…といってもほぼ同時投稿になると思いますが。
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